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おうちにかえりたい編

鳥籠の中

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 王妃というのは国家の共同統治者としている。それなりに時間と労力をかけて厳選して育成された女の最終職業と兄様は言っていた。
 ただし、伴侶によるとも。

「妃殿下、花が届いています」

「ありがとう」

 うんざりした顔を隠して、礼を言う。
 妙にユリアの雑な対応が懐かしい。今日で四日目なのに、だ。この部屋に移ってきたのは昨日。すぐに出歩くことは禁止された。

 軟禁、という表現がぴったりくる。
 仕事なんてない。むしろ、どこにも行くな状態。
 この部屋も全く落ち着けない。趣味ではない甘ったるい部屋だ。可愛らしいは嫌いではないが、度が過ぎれば胸焼けがする。

 ローガンに荷物を預けるのが間に合って良かった。
 似合うようなものはなにもない。

 ふてくされたように窓際に置いた椅子にずっと座っている。膝を抱えて外を見ている。
 あるいは、誰かを待っているようにも見えるかも知れない。

 開かない窓の前で。

 あと三日もたたずに兄弟が来るらしい。先触れがあったと朝食のときに知らされた。もちろん身分を偽っているため、知らない名だったが。
 母方の従兄で兄みたいな、という設定らしい。そこそこ身分がありそうに聞こえるが、私の従兄は元々存在しない。あの人、孤児だったから。
 父方は皆死んだのでいない。私が生まれるずっと前のことだと兄様は言っていた。
 たぶん、兄様は覚えているんだろう。

「お茶の時間ですが、いかがしますか?」

「いらない」

 新しい侍女は以前、ジニーとお茶会をした面々だった。ローガンが寄越すはずだったソフィアは予定通りいかず、未だに付いていない。メリッサは昼ではなく夜に付いてくれるようにお願いした。

 尚、エイラだけが王付きだという。あっちで仲良くやってくれないかね、と現実逃避ぎみに思う。
 おそらくは、今夜か明日の夜にはなにかあるはずだ。

 使者が来る前に、既成事実は作っておかねばならないと思っていてもおかしくない。

 本来はずっと前に初夜を迎えていたはずだから。

 代わりに拒否してくれる騎士はもういない。
 まあ、あれも私だったわけだけど。ある意味、身ぐるみ剥がれている。

 奇妙なことに聖女の不在は静かに葬られた。教会に祈りのために籠もったという大嘘で片付けられた。
 結果的に言えば、誰も責任はとらなくて済む。

 その分の執着がすべてこちらに来た感じだ。

「ふぁあっ」

 しかし、今日はやけに眠い。膝にあごを乗せて外を見る。
 空しか見えない。さすがに三階からの逃亡は骨が折れそうだ。



 気がつけば世界は灰色だった。
 あたりを見回せば、人の形に滲んで何かが現れた。

「ちょっと裏技で夢の中でお邪魔しているよ」

 白銀の髪をかき上げて魔女は現れる。
 それにあわせたようにテーブルとイスが用意された。ご丁寧にグラスと何かの瓶まで乗っている。
 魔女が席を勧めてくれるとは思えなかったので、私は勝手に座ることにした。

「ガードが固すぎて時間がかかったよ」

「なぜ、夢から?」

「いや、城内は入りたくないんだ。闇の方のご協力をいただいてね。ちょっとさ、呪いかけて良い? ってきいてくれって」

「……どこからつっこめばいいのかわからないんですけど、薄毛の呪いとかどうですか」

 神々と魔女が交流があるとは聞いたことはないが、闇の神なら全く気にもせずに一方的に連絡をつけてくるだろう。大戦争が起きなくて安堵する案件なのかもしれない。
 人に命令されるのは魔女も嫌いなのだ。

「……微妙にえげつないの考えるね。
 業務連絡だよ。聖女様には眠りの呪いを上掛けしてある。その上で、次元を断絶して置いた。しばらくは、相手をしなくても済むはずだ」

