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二章 御伽の国
51 オリハルコンとヒヒイロカネ
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「なるほど。黒ドワーフは帝国の中でのドワーフの権力を維持したい種族で、白ドワーフは権力に興味がない種族ってことでいいですか?」
「うむ」
「相違ない」
それぞれのドワーフの代表者に話を聞いていますが、二回ボコボコにされたせいかすごく大人しいです。
一回目は村のみんなに、二回目はここに連れてこられた時に私に攻撃してきたタイミングですね。傍にいたアーさんとフェンにボコボコにされてました。
この黒ドワーフと白ドワーフですが、権力に対しての意見は違えど、鍛冶師としての誇りと、金属に対する興味は同じらしく、喧嘩しながらヒヒイロカネとオリハルコンを求めてここまで来たそうです。
「儂ら白ドワーフはただヒヒイロカネとオリハルコンを打たせて欲しいだけだ」
「儂ら黒ドワーフも打たせて欲しいが、帝国以外でそれを行ってしまえば帝国内でのドワーフの権力が無くなってしまう」
ヒヒイロカネやオリハルコンを打てる鍛冶師のほとんどがドワーフですものね。帝国が権力を与えているのも納得です。
「えーと、この村で、この村のために武器や防具を作ってくれるなら構いませんよ。しっかり働いてくれるなら多少持ち帰ることも許しますし、滞在中は食事と宿も提供します」
「本当か?! それは嬉しい限りだ。よろしく頼む」
白ドワーフの人はすぐに頭を下げて、こちらの提案を受けてくれます。
「ぐぬぬ……儂らもやりたい。やりたいが……帝国内での権力が……」
黒ドワーフはかなり悩んでますね。
しばらく悩む様子を見せたところで、何かを思いついたように黒ドワーフは顔を上げます。
「そうだ、《神々の炎》がないだろう! あれがなければオリハルコンやヒヒイロカネのような金属は打てない!」
神々の炎? なんですかそれ。アーさん知ってます?
知らないみたいです。
「《神々の炎》というのは天界に存在すると言われる消えない炎のことだ。帝国にはあるが、なにせ秘宝と呼ばれるものだからな……」
残念ながら、この村にはその《神々の炎》というものはありません。
「やはり、ないのだろう! では、帝国に持ち帰って作るしかなーー何してる?」
天界にあるって聞いたので、天界のことをよく知ってる人を呼んでます。
「……なんだよ」
鳥の天使、アラエルさんです。私には冷たいですが、アーさんがいるからか渋々答えてくれます。
「《神々の炎》? これのことか?」
アラエルさんの手元には白い炎が浮かんでいます。
ドワーフさんたちは顎が外れるんじゃないかと言うほど、いいリアクションを見せてくれていますね。
「これがどうしたんだ?」
「鍛冶で使いたいんですけど、大丈夫ですか?」
「……こんなものでいいなら勝手にしろよ」
そういってアラエルさんは火をアーさんに投げつけて去っていきます。ありがとうございます、アラエルさん。
「はい。あと必要なものはありますか?」
「……な、ないはずだ」
白ドワーフさんが何とか正気を取り戻して答えてくれました。
「黒ドワーフさん、まだ文句がありますか?」
「……」
返事がありません。あまりの衝撃に意識が戻らないみたいです。
どうしようかと迷っていると、白ドワーフさんが黒ドワーフさんの頭を掴んで床に叩きつけます。そさて自分も頭を下げました。
すごい音がしましたが大丈夫ですか?
「すまんかった。儂らはただヒヒイロカネとオリハルコンを打たせて頂きたいだけ。こやつらにも文句は言わせん。どうか、受け入れて欲しい」
白ドワーフさんが代表して場をまとめようとしてくれています。
「……わかりました。大丈夫ですよ。あ、ただ村の鍛冶師にも色々教えてあげて欲しいのと、見学希望者は受け入れてください」
ドワーフがいなくとも、この村てオリハルコンやヒヒイロカネを扱えるのが理想的ですからね。これでも、ちゃんと村のことは考えているのです。
ドワーフさんたちのこれからの作業場や、衣食住に関しては文官勢に任せました。暴れると困るのアーさんとアラエルさんに監視をお願いしました。
これで金属問題は解決です。
あとは完成を待ちましょう。武器や防具ができる頃には攻略メンバーの訓練も進んでいるはずです。
村に来た時はかなり物騒な展開になりましたが、ドワーフたちは鍛治師としてはとても優秀みたいですし、性格も細かいことを気にしないので、3日も経つ頃には村人たちに馴染んでいました。
お酒の消費量が凄まじいですが……これはどうにかしないと行けません。
作業は順調に進んでいるみたいで、残り1週間ほどで出来るはずです。
どんな性能の武器や防具ができるのか楽しみですね。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
予定より少し遅くなったそうですが、武器と防具が完成したみたいです。
作業場に向かいましょう……あれ? なんかすごい大きな建物が見えるんですけど、作業場があった場所って確かあそこでしたよね?
「おお、マーガレットのお嬢。来たか」
「白ドワーフさん。ここ、どうしたんです?」
「狭かったんでな。少し弄らせてもらった」
少し? 簡易的な屋根しかない作業場だったのに、工房になってますね。炉も増えてますし。
中に入ってみると、黒ドワーフも白ドワーフも関係なく完成品の調整をしてるようです。
初日の仲の悪さはどこへいったんでしょう……。
「硬さが売りのオリハルコンは防具に、しなやかな強さを持ったヒヒイロカネは武器にした。いま、試してもらいながら最終調整を行っている」
外では攻略メンバーがそれぞれの武器を試していますね。
アダムは特に近接戦闘はしないので武器を持ってはいません。目立つのはヤニムの剣と、バレンタインの槍ですね。
「ヤニム、新しい武器はどうですか?」
「すげぇ手に馴染みます。だけど木の的だと簡単に斬れるから切れ味がよく分からなくて」
そういってヤニムが木の的に剣を当てると、なんの抵抗もなくするするっと木の的が切れていきます。
切れ味、良すぎません? うっかり落としたりしたら大惨事になりそうです。
「的……じゃあ、これなんかどうです?」
爆会祭で使ったバカ王子の像を出します。これなら試し斬りに申し分ない硬さのはずです。
「いや……これは無理じゃないですか?」
「やってみないとわかりませんよヤニム、さぁ、切れ味を見せてください」
ヒヒイロカネという半ば伝説の金属を使った武器がどれほどの力を持っているのか、気になります。
「よーし……やってやるぜ」
ヤニムが剣を構えます。訓練の成果なのか、隙がない構えですね。ただ、戦い方の問題なのか、性格の問題なのか、どんな方向から攻撃が来ても逃げれるような構えです。
「はっ!」
ヤニムが短く声を発して、剣を振り抜きます。
おお、ヒヒイロカネの剣はあれだけ爆会で硬さを証明したバカ王子の像に、はっきりと一本の傷を残しました。
「まじかよ……すげぇ! どうなってんだこの剣!」
ヤニムがかなり興奮してます。そしてみんなも続々とバカ王子の像を的にして試し斬りしてますね。
うんうん、どの武器もいい切れ味ですね。ドワーフ達はいい仕事をしてくれました。
「防具はこれですね」
次は防具を試しましょう。とりあえず、軽く攻撃してみましょうか。
軽く身体強化をかけて殴ってみます。
えい。
「……手が痛いです」
「ガハハ、そりゃそうだ」
けど、私が殴っても大丈夫なら、強度的に問題はありませんね。
ドワーフさん、いい仕事です。
「うむ」
「相違ない」
それぞれのドワーフの代表者に話を聞いていますが、二回ボコボコにされたせいかすごく大人しいです。
一回目は村のみんなに、二回目はここに連れてこられた時に私に攻撃してきたタイミングですね。傍にいたアーさんとフェンにボコボコにされてました。
この黒ドワーフと白ドワーフですが、権力に対しての意見は違えど、鍛冶師としての誇りと、金属に対する興味は同じらしく、喧嘩しながらヒヒイロカネとオリハルコンを求めてここまで来たそうです。
「儂ら白ドワーフはただヒヒイロカネとオリハルコンを打たせて欲しいだけだ」
「儂ら黒ドワーフも打たせて欲しいが、帝国以外でそれを行ってしまえば帝国内でのドワーフの権力が無くなってしまう」
ヒヒイロカネやオリハルコンを打てる鍛冶師のほとんどがドワーフですものね。帝国が権力を与えているのも納得です。
「えーと、この村で、この村のために武器や防具を作ってくれるなら構いませんよ。しっかり働いてくれるなら多少持ち帰ることも許しますし、滞在中は食事と宿も提供します」
「本当か?! それは嬉しい限りだ。よろしく頼む」
白ドワーフの人はすぐに頭を下げて、こちらの提案を受けてくれます。
「ぐぬぬ……儂らもやりたい。やりたいが……帝国内での権力が……」
黒ドワーフはかなり悩んでますね。
しばらく悩む様子を見せたところで、何かを思いついたように黒ドワーフは顔を上げます。
「そうだ、《神々の炎》がないだろう! あれがなければオリハルコンやヒヒイロカネのような金属は打てない!」
神々の炎? なんですかそれ。アーさん知ってます?
知らないみたいです。
「《神々の炎》というのは天界に存在すると言われる消えない炎のことだ。帝国にはあるが、なにせ秘宝と呼ばれるものだからな……」
残念ながら、この村にはその《神々の炎》というものはありません。
「やはり、ないのだろう! では、帝国に持ち帰って作るしかなーー何してる?」
天界にあるって聞いたので、天界のことをよく知ってる人を呼んでます。
「……なんだよ」
鳥の天使、アラエルさんです。私には冷たいですが、アーさんがいるからか渋々答えてくれます。
「《神々の炎》? これのことか?」
アラエルさんの手元には白い炎が浮かんでいます。
ドワーフさんたちは顎が外れるんじゃないかと言うほど、いいリアクションを見せてくれていますね。
「これがどうしたんだ?」
「鍛冶で使いたいんですけど、大丈夫ですか?」
「……こんなものでいいなら勝手にしろよ」
そういってアラエルさんは火をアーさんに投げつけて去っていきます。ありがとうございます、アラエルさん。
「はい。あと必要なものはありますか?」
「……な、ないはずだ」
白ドワーフさんが何とか正気を取り戻して答えてくれました。
「黒ドワーフさん、まだ文句がありますか?」
「……」
返事がありません。あまりの衝撃に意識が戻らないみたいです。
どうしようかと迷っていると、白ドワーフさんが黒ドワーフさんの頭を掴んで床に叩きつけます。そさて自分も頭を下げました。
すごい音がしましたが大丈夫ですか?
「すまんかった。儂らはただヒヒイロカネとオリハルコンを打たせて頂きたいだけ。こやつらにも文句は言わせん。どうか、受け入れて欲しい」
白ドワーフさんが代表して場をまとめようとしてくれています。
「……わかりました。大丈夫ですよ。あ、ただ村の鍛冶師にも色々教えてあげて欲しいのと、見学希望者は受け入れてください」
ドワーフがいなくとも、この村てオリハルコンやヒヒイロカネを扱えるのが理想的ですからね。これでも、ちゃんと村のことは考えているのです。
ドワーフさんたちのこれからの作業場や、衣食住に関しては文官勢に任せました。暴れると困るのアーさんとアラエルさんに監視をお願いしました。
これで金属問題は解決です。
あとは完成を待ちましょう。武器や防具ができる頃には攻略メンバーの訓練も進んでいるはずです。
村に来た時はかなり物騒な展開になりましたが、ドワーフたちは鍛治師としてはとても優秀みたいですし、性格も細かいことを気にしないので、3日も経つ頃には村人たちに馴染んでいました。
お酒の消費量が凄まじいですが……これはどうにかしないと行けません。
作業は順調に進んでいるみたいで、残り1週間ほどで出来るはずです。
どんな性能の武器や防具ができるのか楽しみですね。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
予定より少し遅くなったそうですが、武器と防具が完成したみたいです。
作業場に向かいましょう……あれ? なんかすごい大きな建物が見えるんですけど、作業場があった場所って確かあそこでしたよね?
「おお、マーガレットのお嬢。来たか」
「白ドワーフさん。ここ、どうしたんです?」
「狭かったんでな。少し弄らせてもらった」
少し? 簡易的な屋根しかない作業場だったのに、工房になってますね。炉も増えてますし。
中に入ってみると、黒ドワーフも白ドワーフも関係なく完成品の調整をしてるようです。
初日の仲の悪さはどこへいったんでしょう……。
「硬さが売りのオリハルコンは防具に、しなやかな強さを持ったヒヒイロカネは武器にした。いま、試してもらいながら最終調整を行っている」
外では攻略メンバーがそれぞれの武器を試していますね。
アダムは特に近接戦闘はしないので武器を持ってはいません。目立つのはヤニムの剣と、バレンタインの槍ですね。
「ヤニム、新しい武器はどうですか?」
「すげぇ手に馴染みます。だけど木の的だと簡単に斬れるから切れ味がよく分からなくて」
そういってヤニムが木の的に剣を当てると、なんの抵抗もなくするするっと木の的が切れていきます。
切れ味、良すぎません? うっかり落としたりしたら大惨事になりそうです。
「的……じゃあ、これなんかどうです?」
爆会祭で使ったバカ王子の像を出します。これなら試し斬りに申し分ない硬さのはずです。
「いや……これは無理じゃないですか?」
「やってみないとわかりませんよヤニム、さぁ、切れ味を見せてください」
ヒヒイロカネという半ば伝説の金属を使った武器がどれほどの力を持っているのか、気になります。
「よーし……やってやるぜ」
ヤニムが剣を構えます。訓練の成果なのか、隙がない構えですね。ただ、戦い方の問題なのか、性格の問題なのか、どんな方向から攻撃が来ても逃げれるような構えです。
「はっ!」
ヤニムが短く声を発して、剣を振り抜きます。
おお、ヒヒイロカネの剣はあれだけ爆会で硬さを証明したバカ王子の像に、はっきりと一本の傷を残しました。
「まじかよ……すげぇ! どうなってんだこの剣!」
ヤニムがかなり興奮してます。そしてみんなも続々とバカ王子の像を的にして試し斬りしてますね。
うんうん、どの武器もいい切れ味ですね。ドワーフ達はいい仕事をしてくれました。
「防具はこれですね」
次は防具を試しましょう。とりあえず、軽く攻撃してみましょうか。
軽く身体強化をかけて殴ってみます。
えい。
「……手が痛いです」
「ガハハ、そりゃそうだ」
けど、私が殴っても大丈夫なら、強度的に問題はありませんね。
ドワーフさん、いい仕事です。
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