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第十三章 最終決戦
本編 最終回 ただいま!
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長い戦いもようやく終わる。
アスタロット、ダロム仇は取るぞ。
俺は誓う。
東京の摩天楼の上空で
聖騎士ハサンとハデルとの戦いが繰り広げられる。
俺は拳を握り込み、ありったけの瘴気波を奴らへ放つ。
『行くぞ!!大瘴気魔波ァァァ!!』
ドッゴッーーン!!!
ボカーン!!
都庁の双子の対なる象徴たる第一本庁舎と第二本庁舎は、俺の大瘴気魔波により、無惨に砕け落ちた。
「ヒャーッッッ!」
「キャャーー!」
「助けてー!」
あちこちで悲鳴が聞こえる。
阿鼻叫喚とはこの事か。
俺の胸には、邪神アドヴァンの顔が見えている。
「全て無くなれ!人の世界と共に!」
俺は瞬時に詠唱を唱え、
強力な魔弾を掌で徐々に大きくする。
この大きさの超魔弾をよけれるか?
仮に避けても東京の港区は壊滅だな!
クククッ。
港区?
何故俺はこの世界を知ってる?
まあいい。
気を取り直して聖騎士達と対面する。
フフ……。
自然に笑いがこみ上げる。
何故だろう。まあいい。
宿敵聖騎士どもを血祭りにあげる!
さあ!始めよう!俺達の宴を!
「さあ!聖騎士共を倒せ!
奴らを根絶やしにするのだ!」
俺は続けざまに大量のアヤカシを召喚する!
ワハハハハ!終わりだ!
……ふと頭に何かが掠める。
温かい記憶……。
何だ?!
「で、でかい!」
ハサンとハデル達聖騎士も驚いている。
肥大した超強力な魔弾。
「死ねぇ!聖騎士どもぉぉ!」
俺は魔弾を積年の恨みと共に放る。
俺は思った。
何故?俺はこんなに恨んでる?
人の世界を?
そうか。これは前魔王ケンジの怒り。
いや、それとも神ながら邪神扱いされた
阿修羅神の心なのか?
愛を受けれなかった自身の怒り。
世間への恨みや辛み、妬みの感情が湧いてきたのか。
・・・・
・・・・
東京、ケンジ・・・・
港区・・・
!!!!!
は!!
そうか。俺は人間だった。
今こそ思い出した。
そうだ。俺も聖騎士だった。
魔王ケンジと対面し、
怒りや憎しみに任せて
あいつを斬ってしまった。
そうか。これは、贖罪なのか。
また俺は繰り返すのか。
膨れに膨れ上がった魔弾は聖騎士に向かってゆっくりと放たれた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
なんだ!あの大きさの魔弾は!
俺は息を呑む。
「でかすぎる!
よけろ!ハデル!」
咄嗟に避ける二人の聖騎士。
ドゴォォーーーン!!
大きな爆発音と巨大な閃光。
轟音が渦巻き黒煙が上がる。
半径500メートル四方の建物が全て消える。
そして東京は火の海と化した。
魔王スマターは、次々に
先程よりは小さな魔弾を繰り返し
俺達に放ってくる。
避けるのに必死ではあるが、
なんだか奴の顔が
苦しそうに歪んで見える。
何で?
ドゴォォーーンッッッ
俺達が避けるたびに
背後から火柱が上がる。
魔弾が建物や、地面に被弾するからだ。
ジンタンや、メイ、シマジ、メリー、セシア、フィット、ガンウルフ、ドテチン、ブブキと飛空術でを駆使して
空のアヤカシ=ガーゴイル、ドラゴニュート、グレムリン、バーチ、バットン達と交戦している。
今だ!スマターの前には俺達しかいない!
一気に勝負をかけよう!
俺は大日大聖不動明王に化身し、最大奥義ハサンクラッシュの構えを取る。
倶利伽羅剣は真成田剣として倍加している。
対して二人目の聖騎士ハデルも、
『真貴皇帝』の鎧を装着し、神化した破邪の剣→神破邪の剣を振るい最大奥義ハデルダイナミックを見舞おうとしている。
※ハサンの心の声
いいか、ハデル。
俺が最初に牽制で波動スラッシュをスマターに打つ。
そうしたら、お前は全力で
ハデルダイナミックを打つんだ。
同時に俺はハサンクラッシュを打ち込む!
※ハデルの心の声
了解した。最大級のソウルパワーで
あいつに打ち下ろす!
今だ!
『待ちなさい!ハサン!ハデル!』
ハサンが波動スラッシュを打ち込む手前で
声をかける者が現れる。
だ、誰だ!
俺とハデルは後ろを向く。
「シローヌ……」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
魔将軍ザンとの死闘で死んだ筈のシローヌが霊体で現れる。
「私はアドヴァンの欠片。
アドヴァンがいる限り魂は死なない。
これでは歴史を繰り返す。
お前達が魔王スマターにすり替わるだけ。
そしてお前達は元来スマターの魂の一部であり、
アドヴァンの欠片でもあるのです!」
え!なんと!
何?!
俺もハデルも顔を合わす。
という事は今までの闘いは
壮大な内輪揉め。
そして、俺たちは元来一つだったと言うのか。
愕然として暫し呆然としている。
その茫然自失の時間を断ち切るかのように、
「今こそゴッドハサンを使うのよ!」
とシローヌは語気を強めて発破をかける。
『ご、ゴッドハサン?』
俺とハデルは思わず口を揃える。
ゴッドハサンは全てを、無に帰す究極奥義なのだという。
そして全てのカブラギが、
全てのアドヴァンの欠片が
一つに合わさる奥義。
『気持ちを合わせるだけ。
そう、合わせるだけでいいのよ。』
シローヌはそう、話した。
そうか。強さは愛だというのは、
これなのか。
力だけを求めていた。
でも違うんだな。
強さとは愛。
愛とは許すこと。
許し合えること。
受け入れることか。
「私に任せてください!」
ハデルの従者サマンサが、言うか言わないかのタイミングで古代呪文で邪神の足止めを図る!
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『グヌヌヌヌ!!!』
邪神アドヴァン=スマターは動けない。
サマンサが古代呪文で動きを止めている。
すごい。
サマンサ一人で奴を止めている?
俺も、思う。
遥か後方には、燃え盛る首都東京の姿。
でも、その背景とは対照に俺の心は落ち着いていた。
そうか。俺はこれを、
学ぶための旅路だったのか。
聖騎士としての自覚、
それは自分の今を肯定すること。
そうなんだ。
俺達は全て。
文字通りゴッドハサンは
無に帰す大技。
それは恐らく……
そう俺が思っている技なら。
「よし!やろう!ハサン!
サマンサが邪神を止めている間に!」
※二人の声
『ゴッドッッッ!ハサーーンッッッ!!!』
ゴッドハサンを唱えると二人の姿は消えて
大きな、それは大きな光の光球へと姿を変える。
しかし、光の光球は直ぐに消えて、
元の自分達へと分かれてしまった。
「何で!!
どうして!」
『何かが足りない!』
そうか!聖騎士は俺達だけじゃない!
「シオリ!ザン!お前も唱えるんだ!
全ての聖騎士、元聖騎士の力が必要だ!」
シオリこと魔獣ヒババンゴ、
センダー国初代国王ことカンデンブルグ一世=魔将軍ザン=カインは二人で顔を見合わせ頷く。
「スマター陛下!あなたの魂を救わせていただきます!」
「いい加減に楽になりな!いくよ!」
※四人の声
『ゴッドッッッ!ハサーーンッッッ!!!』
しかし、光の光球は直ぐに消えて、
元の自分達へと分かれてしまった。
どうしてだ!!!
スマターの胸に出ている阿修羅神が叫ぶ!
「バカめ!ゴッドハサンは対策済みだ!
お前等は決して一つになぞなれん!