「はい?」

 そっちは微妙な顔でローガンが任せてくれと言っていたが、これだったんだろうか。
 グラスに瓶の中身を注ぎながら魔女は眉を下げた。

「闇の方が、あの馬鹿がと言いながら嬉しそうに呪ってた」

 ……どうしよう。想像出来る。

「あまりにも闇の気配が濃くなりすぎて、仕方なしに家ごと隔離。もはや事故だよね。というわけで一週間くらいは放置してもいい」

「あー、うん。わかった」

 他に言えることがない。そして、やれることもない。せめて話をして欲しいが、人の話を聞かない人外に言ったところで疲れるだけだ。

 ただの水かとぼやく魔女は平常通りのようだ。聖女を隔離してご機嫌というわけでもない。
 視線に気がついたのか首をかしげる。

「安心した?」

「ちょっと足下が危なっかしくって今それどころじゃない。って感じ。めんどくさいことになってるなぁって」

 そのわりに楽しそうな顔に見えた。

「さて、時間みたいだ。逃げたくなったらいつでも呼んで」



「妃殿下?」

 声をかけられてびくりとする。
 灰色の世界が急に極彩色に変わったような気さえする。色の多さに頭が痛くなり目を閉じた。

「なんでもないわ」

 眠った、起きたという実感がない。意識だけ持ち去られた、そんな気さえする。
 逃げたくなったらと魔女は言う。

「お休みなりますか?」

「そうね。兄様を心配させられないもの」

 寝室の方へ下がることにした。王妃の部屋とされているだけあって設備は揃っている。天蓋付きの豪奢なベッドに身を横たえる。ここでも一人にされることは基本的にない。視界には入らないように侍女がいる。

 大人しく、それに甘んじている。
 これを見せたら兄様たちは別な意味で心配しそうだ。え、おまえ、正気? みたいな顔をされるに違いない。
 私のことをどう思っているのかと言えば、俺様、と答えた人だ。
 愚民ひれ伏すが良い。とか言いそうとか。

 ……なるほど、そうお思いでしたかと、とっくみあいの喧嘩をしたことも思い出した。暗黙の了解で顔は無傷だった。

 後日、ばれて二人とも説教された。

 愚民とは思わないが、正直そんなに興味は……。
 彼らは勝手に期待して、私を語るのだ。いつ頃から現れた特性なのかわからないが、私の存在は曖昧なのだという。
 存在を認識しているけれど、あとで特徴を思い出しにくいそんな感じだと。そこをなにか別の理想やら思い込みで埋められて、期待されていた、らしい。

 今も似たようなことになりつつある。

 儚い悲劇の王妃、みたいな? おかわいそうにという視線が、いらっとくる。自分たちがなにをしたのか、忘れたような顔だ。
 実際、意識はしていなかったのかもしれない。本人にとっての一度のことでも、私にとっては人を変えて常に起きる問題になる。

 その上、王に対する批難のような視線を向けられている。おそらく、この国できちんと教育を受けた令嬢が、その態度をとるという意味はとても深刻だ。
 ずいぶんと軽んじられていると思える。
 そんな態度をとっても良いと無意識下でおもっているということだ。
 甘やかされて他人の感情に鈍感になったのかと思ったが、ちがったようだ。それを気にしていたら、王なんてやっていない。

 今まで目につかなかったのは偶然ではないだろう。
 聖女の加護でごまかしていたものの中には王にとって良いものもあった、ということなんだろう。

 先代に似ていない。継承すべき色をもたない。それだけでも、軽んじる理由になり得る。
 その上、魔女との契約をしていないが加われば、簡単に王位を追い出される。先王に似て、銀色の髪をした男が、いればとてもたやすい。

