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第5章 カルト教団集団自殺事件
小さな歓談 対象の不特定
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ForU♡:美味しいもの食べたいです! 6時過ぎでもオッケ? 15:20
ハル:わかりました。お待ちしてます 15:26
ツインタワーを出た直後にLIMEが響く。
美味しいもの。これは接待だ。好みに合うもののほうが色々話してくれるかもしれない。何がいいかな。ホストだっけ。華やかなもの?
ツインタワーの地下のスーパーは早い時間のせいかすいていた。メニューを考えながら次々と食材を籠に放り込んでいく。
ナスとズッキーニのトマトグラタン。紫と黄緑と赤と黄色。そういえば内倉さんは女子の話しかしていなかった。ホストだもんな。女子ウケ、女子ウケ。女友達は乏しいが、一口で食べられるものも好まれた、気がする。
モナカの上にスモークサーモンとプチトマト、ケッパーと小さくカットしたレモンを乗せる。あとでバルサミコとオリーブオイルで和える。スモークサーモンとプチトマトだけ買えばいい。一口で食べれて見栄えがいい。綺麗に崩さずに盛るには少しだけコツがあるんだ。けど食いでがないな。定番にエビとアボカド、一工夫にタラモを加えたカクテルサラダ。帆立が安いな。ジェノベーゼの帆立のカルパッチョ。色味が少し寂しい。スライスした赤カブを添えようか。
料理は嫌いじゃない。気が紛れるから。美味しいものは好きだ。美味しくなくてもいいけれど。肉が足りない。2センチ角に牛ブロックをカットしてもらう。キャベツで巻いて楊枝で止めて、グラタンに作ったトマトソースと一緒に圧力鍋にかけた一口ロールキャベツ。女子というのはそんなに口を開けたくないものなのかな。前にそんな話をした。あとはいつも通りバケットとチーズとナッツを並べよう。色々考えているといつのまにか籠がいっぱいになっていた。その結果、目の前にはちまちまと皿が並べられている。
「ハル君うちに嫁にこない?」
「駄目~。そんなら俺が雇う」
「いかないから。両方却下」
「ケータリングしてない? お店教えてよ。デートで行くから」
「料理は趣味だから」
「えっマジで? もったいない」
なんだか妙に姦しいが、その騒がしさが公理さんの気分を上向けられている気がする。目的も達せられそうだ。知りたいのは神目教団のことだ。
「うっちー。今日は請園恭生について聞きたいんだ。信仰とかそういう話」
「え? あぁ集団自殺調べてるんだっけ。そうねぇ、あんまりよくは聞いていないけど」
やはり『あんまり』の定義がよく分からなくなる。
その情報は請園伽耶から愚痴のような形で断片的に収集されていた。だから偏りはあるのだろうけれど、基本的にはホームページに載っていた通りの人物のようだ。
まじか。くらくらする。
密教の修行をしていたころに坂本加登《さかもとかと》と知り合い請園伽耶が生まれ、しばらくは一緒に過ごしていた。しかし請園恭生自身はフラリと旅に出たり山籠もりをするような自由人だった。請園伽耶が小学校に入学するころには、すでに家庭からは姿を消していた。
請園伽耶は加登とその親戚に育てられた。請園恭生が山籠もりをしている間に請園加登が亡くなった。急性心不全らしい。
請園伽耶は伝手を頼り、なんとか請園恭生に連絡をとった。連絡はとれたが、精霊に忙しいとかで帰ってこなかった。その時、請園伽耶は14歳だ。加登の叔母の家に預けられた。無茶苦茶だな。
その後、請園伽耶が18歳の時、請園恭生は突然神の啓示を受けたと言って叔母の家に請園伽耶を引き取りに来た。
「よく顔を出せたな」
「だよねー。なんか引き取るの当然みたいな顔して来たみたいんだんだけどさ、当然断ったって」
「何故それでついてくると思ったのかな、意味わかんない」
「そりゃー神様がそう言ったんじゃないの?」
神様。
その後、請園恭正は請園伽耶が住む親戚の家の近くのアパートを借りて宗教活動を始める。請園伽耶はそれにも嫌気がさして、大学に行くのを機に引っ越した。請園恭正はその後もそのアパートに住み続けた。それから20年ほど同じような暮らしを継続し、10年少し前にあの家を購入してに引っ越してきた。
位波家の心中事件で、かなり安くなっていたらしい。
請園恭正は結婚した当初から加登に、加登が亡くなってからは請園伽耶に毎月多額の仕送りをしていた。だから請園伽耶は今まで働かずに暮らしてきたそうだ。
「なにそれ羨ましい」
「でしょー? 俺にも誰か金くれないかな」
「うーんでも、そんな暮らしは俺はちょっとやかも」
請園恭正が何故金を持っているのかは誰も知らない。請園恭正が働いているとは思えない。ひょっとしたら実家が金持ちなのかもしれないとみんなが思っていたようだ。
「請園伽耶は請園恭正の実家を探したりはしなかったのかな」
「なんてゆーかぁ、関わりたくなかったみたい。請園恭生側の親戚とは会ったこともないって言ってた。まーそーだよねー、変人な気がするもん」
変なやつの親はだいたい変なやつだ。内倉さんはグラタンをお気に召したようで、ココット皿がどんどん空になっていく。
「そうすると伽耶さんが請園恭正と一緒に暮らした時期はほとんどないのかな」
「そうみたいだね。でも結局伽耶ちゃんは生活費も教祖様に頼りきりだし、たまに呼び出しがあった時に嫌々行ったとは言ってたな」
「呼び出しって?」
「うん、よくわかんないんだけどさ、謎の儀式するんだって。で、儀式終わったら100万単位のお金貰って帰ってくるんだって。そのころに俺のお客さんだったらよかったのにねーあはは」
儀式? それは目をえぐるようなことにつながるんだろうか。
「それってどんな?」
「聞いた話だとさ、みんなが好き勝手祈るのをただ見てるだけなんだって。それで最後に神の目なんたらって祈るの。なんだかよくわからないんだよね。伽耶ちゃんもあんまり説明得意じゃなかったし」
内倉さんは公理さんのグラスにだらりとボトルを傾け、公理さんは内倉さんのカップにコーラを注ぐ。本当は公理さんにあまり飲ませたくはない。けれども動けないんだからいいじゃんと言われてしまえば、止めるのは気が引ける。確かに他に楽しみはないだろうさ。左半身が動かないんだからな。糞。
「ねぇうっちー、神目教会だから目に祈ってるの?」
「そうじゃない? そういえば神目ってなんなんだろうね? 公理んわかる?」
「神様の目、じゃないの?」
「神様の目ってなんなのさ」
そう。そこがわからない。神様が見ている。ホームページにはその程度の情報しかなかった。じゃあそれは何なのか。具体的に何かの目なのか、それとも暗喩なのか。それすら全くわからない。
「神様がいて、その目?」
「内倉さん、そもそも神目教の神って何なんだ?」
「そこなんだよね。聞いてる範囲ではねぇ。日本の神様でもイエスキリストでもお釈迦様でもないみたい。けれど、みんなそれぞれに別々なものに祈って、最後に神の目に祈る」
「別々なもの?」
「そう、それこそキリストに祈ってる人もいるし、天照大神に祈ってる人もいるし、八百万の神々ってゆー?」
通常の宗教というのは1柱の神に祈るものだ。日本やギリシャのように多神教であってもその中の特定の神に祈る。しかも宗派を超えれば並び立つはずがない。それぞれの宗教が背景とする文化がまるで異なるからだ。
「神目教は宗教じゃないのか?」
「宗教なんじゃない?」
「ねぇ。祈るのってなんでもいいの? 例えばさぁ邪神とか空飛ぶスパゲッティモンスターでも?」
「邪神はわかんないけど、スパゲッティなんたらはありなのかなぁ?」
空飛ぶスパゲッティモンスター教? それは神じゃない。
ダーウィンの神と断絶した進化論とキリスト教会の全ては神が創った創造論が争ったとき、神が作るならスパゲッティが作ってもいいじゃないか、というアイロニーからプロダクトデザインされた宗教だ。人為的に人造で作られた神。そもそも論をいえば、全ての神は昔の誰かが作り上げたものといえなくもないけれど。
けれどもこの神目教はおかしい。宗教というからには、特定の何かを信仰するところからスタートするはずだ。たとえそれが万に1つでも途中で変更することがありうるとしても、その信仰の対象となる中心が欠けるということはおおよそ考えがたい。
デザイン……神目教団は当初から作られた宗教? そのような前提の試行錯誤と考えれば、神が複数いてもおかしくはない……のだろうか。それはもはや宗教じゃない。それに既存の宗教を選ぶというのもおかしな話だ。仮にそうだとした場合、いったい何が目的なんだ。神目教は周囲に穏やかな団体として捉えられていた。金を巻き上げているふしもない。
「結局どういうこと? 神目教には神はいないのか?」
「どうなんだろうね。伽耶ちゃんの言ってることだからやっぱりよくわかんないんたけどさ、伽耶ちゃんの認識だと、どの神様に祈るかはどうでも良くて、神を信じる事が大事みた言っていってたよ。じゃあその神ってなんなのさっていうね? 正直俺にはよく分かんね」
対象を欠いた祈るという行為に何かの意味があるのだろうか。あるとは思えない。
「うっちー、結局神の目ってなんなのさ? 神はいないわけなの?」
「だからわかんないって。公理ん、俺にお金以外のこと聞かないでぇ」
特定の神を前提としない。けれども神を信じることが大事? 何を信じるというんだろう。
ホームページには信仰は自由だと書いてあった。そもそも宗教団体がそのホームページでわざわざ自身の教義について信仰が自由と書くだろうか?
とても妙だ。宗教にとっておおよそ必要とされるものは何だろう。
「神目教に教義とか禁忌はないの? 祈る以外ですることとか、しちゃだめなこと」
「俺、わざわざ質問したりしなかったからなぁ。聞き流してるだけっていう? 俺が聞いた範囲じゃ、神の目が見てるから正しい行いをしようってだけっぽいよ。伽耶ちゃんは雰囲気がなんか気持ち悪いって言ってたけど」
「すごい雑じゃない?」
「よくわかんないよね」
結局のところ、内倉さんに聞いても神目教についてはよくわからなかった。
ハル:わかりました。お待ちしてます 15:26
ツインタワーを出た直後にLIMEが響く。
美味しいもの。これは接待だ。好みに合うもののほうが色々話してくれるかもしれない。何がいいかな。ホストだっけ。華やかなもの?
ツインタワーの地下のスーパーは早い時間のせいかすいていた。メニューを考えながら次々と食材を籠に放り込んでいく。
ナスとズッキーニのトマトグラタン。紫と黄緑と赤と黄色。そういえば内倉さんは女子の話しかしていなかった。ホストだもんな。女子ウケ、女子ウケ。女友達は乏しいが、一口で食べられるものも好まれた、気がする。
モナカの上にスモークサーモンとプチトマト、ケッパーと小さくカットしたレモンを乗せる。あとでバルサミコとオリーブオイルで和える。スモークサーモンとプチトマトだけ買えばいい。一口で食べれて見栄えがいい。綺麗に崩さずに盛るには少しだけコツがあるんだ。けど食いでがないな。定番にエビとアボカド、一工夫にタラモを加えたカクテルサラダ。帆立が安いな。ジェノベーゼの帆立のカルパッチョ。色味が少し寂しい。スライスした赤カブを添えようか。
料理は嫌いじゃない。気が紛れるから。美味しいものは好きだ。美味しくなくてもいいけれど。肉が足りない。2センチ角に牛ブロックをカットしてもらう。キャベツで巻いて楊枝で止めて、グラタンに作ったトマトソースと一緒に圧力鍋にかけた一口ロールキャベツ。女子というのはそんなに口を開けたくないものなのかな。前にそんな話をした。あとはいつも通りバケットとチーズとナッツを並べよう。色々考えているといつのまにか籠がいっぱいになっていた。その結果、目の前にはちまちまと皿が並べられている。
「ハル君うちに嫁にこない?」
「駄目~。そんなら俺が雇う」
「いかないから。両方却下」
「ケータリングしてない? お店教えてよ。デートで行くから」
「料理は趣味だから」
「えっマジで? もったいない」
なんだか妙に姦しいが、その騒がしさが公理さんの気分を上向けられている気がする。目的も達せられそうだ。知りたいのは神目教団のことだ。
「うっちー。今日は請園恭生について聞きたいんだ。信仰とかそういう話」
「え? あぁ集団自殺調べてるんだっけ。そうねぇ、あんまりよくは聞いていないけど」
やはり『あんまり』の定義がよく分からなくなる。
その情報は請園伽耶から愚痴のような形で断片的に収集されていた。だから偏りはあるのだろうけれど、基本的にはホームページに載っていた通りの人物のようだ。
まじか。くらくらする。
密教の修行をしていたころに坂本加登《さかもとかと》と知り合い請園伽耶が生まれ、しばらくは一緒に過ごしていた。しかし請園恭生自身はフラリと旅に出たり山籠もりをするような自由人だった。請園伽耶が小学校に入学するころには、すでに家庭からは姿を消していた。
請園伽耶は加登とその親戚に育てられた。請園恭生が山籠もりをしている間に請園加登が亡くなった。急性心不全らしい。
請園伽耶は伝手を頼り、なんとか請園恭生に連絡をとった。連絡はとれたが、精霊に忙しいとかで帰ってこなかった。その時、請園伽耶は14歳だ。加登の叔母の家に預けられた。無茶苦茶だな。
その後、請園伽耶が18歳の時、請園恭生は突然神の啓示を受けたと言って叔母の家に請園伽耶を引き取りに来た。
「よく顔を出せたな」
「だよねー。なんか引き取るの当然みたいな顔して来たみたいんだんだけどさ、当然断ったって」
「何故それでついてくると思ったのかな、意味わかんない」
「そりゃー神様がそう言ったんじゃないの?」
神様。
その後、請園恭正は請園伽耶が住む親戚の家の近くのアパートを借りて宗教活動を始める。請園伽耶はそれにも嫌気がさして、大学に行くのを機に引っ越した。請園恭正はその後もそのアパートに住み続けた。それから20年ほど同じような暮らしを継続し、10年少し前にあの家を購入してに引っ越してきた。
位波家の心中事件で、かなり安くなっていたらしい。
請園恭正は結婚した当初から加登に、加登が亡くなってからは請園伽耶に毎月多額の仕送りをしていた。だから請園伽耶は今まで働かずに暮らしてきたそうだ。
「なにそれ羨ましい」
「でしょー? 俺にも誰か金くれないかな」
「うーんでも、そんな暮らしは俺はちょっとやかも」
請園恭正が何故金を持っているのかは誰も知らない。請園恭正が働いているとは思えない。ひょっとしたら実家が金持ちなのかもしれないとみんなが思っていたようだ。
「請園伽耶は請園恭正の実家を探したりはしなかったのかな」
「なんてゆーかぁ、関わりたくなかったみたい。請園恭生側の親戚とは会ったこともないって言ってた。まーそーだよねー、変人な気がするもん」
変なやつの親はだいたい変なやつだ。内倉さんはグラタンをお気に召したようで、ココット皿がどんどん空になっていく。
「そうすると伽耶さんが請園恭正と一緒に暮らした時期はほとんどないのかな」
「そうみたいだね。でも結局伽耶ちゃんは生活費も教祖様に頼りきりだし、たまに呼び出しがあった時に嫌々行ったとは言ってたな」
「呼び出しって?」
「うん、よくわかんないんだけどさ、謎の儀式するんだって。で、儀式終わったら100万単位のお金貰って帰ってくるんだって。そのころに俺のお客さんだったらよかったのにねーあはは」
儀式? それは目をえぐるようなことにつながるんだろうか。
「それってどんな?」
「聞いた話だとさ、みんなが好き勝手祈るのをただ見てるだけなんだって。それで最後に神の目なんたらって祈るの。なんだかよくわからないんだよね。伽耶ちゃんもあんまり説明得意じゃなかったし」
内倉さんは公理さんのグラスにだらりとボトルを傾け、公理さんは内倉さんのカップにコーラを注ぐ。本当は公理さんにあまり飲ませたくはない。けれども動けないんだからいいじゃんと言われてしまえば、止めるのは気が引ける。確かに他に楽しみはないだろうさ。左半身が動かないんだからな。糞。
「ねぇうっちー、神目教会だから目に祈ってるの?」
「そうじゃない? そういえば神目ってなんなんだろうね? 公理んわかる?」
「神様の目、じゃないの?」
「神様の目ってなんなのさ」
そう。そこがわからない。神様が見ている。ホームページにはその程度の情報しかなかった。じゃあそれは何なのか。具体的に何かの目なのか、それとも暗喩なのか。それすら全くわからない。
「神様がいて、その目?」
「内倉さん、そもそも神目教の神って何なんだ?」
「そこなんだよね。聞いてる範囲ではねぇ。日本の神様でもイエスキリストでもお釈迦様でもないみたい。けれど、みんなそれぞれに別々なものに祈って、最後に神の目に祈る」
「別々なもの?」
「そう、それこそキリストに祈ってる人もいるし、天照大神に祈ってる人もいるし、八百万の神々ってゆー?」
通常の宗教というのは1柱の神に祈るものだ。日本やギリシャのように多神教であってもその中の特定の神に祈る。しかも宗派を超えれば並び立つはずがない。それぞれの宗教が背景とする文化がまるで異なるからだ。
「神目教は宗教じゃないのか?」
「宗教なんじゃない?」
「ねぇ。祈るのってなんでもいいの? 例えばさぁ邪神とか空飛ぶスパゲッティモンスターでも?」
「邪神はわかんないけど、スパゲッティなんたらはありなのかなぁ?」
空飛ぶスパゲッティモンスター教? それは神じゃない。
ダーウィンの神と断絶した進化論とキリスト教会の全ては神が創った創造論が争ったとき、神が作るならスパゲッティが作ってもいいじゃないか、というアイロニーからプロダクトデザインされた宗教だ。人為的に人造で作られた神。そもそも論をいえば、全ての神は昔の誰かが作り上げたものといえなくもないけれど。
けれどもこの神目教はおかしい。宗教というからには、特定の何かを信仰するところからスタートするはずだ。たとえそれが万に1つでも途中で変更することがありうるとしても、その信仰の対象となる中心が欠けるということはおおよそ考えがたい。
デザイン……神目教団は当初から作られた宗教? そのような前提の試行錯誤と考えれば、神が複数いてもおかしくはない……のだろうか。それはもはや宗教じゃない。それに既存の宗教を選ぶというのもおかしな話だ。仮にそうだとした場合、いったい何が目的なんだ。神目教は周囲に穏やかな団体として捉えられていた。金を巻き上げているふしもない。
「結局どういうこと? 神目教には神はいないのか?」
「どうなんだろうね。伽耶ちゃんの言ってることだからやっぱりよくわかんないんたけどさ、伽耶ちゃんの認識だと、どの神様に祈るかはどうでも良くて、神を信じる事が大事みた言っていってたよ。じゃあその神ってなんなのさっていうね? 正直俺にはよく分かんね」
対象を欠いた祈るという行為に何かの意味があるのだろうか。あるとは思えない。
「うっちー、結局神の目ってなんなのさ? 神はいないわけなの?」
「だからわかんないって。公理ん、俺にお金以外のこと聞かないでぇ」
特定の神を前提としない。けれども神を信じることが大事? 何を信じるというんだろう。
ホームページには信仰は自由だと書いてあった。そもそも宗教団体がそのホームページでわざわざ自身の教義について信仰が自由と書くだろうか?
とても妙だ。宗教にとっておおよそ必要とされるものは何だろう。
「神目教に教義とか禁忌はないの? 祈る以外ですることとか、しちゃだめなこと」
「俺、わざわざ質問したりしなかったからなぁ。聞き流してるだけっていう? 俺が聞いた範囲じゃ、神の目が見てるから正しい行いをしようってだけっぽいよ。伽耶ちゃんは雰囲気がなんか気持ち悪いって言ってたけど」
「すごい雑じゃない?」
「よくわかんないよね」
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