苦しみながら死ぬがよい。
スマター。お前も所詮は人間。
弱き者。我の中で眠るが良い。
永劫の眠りへ。
聖騎士共を始末して我の支配する世界を作り上げるぞよ」
スマターの身体を奪った阿修羅神は、
最大の瘴気を練り上げる。
そして、みるみる瘴気と共にその体躯は大きく肥大していく。
破壊神の本性を剥き出しにしながら
拳を握り込む。
東京を日本を、世界を破壊する為に。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「ハサン様!ハデル様!
もう、もう限界です!!!」
サマンサが震えながら、叫ぶ。
暫しの沈黙……。
どうすりゃいいんだ。
一体どうすれば……。
俺は途方に暮れる。
奴を打ち破るにはどうすればよいのか?
今更化身の攻撃や、
貴皇帝の攻撃は無意味。
憎しみで対抗してもダメなんだ。
これでは、スマターが冒した過ちを
繰り返すに過ぎない。
その時聞き覚えのある声が聞こえた。
『其の者もカブラギです。』
し、シローヌ!
霊体のシローヌは指差す。
指差した方向には、
戦斧を持ったオークキング……。
ん??
…………ブブキ!
そうか!清方も鏑木!
聖騎士ではなくとも、カブラギ=邪神の欠片なんだ。
そう。実はオークキングとなった
ブブキこそ、特異点だった。
阿修羅神はダブル聖騎士と、魔将軍ザンとシオリ迄のゴッドハサンは読んでいた。
しかし、ブブキのゴッドハサンは読み切れて無かった。
カブラギの絆なのか、魔王スマターこと蕪城正文だけはブブキが重要なキーと気付いていた。
だから、配下の魔将軍に始末せよと命令していたのだ。
だが、肝心な本体である邪神アドヴァン=阿修羅神には届かなかった。
スマターが無意識に邪神に伝わらないようにしていた事も幸運だった。
『自覚が無いこと、認識が無い事は存在しないのだ』
これが阿修羅神の誤算にも繋がったのだ。
「ブブキ!お前も叫べ!
ゴッドハサン!
ファイナルゴッドハサンを!!」
ファイナルゴッドハサンって(笑)
ノリで叫んたけどいいのかな?
いくぞ!!
「や、やめろ!
やめろ!やめろ!やめろーー!」
魔王の胸にいる阿修羅神が叫んでいる。
その言葉をかき消すように
5人の大号令が響き渡る!
※5人の声
『ファイナル!ゴッドッッッ!ハサーーンッッッ!!!』
光は大きくなり光球から、
次第に全てを包む!
スマターを!
アドヴァンを!
東京を!
世界を光が包んでいく…。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
俺は悟った。
そうか。俺もゴッドハサンを使えれば、
否、ケンジを赦していれば
もっと前に気付けたのに。
涙が出てきた。
それは、浄化の涙なのか、
悔しいのか無念なのか、
俺にも分からなかった。
光球に包まれていく。
な、なんて温かいんだ。
「パパ」
「お父さん」
「お疲れ様」
あ、ああ……
やっと会えたね。
「アドヴァン!」
「シローヌ!!」
やがて光球は世界を覆う。
そして世界は。
『世界は一つになった』
※※※※※※※※
俺は理解した。
そう。俺達は元々一つ。
全体。
私がハサンであり、ハデルであり、
スマターであり、アドヴァンであり、
シローヌであり、不動明王なのである。
あなたは全て。
あなたは全体。
さあ、全体を感じながら、
今をしっかり生きていこう!!
※※※※※※※※※※※
どのくらい時間が経ったのか?
空が明るい。
チュンチュン……小鳥のさえずり。
「いつまで寝てるの?ご飯!」
あれ?ママの声。
僕は我に帰る。
ここは?東京の家。
邪神との闘いで崩壊も燃えてもない!
僕はオークキングだった筈なのに。
夢?!
身体を確かめて見ると、
普通の人間の体。
いつもの、あの日本にいる。
帰ってきたんだ。
アヤカシが存在しない日本に。
この世界に。
でも、異世界でオークキングとして、幾つもの死線を勝ち抜いてきた。
もう苛めになんか負けない!
そして物凄い力が込み上げてくる。
よし!今を受け入れて前を歩く!
「あのね!ママ!
