13 / 43
12.お大事に
しおりを挟む
「頬の抜糸は一週間後だ。痕は若干残るだろうが、嫁に行く訳でもない。気にしなくていいだろう。日に焼ければ分からんさ」
治療を終えて、俺は診察室で医師の男と対峙していた。傍らには腕を組んだ岳が佇んでいる。
医師の名は副島と言う。年の頃は四十代半ばくらいか。
羽織った白衣の前を全開にし、医師にしては清潔感のかける長めの髪をかきあげながら、カルテに何事か書き込みそう口にした。
鼻にかかった眼鏡がずり落ちるのを直しつつ、治療が夕食時だったせいか、時折げっぷを飲み込んでいた。
大丈夫か?
やや不安にもなるが、岳も信頼しているのだ。信用するしかなかった。
「しかし、素人が巻き込まれて…。大和君も怖かったろ?」
副島はカルテから顔を上げると、同情の目を向けて来た。
「喧嘩は慣れてるし。まあ、本気で切られたことはなかったけど…」
「細い割にいい身体してるしな? 鍛えてるだろ? なんかやってるのか?」
「鍛えるって程は…。現場のバイトで鍛えられたのかも。あとは、前住んでたアパートに元プロボクサーとタイ人でムエタイのできる奴がいて、たまに遊びで教わってたくらいかな?」
「なかなか面白そうなアパートだな?」
副島は眼鏡のブリッジを上げながら和やかに笑う。
「お前、格闘技ができたのか? ならどうして大人しくやられた?」
岳が眉をひそめて尋ねてくる。俺は視線を床に落としつつ。
「だって、相手は俺を亜貴と間違えてるんだろ? ひ弱な高校生がムエタイやらボクシングやらできたら、いくら何でも可笑しいだろ?」
「相手に気づかれない為に大人しくしてたのか?」
岳はいささか呆れた様に問い返す。
「まあ、そうなるな。俺でまだ良かったって」
すると副島は頷きながら。
「岳、いい用心棒を雇ったな? 新しい若衆か?」
「副島。何時代の話だ。大和は用心棒でもないし組員でもない。うちの家政婦だ」
岳はムッとしたようにそう返すと、俺を見下ろし。
「亜貴を守ってくれたことには感謝する。けれど、代わりに大和がケガを負うのはいただけないな」
「どうして?」
せっかく亜貴が無傷ですんだというのに。
俺は納得が行かず聞き返すが、岳は鬱陶し気に乱れた前髪をかき上げた後。
「前にも言ったと思うが、お前は家にいる間は家族だと思っている。その家族が傷を負って、喜ぶと思うか?」
「ん…」
家族。たまに出てくるキーワード。
でもさ。俺は借金を支払い終えるまでの間だけで。
いつか、真琴と話していた時にも感じた寂しさが蘇る。すると、横から副島が引き取って。
「岳はこう見えて、結構熱い男だからな? 鬱陶しいだろうが暫く付き合ってやってくれ。岳の友人として頼む」
「なんでお前が俺の事を頼むんだ? 大和、今日から暫く家事はしなくていい。抜糸が終わるまでは大人しくしていろ」
「なんでだよ? 俺動けるって。殴られたのなんてたいしたことねぇし。冷蔵庫の食材、腐らせる気か? 買ったばっかなのに…」
牧に言って結構大量に購入してもらったのだ。肉や魚は冷凍できても、野菜はすぐにいたんでしまう。
せっかくメニューも考えて用意したのに…。
しょぼくれていると。
「俺がやるからいい」
「は?」
聞き間違いかと思い顔を上げた。岳は淡々とした口調で続ける。
「昔は自炊してたんだ。今はやらないがな。弁当までは手が回らないが、朝晩なら作れる。お前の抜糸が終わるまでやろう」
はぁ。これはまた。
俺はまじまじと岳を見つめた。
ヤクザのくせにモデル並みに格好良く、性格も人当たりが良く悪くない。しかも料理までできるとは。
俺へちょっかいを出す事さえ除けば、受けない筈がない。
「岳、モテモテだろ?」
「は?」
今度は岳が聞き返してきた。それを傍らで聞いていた副島が笑い出す。
「お前らいいコンビだな? いや。確かに岳は大モテだ。男女構わず、組の連中にもな? 今度の諍いもそれが原因なんだろう? お前は若頭補佐の楠と人気を二分してるからな」
「副島。余計な事言うな」
岳が睨み返すが、
「なんだよ。余計なって。やられた俺に話してくれてもいいだろ?」
