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お風呂に入るのも結構大変です。
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昼食はなぜかジャガイモになりました。理由は単純で、午前中の労働で疲れたからというものです。
ええ、洗濯物が終わってからお風呂掃除しまして、ちょっと疲労が。ついつい熱中してしまったのが悪いのですけど。ちょっと没頭して現実の認識から逃避したかったので。おかげでちょっと落ち着いた気もします。
クルス様もいつもしない薪割りをわりと真面目にしたらしく、しばらくしない宣言してました。
……何事もほどほどがよろしいようです。
「いつも昼にしか使ってないから、これから動かしみるけど見る?」
「見ます。どんなことするんですか?」
「水を入れている鍋を火にかけて湧かす。そのまま貯水タンクに入れる。
タンクの方が保温の呪式が書き込まれているから、二時間くらいは暖かいままだったはず」
最新式だとお湯湧かすところからオートなんでしょうか。
こうして考えると全自動のお風呂って贅沢品ですね。
……そして、ジャガイモが案外おいしいです。縁日でやっているみたいに皮ごと蒸かして真ん中にバターをつっこむのです。
ええとカロリー……。
「なに?」
思わず、じっと見つめてしまいました。飽き飽きしたって顔でも二つは食べてますね。結構大きいんですけど。
なぜ、クルス様は太ってないのでしょうか。頭脳労働で使ってるんですかね。
「いえ、なんでも……」
運動とかもした方が良いでしょうか……。少し様子を見て考えましょう。お腹にお肉とかいりません。
クルス様は不思議そうに首をかしげましたが、それ以上聞いてこないのが幸いです。ええ、説明なんてしたくありません。
昼食後、予定通りお風呂を湧かしてみるわけです。
「どのくらい使ってなかったんですか?」
「湯まで張ったのは春先くらい。あとはシャワーくらいで済ませてたから」
なんだか一人暮らしのお風呂事情と変わらないみたいですね。あたしも湯船にゆったりなんてここ最近ありませんでした。
異世界来た方が、マシな生活している気がするのは気のせいでしょうか。
裏手には大鍋がありました。その上にある蛇口をひねると水がでます。パイプみたいなものでどこかに繋がっていました。
不思議に思って見ていたら、別な場所にある井戸に繋がっていると教えてくれました。
水が溜まるまで暇です。
薪はセット済みでしたし。
丸太を切っただけの椅子に座って待ちます。
「そういえば、石鹸、買わなかったな」
「ストックがないんですか?」
「……いや、そうじゃなくて」
妙に濁されましたね。ぴんと来てないあたしの顔を見て、それ以上言うのはやめたようですが、気になります。
いったいなにを気にしたんでしょうか?
洗顔用は買いました。それ以外っていうと、ああ、ボディソープとかシャンプーとかでしょうか。
……おや? ということは同じものを使うって事でしょうか。同じ匂いがするということになるのでは。
それ以上、考えるのをやめました。
さて、水が溜まったら薪に着火するんですが、このあたりも魔動具でやっちゃうみたいです。
これはライターに近い感じのものですね。
そして、火がつかなかったんです。
つかなくていらっとしているクルス様を見ていると不安になってきます。なにか、高火力ななんかをやりそうで。
「あのぅ。やりましょうか?」
ため息をついて渡してくれました。
ライターみたいにボタンを押すと火が出るみたいです。
火種になりそうなものがちょっと奥になってるのが、つかない原因っぽいです。ごそごそと直して、着火。
キャンプの経験はないけど、芋煮会という風習がありましてね。年に一回くらいはやってるんですよね。
職場で強制的に連れて行かれるイベントです。ゴハン作るだけの楽しいお仕事です……。無給なんですけどね。作りながら飲んで、最後にはあたしの中のヤンキーが暴言を吐いたりもします。
味噌派だということだけは主張しておきます。
「……あの、お湯が沸くまで、必要量が溜まるまで番するんですか?」
「ああ」
なるほど、毎日は無理だと言われるはずです。時間と労力がけっこうかかります。
ぱちぱちと言う火を見ているのも悪くはないんですが、他にもやることあるでしょうし。
「いつもなにしているんですか?」
「本でも読みながら待つ。終わったら呼ぶから他のことをしてきたらいいと思うよ」
