45 / 135
おうちにかえりたい編
騎士の帰還 後編
しおりを挟む
それからしばらくして、控えめに扉を叩かれた。
ユリアが名乗っているのが聞こえて、扉を開ける。
「早かったね」
普通に出迎えたはずなのに、はうっと返ってきたのはなぜだろうか。
なにしてんだとユリアが目線で訴える。なにもしてない。冤罪。濡れ衣。
メリッサがまだ戻ってきていない。どうかしたのかなと思いながら、ユリアも加えて四人を室内に招き入れる。ぎこちない彼女たちを信じられないものを見るような目で見ている護衛騎士もちょっと問題ないかな。
「どうぞ、お嬢様たち。お茶でもいかがかな?」
いつもはしないけれど、サービスくらいしておこう。ユリアほどではないが、それなりに面倒をかけているし。
それに。
「え、ええっ」
「私たちがいれますっ!」
「是非とも座っていてください」
「んー? 良いから座って、ね?」
彼女たちには悪いが、噂を散らしてもらいたいのだから甘いことも言ったりするよ。
言いふらすタイプではないから、何か良いことがあったと周りにわかればいい。あとは勝手に調べて憶測してエサがやってくる。
何がかかってくるか想定はできるけど。楽しみだなぁ。
ユリアが肘でつついてくる。あれ、笑ってたかな。
「まあ、まあ、今は兄さんに従ってください。言い出したら聞かないんだから」
ユリアが取りなして一応、ソファに座ってもらう。怖々なのは、普通はこんな場所に座ることはないからだ。
一応、使用人ということになるからね。
「ちゃんと姫様の許可は取ったから安心してね」
ウィンクはやり過ぎかな。いいや、やっちゃえ。
三人とも顔を覆ってしまった。やり過ぎたようだ。その後はちゃんとお茶をいれることに集中した。本職に出すんだから、真面目にやらないとね。
今日のお茶は、楽しくなる気分、になるかもよ、と書いてあった。
「ジンジャー、貴方、お兄さんにも負けてるわよ」
ユリアに恨みがましい顔をされた。いや、そんな顔されても。
護衛も集まって和気藹々とお茶を楽しむ会になった。非番も呼んでくるとか暇なのか、そうなのか。
なぜだ。首をかしげるもいままでなかったことは喜ぶべきなのかな。
ま、それもジャックが来るまでで。
呼ばなかったのになと誰かが言っていた。来たら部屋が凍り付くから当たり前のような気もする。侍女たちも今、部屋にいる連中にはまだ暖かい対応をしている。
ジニーとしては初めて会うはずだから、一応挨拶はした。
何かに驚いたような顔をされたけど、なんだろうか。どこかで会ったかな? オスカーがやってたときに会ったりしたんだろうか。覚えてないなぁ。
ちょっと悩んでいる間に、注意が逸れたようで他の騎士たちを叱責していた。非番はともかく、持ち場を離れるのはどうかと思うよ。
持ち場に戻れと言われて、渋々従っているのでやっぱり問題児ばかりなのだとはわかった。というか一時期いた正統派がまた抜けている。元の人員に戻ってるじゃないか。
疑問が顔に出ていたのか、ちょいちょいと呼ばれた。なんだね。ライルの兄よ。
「俺たちは、前王の派閥にいたのであんまり居心地良くなかったんですよ。上は王の代のために用意されたので、やっぱり立場ってもんがねぇ」
こちらの返答は聞かず、すっと離れていった。なんとなく、あっち行けみたいな態度をされると裏があるんじゃないかと思うんだけど。
ジャックに捕まる前に手を振って部屋を出ることにしよう。
住む部屋の問題はまだ片付いていないから城に常駐はまだ考えていない。オスカーとの待ち合わせまではまだ時間があるし、ついでに少年たちの様子を見てくるか。
そう思ったのが間違いだった。
鍛錬場へ向かう道すがら、レオンを見かけた。ジニーは会ったことがないはずなので、無視するつもりだった。
目があったなと思ったらにこりと笑われた。
「一人で出歩くなんて感心しませんよ。ひ……」
表情が途中で固まった。
お互い、微妙に引きつった笑いを浮かべるのが精々だった。従者も部下も連れず一人だったのが幸いだった。
行き交う人にちらちらとなんだろうと見られてはいるものの不審がられてはいない。
レオンは私を下から上まで見られて首をかしげている。ひっつかんで目立たない端に寄る。
「……誰も見破らないのに」
兄弟ですら、意識しないと忘れるんだ。ヴァージニアとジニーが別の人間であると思っているわけではない、らしい。
「ですよね。今は全然見えません。偶然です、偶然」
人の見えないところに行ってひそひそとやっている今のほうが不審そうに見られている。それに気がついて、知り会い程度に距離を離す。
「どちらに行かれるつもりですか?」
「ライルたちの様子でも見てこようかと。ずいぶん会ってないから」
レオンは少し何かを思い出すようにあごに手をあてた。
「ライルはいませんよ。兄弟喧嘩で怪我したそうで、自宅療養中。ソランはうちで急遽預かってます。イリューは意味がわからないですが、会計の手伝いということで書類整理に来てますね」
「よく調べているね」
「落ち着かないんですよ。昔々に、ほっといたばかりに悪評をばらまかれましてね。反省したわけです。病的なのは知っていますから」
先回りして指摘されないようにする癖でもあるのだろうか。
悪評からちょっと病的と言われるくらいの情報収集家になるっていうのは理解できないけど。よっぽどのことを言われたのだろうか。
しかし、それならば先日のことは不思議としか言いようがない。
「そのあなたが良くほっといたね」
「夢から覚めたみたいに、みんな見えてきたんですよ。身辺は少し騒がしくなるでしょうね。俺みたいなのが、増えていくでしょうから」
「面倒」
レオンは口元だけで笑った。これ以上の会話を続けるべきか、少し迷っている。
その目には少しの怯えを感じた。
よくこんな目で見られたものだ。
「そんなに、怖い?」
「そりゃあね。敵にはしたくないのに、もう敵みたいだ」
ちらりと見える恐怖を押さえ込んで、余裕のある態度を崩さない。
まあ、確かに彼よりは強い自信はある。しかし、レオンは相当慕われているようだ。この短時間で、視界に見覚えのない制服がうつる。
「私にも全員の相手は荷が重いよ。決定的になるまで、お互いを利用すればいいじゃない?」
レオンを始末したからと言って敵討ちまでされるとは思わないが、国を支配下に置くには手こずることになりそうだ。この男がほぼ全土の兵士を統括しているんだ。王都や北方を支配している他の騎士団とは根本的に異なる。
近衛なんて入れ替えても良いし、青は魔王が敵対しないなら一時的に解体しても良い。しかし、黄の騎士団だけは全土に配置されている。必要なら潰せば良い騎士団とは違う。
互いの信条に反するなら敵対はやむを得ないが、それまでは保留でいい。
いつかやり合うとは思うけど。
「団長!」
いつか見たタマゴっぽい人だ。
探しましたと説教を始めているが、ほっとした顔をしている。そんなにジニーが危ないヤツだと知られているんだろうか。
人の黒歴史を広めているなら、一度絞めていいかな?
「じゃあ、また」
「また」
そんなに怖がっているのに、なんで、また、なんて言うのかな?
よくわからない。
頭をかいて、これからどうしようかと思った。まあ、正しいことを言っているかわからないから鍛錬場で話は聞いてこよう。
再び、足を動かそうとした。
ふと視線を感じて、そちらに視線を向けた。話をするには遠く、愛人、いや、現聖女様がいた。取り巻きもお連れだ。私の方に近づいてきそうだった。
「思ったより早くかかったな」
少しだけ笑って見せた。
それだけ。
興味がないようにさっさと立ち去る。これで、どうしても会いたくなるでしょう? 甘い罠をかけてあげる。
全部、知ったらどうするかな。
まあ、とりあえずは鳥籠を用意しないと。
ユリアが名乗っているのが聞こえて、扉を開ける。
「早かったね」
普通に出迎えたはずなのに、はうっと返ってきたのはなぜだろうか。
なにしてんだとユリアが目線で訴える。なにもしてない。冤罪。濡れ衣。
メリッサがまだ戻ってきていない。どうかしたのかなと思いながら、ユリアも加えて四人を室内に招き入れる。ぎこちない彼女たちを信じられないものを見るような目で見ている護衛騎士もちょっと問題ないかな。
「どうぞ、お嬢様たち。お茶でもいかがかな?」
いつもはしないけれど、サービスくらいしておこう。ユリアほどではないが、それなりに面倒をかけているし。
それに。
「え、ええっ」
「私たちがいれますっ!」
「是非とも座っていてください」
「んー? 良いから座って、ね?」
彼女たちには悪いが、噂を散らしてもらいたいのだから甘いことも言ったりするよ。
言いふらすタイプではないから、何か良いことがあったと周りにわかればいい。あとは勝手に調べて憶測してエサがやってくる。
何がかかってくるか想定はできるけど。楽しみだなぁ。
ユリアが肘でつついてくる。あれ、笑ってたかな。
「まあ、まあ、今は兄さんに従ってください。言い出したら聞かないんだから」
ユリアが取りなして一応、ソファに座ってもらう。怖々なのは、普通はこんな場所に座ることはないからだ。
一応、使用人ということになるからね。
「ちゃんと姫様の許可は取ったから安心してね」
ウィンクはやり過ぎかな。いいや、やっちゃえ。
三人とも顔を覆ってしまった。やり過ぎたようだ。その後はちゃんとお茶をいれることに集中した。本職に出すんだから、真面目にやらないとね。
今日のお茶は、楽しくなる気分、になるかもよ、と書いてあった。
「ジンジャー、貴方、お兄さんにも負けてるわよ」
ユリアに恨みがましい顔をされた。いや、そんな顔されても。
護衛も集まって和気藹々とお茶を楽しむ会になった。非番も呼んでくるとか暇なのか、そうなのか。
なぜだ。首をかしげるもいままでなかったことは喜ぶべきなのかな。
ま、それもジャックが来るまでで。
呼ばなかったのになと誰かが言っていた。来たら部屋が凍り付くから当たり前のような気もする。侍女たちも今、部屋にいる連中にはまだ暖かい対応をしている。
ジニーとしては初めて会うはずだから、一応挨拶はした。
何かに驚いたような顔をされたけど、なんだろうか。どこかで会ったかな? オスカーがやってたときに会ったりしたんだろうか。覚えてないなぁ。
ちょっと悩んでいる間に、注意が逸れたようで他の騎士たちを叱責していた。非番はともかく、持ち場を離れるのはどうかと思うよ。
持ち場に戻れと言われて、渋々従っているのでやっぱり問題児ばかりなのだとはわかった。というか一時期いた正統派がまた抜けている。元の人員に戻ってるじゃないか。
疑問が顔に出ていたのか、ちょいちょいと呼ばれた。なんだね。ライルの兄よ。
「俺たちは、前王の派閥にいたのであんまり居心地良くなかったんですよ。上は王の代のために用意されたので、やっぱり立場ってもんがねぇ」
こちらの返答は聞かず、すっと離れていった。なんとなく、あっち行けみたいな態度をされると裏があるんじゃないかと思うんだけど。
ジャックに捕まる前に手を振って部屋を出ることにしよう。
住む部屋の問題はまだ片付いていないから城に常駐はまだ考えていない。オスカーとの待ち合わせまではまだ時間があるし、ついでに少年たちの様子を見てくるか。
そう思ったのが間違いだった。
鍛錬場へ向かう道すがら、レオンを見かけた。ジニーは会ったことがないはずなので、無視するつもりだった。
目があったなと思ったらにこりと笑われた。
「一人で出歩くなんて感心しませんよ。ひ……」
表情が途中で固まった。
お互い、微妙に引きつった笑いを浮かべるのが精々だった。従者も部下も連れず一人だったのが幸いだった。
行き交う人にちらちらとなんだろうと見られてはいるものの不審がられてはいない。
レオンは私を下から上まで見られて首をかしげている。ひっつかんで目立たない端に寄る。
「……誰も見破らないのに」
兄弟ですら、意識しないと忘れるんだ。ヴァージニアとジニーが別の人間であると思っているわけではない、らしい。
「ですよね。今は全然見えません。偶然です、偶然」
人の見えないところに行ってひそひそとやっている今のほうが不審そうに見られている。それに気がついて、知り会い程度に距離を離す。
「どちらに行かれるつもりですか?」
「ライルたちの様子でも見てこようかと。ずいぶん会ってないから」
レオンは少し何かを思い出すようにあごに手をあてた。
「ライルはいませんよ。兄弟喧嘩で怪我したそうで、自宅療養中。ソランはうちで急遽預かってます。イリューは意味がわからないですが、会計の手伝いということで書類整理に来てますね」
「よく調べているね」
「落ち着かないんですよ。昔々に、ほっといたばかりに悪評をばらまかれましてね。反省したわけです。病的なのは知っていますから」
先回りして指摘されないようにする癖でもあるのだろうか。
悪評からちょっと病的と言われるくらいの情報収集家になるっていうのは理解できないけど。よっぽどのことを言われたのだろうか。
しかし、それならば先日のことは不思議としか言いようがない。
「そのあなたが良くほっといたね」
「夢から覚めたみたいに、みんな見えてきたんですよ。身辺は少し騒がしくなるでしょうね。俺みたいなのが、増えていくでしょうから」
「面倒」
レオンは口元だけで笑った。これ以上の会話を続けるべきか、少し迷っている。
その目には少しの怯えを感じた。
よくこんな目で見られたものだ。
「そんなに、怖い?」
「そりゃあね。敵にはしたくないのに、もう敵みたいだ」
ちらりと見える恐怖を押さえ込んで、余裕のある態度を崩さない。
まあ、確かに彼よりは強い自信はある。しかし、レオンは相当慕われているようだ。この短時間で、視界に見覚えのない制服がうつる。
「私にも全員の相手は荷が重いよ。決定的になるまで、お互いを利用すればいいじゃない?」
レオンを始末したからと言って敵討ちまでされるとは思わないが、国を支配下に置くには手こずることになりそうだ。この男がほぼ全土の兵士を統括しているんだ。王都や北方を支配している他の騎士団とは根本的に異なる。
近衛なんて入れ替えても良いし、青は魔王が敵対しないなら一時的に解体しても良い。しかし、黄の騎士団だけは全土に配置されている。必要なら潰せば良い騎士団とは違う。
互いの信条に反するなら敵対はやむを得ないが、それまでは保留でいい。
いつかやり合うとは思うけど。
「団長!」
いつか見たタマゴっぽい人だ。
探しましたと説教を始めているが、ほっとした顔をしている。そんなにジニーが危ないヤツだと知られているんだろうか。
人の黒歴史を広めているなら、一度絞めていいかな?
「じゃあ、また」
「また」
そんなに怖がっているのに、なんで、また、なんて言うのかな?
よくわからない。
頭をかいて、これからどうしようかと思った。まあ、正しいことを言っているかわからないから鍛錬場で話は聞いてこよう。
再び、足を動かそうとした。
ふと視線を感じて、そちらに視線を向けた。話をするには遠く、愛人、いや、現聖女様がいた。取り巻きもお連れだ。私の方に近づいてきそうだった。
「思ったより早くかかったな」
少しだけ笑って見せた。
それだけ。
興味がないようにさっさと立ち去る。これで、どうしても会いたくなるでしょう? 甘い罠をかけてあげる。
全部、知ったらどうするかな。
まあ、とりあえずは鳥籠を用意しないと。
2
お気に入りに追加
712
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる