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第三話 無防備なので襲われるのは残当
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「あのぉ、モンスターの素材ってどこ行けば売れますかね?」
イノシシのようなモンスターを倒した俺は、何が素材になるのか分からないのでとりあえずモンスターの死体から一本角だけを切り落として回収しておいた。
できることなら丸ごと持っていきたかったが、無理だった。
だからとりあえず角だけ切り落として持ってきたのだ。あのモンスターの角が貴重なものか普通に手に入るものか分からないので、もしかすればただのゴミになるかもしれない。
それから辺りを見回すと、草原の向こうに人工的な建造物が見えた。
おそらくは町だろうと見当をつけて向かい、この町に辿り着いたのだった。
俺はその町でまず初めに出会った第一町人に、モンスターの素材を売る場所を尋ねたところだった。
「ああ、モンスターの素材だと?」
声をかけた相手はガラの悪そうな男たちだった。
あれ、声をかける相手間違えたかな。
男たちはじろりと、俺の身体を上から下まで眺め回す。
すると、男たちはニチャリと笑みを浮かべた。
「ふうん、さてはお前さん新入りの冒険者か。素材を売るなら、おじさんたちが案内してあげよう」
不愛想な男たちが、急に親切になってくれた。
もしや初回十連で手に入れた魅力上昇スキルの効果だろうか。
同性なんか魅了したって何の役にも立たないと思ったが、意外に使えるスキルかもしれない。
俺は彼らの後をついていった。
男たちの後をついていくと、彼らはどんどん寂れた人気のない方へと向かっていく。
どうにもこの先に市場か何かがあるとは思えず、俺はだんだんと疑問を抱く。
「どこまで行くんですか? あとどのくらいかかります?」
「そうだな、この辺でいいだろう」
細い裏路地に入ったところで声をかけると、彼らはこちらを振り向いて立ち止まった。
「この辺でいいだろうって……?」
どう見てもここが目的地には見えないが、ときょとんとする。
「この辺りなら人が通りかかることは滅多にないからな」
その瞬間、いやらしく笑った男の一人が、俺の腕を後ろ手に捻って身体を壁に押し付けた。
胸を壁に打ち付け、空気が肺から追い出される。
「がはッ! な、何を……」
「ぼっちゃん、お前さんみたいな可愛い子ちゃんが無防備に怪しい人間についていくもんじゃないぜ?」
「か、かわいこちゃん……?」
耳に届いた言葉が理解できず、オウム返しする。
男の熱い息がうなじにかかり、身体が竦んだ。
男の汚い手が俺の身体を弄り始めるが、何が起こっているのか分からず固まる。
手が服の下に潜り込み、太い指が無遠慮に乳首を抓んだ。
「……っ!」
途端に強い快感が身体を奔った。
(まさか、さっき引き当てたSSRスキルのせい……?)
乳首の感度二倍とかいうふざけたスキルのせいだろうか。
乱暴に乳首を弄られ、痛みと同時に快感を覚えてしまう。
「あっ、やめ……っ」
やめろと言おうとしたら、自分でも吃驚するほど艶っぽい息が漏れ出てしまった。
「そんなこと言って、気持ち好さそうじゃねえか。なんだ、好き者だから俺たちに声をかけてきたのか」
男たちは嬉しそうに下卑た笑いを漏らす。
そんな訳ないのに。屈辱に身体が震える。
「一緒に楽しもうぜ」
尻に硬い物を押し付けられる感触を覚え、恐怖を感じた。
「だ、誰か、助けて……ッ!!」
叫んだってこんなところ、誰も通りがかるはずがないのに。
それでもつい、声を上げてしまった。
「そこに誰かいるのか!」
だから、返事が返ってきた時には幻聴が聞こえたのかと思ってしまった。
足音と共に、声の主が姿を現す。
片目に眼帯を装着した隻眼の男――――彼は、俺が男たちに襲われているのを目にするなり怒りに眉を吊り上げた。
隻眼の彼は剣を抜き、暴漢たちに突き付ける。
「今すぐその汚らしい手を離せ、さもなくば血を見ることになるぞ」
「畜生っ!」
暴漢たちは捨て台詞を吐いて俺を解放し、走り去っていった。
「君、大丈夫か?」
隻眼の男が駆け寄ってきて、俺のことを案じてくれた。
「あ、は、はい」
衣服の乱れを直しながら、俺は自分よりも頭一つ分は背の高い彼を見上げた。
銀髪の間から覗く黒革の眼帯と、硝子のような美しい蒼い左眼――――。
「私は冒険者ギルド『シルバークロウ』のギルドマスター、パトリック・アローボトムだ」
「ギルド、マスター……」
俺は思わず、彼に見惚れてしまった。
イノシシのようなモンスターを倒した俺は、何が素材になるのか分からないのでとりあえずモンスターの死体から一本角だけを切り落として回収しておいた。
できることなら丸ごと持っていきたかったが、無理だった。
だからとりあえず角だけ切り落として持ってきたのだ。あのモンスターの角が貴重なものか普通に手に入るものか分からないので、もしかすればただのゴミになるかもしれない。
それから辺りを見回すと、草原の向こうに人工的な建造物が見えた。
おそらくは町だろうと見当をつけて向かい、この町に辿り着いたのだった。
俺はその町でまず初めに出会った第一町人に、モンスターの素材を売る場所を尋ねたところだった。
「ああ、モンスターの素材だと?」
声をかけた相手はガラの悪そうな男たちだった。
あれ、声をかける相手間違えたかな。
男たちはじろりと、俺の身体を上から下まで眺め回す。
すると、男たちはニチャリと笑みを浮かべた。
「ふうん、さてはお前さん新入りの冒険者か。素材を売るなら、おじさんたちが案内してあげよう」
不愛想な男たちが、急に親切になってくれた。
もしや初回十連で手に入れた魅力上昇スキルの効果だろうか。
同性なんか魅了したって何の役にも立たないと思ったが、意外に使えるスキルかもしれない。
俺は彼らの後をついていった。
男たちの後をついていくと、彼らはどんどん寂れた人気のない方へと向かっていく。
どうにもこの先に市場か何かがあるとは思えず、俺はだんだんと疑問を抱く。
「どこまで行くんですか? あとどのくらいかかります?」
「そうだな、この辺でいいだろう」
細い裏路地に入ったところで声をかけると、彼らはこちらを振り向いて立ち止まった。
「この辺でいいだろうって……?」
どう見てもここが目的地には見えないが、ときょとんとする。
「この辺りなら人が通りかかることは滅多にないからな」
その瞬間、いやらしく笑った男の一人が、俺の腕を後ろ手に捻って身体を壁に押し付けた。
胸を壁に打ち付け、空気が肺から追い出される。
「がはッ! な、何を……」
「ぼっちゃん、お前さんみたいな可愛い子ちゃんが無防備に怪しい人間についていくもんじゃないぜ?」
「か、かわいこちゃん……?」
耳に届いた言葉が理解できず、オウム返しする。
男の熱い息がうなじにかかり、身体が竦んだ。
男の汚い手が俺の身体を弄り始めるが、何が起こっているのか分からず固まる。
手が服の下に潜り込み、太い指が無遠慮に乳首を抓んだ。
「……っ!」
途端に強い快感が身体を奔った。
(まさか、さっき引き当てたSSRスキルのせい……?)
乳首の感度二倍とかいうふざけたスキルのせいだろうか。
乱暴に乳首を弄られ、痛みと同時に快感を覚えてしまう。
「あっ、やめ……っ」
やめろと言おうとしたら、自分でも吃驚するほど艶っぽい息が漏れ出てしまった。
「そんなこと言って、気持ち好さそうじゃねえか。なんだ、好き者だから俺たちに声をかけてきたのか」
男たちは嬉しそうに下卑た笑いを漏らす。
そんな訳ないのに。屈辱に身体が震える。
「一緒に楽しもうぜ」
尻に硬い物を押し付けられる感触を覚え、恐怖を感じた。
「だ、誰か、助けて……ッ!!」
叫んだってこんなところ、誰も通りがかるはずがないのに。
それでもつい、声を上げてしまった。
「そこに誰かいるのか!」
だから、返事が返ってきた時には幻聴が聞こえたのかと思ってしまった。
足音と共に、声の主が姿を現す。
片目に眼帯を装着した隻眼の男――――彼は、俺が男たちに襲われているのを目にするなり怒りに眉を吊り上げた。
隻眼の彼は剣を抜き、暴漢たちに突き付ける。
「今すぐその汚らしい手を離せ、さもなくば血を見ることになるぞ」
「畜生っ!」
暴漢たちは捨て台詞を吐いて俺を解放し、走り去っていった。
「君、大丈夫か?」
隻眼の男が駆け寄ってきて、俺のことを案じてくれた。
「あ、は、はい」
衣服の乱れを直しながら、俺は自分よりも頭一つ分は背の高い彼を見上げた。
銀髪の間から覗く黒革の眼帯と、硝子のような美しい蒼い左眼――――。
「私は冒険者ギルド『シルバークロウ』のギルドマスター、パトリック・アローボトムだ」
「ギルド、マスター……」
俺は思わず、彼に見惚れてしまった。
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