 たぶん、いるんだろう。

 とても不自然なタイミングで王都を去った男がいる。白銀の髪でも似ているとも意識したことがなかったけれど。

 今思えば巻き込まれないように逃がされたんだ。ほんとうにやってくれる。
 確かに悪いやつではない。

 向いているかどうかはさておいて、軍の掌握は可能だ。魔王が目覚めるかも知れないときに青の騎士団長だった男は頼りになる。

 この状況は千載一遇のチャンス、でしかないわけだ。

 そして、物語のように救われるのが私だ。傷心の姫君を慰めて、恋に落ちる。ウケは良いだろうなと思う。
 是非とも他の誰かでやってくれ。

「ほんと、馬鹿にした話だわ」

 そこにはきっと、いないのだ。いると都合が悪いから。
 いつから、そう考えていたのか。
 もしかしたら、最初から。

「本当に。馬鹿なんじゃないの」



 気がつけば夕闇が近づいていた。部屋は暗くかげりつつある。普通に夜が来るようになったと思い至る。
 長々と明るかった日が徐々に変わっていっていた。

 闇の神が訪れて、バランスも整ったのだろう。

「妃殿下。陛下がおいでです」

「わかったわ」

 うんざりする。なにかを埋めるように、食事を同席したがる。会話を楽しんでいるようで、何かを探るような目で見られたりもする。
 確かに猜疑心が強いんだろう。

 ついでに接触も多いのも嫌気が差す。

 着替えはしたが、化粧は控える。あまり元気とは見られたくない。

「お待たせいたしました」

 儀礼以上を含まない笑みを浮かべる。それにさえ嬉しそうなのだから、嫌になる。
 食事は常に家族用の食堂となっているらしい。少なくともここ数日は迎えに来てそのままエスコートされている。

 実は各部屋でとっても良いが、どうも接触する口実のような気がする。腰に手を回されるのは諦めた。
 そういうものなんだろう。

「おやめください」

 それ以上は許さない。ぴしっと言ってやる。良いではないかと言い出さないように冷たい目で見下ろしてやる。
 不埒な手をどうにかしないだけ優しいと思え。

 さすがにそれで諦めるくらいではあるらしい。

 食事はさすがに王族向けだけあって質の良いものだった。料理長も気にしてか以前渡したレシピの肉料理や魚料理を出してきたりする。
 そして、プリンは進歩している。プリン狂が喜んで厨房に乗り込みそうだ。

 食堂は基本的には、二人だけと言うことになっているがもちろん給仕も護衛もいる。人と階級によっては置物同然らしいが、私はまだその境地に至ってはいない。
 聞かれて困ることは基本的に口にしない。
 広めたいことは積極的に話をするけど。

「明後日には使者がくるそうだ。楽しみかい?」

「ええ。とても。兄様がなにを持ってきてくださるか楽しみです」

 使者と親しげな様子を見せたりとかね。実兄なので親しいどころではないけど、設定上、従兄だ。国によっては従兄くらいから婚姻可能だったりするので、私に近づく虫程度には認識されるはずだ。

 尚、既婚者で、子持ちであると言う話は意図的にしていない。

「あなたは、無邪気だな」

 咎めるような口調でそう言われても。自分が下心があるからと言って他の人にも決めつけないでいただきたい。
 あっても表に出さない程度には理性がある人の方が多いんだから。

「なくしてしまったガラスの指輪の代わりを持ってきてくださるって手紙もいただきました」

「……なくした?」

「ええ、部屋のどこを探してもなくて。青と赤のガラスで作られていたのですけど。気に入っていたのに見つからないのです」

 ……たぶん、持ってかれて。さて、誰か、青ざめたりしたかな。薄く微笑んで、見回した。

 ふぅん? 誰も顔色は変えていない。じゃあ、やっぱり、あの巻き毛の仕業なのかな。

「新しく贈ろう。今までなにも贈ってこなかったのだから好きなものを選ぶとよい」

「……ありがとうございます」

 別にいらないと突っぱねるのも得策じゃないんだろうな。
 表面上は穏やかに今日も食事を終了させた。

 部屋まで送られて、最後に囁いてくる。

「今夜は鍵を開けて待っているといい」

 ……えー。
 確かに寝室には謎の扉がありましたね。ええ、謎の扉と言って精神衛生を保っていたって言うヤツ。
 微笑んで、黙殺した。

 どう伝わったのか、侍女たちにきっちり磨き上げられました。同情されながらも仕事はしてくれました。

 やっつけ仕事でいいのよ?

 眠らせて、隣で泣くお仕事なんだから。

 憂鬱という顔を隠さずにいるけど。メリッサはそれらが終わった後にやってきた。ずいぶん前から控えの部屋にいたそうだが、入りそびれたそうだ。
 すぐに王はやってこないだろう。
 彼女に羽織るものを用意してもらう。色気溢れる服でなくリボンの一つもない素っ気ないものだというのがまだ救いかもしれない。

 暖かいお茶も用意してもらいソファで寛ぐ。柔らかすぎず、固すぎず座り心地がいい。

「陛下の評判の悪化が激しくて少し驚きました」

 彼女もそんなことを言い出した。それなりに敬意は払われていた。表立って悪く言われる事もなかったのに、城内でそんな話を聞くようになったと。

「そうなの」

「ええ、噂に疎いランカスター様もご存じでした。手紙を預かっています」

 二通あった。
 一通は姫様へとやや荒れた字で書き出されている。二通目はやや神経質そうな字に見えた。
 それぞれライルとランカスターからのものだろう。

 ほんの少し、落胆している自分にがっかりした。あるわけがない。

 二通目から読み始める。

「本当にはじめるのね」

 ランカスターからは数値の報告だった。見方がわからなければ、理解出来ない。これがわかると思われている。

 単純にここ数週間の金の流れが書いてある。イリューをレオンの元に送った意義があったんだ。
 黄の騎士団全体で少しずつだが確実に使用している金額が増えている。今、軍備を増やすのは青の騎士団のはずだ。逆に予算を削られるはずが、私の持参金で補填してしまった。

 ……彼らは私のことを崇めても良いんじゃないかしら。
 なんという都合の良い女だ。

「返事を書くわ。ペンを」

「はい」

 用意してもらう間に、ライルからの手紙を見る。

 ……悪筆ではないが、ちょっと読みにくい。と思えば、清書したかのような二枚目が入っていた。

 代筆しようとしたら断られたので、書き直したと注釈を付けられていた。ライルは腕を折られたようで、ちょっと書きにくかったらしい。

 元気であること。見舞いが嬉しかったこと。余白にロマンスってマジ? と書いてあった。ここだけ字が違った上に、別の字で気にしないでくださいとわざと注釈が横書きしてある。
 楽しそうだな君たち。なにか幻視したよ。ぎゃーぎゃー言いながらやりあってるのが。

 気を取り直して、続きを読めば、ため息が出た。
 一番状況を冷静に把握しているのは彼らだ。

 現王は、先王を追い出すように隠居させた。これがこれから起こることの発端であると書いてある。
 出来れば静観して欲しいと。それでなければ、ご無事でと願われた。

 先王は病気で隠居したということになっている。私も会っていないし、積極的に会う必要もないと思っていた。
 間違いだった。
 本当は探し出してでも会うべきだった。

 表面上は穏やかに、水面下では派閥が割れた。本来は、先王の基盤をそのまま引き継ぐように調整されていたはず。それを全て失ったように見えた。支持しない者たちを冷遇したのは現王だが、それさえ誘導されていたのかもしれない。

 行き場のないと終われていた先王派が隠していたのが正統な血統の持ち主と。
 ここまでくれば、元々、基盤を譲る気は無かったと思えてくる。魔女との契約させなかった意味も。

 最初から継がせる気なんてさらさらない。

「あのおっさん、どこにいるんだか」

 ランカスターへの返信は、意図しなかったが、少年たちと同じ文面になってしまった。

 出来れば静観して欲しいと。それでなければ、ご無事で。と。
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