「キッチンの掃除とかしてますね」
どちらかと言えば、ダイニングには不要なものとか、棚の中身を確認する作業に近いですが。
肉体労働大事。
キッチンの上の棚から見ていきますが、来客用の食器などが出てきました。なにに使うかわからない調理道具とか、本も。未開封のご贈答品っぽい箱とか。
本は埃をかぶってますが、料理本のようです。
あとで読ませてもらいましょう。
なんとなく、実家で片付けすると出てくるよなというものが出てきている気がします。
魔導師の家っぽいものはこちらにはないようです。
中身をみているときりがないので、ちらっと確認して分けておきます。
「……かわいー」
ついうっかり、食器セット見てたりしますけど。五客セットのコーヒーカップのようなものです。それぞれ別の花が描かれているのですが、構成は同じなのでバラバラな印象はありません。
スズランやわすれな草、かすみ草みたいなちょっと地味めな所も良いかと。バラとか百合も良いんですけどね。
ただ、しまわれる理由もわかりますね。
そこまで食事まわりに気を使うような人たちは住んでなさそうです。
食器類は5枚セットが多いようです。そうでなければ倍の10枚。5に特別な意味でもあるんでしょうか。
椅子も5脚ですし。
でも、一週間は7日で一ヶ月は大体30日なんですよね。ついでに言えば12ヶ月なので、数としては6や7がが選ばれそうですけど。
単純に家族構成の都合かもしれません。
「そろそろ良さそうだけど、そっちは?」
クルス様が知らせに来てくれましたけど、まだ途中です。少なくとも分類だけは済ませておきたいところではあります。
「色々出てきました。もう少しかかります」
「じゃあ、先に入ってくる」
ものすっごい面倒そうな顔ですけど、なにがお風呂にあるって言うんでしょうか。
不思議そうな顔のあたしに気がついたのか、その理由を教えてくれました。
「温度調節、湯量なんかの設定がものすっごい細かいんだよ。マニアックにもほどがある」
前回改修した方はお風呂にこだわりがあったみたいですね……。なぜ、オートにしなかったのでしょうか。技術をカバーしそうな情熱を感じますけど。
そんなクルス様を見送りまして、続きを真面目にします。色々ありますけど、思ったより埃っぽくないんですよね。
棚の中の時間が止まっていたみたいにぴかぴかだったりするところもあるので。
「……終わった?」
クルス様が戻ってくるまでは結構な時間がかかった気がします。
なんの気無しに扉の方を向いて、軽く意識がどこかに行方不明になりました。
頑張って再起動しましたよ。
少し前の事実認識からスタートします。
ちょうど、セットではない食器をダイニングテーブルに並べているところでした。
持っていたお皿を落とさなくて良かったです。白地に青で唐草模様みたいなのが描いてあるものでして、これは三枚しかありませんでした。
そして、持ち上げて見ていたところでした。
「これでおしまいにします」
一応、返事をしなければと口に出してみたものの平坦な棒読みでした。
うろうろと視線が彷徨いますね。
……うーん、お風呂上がりの推しの破壊力について物申せば良いでしょうか。この世界、Tシャツあるんですね。色あせた青なところが生活感があるというか使ってる感がありますね。だぼっとしたズボンはスウェットみたいな素材です。
ええ、視線が、上に向けれません。
がしがしと髪をタオルで拭きながらとか、ほんと日常感に溢れておりますね。
こう、端々で、一緒に住んでるってかんじがしてしんどいです。あー、動いてるーとか、実は頭の端っこで呟いていたりするんですよね……。
こんなのあったっけと言いながら、棚から出てきたものを見ているなと思ってたんです。
油断でした。
「……気に入ったのあったら、使ったら?」
「……っ!」
持ったままだったお皿を落とすところでした。後ろからのぞき込むとかなんですかっ! 正面からだって見えるじゃないですか。
触れそうなくらい近いんですよ。いつもとは違う石鹸の匂いとかします。
「あぶな……」
耳元で聞こえるのとかどうなのでしょうか。少しだけ頭を動かしてみますと至近距離で、目があいましたね。
狼狽したような表情で、これが無意識だったんだと察しました。ゆっくりとした動きで離れていきますが、妙に意識されている感が強調されている気さえして、恥ずかしいといいますか……。
適度な距離をとってお互いにほっとしたように息を吐くってなんでしょうね。
そのあとは、お風呂の使い方とかを教えてもらい、ゆったりと楽しみました。
ええ、全然、冷静さが帰ってこないどころか、余計な事を考えて茹だってしまったんですけどね。
ちょっとのぼせました。
ええ、洗濯物が終わってからお風呂掃除しまして、ちょっと疲労が。ついつい熱中してしまったのが悪いのですけど。ちょっと没頭して現実の認識から逃避したかったので。おかげでちょっと落ち着いた気もします。
クルス様もいつもしない薪割りをわりと真面目にしたらしく、しばらくしない宣言してました。
……何事もほどほどがよろしいようです。
「いつも昼にしか使ってないから、これから動かしみるけど見る?」
「見ます。どんなことするんですか?」
「水を入れている鍋を火にかけて湧かす。そのまま貯水タンクに入れる。
タンクの方が保温の呪式が書き込まれているから、二時間くらいは暖かいままだったはず」
最新式だとお湯湧かすところからオートなんでしょうか。
こうして考えると全自動のお風呂って贅沢品ですね。
……そして、ジャガイモが案外おいしいです。縁日でやっているみたいに皮ごと蒸かして真ん中にバターをつっこむのです。
ええとカロリー……。
「なに?」
思わず、じっと見つめてしまいました。飽き飽きしたって顔でも二つは食べてますね。結構大きいんですけど。
なぜ、クルス様は太ってないのでしょうか。頭脳労働で使ってるんですかね。
「いえ、なんでも……」
運動とかもした方が良いでしょうか……。少し様子を見て考えましょう。お腹にお肉とかいりません。
クルス様は不思議そうに首をかしげましたが、それ以上聞いてこないのが幸いです。ええ、説明なんてしたくありません。
昼食後、予定通りお風呂を湧かしてみるわけです。
「どのくらい使ってなかったんですか?」
「湯まで張ったのは春先くらい。あとはシャワーくらいで済ませてたから」
なんだか一人暮らしのお風呂事情と変わらないみたいですね。あたしも湯船にゆったりなんてここ最近ありませんでした。
異世界来た方が、マシな生活している気がするのは気のせいでしょうか。
裏手には大鍋がありました。その上にある蛇口をひねると水がでます。パイプみたいなものでどこかに繋がっていました。
不思議に思って見ていたら、別な場所にある井戸に繋がっていると教えてくれました。
水が溜まるまで暇です。
薪はセット済みでしたし。
丸太を切っただけの椅子に座って待ちます。
「そういえば、石鹸、買わなかったな」
「ストックがないんですか?」
「……いや、そうじゃなくて」
妙に濁されましたね。ぴんと来てないあたしの顔を見て、それ以上言うのはやめたようですが、気になります。
いったいなにを気にしたんでしょうか?
洗顔用は買いました。それ以外っていうと、ああ、ボディソープとかシャンプーとかでしょうか。
……おや? ということは同じものを使うって事でしょうか。同じ匂いがするということになるのでは。
それ以上、考えるのをやめました。
さて、水が溜まったら薪に着火するんですが、このあたりも魔動具でやっちゃうみたいです。
これはライターに近い感じのものですね。
そして、火がつかなかったんです。
つかなくていらっとしているクルス様を見ていると不安になってきます。なにか、高火力ななんかをやりそうで。
「あのぅ。やりましょうか?」
ため息をついて渡してくれました。
ライターみたいにボタンを押すと火が出るみたいです。
火種になりそうなものがちょっと奥になってるのが、つかない原因っぽいです。ごそごそと直して、着火。
キャンプの経験はないけど、芋煮会という風習がありましてね。年に一回くらいはやってるんですよね。
職場で強制的に連れて行かれるイベントです。ゴハン作るだけの楽しいお仕事です……。無給なんですけどね。作りながら飲んで、最後にはあたしの中のヤンキーが暴言を吐いたりもします。
味噌派だということだけは主張しておきます。
「……あの、お湯が沸くまで、必要量が溜まるまで番するんですか?」
「ああ」
なるほど、毎日は無理だと言われるはずです。時間と労力がけっこうかかります。
ぱちぱちと言う火を見ているのも悪くはないんですが、他にもやることあるでしょうし。
「いつもなにしているんですか?」
「本でも読みながら待つ。終わったら呼ぶから他のことをしてきたらいいと思うよ」
「キッチンの掃除とかしてますね」
どちらかと言えば、ダイニングには不要なものとか、棚の中身を確認する作業に近いですが。
肉体労働大事。
キッチンの上の棚から見ていきますが、来客用の食器などが出てきました。なにに使うかわからない調理道具とか、本も。未開封のご贈答品っぽい箱とか。
本は埃をかぶってますが、料理本のようです。
あとで読ませてもらいましょう。
なんとなく、実家で片付けすると出てくるよなというものが出てきている気がします。
魔導師の家っぽいものはこちらにはないようです。
中身をみているときりがないので、ちらっと確認して分けておきます。
「……かわいー」
ついうっかり、食器セット見てたりしますけど。五客セットのコーヒーカップのようなものです。それぞれ別の花が描かれているのですが、構成は同じなのでバラバラな印象はありません。
スズランやわすれな草、かすみ草みたいなちょっと地味めな所も良いかと。バラとか百合も良いんですけどね。
ただ、しまわれる理由もわかりますね。
そこまで食事まわりに気を使うような人たちは住んでなさそうです。
食器類は5枚セットが多いようです。そうでなければ倍の10枚。5に特別な意味でもあるんでしょうか。
椅子も5脚ですし。
でも、一週間は7日で一ヶ月は大体30日なんですよね。ついでに言えば12ヶ月なので、数としては6や7がが選ばれそうですけど。
単純に家族構成の都合かもしれません。
「そろそろ良さそうだけど、そっちは?」
クルス様が知らせに来てくれましたけど、まだ途中です。少なくとも分類だけは済ませておきたいところではあります。
「色々出てきました。もう少しかかります」
「じゃあ、先に入ってくる」
ものすっごい面倒そうな顔ですけど、なにがお風呂にあるって言うんでしょうか。
不思議そうな顔のあたしに気がついたのか、その理由を教えてくれました。
「温度調節、湯量なんかの設定がものすっごい細かいんだよ。マニアックにもほどがある」
前回改修した方はお風呂にこだわりがあったみたいですね……。なぜ、オートにしなかったのでしょうか。技術をカバーしそうな情熱を感じますけど。
そんなクルス様を見送りまして、続きを真面目にします。色々ありますけど、思ったより埃っぽくないんですよね。
棚の中の時間が止まっていたみたいにぴかぴかだったりするところもあるので。
「……終わった?」
クルス様が戻ってくるまでは結構な時間がかかった気がします。
なんの気無しに扉の方を向いて、軽く意識がどこかに行方不明になりました。
頑張って再起動しましたよ。
少し前の事実認識からスタートします。
ちょうど、セットではない食器をダイニングテーブルに並べているところでした。
持っていたお皿を落とさなくて良かったです。白地に青で唐草模様みたいなのが描いてあるものでして、これは三枚しかありませんでした。
そして、持ち上げて見ていたところでした。
「これでおしまいにします」
一応、返事をしなければと口に出してみたものの平坦な棒読みでした。
うろうろと視線が彷徨いますね。
……うーん、お風呂上がりの推しの破壊力について物申せば良いでしょうか。この世界、Tシャツあるんですね。色あせた青なところが生活感があるというか使ってる感がありますね。だぼっとしたズボンはスウェットみたいな素材です。
ええ、視線が、上に向けれません。
がしがしと髪をタオルで拭きながらとか、ほんと日常感に溢れておりますね。
こう、端々で、一緒に住んでるってかんじがしてしんどいです。あー、動いてるーとか、実は頭の端っこで呟いていたりするんですよね……。
こんなのあったっけと言いながら、棚から出てきたものを見ているなと思ってたんです。
油断でした。
「……気に入ったのあったら、使ったら?」
「……っ!」
持ったままだったお皿を落とすところでした。後ろからのぞき込むとかなんですかっ! 正面からだって見えるじゃないですか。
触れそうなくらい近いんですよ。いつもとは違う石鹸の匂いとかします。
「あぶな……」
耳元で聞こえるのとかどうなのでしょうか。少しだけ頭を動かしてみますと至近距離で、目があいましたね。
狼狽したような表情で、これが無意識だったんだと察しました。ゆっくりとした動きで離れていきますが、妙に意識されている感が強調されている気さえして、恥ずかしいといいますか……。
適度な距離をとってお互いにほっとしたように息を吐くってなんでしょうね。
そのあとは、お風呂の使い方とかを教えてもらい、ゆったりと楽しみました。
ええ、全然、冷静さが帰ってこないどころか、余計な事を考えて茹だってしまったんですけどね。
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