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第一章

第3話 シキはまほうのおいしゃさん?

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   まずは、子供服屋に来た。 
   今のヨツバは虐待を疑われるようなボロ布を服の形に加工した何かを着ている状態、それじゃ冬は寒いし、奴隷とか勘違いされるかもしれない、それにヨツバは可愛いのにボロ布よりももっと似合う物があるはずだし。
     ヨツバはいうと、大きな棚の前にウロウロしたり、キラキラした可愛い服に囲まれてキョロキョロしたりしている。
 
 「ヨツバ、着たいふくとかあった?」
 「ん?まおーしゃきーめて!」

    たくさんの服の森の中から、出てきてにっこり笑った。

 「えぇ、どれにしよーかなー? 」

   ヨツバなら、どんな服でも似合いそう何だよなぁ、とりあえず、この白いシャツにヨツバと同じ目の色のリボンを胸元に付けて、茶色いズボン、この組み合わせが可愛い気がする。

「ヨツバ、これ着てみよっか、」
「うん!」

   近くの試着室に来た。

「ヨツバお着替えできる?」
「えっーとね、」
  
   そもそもヨツバの着ている服とも言いづらいボロ布なので、脱ぐのは数秒で出来たが、ヨツバは着る事が、まだ出来ないようで、ヨツバのお着替えを全てやった。
    
「うわぁ、まおーしゃ!ありがとう!」
「どーいたしまして、」
「そうだ!ヨツバ他にも着てみない?」

   もっとヨツバの可愛いが見てみたい。
   そう思いながら、他の服もヨツバと見て回った。
   さっき着てみたシンプルかつしっかりした雰囲気の服も良いけど、 ダボッとしたパーカー、ゴスロリも似合いそう、そんな感じでヨツバに似合いそうな可愛い服を詰め込み、再び試着室へ来た。
  
   (さぁ、ヨツバファッションショー始めるよ)
 「ヨツバ、まずはこれ着てみよっか!」
 「うん!」
 「どう?」
 「うわ、めっちゃ似合ってる!でも、ちょっとサイズ大き過ぎたかな、」

   元々、そういうオーバーサイズの服なのかも知れないが、にしてもヨツバには大きすぎてワンピースみたいになっている。 
   可愛くて、このまま買いたいけどヨツバが動きずらそうでかわいそう、そこも見ていたい所を我慢し、少し小さいサイズのを持ってきて着せた。
   ヨツバは動きやすくなったのか、少しぴょんぴょん跳ねたり、少し動いてみたり気持ちよさそうにしている。

「ヨツバ、これも買う?」
「うん!」
「じゃあ!今来てるの脱いで、このカゴに入れてみて、」

   少しヨツバをためしたくなり、少しやってあげたい気持ちを抑え、 着替えとお買い物をさせてみた。

「え、えっーと、できた!」
「エラいねぇ!またクレープ行きたい?」
「えへへ、いきたい!」
「今度行こっか、」
「うん!」

   その後、お会計を済ませ、ヨツバの手を引き魔王城へ帰る事にした。 初めてのお出かけでヨツバも疲れているだろうし。

「ヨツバ、もう帰ろっか、」
「まおーしゃ、おきがえしないの?」
「また今度ね、ヨツバ疲れてるでしょ?」
「うーうん!へーき!だいじょーぶ!!」
「ぴょんぴょん!!る~んるん!」
「ヨツバ、落ち着いて、ケガとかしちゃうよ、」

   元気な事を伝えたいのか、ぴょんぴょんしたり、新しい服を着てくるっとターンしたりしていたヨツバを心配し、肩に手を置いた時、ヨツバは転んだ。
 
  ストン!

「ん、ん、うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!???」 
「大丈夫か?!ヨツバ?痛いの?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!??」
「えっーと、痛いの痛いの飛んでいけぇ、!」

   痛くて泣いているヨツバを慰めようと、とりあえず優しい笑顔で微笑んだりしても、ヨツバには全く効いていない。
   オマケに今は絆創膏みたいな物は持ってきていない。
   一応、魔法で治す事も出来るが、ここではまだ魔法は浸透していない。非現実の存在だから使いづらい。
   たしか、近くに薬屋があったけど、それも徒歩10分ほど掛かる。10分も痛い思いをさせるぐらいなら、魔法を使った方が早い、なら、まずはトイレにでも行く。個室なら魔法を使ってもバレないと多目的にトイレに連れてきて、便器に座らせる。

「ヨーツバ!今からどんな痛みも治っちゃうふしぎな魔法をかけてあげる!」
「ん、ん、」
「涙がまんできてエラいよ、もうちょっとだからね」
「ワン!ツー!スリー!痛いの痛いのぉ!飛んでいけぇ!」

   魔法をかけた途端、みるみるとヨツバの膝の傷が消えた。

「いたくない!すごい!!」   
「よかったぁ!いたくなったらいつでも、言ってね、」
「うん!」

   元気になったヨツバと一緒に、大人服のお店に行った。
   さっきヨツバはお揃いしたいらしい、ちょぅとだけ恥ずかしくはあるけど、俺なら何でも似合うか、顔はイケメンだし。
   しかも、今着てるのは、俺が1番最初に選んだシンプルな服。胸元のリボンを外して、半ズボンを長ズボンにすれば大人でも着れる。
   そんな感じでコーディネートした。本当はリボンは無しにするつもりだったけど、合いそうなネクタイがあったので、付けてみた。

「まおーしゃとおんなじうれしい!かっこいい!」
「ありがとう、買ってくるね、」

   レジを通した後、さっきまで着ていた服を袋にしまい、新しいヨツバとお揃いの服を着て、改めて魔王城に帰った。

「ただいま~!」
「ただいま、」
  (うわぁヨツバ、俺の真似して言ってるのかわいいよ、ほんと)

   2階から下りてきたモニウは洗濯物を積んでいた事もあり、階段から落ちた。

「お、おかえりなさい!まおーさまっって、うわぁ!!」
「大丈夫?」
「いてて、心配しないでくださいね、」

   モニウは元気に立ち上がろうとする。明らかに痛そう、尻もち付いてるし、モニウは俺の事心配する暇あるなら自分の心配すればいいのに。

「無理しないでよぉ?」
「いやいや、オレはまおーさまをお守りするけふ下僕みたいなもんですよ、心配かけませんからね!」

   ホコリを払うモニウにヨツバが走って近寄り、元気に笑った。

「ねね!おねーしゃいたそう、まおーしゃにいたいのとんでけって、してくれるからだいじょーぶ!」
「だから、オレ男ですけどね」
   
   もう可愛すぎる、そうやって笑顔で居てくれるだけでも嬉しいのに、オマケに期待までしてくれる何て好きすぎる。何回でも魔法使っちゃうよ。

「うん!モーくんのけがも俺がとんでけぇ!ってしちゃうからね~!」
「何ですか?すっごい子供扱いされてる気分なんですが、」
「俺からしたら、モーくんは可愛い子供だけど?」
「オレとまおーさま、1歳差ですけどね」
「いいから!いいからっ!今から魔法かけるよ。」
「はいはい、わぁすごいすご~い」

   モニウからしたら子供扱いは、気がかりだったのか不機嫌そうに落ちた洗濯物の山の上に座った。
   俺は指を1振りし、呪文を唱える。

「ヨツバも言ってみる?」
「いってみる!」
「せーの!」

   ひと息吸い、とびっきりの最高の笑顔をヨツバとモニウに見せる。

「ワンッ!」
「つー!」
「「スリー!」」
「「いたいのいたいのぉ!とんでいけぇ!」」
「たのしい!おねーしゃ?とんでった?」
「治りましたよ、」

   楽しそうにしてる、ヨツバが楽しんでる可愛い所も見れてモニウのケガも治る。一石二鳥。呪文を言うのも楽しいし、また起こっちゃってもいいな。

「当たり前でしょ?俺とヨツバの魔法なんだから!」
「えっへん!」
  
   いばってるヨツバも可愛すぎる、ただ俺と一緒に呪文言っただけで魔法の効果は一切無くても、 言うだけで心を癒せるから、実質最強100点満点だよ。
   ずっとこんなヨツバを見ていたい。

「オレ夜ご飯作ってきますね、」
「作らないで、」
「えっ?」

   夕飯を作りにキッチンに行くモニウを俺は引き止める。

「モニウ、俺がご飯作るから、もう仕事しなくていいよ 」
「まおーさま、今日はまおーさまの大好物を作るつもりだったのに、いいんですか?召し上がらなくて、」
「いい、ヨツバのご飯は絶対に俺が作りたい。」

   モニウのご飯は本当に美味しいし、大好きだけど、それよりもヨツバには、俺が愛をたっぷり込めて作った物を食べさせてあげたい。何て思っただけ。だって俺、パパ兼お兄ちゃんだから。

「まおーさまが言うなら、オレは大人しく座ってまってます、」
「いやぁ、まおーさまの料理楽しみですぅ 」

   モニウは首にエプロンを締めて、食卓に座った。
   正直、少し早い気がするけれど、それくらい楽しみにしていると考えれば、嬉しい、まぁ今のモニウみたいに俺が夕飯作り終えるまで、わくわくしながら待つみたいな事は出来ないけどね。
  
「モーくん!ヨツバにぴったりな家具作ってくれない?」
「俺はヨツバと夕飯の買い出し行くから 」
「あ、はい、まおーさま」
「デザインはクローバー取り入れた可愛い感じでっ!」
「はい、やってみます 」
   (楽しみだなぁ、モーくんは、手先も器用なおかげで最強の俺の部下だよぉ)

   俺は、ノーブルルキーとお財布がお気に入りの黒のショルダーバッグを肩にかけた。

「さ、ヨツバよるごはんの買い物行くよ!」
「うん!」
「こういう時は、いってきます!って言うんだよ 」

   相変わらず、俺が言った事にほとんど『うん!』で返す事か多いヨツバに見本としてモニウに手を振りながら、新しい挨拶を教えた。
   
「いってきまぁす!」
「いってらっしゃい、まおーさま!」
「こんな感じで言うと、いってらっしゃいって返してくれるんだ!ヨツバもやってみて!」
「やってみる!せーの!」
「おねーしゃ!いってきまぁす!!」
「ヨツバくんもいってらっしゃい、」



    




     





    

         
     



     



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