俺は食いつく。岳はため息を漏らすと。
「…そうだ。うちの組は後継に俺を推す者と、補佐役の楠を推す者とで割れているんだ」
初耳だった。だから周囲が荒れているのか。
副島はイスを軋ませながら腕を組むと。
「しかし一体誰だ? 組長の息子をやろうなんてバカは」
副島の問いに岳は唇を一度引き結んだあと。
「真琴から報告を受けた。やったのは楠の実の弟だ」
「楠の? なんでまた…」
副島は素っ頓狂な声を上げた。
それには答えず岳は端末を胸元から取り出し、一枚の画像を見せてきた。
「この中にお前をやった奴はいるか?」
柄の悪い連中がどこかの繁華街で仲間とたむろして笑っている姿。隠し撮りだろう。
確かに中央に立つ人物は、俺を殴ってきた男だった。
「このアッシュグレーの奴、こいつだ」
見間違うはずもない。何のためらいもなく、頬を切ってきた。そういったことに慣れている風なのが伺えたが。
「亜貴の証言でそうだと確信したが、これで決まりだ」
口を引き結んだまま、端末を懐へしまうと。
「奴は兄の楠を相当慕ってる。鴎澤組を継ぐのは楠だと思っていただろうからな。兄の邪魔になる俺への脅しだろう。組員でもないから、うちに何の義理も感じていない。組長の息子だろうが関係ないだろう」
「どうするんだ? 楠は親父さんと親子の盃交わしてんだろ。親父さん、怒ってんだろう?」
副島は身を乗り出すが、さあなと軽くかわして。
「病院にいる親父にも、楠にも電話で伝えてあるが、正式な報告は明日だ。楠には先に弟を押えろと伝えてある」
岳の口調も表情も淡々としているが、怒りの色は見て取れた。
「兄を思うあまり、か。あんな奴でもそんな感情があるんだな…」
俺のつぶやきに岳は。
「兄を思う故もあるが、それを理由に暴れたいだけだろう。生粋のチンピラだ」
それから副島を振り返ると。
「色々すまなかった。治療代は組へ回しておいてくれ。大和、帰るぞ」
言うと、大和の背に手を回し支えるようにして、イスから立ち上がるのに手を貸してくれる。
「岳。大丈夫だって」
「このケガは俺の責任だ。好きにさせてくれ」
きっぱりと言い切られ、俺は継ぐ言葉を失くす。そんな俺たちを、副島はニヤニヤしながら見つめ。
「岳。お大事に」
その言葉に、岳はきっと睨み返した。
+++
診察室を出た所で、傍らの岳を振り仰ぐ。
「なんで俺じゃなくて岳に『お大事に』なんだ?」
「…ふん。あいつがバカな勘繰りをしているだけだ」
「バカな…?」
そこで岳は、ふうっと深いため息をひとつ吐き出すと。
「まあ、あながち間違ってはいないだろうが…」
「?」
突然、肩を引き寄せられ、岳の胸元に額が当たる。気がつけばその腕の中だ。
薄暗い廊下には誰もいない。
俺は岳の腕を突っぱねようとは思わなかった。
「本当に命にかかわらなくて良かった。もし何かあったら、俺は後悔してもしきれなかった…」
「岳…」
「大事な家政婦だ。…いや。家族の一人だ」
ふわりと心の内が温かくなったと同時、寂しさもつのる。
俺は岳の胸に頭を預けながら、ずっと思っていた疑問を投げかけた。
「俺は借金を払い終わったら、家政婦も終わりだ。あのマンションを出て行くことになるんだろう? そうしたら、俺は他人で。家族って言ってもそこで終わりじゃ…」
「そうだな…」
肯定しながらも、岳の手は更に俺を抱き寄せる。爪先立ちになって、岳の腕に抱えられていた。
出した言葉と行為が重ならない。
胸の内にきゅっと苦しくなるような、甘酸っぱい気持ちが生まれた。
なんなんだ? これは──。
俺は岳の着ていた血の付いたシャツの胸元を、ギュッと握りしめた。
治療を終えて、俺は診察室で医師の男と対峙していた。傍らには腕を組んだ岳が佇んでいる。
医師の名は副島と言う。年の頃は四十代半ばくらいか。
羽織った白衣の前を全開にし、医師にしては清潔感のかける長めの髪をかきあげながら、カルテに何事か書き込みそう口にした。
鼻にかかった眼鏡がずり落ちるのを直しつつ、治療が夕食時だったせいか、時折げっぷを飲み込んでいた。
大丈夫か?