パパに会ってきたよ!」
~完~
アスタロット、ダロム仇は取るぞ。
俺は誓う。
東京の摩天楼の上空で
聖騎士ハサンとハデルとの戦いが繰り広げられる。
俺は拳を握り込み、ありったけの瘴気波を奴らへ放つ。
『行くぞ!!大瘴気魔波ァァァ!!』
ドッゴッーーン!!!
ボカーン!!
都庁の双子の対なる象徴たる第一本庁舎と第二本庁舎は、俺の大瘴気魔波により、無惨に砕け落ちた。
「ヒャーッッッ!」
「キャャーー!」
「助けてー!」
あちこちで悲鳴が聞こえる。
阿鼻叫喚とはこの事か。
俺の胸には、邪神アドヴァンの顔が見えている。
「全て無くなれ!人の世界と共に!」
俺は瞬時に詠唱を唱え、
強力な魔弾を掌で徐々に大きくする。
この大きさの超魔弾をよけれるか?
仮に避けても東京の港区は壊滅だな!
クククッ。
港区?
何故俺はこの世界を知ってる?
まあいい。
気を取り直して聖騎士達と対面する。
フフ……。
自然に笑いがこみ上げる。
何故だろう。まあいい。
宿敵聖騎士どもを血祭りにあげる!
さあ!始めよう!俺達の宴を!
「さあ!聖騎士共を倒せ!
奴らを根絶やしにするのだ!」
俺は続けざまに大量のアヤカシを召喚する!
ワハハハハ!終わりだ!
……ふと頭に何かが掠める。
温かい記憶……。
何だ?!
「で、でかい!」
ハサンとハデル達聖騎士も驚いている。
肥大した超強力な魔弾。
「死ねぇ!聖騎士どもぉぉ!」
俺は魔弾を積年の恨みと共に放る。
俺は思った。
何故?俺はこんなに恨んでる?
人の世界を?
そうか。これは前魔王ケンジの怒り。
いや、それとも神ながら邪神扱いされた
阿修羅神の心なのか?
愛を受けれなかった自身の怒り。
世間への恨みや辛み、妬みの感情が湧いてきたのか。
・・・・
・・・・
東京、ケンジ・・・・
港区・・・
!!!!!
は!!
そうか。俺は人間だった。
今こそ思い出した。
そうだ。俺も聖騎士だった。
魔王ケンジと対面し、
怒りや憎しみに任せて
あいつを斬ってしまった。
そうか。これは、贖罪なのか。
また俺は繰り返すのか。
膨れに膨れ上がった魔弾は聖騎士に向かってゆっくりと放たれた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
なんだ!あの大きさの魔弾は!
俺は息を呑む。
「でかすぎる!
よけろ!ハデル!」
咄嗟に避ける二人の聖騎士。
ドゴォォーーーン!!
大きな爆発音と巨大な閃光。
轟音が渦巻き黒煙が上がる。
半径500メートル四方の建物が全て消える。
そして東京は火の海と化した。
魔王スマターは、次々に
先程よりは小さな魔弾を繰り返し
俺達に放ってくる。
避けるのに必死ではあるが、
なんだか奴の顔が
苦しそうに歪んで見える。
何で?
ドゴォォーーンッッッ
俺達が避けるたびに
背後から火柱が上がる。
魔弾が建物や、地面に被弾するからだ。
ジンタンや、メイ、シマジ、メリー、セシア、フィット、ガンウルフ、ドテチン、ブブキと飛空術でを駆使して
空のアヤカシ=ガーゴイル、ドラゴニュート、グレムリン、バーチ、バットン達と交戦している。
今だ!スマターの前には俺達しかいない!
一気に勝負をかけよう!
俺は大日大聖不動明王に化身し、最大奥義ハサンクラッシュの構えを取る。
倶利伽羅剣は真成田剣として倍加している。
対して二人目の聖騎士ハデルも、
『真貴皇帝』の鎧を装着し、神化した破邪の剣→神破邪の剣を振るい最大奥義ハデルダイナミックを見舞おうとしている。
※ハサンの心の声
いいか、ハデル。
俺が最初に牽制で波動スラッシュをスマターに打つ。
そうしたら、お前は全力で
ハデルダイナミックを打つんだ。
同時に俺はハサンクラッシュを打ち込む!
※ハデルの心の声
了解した。最大級のソウルパワーで
あいつに打ち下ろす!
今だ!
『待ちなさい!ハサン!ハデル!』
ハサンが波動スラッシュを打ち込む手前で
声をかける者が現れる。
だ、誰だ!
俺とハデルは後ろを向く。
「シローヌ……」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
魔将軍ザンとの死闘で死んだ筈のシローヌが霊体で現れる。
「私はアドヴァンの欠片。
アドヴァンがいる限り魂は死なない。
これでは歴史を繰り返す。
お前達が魔王スマターにすり替わるだけ。
そしてお前達は元来スマターの魂の一部であり、
アドヴァンの欠片でもあるのです!」
え!なんと!
何?!
俺もハデルも顔を合わす。
という事は今までの闘いは
壮大な内輪揉め。
そして、俺たちは元来一つだったと言うのか。
愕然として暫し呆然としている。
その茫然自失の時間を断ち切るかのように、
「今こそゴッドハサンを使うのよ!」
とシローヌは語気を強めて発破をかける。
『ご、ゴッドハサン?』
俺とハデルは思わず口を揃える。
ゴッドハサンは全てを、無に帰す究極奥義なのだという。
そして全てのカブラギが、
全てのアドヴァンの欠片が
一つに合わさる奥義。
『気持ちを合わせるだけ。
そう、合わせるだけでいいのよ。』
シローヌはそう、話した。
そうか。強さは愛だというのは、
これなのか。
力だけを求めていた。
でも違うんだな。
強さとは愛。
愛とは許すこと。
許し合えること。
受け入れることか。
「私に任せてください!」
ハデルの従者サマンサが、言うか言わないかのタイミングで古代呪文で邪神の足止めを図る!
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『グヌヌヌヌ!!!』
邪神アドヴァン=スマターは動けない。
サマンサが古代呪文で動きを止めている。
すごい。
サマンサ一人で奴を止めている?
俺も、思う。
遥か後方には、燃え盛る首都東京の姿。
でも、その背景とは対照に俺の心は落ち着いていた。
そうか。俺はこれを、
学ぶための旅路だったのか。
聖騎士としての自覚、
それは自分の今を肯定すること。
そうなんだ。
俺達は全て。
文字通りゴッドハサンは
無に帰す大技。
それは恐らく……
そう俺が思っている技なら。
「よし!やろう!ハサン!
サマンサが邪神を止めている間に!」
※二人の声
『ゴッドッッッ!ハサーーンッッッ!!!』
ゴッドハサンを唱えると二人の姿は消えて
大きな、それは大きな光の光球へと姿を変える。
しかし、光の光球は直ぐに消えて、
元の自分達へと分かれてしまった。
「何で!!
どうして!」
『何かが足りない!』
そうか!聖騎士は俺達だけじゃない!
「シオリ!ザン!お前も唱えるんだ!
全ての聖騎士、元聖騎士の力が必要だ!」
シオリこと魔獣ヒババンゴ、
センダー国初代国王ことカンデンブルグ一世=魔将軍ザン=カインは二人で顔を見合わせ頷く。
「スマター陛下!あなたの魂を救わせていただきます!」
「いい加減に楽になりな!いくよ!」
※四人の声
『ゴッドッッッ!ハサーーンッッッ!!!』
しかし、光の光球は直ぐに消えて、
元の自分達へと分かれてしまった。
どうしてだ!!!
スマターの胸に出ている阿修羅神が叫ぶ!
「バカめ!ゴッドハサンは対策済みだ!
お前等は決して一つになぞなれん!
苦しみながら死ぬがよい。
スマター。お前も所詮は人間。
弱き者。我の中で眠るが良い。
永劫の眠りへ。
聖騎士共を始末して我の支配する世界を作り上げるぞよ」
スマターの身体を奪った阿修羅神は、
最大の瘴気を練り上げる。
そして、みるみる瘴気と共にその体躯は大きく肥大していく。
破壊神の本性を剥き出しにしながら
拳を握り込む。
東京を日本を、世界を破壊する為に。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「ハサン様!ハデル様!
もう、もう限界です!!!」
サマンサが震えながら、叫ぶ。
暫しの沈黙……。
どうすりゃいいんだ。
一体どうすれば……。
俺は途方に暮れる。
奴を打ち破るにはどうすればよいのか?
今更化身の攻撃や、
貴皇帝の攻撃は無意味。
憎しみで対抗してもダメなんだ。
これでは、スマターが冒した過ちを
繰り返すに過ぎない。
その時聞き覚えのある声が聞こえた。
『其の者もカブラギです。』
し、シローヌ!
霊体のシローヌは指差す。
指差した方向には、
戦斧を持ったオークキング……。
ん??
…………ブブキ!
そうか!清方も鏑木!
聖騎士ではなくとも、カブラギ=邪神の欠片なんだ。
そう。実はオークキングとなった
ブブキこそ、特異点だった。
阿修羅神はダブル聖騎士と、魔将軍ザンとシオリ迄のゴッドハサンは読んでいた。
しかし、ブブキのゴッドハサンは読み切れて無かった。
カブラギの絆なのか、魔王スマターこと蕪城正文だけはブブキが重要なキーと気付いていた。
だから、配下の魔将軍に始末せよと命令していたのだ。
だが、肝心な本体である邪神アドヴァン=阿修羅神には届かなかった。
スマターが無意識に邪神に伝わらないようにしていた事も幸運だった。
『自覚が無いこと、認識が無い事は存在しないのだ』
これが阿修羅神の誤算にも繋がったのだ。
「ブブキ!お前も叫べ!
ゴッドハサン!
ファイナルゴッドハサンを!!」
ファイナルゴッドハサンって(笑)
ノリで叫んたけどいいのかな?
いくぞ!!
「や、やめろ!
やめろ!やめろ!やめろーー!」
魔王の胸にいる阿修羅神が叫んでいる。
その言葉をかき消すように
5人の大号令が響き渡る!
※5人の声
『ファイナル!ゴッドッッッ!ハサーーンッッッ!!!』
光は大きくなり光球から、
次第に全てを包む!
スマターを!
アドヴァンを!
東京を!
世界を光が包んでいく…。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
俺は悟った。
そうか。俺もゴッドハサンを使えれば、
否、ケンジを赦していれば
もっと前に気付けたのに。
涙が出てきた。
それは、浄化の涙なのか、
悔しいのか無念なのか、
俺にも分からなかった。
光球に包まれていく。
な、なんて温かいんだ。
「パパ」
「お父さん」
「お疲れ様」
あ、ああ……
やっと会えたね。
「アドヴァン!」
「シローヌ!!」
やがて光球は世界を覆う。
そして世界は。
『世界は一つになった』
※※※※※※※※
俺は理解した。
そう。俺達は元々一つ。
全体。
私がハサンであり、ハデルであり、
スマターであり、アドヴァンであり、
シローヌであり、不動明王なのである。
あなたは全て。
あなたは全体。
さあ、全体を感じながら、
今をしっかり生きていこう!!
※※※※※※※※※※※
どのくらい時間が経ったのか?
空が明るい。
チュンチュン……小鳥のさえずり。
「いつまで寝てるの?ご飯!」
あれ?ママの声。
僕は我に帰る。
ここは?東京の家。
邪神との闘いで崩壊も燃えてもない!
僕はオークキングだった筈なのに。
夢?!
身体を確かめて見ると、
普通の人間の体。
いつもの、あの日本にいる。
帰ってきたんだ。
アヤカシが存在しない日本に。
この世界に。
でも、異世界でオークキングとして、幾つもの死線を勝ち抜いてきた。
もう苛めになんか負けない!
そして物凄い力が込み上げてくる。
よし!今を受け入れて前を歩く!
「あのね!ママ!
パパに会ってきたよ!」
~完~
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"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
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