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発展
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和の体調を考慮して、重い症状の病人に絞って治癒していたが、安定してきたので、その能力は少しづつ広まっているのだろう。元から長い期間隠せるとも思ってないかったので、今くらいのペースなら良いと思っていた。
「お、俺っ……? 俺には俺のペースがあんだよ! 色々とあんだよ! ほらあれだ!」
(良い事じゃないか。まあ、少し複雑な気分だけど)
みーちゃんも茶化すようにそれに加わって来た。
「あっ、和ー。そう言えば最近こやつ……色んな女子と仲良くしてますぜ!」
「むー。確かに……」
「いや! あれは生活水準をどうあげるかの相談というか話し合いであって! そんなんじゃないって!」
それを聞いて要が声を出して笑う。釣られて二人とも笑った。この生活に少しづつ慣れていくのを感じるこの頃。
【数日後】
新拠点に移って四日が過ぎた。徐々に探索範囲が広がって行く。住居も完成している所もチラホラある。というか俺の所はもう完成してある。愛丘が何かと理由を付けて優先してくれたようだ。
何時ものようにベリーを食べていると和が言う。
「あき、顔色悪いよ?」
「そうかな?」
自覚はある。朝起きると軽い頭痛と体のだるさがあった。要とみーちゃんが納得した様子を見せた。
「ここに来てからずっと動きっぱなしだったからな」
「だね~。きっと一段落ついたからだよ。ほら試験前に一気に勉強して、試験が終わったら風邪引くみたいな」
俺は何故か妙に納得した。
「ははは、あるなそれ」
要が言う。
「今日は休め。佐久間には俺が言っておくから」
「……なんか悪いな」
「あ、私も行く」
和も一緒に出て行った。みーちゃんが悪い笑みを浮かべてこっちを見ていた。
「な、何だよ……」
「別に~。あ、探索いかないと~。それじゃね~彰人」
彼女はそう言って楽しそうに出発した。
「?」
と思っていたら戻って来た。
「しっかりと甘えるんだぞ」
「ッ……は、はよいけ……」
今度こそ行ったはずだ。暫くすると和が戻って来た。
「愛丘君が今日はあきを優先していいって」
「ありがとう」
「いいよこのくらい。それよりも横になってて」
言われるがままに横になると、和が額に手をかざす。不思議な事に本当にそれだけで痛みが和らぐ。さらにもう片方の手で、手を優しく包んでくれた。
(不思議な感じだ。しかし痛みも和らぐなんて、これは自然治癒以外にも効果があるのか? いや、今はよそう……そんな事どうでもいい)
ふと和と目が合った。少し照れ臭かったが、抵抗する気が無くなるくらいに心地よかった。
そんな時、外から声が聞こえた。
「城詰君、入るね」
(この声は巫か)
「お、俺っ……? 俺には俺のペースがあんだよ! 色々とあんだよ! ほらあれだ!」
(良い事じゃないか。まあ、少し複雑な気分だけど)
みーちゃんも茶化すようにそれに加わって来た。
「あっ、和ー。そう言えば最近こやつ……色んな女子と仲良くしてますぜ!」
「むー。確かに……」
「いや! あれは生活水準をどうあげるかの相談というか話し合いであって! そんなんじゃないって!」
それを聞いて要が声を出して笑う。釣られて二人とも笑った。この生活に少しづつ慣れていくのを感じるこの頃。
【数日後】
新拠点に移って四日が過ぎた。徐々に探索範囲が広がって行く。住居も完成している所もチラホラある。というか俺の所はもう完成してある。愛丘が何かと理由を付けて優先してくれたようだ。
何時ものようにベリーを食べていると和が言う。
「あき、顔色悪いよ?」
「そうかな?」
自覚はある。朝起きると軽い頭痛と体のだるさがあった。要とみーちゃんが納得した様子を見せた。
「ここに来てからずっと動きっぱなしだったからな」
「だね~。きっと一段落ついたからだよ。ほら試験前に一気に勉強して、試験が終わったら風邪引くみたいな」
俺は何故か妙に納得した。
「ははは、あるなそれ」
要が言う。
「今日は休め。佐久間には俺が言っておくから」
「……なんか悪いな」
「あ、私も行く」
和も一緒に出て行った。みーちゃんが悪い笑みを浮かべてこっちを見ていた。
「な、何だよ……」
「別に~。あ、探索いかないと~。それじゃね~彰人」
彼女はそう言って楽しそうに出発した。
「?」
と思っていたら戻って来た。
「しっかりと甘えるんだぞ」
「ッ……は、はよいけ……」
今度こそ行ったはずだ。暫くすると和が戻って来た。
「愛丘君が今日はあきを優先していいって」
「ありがとう」
「いいよこのくらい。それよりも横になってて」
言われるがままに横になると、和が額に手をかざす。不思議な事に本当にそれだけで痛みが和らぐ。さらにもう片方の手で、手を優しく包んでくれた。
(不思議な感じだ。しかし痛みも和らぐなんて、これは自然治癒以外にも効果があるのか? いや、今はよそう……そんな事どうでもいい)
ふと和と目が合った。少し照れ臭かったが、抵抗する気が無くなるくらいに心地よかった。
そんな時、外から声が聞こえた。
「城詰君、入るね」
(この声は巫か)
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