3 / 7
第三話 マヂ無理。。。
しおりを挟む
「ハリー! ハリー起きて!」
あれ……まずい。気を失ってたのか。どれくらい寝てたんだ? それに……あのドラゴンは?
「起きたわ! よかったぁ……」
ぐえっ。苦しい。
そんなに強く抱き締めなくても俺は逃げないですよ……
「お、おい。そんなに強く抱き締めない方がいいんじゃないか?」
「あなたはもっとこの子の心配をして!」
「えぇ……」
同情するぜ。パッパ。
それにしても、さっきのあれは一体何だったんだ?
夢にしちゃ、リアルすぎた。
見間違い……なのか?
窓の外をもう一度見てみたが、あのドラゴンの姿は消えていた。
母は心配そうに俺を見て言った。
「やっぱり治癒魔法かけてあげた方がいいんじゃないかしら」
「いや、大丈夫だろう。驚いて気を失ってただけだ」
治癒魔法……普段なら鼻で笑うような事だが、さっきのを見せられちゃ、信じざるを得ない。
「うーん……」
母は不服そうな顔をしたままだが、父は俺のことをそっと抱き上げた。
「ほら、ハリー。そこにいると危ないから、今日はもうベッドに行こうか」
もし、さっきのが夢なんかじゃなく、現実のものだとするなら。
ここは地球ではない、別の世界──
異世界だ。
-----
二歳になった。
足腰がしっかりしてきて、歩くことが出来るようになり、普通に喋っててもおかしくない歳になった。
異世界だとわかったがこの赤ん坊の体じゃ何もできない。いつもと変わらない平凡な毎日だった。
昨日まではな。
歩けるようになったのなら別だ。
なにせドアが開けられるようになったからな。
この家を探検し放題だぜ。
俺はこの家の隅々まで見て回った。
幾つかある部屋の中で一つだけ、面白そうな部屋を見つけた。
高い本棚が部屋を囲んでおり、所狭しと本が詰め込まれている。
おっ、こういうのだよこういうの。
さてさて、何があんのかな。
ワクワクしながら一冊の本を手に取り、開いてみる。
ふむふむ、なるほど。
……読めん。何も分からん。
魔法やドラゴンに胸を躍らせていたが、文字が読めなきゃどうにもならない。
父に聞いてみるか?
いや、こんな歳から本に興味を持ってたら変に思われるかもしれない。
やめとこう。
……よし、何とか自分で頑張って読んでみるか。
この体ならイケる気がする。
まあ、わかんなかったら諦めればいいしな。
とりあえずやってみよう。
そう思い、本の解読に取り掛かった。
-----
数日で読めるようになった。
挿絵とかが多かったのと、やはり、日本語にかなり似ていたこともあり、何とか最後まで読み切った。
本にはこの世界のことが載っている、いわばガイドブックのようなものだった。
魔法や冒険者、魔物など、ワクワクする単語がいくつも書いてある。
まさに異世界!って感じだ。
興奮してきたぜ。
異世界と言ったらまずは魔法だろ。
どうやったら使えんのかな。
とりあえずなんか叫んでみるか。
そう思い外に手を向けて叫んだ。
「ファイアボール!」
……何も起きない。
そういうもんじゃないのか。
厨二病みたいで小っ恥ずかしいな。
……うーんでも使い方が分からないんじゃどうしようもないよなぁ。
どうしようか……
あの書斎で魔法についての本がないか探してみるか。
あそこなら何かあるかもしれん。
そう思い、あの部屋に行った。
椅子を使い、それらしき本がないか探していると──
『攻撃魔法 初級~上級編』……多分これだな。
ページをめくりながら情報を整理していこう。
まず、魔法は大きく分けて二種類ある。
攻撃魔法か防御魔法、この二つだ。
どんなものかというと言葉の意味そのままで、攻撃するか守るかだ。
治癒魔法や召喚魔法もあるらしいが、それには魔法陣やスクロールが必要になってくるので、あまりメジャーではないらしい。
……思ったより不便だ。
魔法って言ったら空飛んだり、物浮かしたりするもんじゃないのか?
あんまり日用的ではないな。
次に、魔法を使うには詠唱や魔法陣が必要らしい。
さっきも言ったが、治癒魔法と召喚魔法は
魔法陣やスクロールが必須。それ以外だと、詠唱か魔法陣のどっちかで使うことが出来るそうだ。
だが、ごく稀に無詠唱で魔法を使える者もいるらしい。
そういうのは『天から授かりし者』と大昔の人は呼んでいて、
今は略されて『天者』と呼ばれるらしい。
サッカーかよ。
まあ存在自体はかっこいいから名前には目を瞑ろう。
次、魔法を使うには魔力を消費する。
まあこれはよくあるやつだな。
いわばMPと同じだろう。
体内の魔力を消費し切ると気を失ってしまうらしい。
そのため、魔法を使うときには必ず誰か一人を隣に置いとかなきゃ危険だそうだ。
この家の中で気を失っても特に問題はないだろう。
俺が使う時は一人でいいや。
最後に、魔法をうまく扱えるかどうかは生まれつきの才能で決まる。
……ちょっと待って?
ここにきて俺が使えない可能性が出てきたんですけど。
もぅマヂ無理。。。転生しょ。。。
いやいや諦めるにはまだ早い。使ってもいないんだから。
弱音を吐くのは俺に才能があるのか確認してからだ。
ちなみに、この情報は最近になってわかったらしい。
以前までは魔力量が生まれつき決まると言われていたが、アレス=ディスタスという人物が、生まれたときに決まるのは魔法の才能で、魔力量は鍛えれば増える、という事を世間に公表したそうだ。
それにより、魔道具や魔法陣の研究が以前よりも盛んに行われることになったらしい。
魔道具は魔力を流すだけで誰でも使えるからだ。
こんなとこかな。
よし、まずは試してみるか。
そう思い、片手を肩の高さまであげたその時。
「ハリー? どこにいるの? 出てきて?」
まずい。母が探しにきた。
辺りがすっかり暗くなってしまっている。
夢中になってて気づかなかった。
今日はこのくらいにしとこう。
続きは明日で。
本を元の位置にもどし、母のもとへ向かった。
あれ……まずい。気を失ってたのか。どれくらい寝てたんだ? それに……あのドラゴンは?
「起きたわ! よかったぁ……」
ぐえっ。苦しい。
そんなに強く抱き締めなくても俺は逃げないですよ……
「お、おい。そんなに強く抱き締めない方がいいんじゃないか?」
「あなたはもっとこの子の心配をして!」
「えぇ……」
同情するぜ。パッパ。
それにしても、さっきのあれは一体何だったんだ?
夢にしちゃ、リアルすぎた。
見間違い……なのか?
窓の外をもう一度見てみたが、あのドラゴンの姿は消えていた。
母は心配そうに俺を見て言った。
「やっぱり治癒魔法かけてあげた方がいいんじゃないかしら」
「いや、大丈夫だろう。驚いて気を失ってただけだ」
治癒魔法……普段なら鼻で笑うような事だが、さっきのを見せられちゃ、信じざるを得ない。
「うーん……」
母は不服そうな顔をしたままだが、父は俺のことをそっと抱き上げた。
「ほら、ハリー。そこにいると危ないから、今日はもうベッドに行こうか」
もし、さっきのが夢なんかじゃなく、現実のものだとするなら。
ここは地球ではない、別の世界──
異世界だ。
-----
二歳になった。
足腰がしっかりしてきて、歩くことが出来るようになり、普通に喋っててもおかしくない歳になった。
異世界だとわかったがこの赤ん坊の体じゃ何もできない。いつもと変わらない平凡な毎日だった。
昨日まではな。
歩けるようになったのなら別だ。
なにせドアが開けられるようになったからな。
この家を探検し放題だぜ。
俺はこの家の隅々まで見て回った。
幾つかある部屋の中で一つだけ、面白そうな部屋を見つけた。
高い本棚が部屋を囲んでおり、所狭しと本が詰め込まれている。
おっ、こういうのだよこういうの。
さてさて、何があんのかな。
ワクワクしながら一冊の本を手に取り、開いてみる。
ふむふむ、なるほど。
……読めん。何も分からん。
魔法やドラゴンに胸を躍らせていたが、文字が読めなきゃどうにもならない。
父に聞いてみるか?
いや、こんな歳から本に興味を持ってたら変に思われるかもしれない。
やめとこう。
……よし、何とか自分で頑張って読んでみるか。
この体ならイケる気がする。
まあ、わかんなかったら諦めればいいしな。
とりあえずやってみよう。
そう思い、本の解読に取り掛かった。
-----
数日で読めるようになった。
挿絵とかが多かったのと、やはり、日本語にかなり似ていたこともあり、何とか最後まで読み切った。
本にはこの世界のことが載っている、いわばガイドブックのようなものだった。
魔法や冒険者、魔物など、ワクワクする単語がいくつも書いてある。
まさに異世界!って感じだ。
興奮してきたぜ。
異世界と言ったらまずは魔法だろ。
どうやったら使えんのかな。
とりあえずなんか叫んでみるか。
そう思い外に手を向けて叫んだ。
「ファイアボール!」
……何も起きない。
そういうもんじゃないのか。
厨二病みたいで小っ恥ずかしいな。
……うーんでも使い方が分からないんじゃどうしようもないよなぁ。
どうしようか……
あの書斎で魔法についての本がないか探してみるか。
あそこなら何かあるかもしれん。
そう思い、あの部屋に行った。
椅子を使い、それらしき本がないか探していると──
『攻撃魔法 初級~上級編』……多分これだな。
ページをめくりながら情報を整理していこう。
まず、魔法は大きく分けて二種類ある。
攻撃魔法か防御魔法、この二つだ。
どんなものかというと言葉の意味そのままで、攻撃するか守るかだ。
治癒魔法や召喚魔法もあるらしいが、それには魔法陣やスクロールが必要になってくるので、あまりメジャーではないらしい。
……思ったより不便だ。
魔法って言ったら空飛んだり、物浮かしたりするもんじゃないのか?
あんまり日用的ではないな。
次に、魔法を使うには詠唱や魔法陣が必要らしい。
さっきも言ったが、治癒魔法と召喚魔法は
魔法陣やスクロールが必須。それ以外だと、詠唱か魔法陣のどっちかで使うことが出来るそうだ。
だが、ごく稀に無詠唱で魔法を使える者もいるらしい。
そういうのは『天から授かりし者』と大昔の人は呼んでいて、
今は略されて『天者』と呼ばれるらしい。
サッカーかよ。
まあ存在自体はかっこいいから名前には目を瞑ろう。
次、魔法を使うには魔力を消費する。
まあこれはよくあるやつだな。
いわばMPと同じだろう。
体内の魔力を消費し切ると気を失ってしまうらしい。
そのため、魔法を使うときには必ず誰か一人を隣に置いとかなきゃ危険だそうだ。
この家の中で気を失っても特に問題はないだろう。
俺が使う時は一人でいいや。
最後に、魔法をうまく扱えるかどうかは生まれつきの才能で決まる。
……ちょっと待って?
ここにきて俺が使えない可能性が出てきたんですけど。
もぅマヂ無理。。。転生しょ。。。
いやいや諦めるにはまだ早い。使ってもいないんだから。
弱音を吐くのは俺に才能があるのか確認してからだ。
ちなみに、この情報は最近になってわかったらしい。
以前までは魔力量が生まれつき決まると言われていたが、アレス=ディスタスという人物が、生まれたときに決まるのは魔法の才能で、魔力量は鍛えれば増える、という事を世間に公表したそうだ。
それにより、魔道具や魔法陣の研究が以前よりも盛んに行われることになったらしい。
魔道具は魔力を流すだけで誰でも使えるからだ。
こんなとこかな。
よし、まずは試してみるか。
そう思い、片手を肩の高さまであげたその時。
「ハリー? どこにいるの? 出てきて?」
まずい。母が探しにきた。
辺りがすっかり暗くなってしまっている。
夢中になってて気づかなかった。
今日はこのくらいにしとこう。
続きは明日で。
本を元の位置にもどし、母のもとへ向かった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。
なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと?
婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。
※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。
※ゆるふわ設定のご都合主義です。
※元サヤはありません。
ワールドエンド 異世界ループを抜け出すには
husahusa
ファンタジー
――幾度となくループしている。
異端者の集まり、と噂されている傭兵集団「オメガ」。
「オメガ」に所属する主人公ベルはある日、「ノースク」という南方の国から戦争の協力依頼を受ける。
意気込んで受けたそれは、ベルや仲間たちの運命を大きく揺るがすことになる特異点事象(シンギュラリティ)であった。
これは無限ループから抜け出す為、奮闘する者達を描いたディストピア異世界SFファンタジー。
あなたは理解するだろう。
この世界は――
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
ネタバレ異世界 ~最強チートスキル【心を読む】で第一話からオチを知ってしまった生ポ民の俺が仕方なくストーリーを消化して全世界を救う件について
蒼き流星ボトムズ
ファンタジー
伊勢海地人(いせかいちーと)は、異世界でチート無双する事を夢見る生活保護家庭の貧民。
ある日、念願の異世界行きを果たした彼が引き当てたスキルは、他者の心を読む能力だった!
【心を読む】能力が災いして異世界に飛ばされる前から世界観のネタバレを食らったチートは、やや興ざめしながらも異世界に挑む。
戦闘力ゼロ、ルックスゼロ、職歴ゼロの三重苦をものともせずに【心を読む】ことでのみ切り抜ける新天地での生活。
解体屋、ゴミ処理業者、ヤクザへの利益供与、賞金目当ての密告と社会の底辺を軽やかに這いずり回る。
底辺生活系異世界冒険譚。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
最強国家ミレニアム ~人間の人間による人間のためのダンジョン~ 転移先の王女様に殺されそうになったので国を奪って平和な国を目指します
周(あまね)克(まり)
ファンタジー
高校の修学旅行で乗っていた飛行機が墜落し、死を覚悟した主人公たちは突如として謎の光に包まれ異世界へと転移する。
主人公の今泉千歳は、皆が人類にとって希少で強力な職業を持つ中、なぜか一人だけ人類の敵であるダンジョンマスターという職業に就いてしまうが、ダンジョンマスターのスキルでその国の都の支配権を獲得し、共に異世界に転移してきた者たちと、平和な国を目指して圧倒的チート能力で他国を蹂躙するお話
両親が勇者と魔王だなんて知らない〜平民だからと理不尽に追放されましたが当然ざまぁします〜
コレゼン
ファンタジー
「ランス、おまえみたいな適なしの無能はこのパーティーから追放だ!」
仲間だと思っていたパーティーメンバー。
彼らはランスを仲間となどと思っていなかった。
ランスは二つの強力なスキルで、パーティーをサポートしてきた。
だがそんなランスのスキルに嫉妬したメンバーたちは洞窟で亡き者にしようとする。
追放されたランス。
奴隷だったハイエルフ少女のミミとパーティーを組み。
そして冒険者として、どんどん成りあがっていく。
その一方でランスを追放した元パーティー。
彼らはどんどん没落していった。
気づけはランス達は、元パーティーをはるかに凌駕していた。
そんな中、ある人物からランスは自身の強力なスキルが、勇者と魔王の固有のスキルであることを知らされる。
「え!? 俺の両親って勇者と魔王?」
ランスは様々な争いに次々と巻き込まれていくが――
その勇者と魔王の力とランス自身の才によって、周囲の度肝を抜く結果を引き起こしてゆくのであった。
※新たに連載を開始しました。よければこちらもどうぞ!
魔王様は転生して追放される。今更戻ってきて欲しいといわれても、もう俺の昔の隷属たちは離してくれない。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/980968044/481690134
(ページ下部にもリンクがあります)
森に捨てられた俺、転生特典【重力】で世界最強~森を出て自由に世界を旅しよう! 貴族とか王族とか絡んでくるけど暴力、脅しで解決です!~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
事故で死んで異世界に転生した。
十年後に親によって俺、テオは奴隷商に売られた。
三年後、奴隷商で売れ残った俺は廃棄処分と称されて魔物がひしめく『魔の森』に捨てられてしまう。
強力な魔物が日夜縄張り争いをする中、俺も生き抜くために神様から貰った転生特典の【重力】を使って魔物を倒してレベルを上げる日々。
そして五年後、ラスボスらしき美女、エイシアスを仲間にして、レベルがカンスト俺たちは森を出ることに。
色々と不幸に遇った主人公が、自由気ままに世界を旅して貴族とか王族とか絡んでくるが暴力と脅しで解決してしまう!
「自由ってのは、力で手に入れるものだろ? だから俺は遠慮しない」
運命に裏切られた少年が、暴力と脅迫で世界をねじ伏せる! 不遇から始まる、最強無双の異世界冒険譚!
◇9/25 HOTランキング(男性向け)1位
◇9/26 ファンタジー4位
◇月間ファンタジー30位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる