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発展
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「美味しい……体の芯からあったまる……」
「良かった~。私が作ったから口に合うか心配だったけど」
「今までのどんなお茶よりも美味しいよ、これ」
久々の温かい飲み物に感動した俺は自然にそうこぼした。勿論、美味しいのも事実だ。
「えっとね、確か……何だっけ? あ~、その辺の草を炙って乾燥させたものを粉にして入れたの!!」
(そ、その辺の草……? まあ、愛丘と巫がいるから大丈夫だと思うけど)
「あとね、免疫力がアップするって言ってたよ」
(それは愛丘の作戦だな。病は気から、噓も方便だな)
「うん、ありがとう。さっきよりも体が楽になったよ、円城寺」
「えへへ」
和がそれを聞いて補足する。
「笹草に似てるやつよねっ、笹草に! 私が見つけて来た草だね~。こんなところで役に立つなんて、なんか嬉しいな」
「……あれは最初の実験で使いきちゃった。これ新しく私が拾って来たものだよ。より新鮮なのを厳選したの」
「へー、そんなんだー」
(そんな経緯があったのか。それがこんな旨いのに変わるなんて感動的だな)
「本当に旨かったよ、ありがとな。この茶碗作った人にも凄かったって。後、水が漏れるのだけど……目止めが出来るようになれば良いかもとも、愛丘に伝えてくれ」
「目止めね。うん、任せて」
彼女はそれを伝えるために去って行った。
「和が見つけてくれたおかげで早く治りそうだよ」
「そ、そっかぁ」
そう声をかけると手の痛みが引いて行った。暫くするとまた外から声がした。
またかと思ったが、今度は低い声だった。
(く、鉄……? なんでぇ?)
俺たちが何か言う前に、続けて声をかけながら勝手に入って来る。
「もしかしてパコってたか?」
「っおい!」
(てかそう思うなら入ってくんなッ)
心なしか俺の熱が上がった。
「パコー……何? あき、パコって?」
「あっ! あれだよ! よ、横になってるって意味じゃないかな?」
「あ、そういう事。お見舞いに来てくれたんだね」
そのやり取りを見て鉄は軽くため息をついた。無言で座るや否や、俺が食べる予定のベリーを口にする。暫くモグモグしていた。
(いや、何しに来たんだよこいつ)
「邪魔したな」
そう言って鉄は立ち上がる。
「何しに来たんだよ……ッ」
思った事がそのまま口に出た。
「ふん、今お前に死なれると、ここの発展が遅くなりそうだったからな。その様子だと、問題なさそうだ。そっちの方の発展もな」
(うるせーよ)
「ただの風邪だ。今朝よりだいぶ良くなったから、きっと明日には動けるよ」
「そうかよ。それと、あっち側は昼夜問わず、人が来にくいからオススメだぜ」
そう言って指を差す。
(なんの話だよ)
「オススメ? なんの?」
「の、和は気にしなくて良いよ……ハハハ」
そして、彼は去って行った。
「何か鉄君、思ったより怖くないね」
「あいつは命令されるのが嫌いなだけじゃないか。知らんけど」
「あ~確かに。先生に反抗的だったもんね」
(佐久間に対してもだから合う合わないが激しいんだろうな)
「良かった~。私が作ったから口に合うか心配だったけど」
「今までのどんなお茶よりも美味しいよ、これ」
久々の温かい飲み物に感動した俺は自然にそうこぼした。勿論、美味しいのも事実だ。
「えっとね、確か……何だっけ? あ~、その辺の草を炙って乾燥させたものを粉にして入れたの!!」
(そ、その辺の草……? まあ、愛丘と巫がいるから大丈夫だと思うけど)
「あとね、免疫力がアップするって言ってたよ」
(それは愛丘の作戦だな。病は気から、噓も方便だな)
「うん、ありがとう。さっきよりも体が楽になったよ、円城寺」
「えへへ」
和がそれを聞いて補足する。
「笹草に似てるやつよねっ、笹草に! 私が見つけて来た草だね~。こんなところで役に立つなんて、なんか嬉しいな」
「……あれは最初の実験で使いきちゃった。これ新しく私が拾って来たものだよ。より新鮮なのを厳選したの」
「へー、そんなんだー」
(そんな経緯があったのか。それがこんな旨いのに変わるなんて感動的だな)
「本当に旨かったよ、ありがとな。この茶碗作った人にも凄かったって。後、水が漏れるのだけど……目止めが出来るようになれば良いかもとも、愛丘に伝えてくれ」
「目止めね。うん、任せて」
彼女はそれを伝えるために去って行った。
「和が見つけてくれたおかげで早く治りそうだよ」
「そ、そっかぁ」
そう声をかけると手の痛みが引いて行った。暫くするとまた外から声がした。
またかと思ったが、今度は低い声だった。
(く、鉄……? なんでぇ?)
俺たちが何か言う前に、続けて声をかけながら勝手に入って来る。
「もしかしてパコってたか?」
「っおい!」
(てかそう思うなら入ってくんなッ)
心なしか俺の熱が上がった。
「パコー……何? あき、パコって?」
「あっ! あれだよ! よ、横になってるって意味じゃないかな?」
「あ、そういう事。お見舞いに来てくれたんだね」
そのやり取りを見て鉄は軽くため息をついた。無言で座るや否や、俺が食べる予定のベリーを口にする。暫くモグモグしていた。
(いや、何しに来たんだよこいつ)
「邪魔したな」
そう言って鉄は立ち上がる。
「何しに来たんだよ……ッ」
思った事がそのまま口に出た。
「ふん、今お前に死なれると、ここの発展が遅くなりそうだったからな。その様子だと、問題なさそうだ。そっちの方の発展もな」
(うるせーよ)
「ただの風邪だ。今朝よりだいぶ良くなったから、きっと明日には動けるよ」
「そうかよ。それと、あっち側は昼夜問わず、人が来にくいからオススメだぜ」
そう言って指を差す。
(なんの話だよ)
「オススメ? なんの?」
「の、和は気にしなくて良いよ……ハハハ」
そして、彼は去って行った。
「何か鉄君、思ったより怖くないね」
「あいつは命令されるのが嫌いなだけじゃないか。知らんけど」
「あ~確かに。先生に反抗的だったもんね」
(佐久間に対してもだから合う合わないが激しいんだろうな)
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