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魔導師とは1

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 さて、異世界生活41日目。
 寝た気は全くしませんが朝です。一通り色々して、お昼過ぎくらいからゲイルさんの講義が始まりました。
 基本的なところ、と始めたのですが……。

 魔導師の成り立ちは古いそうです。
 元々は人々は魔法を使って生きていて、特別な魔法を使うものを魔法使いなどと呼んでいたそうですね。今は、魔法は使う方が少数派です。
 このあたりは以前も聞きました。本にも今は魔法は使えない人の方が多いとされていました。

 実際は、現在でも資質がある程度なら十人に一人はいるそうです。
 ムラなく常に感じるのはその中の百人に一人。千人に一人というと結構いそうな気がしますが、それが魔導師としての強さとはイコールでは結ばれないそうです。安定的だけど出力が低すぎて、使い物にならないとか。
 逆に不安定で出力が高すぎるとか。

 結果、専業の魔導師としてやっていけるのはさらにごく一部なのだそうです。それでもそれなりに数がいるような気がしますけどね。

 資質有りで、魔導師にならなそうなのは初期の段階で封じてしまうとのこと。その処理が教会でひっそり行われ、その後は学校などで随時チェックされて弾かれ、最後に残ったらもう魔導師になるしかないという。
 それ以外は小さい頃に師匠に見いだされるということですが、これは既に少数派だそうです。世に言う魔導師のイメージで語られるのはこちらだそうですけどね。

 これからは魔法よりも魔動工学のほうへ世界は動いていくとゲイルさんは言っていました。魔導具が主流になり、魔法は古いものとなると。師匠につくのではなく、学校で習っていくようなものになると言われました。
 世論などではなく、それが魔導協会の方針のようです。

 魔導協会としては魔導師を神秘のベールで包んで守っているにも限界が来るであろうと予測しているそうです。異質であると迫害や排斥されることはいままであったことが激化することを恐れていると。

 俺たちは世界を管理するような面倒な事はしたくない。と軽く言っていましたが、それってできるってことですよね?
 ぞわっとしますね。

 ゲイルさんはリリーさんを国内有数の魔導師だと評していました。エリックが並評価なのは、実力を隠しまくっているせいだそうですよ。何でも出来る器用さはともすれば利用し尽くされるということで。
 火力極振りの過激派と見られているので、好き勝手出来る立場を維持しているということのようです。
 エリックは趣味は趣味として満喫したい方のようですね……。確かに危なすぎて表に出せなさそうなものが一杯ありそうです。

 部屋の鍵は預かったんですが、開ける勇気はあまりありません。いえ、その寂しさの限界を超えたらちょっと寝てこようかなとも思っておりますが。邪念がいけません。

 さて、その魔法というのはどこから来るのかということですが、これは神の恩寵などと言われているそうです。
 ここでちょっと教会について話がありました。

 この世界においての神とはなにか。いつぞや信仰についても軽く書かれていた本を読んだことはあります。しかし内実は結構違うようです。

 組織として教会と魔導協会は別となっています。でも、同じ魔法を扱うと言うこともありますし、信仰先の神も同じですから協力体制は昔からあったそうです。
 昔から魔導師はわりと信心深いそうですよ。自らの力の根源が神由来であることを知っているが故に。

 神が人を選び新たなる文字とそれを見る資質を与えた。
 これが魔法使いの始まりだそうです。魔法を教えたのはそれぞれの神達で、これが六柱。これが魔導神とか魔法神とか言われているとのことです。

 それ以外は基本的に元素や自然現象などが大小わらわらといるそうです。一般的にはこれらの八百万的な神の統括者としての主神がいることになっています。
 ……いることになっています。
 大事なことなので二度言いました。

 これともう一柱が架空の神なんですが、こちらは実在しません。あるいは世界そのものと言えるようです。

 もう一柱が、対立的存在としていつしか言われるようになった災厄。
 これも教会や魔導協会が言い出したことではなく、どこからともなく同時発生的に話が生まれてきたそうです。当時の魔導協会や教会の焦りは尋常ではなく、その話を知っているモノを抹殺すべきとも話に出たそうです。
 そして、一部実行されてしまい……。
 詳細は濁されましたが、歴史ある組織なので血なまぐさいことはあるようです。

 そんなこんなの混乱の中で、人の不安やら負の感情を飲み込んで生まれてしまったのが災厄と言われています。
 架空であったものが実在へ変化してしまい、それが力をつけてきたので封じたというのが、千年くらい前のことだそうです。
 そのころからあるのですね。教会も魔導協会も。その当時は魔法協会とか言ってたらしいのは余談でしたが。

 その頃から定期的に復活しては封じられるという事の繰り返しで、数百年前にぶち切れた魔導神たちが八つ裂きにして封じたそうです。正確には六分割らしいですけど。
 それぞれの神の聖地と言われる場所に封じられたのですが、代わりに神の干渉などがしにくくなったと言うことらしいです。
 そのあたりからランダムに魔法使いが生まれるようになったそうで。

