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第一章

第5話 ヨツバさがし

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   とりあえず、ヨツバが行方不明になりました。
   嘘をつくだけで、ここまでになるとは、思わなかったちょっと苦手そうな物を食べさせようとしただけなのに。
   ヨツバを探さないと。 どこにいるんだろう、ヨツバ行けそうな場所、行きそうな場所は全て行った。この階は全て探した。階段を走り降りて、他の階に行ったとは、考えづらい、エレベーターもあるけど、ボタンまで手が届かない。

「なんじゃ?そんな慌てて、困った事でもあるのか?ブラッティ様なら、こんな慌てふためかん。」
「ローズ、そっちから話しかけて来るとか、珍しいじゃん 」
「てか、ブラッティも慌てふためくだろ… 」

   ローズは一応魔王城にいる科学者だけど、俺に対してだけツンツンしてると言うか、俺が魔王になる前に魔王だったブラッティを崇拝していて、俺が魔王なのが納得いってない。もう10年も前に死んでるのに。

「ふん!ちょっとアホらしくしてたから、手貸したくなっただけじゃ!」
「マジ?!助かる!ヨツバがいなくなったんだけど、見え覚えない?」
「魔王何だから、馴れ馴れしくするな!そもそも、お主!若すぎるのじゃ!魔王って言うのは、大体300歳ぐらい経験豊富なお爺さまがすべきなのじゃ!」

   すごい饒舌。体が子供みたいだからダダ捏ねてるみたいで可愛い。ヨツバには及ばないけど。

「まぁ、教えてやろう。わんこならテラスから飛び降りたのじゃ!!あれは死んでるな!!死体は実験させろ!」
「え?!テラスから……ちょっと行ってくる… 」
「ちょ、お礼言わんかい?!!」

   ローズの事を信じて、テラスの方に向かう。
   ちょっと残酷でヤバいけど、それは俺も変わらない。基本的にモニウやヨツバ以外は、基本信じていない。
   だけど、今は別、もしかしたら本当にいるかもしれない。

「いない… 」

   落ちてなくて怪我してなくて、良かった何て、少し安心した。

「え、足跡?あっちの方に?」

   城の中に居てくれるって思ったけど、そんな事はなかった。
   今は人の姿のヨツバだけど、初めてあった時はわんこ。わんこの姿に戻ってテラスから飛び降りた可能性がある。正直、その線を信じて、降りる事もできる。
   あの、足跡、ヨツバの物と信じて、降りてみてみる事にした。

「シープブランケット… 」

   地面にふわふわな布団を出し、痛みを吸収させたお陰で高い所から降りても痛くはない。
   ここからが本番。この足跡を追って行けば、きっといる。城にわんこは、ヨツバしかいないから。なのに。

「全然見つからない…!」

   ヨツバの犬だった姿を完璧に思い出しているかつ、もう2キロも探しているのに、 ほんとに何処にいるんだろう。
   そういえば、あの足跡、子供のヨツバにしては、大きすぎた気が、もしかしたら別の場所にいるのかもしれない。
   1回、城に戻って整理してみよう。 ころを気にヨツバが犬から人になったのも少し気になるし。

   グルグルゥゥゥゥ…ガァ!!

「はぁ…またお前、俺の事脅かそうとか、襲おうとしたって意味ないよ 」
「オーカミさん。」

   まったく怖くないオーカミさんが襲ってきた。怖くないというより何回も俺の前に現れ、食おうとしてくるから、もうとっくに慣れ、死なない程度に返り討ちにしようとした。       
   その時に小さな服が目に入った。白いシャツに黄緑のリボン、サスペンダーズボン、靴下も靴も何もかもヨツバと同じ。これって、オーカミが食べたのではないか何て頭が勘ぐってしまう。

   ガルゥゥゥゥゥ…!

「ねぇ 教えてくれる?お前は小さい男の子を殺したりした?」
「オーカミだから、答えられないか。中見て見よっか?見れば分かるよ。しかも、まだお腹の中なら生き返らせれるんだよね、オーカミさん。死のっか、」

   ガルゥゥ………

「大丈夫だよ。食べてなかったら生き返らせてあげるからねぇ 」

   パチッ

   俺が1回、指を鳴らした途端オーカミさんが倒れ込む。
   これは魔法の1つ、瞬時に生死を操る魔法で俺しか使えない。
   さて、お腹の中開けて見るか。少しグロくて気持ち悪いけど、ヨツバがいるって考えれば大丈夫。これぐらい。

「オープン。」

   オーカミさんのお腹を少しづつ開く。
   中にヨツバはいない。

「生き返っていいよ。」

   オーカミさんは生き返ると、逃げるように走って行った。前々からこうしてれば良かったな。そしたら、何回も襲われなかったのに。
 
(食べられてはなかったって事でヨツバ探すか、)

   キャンキャンキャン!

(えっ?この鳴き声ってヨツバと会った時の… )

   キャンキャン!

(ヨツバ、ヒントくれたんだ… )
(こっちだ……!)

   ヨツバ、待っててね。きっと怖がってるはずだから。鳴き声だって、助けを求めてるはず。

「ヨツバ、シキ、ヨツバの呼び方ならまおーしゃだよ。一緒に魔王城に帰ろ、」
  (俺の声が聞こえれば、)

   ガルゥ……

  (ヨツバ?、えっ?)

   目の前に来たのは、フェンリルだった。比較的身長が高い(180cm越え)の俺の10倍はあるデカめの体に触りたくなるもふもふで強い魔族、ヨツバは、たしかにわんこだけど、あくまでわんこ、ヨツバが凶暴なフェンリルなはずはない。
   怖いとかではない。ただ魔法で殺してしまうかもしれないのが、怖いだけ。

   ガルゥ……

   ヨツバぽいフェンリルだって、戦う気ない様だし、折角なら、ここでヨツバに嘘をついた事を謝る練習でもしようかな。

「ふぅ。ヨツバ、嘘ついて嫌な物食べさせてごめんなね。フフっ、俺好き嫌いされるの苦手でさ、ヨツバなら、頑張れるって思ったんだ、でも無理だったみたいだね。ヨツバ食べれてえらいえらい……!」
「ねぇ!まおーしゃ!なにいってるの?」
「ヨツバ?」

   明るく、可愛い男の子の声が聞こえた。間違いなくヨツバの声、フェンリルのままだけど、ヨツバの、可愛さ、素直さ、元気なのは分かる。

「うん!よつばもいなくなってごめんね!にがて、たべれるようにがんばる!」
「ヨツバ一緒に帰ろ 」
「うん!」

   犬の散歩してるみたいでフェンリルのヨツバと一緒っていうのも楽しい、ていうか可愛い。これなら週に1回ぐらいフェンリルになってほしいな、もふもふに癒されるために!握ってる肉球の触り心地も最強。
   ただ、後ろから何か着いて来てるのが、気になるけど。

「まおーしゃ、せなかのって?はなれよ 」
「ヨツバの背中に?たしかに今は大きいけど… 」
「よつばね!こわいの!」
「はぁ、分かった。またがる感じでいいの?」
「まおーしゃ!はしるよ!」
「おっけ!」

   さっきまでとは、思えないほど速い正直、歩いた方がたくさん可愛いを見られるけど、いいか。
   それに、ヨツバがここまで怯えて城に戻ろうとするのも珍しい。今の顔だって、どこか不安そう、警戒しているような感じがする。
   このまま行けば、3分以内には、魔王城に着きそう。何もなければ。

「えっ?ヨツバ?速いって、速いすぎるよ!」
「こわいの!うしろ!うしろ!」
「え?」

   オーカミさん、何かあったのかな。すごい追っかけて来てる。
   さっき一瞬殺した事恨まれたりしてる。だとしたら、少し悪いかも。ごめん。

「まおーしゃ!!」
「ちょっと、もっと速くなってるって!」
「ヨツバ!このままじゃ、壁に?!」

   よっぽど逃げきりたいのは分かってても、このままでは、確実に魔王城の壁、突き破るか激突して怪我する、だから、止めなきゃ行けないのに、何回話しかけても聞いてくれない。こんな事初めてだよ。

「ヨツバ、無視しないで危ないって!」
「もっとゆっくりと!」

   何を言っても無視する。
   それなら、俺も相応の処置を取った方がいいかも、やるとするなら、ヨツバが痛く感じないように、驚かないように、完璧な処置をする。
   まずは、追って来ているオーカミさんを消そうかな、俺が悪いのに、ヨツバに八つ当たりするのはダメだよ。

「ヨツバ、ちょっとびっくりするかもね。」
「フフ、オーカミさん。何しているの?ボクのカワイイヨツバ襲おうした?食ってないってお前らの事安心したんだよ。ヨツバを怖がらせたバツ。えぇ?もう1回死ぬ?ボクは気乗らないけど、しょーがないよねー!大丈夫だよ。たぶん絶対生き返らしてあげるから。」
「逃げてっちゃった。トドメさせなかったかったなぁ 」

   オーカミさんの排除完了。ここからは、ヨツバを安心させる所。だと思っていた。

「ヨツバ、大丈夫だよ。」
「まおーしゃ!こわい!あのね、ちょっとかわいそーだった… 」
「アハハ…たしかにそうだったかも。ごめん、俺ヨツバが心配で大好きだから、」
「うん、」
「帰って来たよ。疲れたでしょ?たくさん休も 」
「わかった!あそぼ!」
「ヨツバ、えらい、えらい 」

   人間の姿になった眠っているヨツバを抱き上げ、城の裏口から入った。ほんの少し前まで、あんなに遊びたがってたのにね。可愛い。

「ほぉ、わんこを生きて見つけたのか、良かったのう。死んだら、死んだで死体を実験したかったがな。」
「また言ってる…ローズもヨツバと今度遊んでみる?きっと浄化されるよ、俺みたいに。」
「興味ない!わしは、実験と死体以外は知らん!」
「はいはい、俺は明日のために寝るからおやすみ。」

   明日は、ヨツバの事も少し調べたいしね。



   









   





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