やや不安にもなるが、岳も信頼しているのだ。信用するしかなかった。
「しかし、素人が巻き込まれて…。大和君も怖かったろ?」
副島はカルテから顔を上げると、同情の目を向けて来た。
「喧嘩は慣れてるし。まあ、本気で切られたことはなかったけど…」
「細い割にいい身体してるしな? 鍛えてるだろ? なんかやってるのか?」
「鍛えるって程は…。現場のバイトで鍛えられたのかも。あとは、前住んでたアパートに元プロボクサーとタイ人でムエタイのできる奴がいて、たまに遊びで教わってたくらいかな?」
「なかなか面白そうなアパートだな?」
副島は眼鏡のブリッジを上げながら和やかに笑う。
「お前、格闘技ができたのか? ならどうして大人しくやられた?」
岳が眉をひそめて尋ねてくる。俺は視線を床に落としつつ。
「だって、相手は俺を亜貴と間違えてるんだろ? ひ弱な高校生がムエタイやらボクシングやらできたら、いくら何でも可笑しいだろ?」
「相手に気づかれない為に大人しくしてたのか?」
岳はいささか呆れた様に問い返す。
「まあ、そうなるな。俺でまだ良かったって」
すると副島は頷きながら。
「岳、いい用心棒を雇ったな? 新しい若衆か?」
「副島。何時代の話だ。大和は用心棒でもないし組員でもない。うちの家政婦だ」
岳はムッとしたようにそう返すと、俺を見下ろし。
「亜貴を守ってくれたことには感謝する。けれど、代わりに大和がケガを負うのはいただけないな」
「どうして?」
せっかく亜貴が無傷ですんだというのに。
俺は納得が行かず聞き返すが、岳は鬱陶し気に乱れた前髪をかき上げた後。
「前にも言ったと思うが、お前は家にいる間は家族だと思っている。その家族が傷を負って、喜ぶと思うか?」
「ん…」
家族。たまに出てくるキーワード。
でもさ。俺は借金を支払い終えるまでの間だけで。
いつか、真琴と話していた時にも感じた寂しさが蘇る。すると、横から副島が引き取って。
「岳はこう見えて、結構熱い男だからな? 鬱陶しいだろうが暫く付き合ってやってくれ。岳の友人として頼む」
「なんでお前が俺の事を頼むんだ? 大和、今日から暫く家事はしなくていい。抜糸が終わるまでは大人しくしていろ」
「なんでだよ? 俺動けるって。殴られたのなんてたいしたことねぇし。冷蔵庫の食材、腐らせる気か? 買ったばっかなのに…」
牧に言って結構大量に購入してもらったのだ。肉や魚は冷凍できても、野菜はすぐにいたんでしまう。
せっかくメニューも考えて用意したのに…。
しょぼくれていると。
「俺がやるからいい」
「は?」
聞き間違いかと思い顔を上げた。岳は淡々とした口調で続ける。
「昔は自炊してたんだ。今はやらないがな。弁当までは手が回らないが、朝晩なら作れる。お前の抜糸が終わるまでやろう」
はぁ。これはまた。
俺はまじまじと岳を見つめた。
ヤクザのくせにモデル並みに格好良く、性格も人当たりが良く悪くない。しかも料理までできるとは。
俺へちょっかいを出す事さえ除けば、受けない筈がない。
「岳、モテモテだろ?」
「は?」
今度は岳が聞き返してきた。それを傍らで聞いていた副島が笑い出す。
「お前らいいコンビだな? いや。確かに岳は大モテだ。男女構わず、組の連中にもな? 今度の諍いもそれが原因なんだろう? お前は若頭補佐の楠と人気を二分してるからな」
「副島。余計な事言うな」
岳が睨み返すが、
「なんだよ。余計なって。やられた俺に話してくれてもいいだろ?」
俺は食いつく。岳はため息を漏らすと。
「…そうだ。うちの組は後継に俺を推す者と、補佐役の楠を推す者とで割れているんだ」
初耳だった。だから周囲が荒れているのか。
副島はイスを軋ませながら腕を組むと。
「しかし一体誰だ? 組長の息子をやろうなんてバカは」
副島の問いに岳は唇を一度引き結んだあと。
「真琴から報告を受けた。やったのは楠の実の弟だ」
「楠の? なんでまた…」
副島は素っ頓狂な声を上げた。
それには答えず岳は端末を胸元から取り出し、一枚の画像を見せてきた。
「この中にお前をやった奴はいるか?」
柄の悪い連中がどこかの繁華街で仲間とたむろして笑っている姿。隠し撮りだろう。
確かに中央に立つ人物は、俺を殴ってきた男だった。
「このアッシュグレーの奴、こいつだ」
見間違うはずもない。何のためらいもなく、頬を切ってきた。そういったことに慣れている風なのが伺えたが。
「亜貴の証言でそうだと確信したが、これで決まりだ」
口を引き結んだまま、端末を懐へしまうと。
「奴は兄の楠を相当慕ってる。鴎澤組を継ぐのは楠だと思っていただろうからな。兄の邪魔になる俺への脅しだろう。組員でもないから、うちに何の義理も感じていない。組長の息子だろうが関係ないだろう」
「どうするんだ? 楠は親父さんと親子の盃交わしてんだろ。親父さん、怒ってんだろう?」
副島は身を乗り出すが、さあなと軽くかわして。
「病院にいる親父にも、楠にも電話で伝えてあるが、正式な報告は明日だ。楠には先に弟を押えろと伝えてある」
岳の口調も表情も淡々としているが、怒りの色は見て取れた。
「兄を思うあまり、か。あんな奴でもそんな感情があるんだな…」
俺のつぶやきに岳は。
「兄を思う故もあるが、それを理由に暴れたいだけだろう。生粋のチンピラだ」
それから副島を振り返ると。
「色々すまなかった。治療代は組へ回しておいてくれ。大和、帰るぞ」
言うと、大和の背に手を回し支えるようにして、イスから立ち上がるのに手を貸してくれる。
「岳。大丈夫だって」
「このケガは俺の責任だ。好きにさせてくれ」
きっぱりと言い切られ、俺は継ぐ言葉を失くす。そんな俺たちを、副島はニヤニヤしながら見つめ。
「岳。お大事に」
その言葉に、岳はきっと睨み返した。
+++
診察室を出た所で、傍らの岳を振り仰ぐ。
「なんで俺じゃなくて岳に『お大事に』なんだ?」
「…ふん。あいつがバカな勘繰りをしているだけだ」
「バカな…?」
そこで岳は、ふうっと深いため息をひとつ吐き出すと。
「まあ、あながち間違ってはいないだろうが…」
「?」
突然、肩を引き寄せられ、岳の胸元に額が当たる。気がつけばその腕の中だ。
薄暗い廊下には誰もいない。
俺は岳の腕を突っぱねようとは思わなかった。
「本当に命にかかわらなくて良かった。もし何かあったら、俺は後悔してもしきれなかった…」
「岳…」
「大事な家政婦だ。…いや。家族の一人だ」
ふわりと心の内が温かくなったと同時、寂しさもつのる。
俺は岳の胸に頭を預けながら、ずっと思っていた疑問を投げかけた。
「俺は借金を払い終わったら、家政婦も終わりだ。あのマンションを出て行くことになるんだろう? そうしたら、俺は他人で。家族って言ってもそこで終わりじゃ…」
「そうだな…」
肯定しながらも、岳の手は更に俺を抱き寄せる。爪先立ちになって、岳の腕に抱えられていた。
出した言葉と行為が重ならない。
胸の内にきゅっと苦しくなるような、甘酸っぱい気持ちが生まれた。
なんなんだ? これは──。
俺は岳の着ていた血の付いたシャツの胸元を、ギュッと握りしめた。
1
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説
Take On Me 2
マン太
BL
大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。
そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。
岳は仕方なく会うことにするが…。
※絡みの表現は控え目です。
※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。
カーマン・ライン
マン太
BL
辺境の惑星にある整備工場で働くソル。
ある日、その整備工場に所属不明の戦闘機が不時着する。乗っていたのは美しい容姿の青年、アレク。彼の戦闘機の修理が終わるまで共に過ごすことに。
そこから、二人の運命が動き出す。
※余り濃い絡みはありません(多分)。
※宇宙を舞台にしていますが、スター○レック、スター・○ォーズ等は大好きでも、正直、詳しくありません。
雰囲気だけでも伝われば…と思っております。その辺の突っ込みはご容赦を。
※エブリスタ、小説家になろうにも掲載しております。
旦那様と僕
三冬月マヨ
BL
旦那様と奉公人(の、つもり)の、のんびりとした話。
縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲む感じで、のほほんとして頂けたら幸いです。
本編完結済。
『向日葵の庭で』は、残酷と云うか、覚悟が必要かな? と思いまして注意喚起の為『※』を付けています。
なんか金髪超絶美形の御曹司を抱くことになったんだが
なずとず
BL
タイトル通りの軽いノリの話です
酔った勢いで知らないハーフと将来を約束してしまった勇気君視点のお話になります
攻
井之上 勇気
まだまだ若手のサラリーマン
元ヤンの過去を隠しているが、酒が入ると本性が出てしまうらしい
でも翌朝には完全に記憶がない
受
牧野・ハロルド・エリス
天才・イケメン・天然ボケなカタコトハーフの御曹司
金髪ロング、勇気より背が高い
勇気にベタ惚れの仔犬ちゃん
ユウキにオヨメサンにしてもらいたい
同作者作品の「一夜の関係」の登場人物も絡んできます
夏の扉を開けるとき
萩尾雅縁
BL
「霧のはし 虹のたもとで 2nd season」
アルビーの留学を控えた二か月間の夏物語。
僕の心はきみには見えない――。
やっと通じ合えたと思ったのに――。
思いがけない闖入者に平穏を乱され、冷静ではいられないアルビー。
不可思議で傍若無人、何やら訳アリなコウの友人たちに振り回され、断ち切れない過去のしがらみが浮かび上がる。
夢と現を両手に掬い、境界線を綱渡りする。
アルビーの心に映る万華鏡のように脆く、危うい世界が広がる――。
*****
コウからアルビーへ一人称視点が切り替わっていますが、続編として内容は続いています。独立した作品としては読めませんので、「霧のはし 虹のたもとで」からお読み下さい。
注・精神疾患に関する記述があります。ご不快に感じられる面があるかもしれません。
(番外編「憂鬱な朝」をプロローグとして挿入しています)
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
天涯孤独になった少年は、元兵士の優しいオジサンと幸せに生きる
ir(いる)
BL
ファンタジー。最愛の父を亡くした後、恋人(不倫相手)と再婚したい母に騙されて捨てられた12歳の少年。30歳の元兵士の男性との出会いで傷付いた心を癒してもらい、恋(主人公からの片思い)をする物語。
※序盤は主人公が悲しむシーンが多いです。
※主人公と相手が出会うまで、少しかかります(28話)
※BL的展開になるまでに、結構かかる予定です。主人公が恋心を自覚するようでしないのは51話くらい?
※女性は普通に登場しますが、他に明確な相手がいたり、恋愛目線で主人公たちを見ていない人ばかりです。
※同性愛者もいますが、異性愛が主流の世界です。なので主人公は、男なのに男を好きになる自分はおかしいのでは?と悩みます。
※主人公のお相手は、保護者として主人公を温かく見守り、支えたいと思っています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる