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第二話 性的魅力を与える範囲がバグってる
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オレは溜息を吐きながら風呂に入っている。
中世ヨーロッパ的世界観に添うならば風呂なんてものはない筈だが、このバグゲー世界が時代考証なんてまともにしている筈もなく、オレは風呂を堪能することが出来ていた。
シャワーまであるぞ。どうなってやがんだ。
まあ、この世界の唯一のいい点かもしれない……と思いながら、どうしてこうなったんだか考える。
原因は明白だ、あの神なんかにすべてを任せたからだ。
第一、人を取り違えて殺すような奴にまともな世界なんて創れるワケがなかったんだ。
何から何までオレが口を出して世界を創らせるべきだったんだ。
よりにもよってバグゲーの『エンドオブファンタジー』を参考にするなんて。
嫌がらせか。わざとやったんじゃないか、あの神?
ほかほかの状態で風呂から上がる。
「ふうー」
綺麗さっぱり、この風呂上りの快感は何にも代えがたい。
いや、やっぱり姫騎士じゃなくなるなら風呂なんて無くてもいい。
そこでコンコン、とノック音。
「姫、入っても?」
エリクの声だった。
「お、いいぜー」
オレは気軽に返事した。
パンツ一丁の状態で。
「それでは失礼。姫、明日の……」
ドアを開けて入ってきたエリクが何故かピシリと岩のように固まる。
「うん? どうしたエリク?」
エリクの褐色の肌がだんだんと赤くなっていく。
対してオレの頭の中はハテナでいっぱいになっていく。
「……す、すまないっ!!」
エリクは身を翻すと、バタンとドアを閉めて出ていってしまった。
「……は?」
何が何だか分からん。
「着替えが終わったら、言ってくれっ!!」
ドアの向こうからくぐもった声が聞こえる。
「……まさか」
自分の身体を見下ろす。今の自分は上半身裸だ。
エリクからすればこれは姫のおっぱいが丸出しなのと同然なのでは?
いやでも、彼からはオレは男に見えている筈だし……
考えていても仕方ない。
確かめてみよう。
オレは適当に肌着を一枚着る。
「エリク、もういいぞ」
「はっ」
ドアがそっと開き、彼が姿を見せる。
「うわっ。姫、急ぎの用事ではないからもう少し着込んでも大丈夫なんだが……」
エリクがまたドアの向こうに逃げていってしまいそうだ。
仕方ないのでシャツを羽織る。
やはりオレの裸に反応しているようだ。
男だと分かっていながらその裸体に赤面するとかどゆこと???
「で、何の用だ?」
「え、ええ。その……」
エリクがオレから視線を逸らす。
どうやらこの格好でも刺激が強すぎるようだ。
そこは我慢してもらう。風呂上りにフル装備とかやってられるかってんだ。
にしてもエリクも赤面とかするんだな。
常に陰謀を巡らせてそうなほくそ笑み顔しか見たことなかったから意外だった。
彼の赤面を思い出し、にわかに面白くなってくる。
「ほれ」
少し前かがみになると、羽織っただけのシャツの間から見える肌着の襟元を指で引っ張り、彼から乳首が見えるようにする。白人に転生した今のオレの乳首は綺麗な桃色をしている。
「うわーッ!?」
エリクが慌てふためき手で目を覆い隠す。
こんな童貞みたいな反応で大臣は無理でしょ。
まさか彼にこんな一面があったとは。
「姫、止めてくれっ!」
実は指の間からおっぱいを覗き見てないかと注視してみるが、彼の指はしっかりと閉じられている。
「男の裸見て何照れてんだよ」
「……」
ケラケラと笑っていると、エリクが目を覆い隠すのを止める。
お? 慣れたか?
「アントワーヌ姫」
エリクはちょっと怖いくらいの視線でオレを睨みつける。
「え? え? 何? ごめん、怒った?」
ガシリとエリクの手がオレの肩を掴む。
そしてゆっくりとソファに身体を押し倒された。
「男と言うならば、私も男だ」
え……何これ?
オレはソファの上でエリクに熱い視線を注がれている。
この状況に胸がトクトクと高鳴っている。
え、オレどうなっちゃうのっ!?
中世ヨーロッパ的世界観に添うならば風呂なんてものはない筈だが、このバグゲー世界が時代考証なんてまともにしている筈もなく、オレは風呂を堪能することが出来ていた。
シャワーまであるぞ。どうなってやがんだ。
まあ、この世界の唯一のいい点かもしれない……と思いながら、どうしてこうなったんだか考える。
原因は明白だ、あの神なんかにすべてを任せたからだ。
第一、人を取り違えて殺すような奴にまともな世界なんて創れるワケがなかったんだ。
何から何までオレが口を出して世界を創らせるべきだったんだ。
よりにもよってバグゲーの『エンドオブファンタジー』を参考にするなんて。
嫌がらせか。わざとやったんじゃないか、あの神?
ほかほかの状態で風呂から上がる。
「ふうー」
綺麗さっぱり、この風呂上りの快感は何にも代えがたい。
いや、やっぱり姫騎士じゃなくなるなら風呂なんて無くてもいい。
そこでコンコン、とノック音。
「姫、入っても?」
エリクの声だった。
「お、いいぜー」
オレは気軽に返事した。
パンツ一丁の状態で。
「それでは失礼。姫、明日の……」
ドアを開けて入ってきたエリクが何故かピシリと岩のように固まる。
「うん? どうしたエリク?」
エリクの褐色の肌がだんだんと赤くなっていく。
対してオレの頭の中はハテナでいっぱいになっていく。
「……す、すまないっ!!」
エリクは身を翻すと、バタンとドアを閉めて出ていってしまった。
「……は?」
何が何だか分からん。
「着替えが終わったら、言ってくれっ!!」
ドアの向こうからくぐもった声が聞こえる。
「……まさか」
自分の身体を見下ろす。今の自分は上半身裸だ。
エリクからすればこれは姫のおっぱいが丸出しなのと同然なのでは?
いやでも、彼からはオレは男に見えている筈だし……
考えていても仕方ない。
確かめてみよう。
オレは適当に肌着を一枚着る。
「エリク、もういいぞ」
「はっ」
ドアがそっと開き、彼が姿を見せる。
「うわっ。姫、急ぎの用事ではないからもう少し着込んでも大丈夫なんだが……」
エリクがまたドアの向こうに逃げていってしまいそうだ。
仕方ないのでシャツを羽織る。
やはりオレの裸に反応しているようだ。
男だと分かっていながらその裸体に赤面するとかどゆこと???
「で、何の用だ?」
「え、ええ。その……」
エリクがオレから視線を逸らす。
どうやらこの格好でも刺激が強すぎるようだ。
そこは我慢してもらう。風呂上りにフル装備とかやってられるかってんだ。
にしてもエリクも赤面とかするんだな。
常に陰謀を巡らせてそうなほくそ笑み顔しか見たことなかったから意外だった。
彼の赤面を思い出し、にわかに面白くなってくる。
「ほれ」
少し前かがみになると、羽織っただけのシャツの間から見える肌着の襟元を指で引っ張り、彼から乳首が見えるようにする。白人に転生した今のオレの乳首は綺麗な桃色をしている。
「うわーッ!?」
エリクが慌てふためき手で目を覆い隠す。
こんな童貞みたいな反応で大臣は無理でしょ。
まさか彼にこんな一面があったとは。
「姫、止めてくれっ!」
実は指の間からおっぱいを覗き見てないかと注視してみるが、彼の指はしっかりと閉じられている。
「男の裸見て何照れてんだよ」
「……」
ケラケラと笑っていると、エリクが目を覆い隠すのを止める。
お? 慣れたか?
「アントワーヌ姫」
エリクはちょっと怖いくらいの視線でオレを睨みつける。
「え? え? 何? ごめん、怒った?」
ガシリとエリクの手がオレの肩を掴む。
そしてゆっくりとソファに身体を押し倒された。
「男と言うならば、私も男だ」
え……何これ?
オレはソファの上でエリクに熱い視線を注がれている。
この状況に胸がトクトクと高鳴っている。
え、オレどうなっちゃうのっ!?
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