 それ以前は完全に血縁のみということでした。
 これ以前と以後は完全に魔法使いの立ち位置は変わってしまったらしいのです。そのあたりの大混乱で悪い魔法使いは量産され荒廃したとか。
 このあたりは血なまぐさい歴史に興味があれば、歴史書を読むように悟りきったような顔でゲイルさんに言われました。
 なお、ゲイルさんは一通りは把握しているそうですが、気分悪くなるから言いたくないということでした。

 そんなこんなの反省で、以後、魔導師と名乗り資質のあるものの管理を徹底していくことになるそうです。
 反動というかトラウマのようなもので、非公認の魔導師は一人たりとも許さないくらいの気持ちで挑むそうです……。どれだけ被害がでようとも徹底的にやるそうです。
 恐いですよね。
 あたしも無申告のままであれば、最悪討伐対象になったそうですよ……。

 もっとも、先に魔導協会には師匠を通して話をすると通告済みで、猶予期間中だったそうですけど。このあたりは捕まらない師匠(ババア)が悪いと言っておりましたが。

 エリックはそのあたりは疎いそうです。というより、魔導師自体が過去の歴史に興味が薄いようです。一部病的に研究しているとか。
 ゲイルさんが詳しいのは支部長の後任と言われているからだそうですね。あと三十年後とか意味がわからないとぼやいておりました。
 まあ、その普通っぽいところが良いのだと思いますけどね。

 かくして世界から神の姿が消え、災厄は封じられ、魔法使いは魔導師になりました。
 表面上は人の世になった、という感じでしょうか。まだ、神の息吹は近そうですけど。

 でも、近頃聖地の一部が侵略され、災厄の封印が一つ解けてしまったそうです。
 災厄が何かのどさくさに紛れて一部開放されたのは本編でも知ってましたが、関係者から改めて聞くのはやはり重みが違います。
 なにせ極秘なんだそうですから。

 なぜゲイルさんが知っているかと言えばこちらはリリーさん経由だそうですよ。教会も把握済みではあるようです。

 聖地は隠れ里で魔導協会でも一部のものしか知らないのが、この状況を招いたようです。教会でも同様で、助けにいけなかったのが無念だと。
 今は隠れて支援しているようですが、現在は内紛状態で思ったようには出来ていないそうです。

 ちなみに魔導協会もある国とない国があるそうです。教会はどこの国でもあるらしいですけど。その聖地のある国は魔導具は使うけど、魔導師は嫌っているそうです。
 その原因というのもあるので何とも言えないとゲイルさんも微妙な顔をしています。

 教会ではその国で特別資質がある子は即、国外に出しているそうです。そうでなければ速やかに資質を封じていると。
 それについては目を瞑っているだけましだったそうですよ。

 逆に資質のある子を取り上げては強化している国もあるのだそう。断固抗議しているけれど、なかなか難しいとか。
 色々ありますね……。

 聞けば聞くほど、魔導師の立場って微妙なんですね。少数派ではあるけれど、その力は絶大で世界を掌握可能なほど。でも興味はない。
 迫害されるのも排除されるのもお断りで、でも利用もされたくもない、ですか。

 難儀ですね。

 血縁で結ばれていないせいか、魔導師同士は普段仲が悪くても困っていたら相互で助け合う認識はあるそうですよ。
 おまえのこと気に入らんけど、困ってるなら助けてやらなくもないとツンデレするのでしょうか。

 ゲイルさんには魔導師を取り巻く現状はこんな感じと軽く言われましたが、どこも軽いところなかったような……。

 なおこの国の貴族には魔導師は避けられる傾向があるそうです。その家にもし魔導師の資質のある子がいた場合は封じるのが一般的だとか。そのためリリーさんが魔導師になるのも揉めたそうです……。業を煮やしてリリーさんが家出してそのときにゲイルさんにあったんだとか。
 波瀾万丈ですね。

 魔導師とはなんぞや。というのは誰も確定した答えは持っていないそうです。
 ただ、魔法と言うのは世界と繋がっている部分から、世界に干渉し現象を起こさせるということなのは間違いないとされています。

 魔法を発動して最初に訪れる場所は、泉などと言われているようです。憶えているかは人によりで、ゲイルさんは全く憶えてないとのこと。
 だいたいは資質に合う音やら色などが聞こえたり見えたり感じたり、するらしいです。そして、ごく希に、戻ってきません。
 最初に使う魔法は簡単なものを決められているので、あたしがやらかしたのはかなり危ないことだったようです。
 全く、あの神もどきはろくなことをしません。

 何を使ったのかは黙秘出来ずに白状してしまいました。
 絶句されたので、いたたまれません。リリーがやらかしたようで済まないと頭まで下げられまして。
 いえ、その、いたたまれません。

 あー、だから、あいつがああなのねと納得されたようでもいるようですけど。生ぬるい感じの視線が嫌です。なんですか。ほっといてくださいよ。

 あたしの機嫌の悪化を感じてか慌てたように何かを持ち出してきました。
 今日も謎の魔導具ですか?

 とおもったら昨日のあたしが憶えいた魔法の一部を解析して作ったものらしいです。写真というものに興味を持っていたので、カメラもどきを既に作っていました。
 ……本当にマニアというのは。

 簡易的ににカバーを開けて見えるものを特別な紙に転写するようなものだそうです。現像と言うより印刷といった感じでしょうか。

 その後、やはり大いに脱線してしまったのです……。
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