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そこうよへ社神櫻賽
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彼女を家へと連れて帰れば、プレゼントが待ちきれない子供のようにラッピングを乱暴に剝ぎ、その中身が欲しいと渇望のままに彼女を求めていく。
薄くて血色のいい唇を、艶めかしい舌を、細い首筋を、薄く溝が出来た鎖骨を、肉付きのある四肢を、手に収まりきらない柔らかな乳房を、細くしなる腰を、指先に力を入れれば吸い付くような弾力性のある臀部を。――『彼女』の全てを手に入れられた。
夢みたいだ――。
上がる息に止められない情欲と余裕のなくなった思考がそう告げている。ずっと変わらぬ笑みをこちらに向けている彼女は、ケイジの全てを受け入れていた。
これだけ傍に居るというのに頬を撫でる彼女の手はひんやりとして、熱に浮かされた身体には丁度良い温度だった。
伸ばされた手を取り、その手の平に口づけをすれば埋められなかった夢と現実の差異が埋められていく。――満ちる心に溢れる涙が止められない。
幸せとはこういうことを言うのだろうか――。
空虚だった心がようやく全て埋まり、彼女を抱きしめながら横に転がる。まだしばらく身体を脈打つ鼓動が落ち着く様子はなく、小さく息を切らしながら彼女の髪をかき上げた。
「――夢みたいだ」
この現実を噛み締めるように、彼女に確認した。
「夢なら、……お願い醒めないで」
彼女が願うように言葉を口にしながら、こちらの唇に指先で触れた。
「いつまでもここに居たい」
まるでずっと居られないかのような口ぶりに、思わず彼女の手を取る。――夢から醒めたときのように、またこの人が消えてしまったらと思うと不安で仕方がない。
「……どこかへ行かなきゃいけないのか?」
一瞬戸惑うような顔をしたが、穏やかで何もかもを包み込んでくれるような笑みをこちらに向けた。
「でもアナタなら、ずっと一緒にいてくれるよね――?」
もうひとつの手がそっと添えられ、期待に応えるようにケイジももうひとつの手で彼女の手を包む。
「あぁ、ずっと一緒にいるとも。――だからどこにも行かないでくれ」
懇願するようにじっとその目に訴えれば、彼女はもうひとつ笑みをこちらに贈る。ゆっくりと上体を起こそうとしたので手を離し、わずかばかりの自由を与えればこちらを見下ろしながらも、心底嬉しそうな顔をしながら小指をこちらに差し出した。
「――約束よ」
どういう意味か分からず一瞬戸惑うも、指切りを求められているということに気付く。――約束の仕方まで古風だ。
差し出された小指に自分の小指を絡めれば、頼りなげな指が愛おしい。このまま離さなくてもいいと思うが、するりと抜けるように彼女の手が離れていく。
「契りも交わしてくれた。――必ず、アナタが来てくれるのを待ってる」
「待ってるって……、一体どこで?」
彼女がここを離れる気配に疲労が圧し掛かる身体を起こそうとする。――が、思った以上に疲弊しているようで、自由に身体が動けず起き上がれなかった。
手の届かぬ距離でするすると白いワンピースを身にまとい、手にする前の姿へと戻っていく。
「待ってくれ、どこに行けばいいんだ?」
このままでは部屋から出てしまうと焦る気持ちが、虚空を掴むばかりの手に現れる。今まで彼女と巡った場所を思い出すがどれも夢の中でしかなく、決定的な場所が思いつかなかった。――どこか決定的な場所があっただろうか。
身支度が整ったのか着替える際こちらを見なかった彼女がくるりと振り返り、傍らにしゃがんだ。
「――賽櫻神社」
言い聞かせるような囁きに、パッとあの場所での記憶が蘇る。――山の中にある剥げかけた朱色の鳥居に、小石が敷かれた参道で奥にあるのは小さな神社。
あの場所へ行ったから彼女と出会うことが出来た。――そう思考が結論を出せば、全てが腑に落ちた。
「約束よ」
もう一度あの場所へ行かなければ。
「――あぁ、必ず行く」
そうだ、もう一度あの場所へ行かなければ――。
賽櫻神社≪サイオウジンジャ≫へようこそ――。
参道へ入る前の場所に蝋燭があるので、そちらをどうかご持参下さい。
火はご用意がありますので、どうかご心配なく。
足元が悪いので、くれぐれも転ばぬようお気をつけて。
参拝するのは夜、暗い時間であればあるほどご利益があります。
あなた様が望む方はどのような人でしょうか。
どうか良縁に巡り合いますように。
あの場所へ――。
いつの間にか意識が途切れていたようで、目を覚ませば部屋は暗闇だった。眠気で重い身体を起こせば、手に硬い何かが当たる。――スマホだった。用はないものの、真っ暗だった画面に明かりが灯る。
。――そこうよへ≪ャジンジウオイサ≫社神櫻賽
。いさ下参持ごかうどをらちそ、でのるあが燭蝋に所場の前る入へ道参
。くな配心ごかうど、でのすまりあが意用ごは火
。てけつを気おうよぬば転もれぐれく、でのい悪が元足
。すまりあが益利ごどほるあばれあで間時い暗、夜はのるす拝参
。かうょしで人なうよのどは方む望が様たなあ
。にうよすまい合り巡に縁良かうど
行くべき先が画面に浮かぶ。――彼女が望む場所だ。
そのままぼんやりとする頭を周囲に巡らせば、部屋には彼女がいないことが分かった。――先に行ったのだろう。
脱ぎ散らかした服を手に、着替えを済ませていく。――この身ひとつあればいい。
部屋の中を移動すれば、空のPTPシートの欠片を無遠慮に踏む。――こんな荒れた部屋に連れてきて、彼女に申し訳ないことをしてしまった。冷房だけはついていたのが幸いか。
財布の入ったカバンを身に着け、靴を履き外へ出る。――すっかり夜だ。息苦しいほどの熱気が世界に充満しており、この熱気で月すらも溶けて消えてしまったのではとつまらないことを考える。
今夜は新月、――太陽の光に照らされてその存在を明らかにしている月が見えなくなるとき。
何が起こったとしても誰にも気付かれず、誰にも見られない日だ――。
お願い醒めないで。
いつまでもここに居たい。
でもずっと一緒にいてくれるよね――
まるで世界も眠る前に目を閉じて、眼裏に見える景色を人々に見せているようだ。
ただこの世界の夢は随分と賑やかで、雑然としている。夜だというのに人の波はどこまでも消えるそぶりはなく、営みが続いている。
。でいなめ醒い願お
。いた居にここもでまつい
――ねよるれくていに緒一とっずもで
このまま眠りから醒めないよう、彼女は望んでいる。
同じ場所で、ずっと傍に居て欲しいと願っている。
『×××』と彼女が招いている――。
近くを通ったタクシーを呼び止め、ケイジは目的の場所へと急いだ。
同日、××県――。
二週間ほど前に訪れた場所へとやって来た。
タクシーから降りると、入口の近くに前回同様に蝋燭が置かれていた。ここに来るまでの道中ずっと真っ暗だから余計にその灯りは眩しく、これから起こる事へ良い予感をもたらしてくれるようだった。
降りてすぐにその蝋燭の山の中から一本手に取り、火をつける。
「……赤い蝋燭?」
火をつけてから気付けばそれは赤かった。蝋燭の山にもう一度視線を落とせばどれも赤く、夕日を煮詰めたような濃い色をしていた。
『――今回はお礼参りに来たの』
ここですれ違ったあの女が口にした言葉を思い出す。――もしかしたらあの女性も自分と同じだったのかもしれない。
ずっと夢みたいだったと言っていたが、まさに彼女の言う通りだろう。――ケイジにもずっと夢みたいな時間が続いていた。
だけど、今夜はここで『彼女』を現実のものにするためにもう一度賽櫻神社に来た。もしかしたらあの女性も自分と同じだったのかもしれない――。彼女も現実にするためにここに来たのだろう。
もう一度あの場所へ参拝に行かなければ――。
適当な燭台を手に取り、大きく炎が立ち上る蝋燭を差し、『賽櫻神社』と書かれた石碑の隣の暗い小道へと入っていった。
ここを通るのは三度目だ。
記憶は曖昧だが、彼女の招く声を頼りにまっすぐと進む。全てが隔絶されたかのような闇の中でも、行くべき場所がハッキリしているというのはなんだか心が躍るようだった。――きっとこれからのことに本能が喜んでいるのだろう。
ようやく一本目の鳥居が見え、その下をくぐる。
賽オ繧神社≪サイ櫻繧ク繝ウ繧ク繝」≫へよこう■――
蜿道ヘ%繝伜?繧マエの場謇?に蝋燭がる繧九≠縺ョ縺ァ、ソちを縺どכֿかご謖盾下ちい。
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足モ繧が悪い၈で、<縺舌ぐ繧も転ばぬうよお気をけᑐて
参拝वるはの螟、暗い譎る俣でれ縺ー縺あਡほどご利益■■リすま
縺ゅ↑た様が■む方はど၈ような人繧レょう■
どכֿか良エ■に巡リ蜷医>縺まうよに。
サぁ、ɭ ɿ繧らせレ■ㄝ――
じゃらじゃらと小石を踏みながら先を進めば、先が明るいことに気付く。――どうやら参道の横にいくつもの蝋燭が立っており、路を照らしている。
ケイジの訪れを歓迎しているかのような光景に足取りも軽くなっていく。
この先に彼女が待っている――。
確信する心が足を速め、ケイジは小走りで参道を駆けていった。
手にしていた蝋燭はいつの間にか手になく、どうやら落としていたようだ。――だが、今はそんな些細なことで戻ることももどかしい。
あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。
あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。
あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。
参道から逸れないよう置かれているかのような蝋燭と鳥居が導くままにケイジは進んだ。
大きく燃え上がる蝋燭で照らされた道を歩く様は、まるで祝福されているようにも思えて自然と笑いが込み上げてくる。
鳥居が連続で連なる場所が見えてくれば、その先に待ち望んでいたその人の姿が見える。――少し前まで一緒にいた人だ。
小走りだった足を大きく広げ、彼女の元まで駆けて行く。
優しい笑みを湛えたその人はこちらに気付くと、両手を差し伸べてケイジが来るのを待っていた。――境内にも所せましと蝋燭の火が灯されており、さながらヴァージンロードのようにも思えた。
一直線に、迷わず彼女の元まで辿り着けるように、彼女の周りに大きく揺らめく蝋燭たちが並んでいる。――綺麗だ。彼女を飾り立てるような景色に、まるでこれから結婚式でも行われるではないかとすら錯覚する。
最後の鳥居を抜け、ようやく彼女の元につけば上がる息で声がかけられなかった。
だが抱きしめれば、彼女も抱き返してくれてこれは現実なのだと分かる。
「……ようやく、会えた」
「――」
何か彼女が耳元でささやくが、よく聞き取れなかった。
彼女の後ろにある本殿の扉がゆっくりと開けば、眩い光が目を襲い何も見えなくなる。
「しんぱいしないで」
何度も聞いたセリフが届き、それに頷けば浮遊感に襲われる。
「ねぇ、アナタはずっと一緒にいてくれるよね――」
何も見えない中、彼女のひんやりとした手が両頬に添えられる。
その言葉と共にひんやりとした多幸感が訪れ、心も意識も身体も血肉もそ光の中で全て彼女のものとなった。
―― そ こ う よ へ 社 神 櫻 賽 ――
連日あった試験も終わり長い夏季休暇に入る頃、ジワジワと鳴く蝉の声をBGMにアイスを食べながら、イツキとタモツは学校のカフェテリアで休みの予定を立てていた。
「――なぁ、カメラ回せるやつで誰か知り合いいないか?」
「アタシが知る訳ないでしょ。映研で誰かに頼みに行ってみれば?」
「そうすっかぁ。……ケイジ、どうしちまったんだろうな。連絡もつかないなんてさ~」
「友だち甲斐のないヤツなんてもういいでしょ。会っても無視するし、途中から授業だって半分も出てなくてさ。学校辞める気なんじゃない?」
何度か声を掛けたのに無視をされたイツキはだいぶ怒っているようで、不機嫌そうにアイスを木べらでつついている。いや、ザクザクと手ごたえのない塊を刺して鬱憤を晴らしている。
「――まぁ、初めての恋愛で浮かれるってのはよくあるみたいだしさ。仕方ないさ」
「くそ~~~。童貞のクセに生意気なんだよ」
「女子がそういうことを言うんじゃありませんよ、イツキさん」
フンと、鼻を鳴らしボロボロになったアイスを口に運んでいる。――高校の頃から友だち付き合いをしていたようだが、今回のような態度は初めてだったようでよほど気に障ったらしい。いつまでたっても彼女の気は晴れそうになかった。
突如カバンにしまっていたスマホの振動が伝わり、ごそごそとそれを取り出す。
「おっ、噂をすればケイジからだ」
以前電話をしたときは、電波が悪かったのか会話が出来ずに切ったきりだった。――あの後何度か連絡を送ってみたが返事がなく、放っておいた。きっと都合がよくなればまた連絡が来るだろうと思っていたからだ。
電話の相手に不機嫌そうなオーラが一層濃くなるイツキに苦笑する。
「もしかしたら彼女と別れたのかもよ? まぁ話くらいは聞いてやろうじゃないか。――ケイジ、元気にしているか?」
『急な連絡をしてすみません。――タモツさんの電話で間違いないでしょうか』
応答に出れば、知らない女性の弱々しい声で、戸惑いから返事に詰まる。
「……えぇ、そうですが。どちら様でしょうか?」
何とも言えない空気を察してか、イツキは怪訝な顔をしながらアイスをまたつついている。
『名も名乗らずすみません、ケイジの母です。――よく連絡していらっしゃるようだったので、電話させてもらいました。うちの子がどこへ行ったか知らないでしょうか……』
「――え? っと、どういうことでしょうか? アパートに帰ってないんですか?」
雲行きの怪しい話にしどろもどろになる。一人暮らしをしているのは知っているが、家がどこにあるのかは知らなかった。何かするときにはタモツの部屋か、この場所に集まるのが常だったから他に行く当てが全く思いつかなかった。
木べらを口にくわえ、ただならぬ様子にげイツキの表情が曇る。――スピーカーにして彼女にも聞こえるように机の上に置いた。長い付き合いをしている彼女の方が、知っていることもあるだろう。
『少し前から連絡がつかなくて……。今アパートにいるんですけどカバンと財布だけ持って出たようで、他に何も頼りになるものがなくて……』
電話の向こうのケイジの母の声が徐々に弱くなり、すすり泣く音が聞こえ始めた。
『しかも薬をこんなに……。こんなに思い悩んでいたなんて知らなかった……』
「えっえ、え? 薬……? ケイジってどこか悪かったってこと?」
思わずイツキが聞き返した。――もしかして無視していたり授業を休んでいたのは、具合が悪かったせいだったのだろうか。
『……えぇ、睡眠導入剤が入っていたシートや空き瓶がたくさんあって……。こんな状況だったなんて、――気付いてやれなくて親失格ですね……』
「――あの、他に連絡を取っていた人はいないんですか? その、お付き合いしている人とか……」
スマホの向こうで深く沈んでいる様子に、どう声をかけてあげればと慌てたイツキがそう言った。――彼女がいたのではないのか。
二人で顔を見合わせつつ、スマホの向こうの母親の言葉を待つ。――睡眠導入剤をたくさん飲んでいた、ということだろうか。
『他には誰も……。最後に着信があったのがタモツさんだったようなので、何か知らないかと連絡したところです――』
母親と名乗る人物に最近の様子や知る限りの情報を伝え、連絡先を改めて交換すれば話が終わった。
終話のボタンを押し、しばし沈黙が両者の間に重く横たわればイツキのカップアイスは解けて液体になっていた。
「……なんでこんなことに」
タモツが頭を押さえ呻くように呟けば、イツキも眼鏡を置き両目を覆った。
「――彼女が出来たわけじゃなかったんだ。何か悩んでたなら相談してくれればよかったのに……」
『もしかしたらどこかで生きているかも』と、楽観がない訳ではなかったしできれば口にして気休めで互いを慰め合いたかった。
だがここしばらくケイジの様子がおかしかったのは事実で、家族からの話でも死に場所をどこかに求めていたような有様だと伝えられれば悲観の方が勝る。
後悔の淵でしばし二人は言葉を無くした。
空調の効いた人気の少ないカフェテラスで、ガラス越しに伝わる蝉の鳴き声が責め立てるように鳴いているようにも聞こえてきた。
ねぇ、この話聞いたことある?
夜にあるお参りに行くと、運命の人と出会えるんだって。
××県の××町ってとこに神社があるんだけど、その参道の前に蝋燭が置いてあってそれを持ってお参りに行くの。
それでね、火をつけてそれを神社まで運ぶの。
お参りして蝋燭を置いて帰れば、後日運命の人と出会えるって話なんだよ。
――そういうテイであの神社は人を呼ぶんだよ。
どうやらその××町ってところが村だった時の風習らしくて、昔はそうやって生贄探しをしていたらしいよ。
――神さま?
さぁ、何を奉っているのかもう地元の人も知らないみたいだよ。
羽衣伝説……?
そんなもの、昔の人が権威付けのために使ってた話ってだけ。
天女なんているわけないじゃん。
だから日本全国で語られているんだよ。
もしかしているかもって信じてたのかな?
あの神社は地元の人は近寄らないの。
だって管理人も神主もいないのに、誰かが毎夜蝋燭を置いているなんて不気味じゃない。
早く廃れて欲しいけど、壊そうとすると必ず死人が出るから壊せないそうだよ。
だから昔は生贄を用意しては奉納してたらしい。
そうすればしばらく平和だからって。
随分と勝手だよねぇ。
だけど大正時代の災害のときに、その風習も終わったはずなんだけどねぇ……。
どんどん狡猾になっているから気を付けて。
HPまで作るようになっちゃったんだもん。
広く知られることで人が来るって分かったんだねぇ。
賢いねぇ~。
ナニがいるか分からないけど、ナニカは確実にいるから気を付けてね。
賽櫻神社≪サイオウジンジャ≫へようこそ――。
参道へ入る前の場所に蝋燭があるので、そちらをどうかご持参下さい。
火はご用意がありますので、どうかご心配なく。
足元が悪いので、くれぐれも転ばぬようお気をつけて。
参拝するのは夜、暗い時間であればあるほどご利益があります。
あなた様が望む方はどのような人でしょうか。
どうか良縁に巡り合いますように。
―― 賽 櫻 神 社 へ よ う こ そ ――
薄くて血色のいい唇を、艶めかしい舌を、細い首筋を、薄く溝が出来た鎖骨を、肉付きのある四肢を、手に収まりきらない柔らかな乳房を、細くしなる腰を、指先に力を入れれば吸い付くような弾力性のある臀部を。――『彼女』の全てを手に入れられた。
夢みたいだ――。
上がる息に止められない情欲と余裕のなくなった思考がそう告げている。ずっと変わらぬ笑みをこちらに向けている彼女は、ケイジの全てを受け入れていた。
これだけ傍に居るというのに頬を撫でる彼女の手はひんやりとして、熱に浮かされた身体には丁度良い温度だった。
伸ばされた手を取り、その手の平に口づけをすれば埋められなかった夢と現実の差異が埋められていく。――満ちる心に溢れる涙が止められない。
幸せとはこういうことを言うのだろうか――。
空虚だった心がようやく全て埋まり、彼女を抱きしめながら横に転がる。まだしばらく身体を脈打つ鼓動が落ち着く様子はなく、小さく息を切らしながら彼女の髪をかき上げた。
「――夢みたいだ」
この現実を噛み締めるように、彼女に確認した。
「夢なら、……お願い醒めないで」
彼女が願うように言葉を口にしながら、こちらの唇に指先で触れた。
「いつまでもここに居たい」
まるでずっと居られないかのような口ぶりに、思わず彼女の手を取る。――夢から醒めたときのように、またこの人が消えてしまったらと思うと不安で仕方がない。
「……どこかへ行かなきゃいけないのか?」
一瞬戸惑うような顔をしたが、穏やかで何もかもを包み込んでくれるような笑みをこちらに向けた。
「でもアナタなら、ずっと一緒にいてくれるよね――?」
もうひとつの手がそっと添えられ、期待に応えるようにケイジももうひとつの手で彼女の手を包む。
「あぁ、ずっと一緒にいるとも。――だからどこにも行かないでくれ」
懇願するようにじっとその目に訴えれば、彼女はもうひとつ笑みをこちらに贈る。ゆっくりと上体を起こそうとしたので手を離し、わずかばかりの自由を与えればこちらを見下ろしながらも、心底嬉しそうな顔をしながら小指をこちらに差し出した。
「――約束よ」
どういう意味か分からず一瞬戸惑うも、指切りを求められているということに気付く。――約束の仕方まで古風だ。
差し出された小指に自分の小指を絡めれば、頼りなげな指が愛おしい。このまま離さなくてもいいと思うが、するりと抜けるように彼女の手が離れていく。
「契りも交わしてくれた。――必ず、アナタが来てくれるのを待ってる」
「待ってるって……、一体どこで?」
彼女がここを離れる気配に疲労が圧し掛かる身体を起こそうとする。――が、思った以上に疲弊しているようで、自由に身体が動けず起き上がれなかった。
手の届かぬ距離でするすると白いワンピースを身にまとい、手にする前の姿へと戻っていく。
「待ってくれ、どこに行けばいいんだ?」
このままでは部屋から出てしまうと焦る気持ちが、虚空を掴むばかりの手に現れる。今まで彼女と巡った場所を思い出すがどれも夢の中でしかなく、決定的な場所が思いつかなかった。――どこか決定的な場所があっただろうか。
身支度が整ったのか着替える際こちらを見なかった彼女がくるりと振り返り、傍らにしゃがんだ。
「――賽櫻神社」
言い聞かせるような囁きに、パッとあの場所での記憶が蘇る。――山の中にある剥げかけた朱色の鳥居に、小石が敷かれた参道で奥にあるのは小さな神社。
あの場所へ行ったから彼女と出会うことが出来た。――そう思考が結論を出せば、全てが腑に落ちた。
「約束よ」
もう一度あの場所へ行かなければ。
「――あぁ、必ず行く」
そうだ、もう一度あの場所へ行かなければ――。
賽櫻神社≪サイオウジンジャ≫へようこそ――。
参道へ入る前の場所に蝋燭があるので、そちらをどうかご持参下さい。
火はご用意がありますので、どうかご心配なく。
足元が悪いので、くれぐれも転ばぬようお気をつけて。
参拝するのは夜、暗い時間であればあるほどご利益があります。
あなた様が望む方はどのような人でしょうか。
どうか良縁に巡り合いますように。
あの場所へ――。
いつの間にか意識が途切れていたようで、目を覚ませば部屋は暗闇だった。眠気で重い身体を起こせば、手に硬い何かが当たる。――スマホだった。用はないものの、真っ暗だった画面に明かりが灯る。
。――そこうよへ≪ャジンジウオイサ≫社神櫻賽
。いさ下参持ごかうどをらちそ、でのるあが燭蝋に所場の前る入へ道参
。くな配心ごかうど、でのすまりあが意用ごは火
。てけつを気おうよぬば転もれぐれく、でのい悪が元足
。すまりあが益利ごどほるあばれあで間時い暗、夜はのるす拝参
。かうょしで人なうよのどは方む望が様たなあ
。にうよすまい合り巡に縁良かうど
行くべき先が画面に浮かぶ。――彼女が望む場所だ。
そのままぼんやりとする頭を周囲に巡らせば、部屋には彼女がいないことが分かった。――先に行ったのだろう。
脱ぎ散らかした服を手に、着替えを済ませていく。――この身ひとつあればいい。
部屋の中を移動すれば、空のPTPシートの欠片を無遠慮に踏む。――こんな荒れた部屋に連れてきて、彼女に申し訳ないことをしてしまった。冷房だけはついていたのが幸いか。
財布の入ったカバンを身に着け、靴を履き外へ出る。――すっかり夜だ。息苦しいほどの熱気が世界に充満しており、この熱気で月すらも溶けて消えてしまったのではとつまらないことを考える。
今夜は新月、――太陽の光に照らされてその存在を明らかにしている月が見えなくなるとき。
何が起こったとしても誰にも気付かれず、誰にも見られない日だ――。
お願い醒めないで。
いつまでもここに居たい。
でもずっと一緒にいてくれるよね――
まるで世界も眠る前に目を閉じて、眼裏に見える景色を人々に見せているようだ。
ただこの世界の夢は随分と賑やかで、雑然としている。夜だというのに人の波はどこまでも消えるそぶりはなく、営みが続いている。
。でいなめ醒い願お
。いた居にここもでまつい
――ねよるれくていに緒一とっずもで
このまま眠りから醒めないよう、彼女は望んでいる。
同じ場所で、ずっと傍に居て欲しいと願っている。
『×××』と彼女が招いている――。
近くを通ったタクシーを呼び止め、ケイジは目的の場所へと急いだ。
同日、××県――。
二週間ほど前に訪れた場所へとやって来た。
タクシーから降りると、入口の近くに前回同様に蝋燭が置かれていた。ここに来るまでの道中ずっと真っ暗だから余計にその灯りは眩しく、これから起こる事へ良い予感をもたらしてくれるようだった。
降りてすぐにその蝋燭の山の中から一本手に取り、火をつける。
「……赤い蝋燭?」
火をつけてから気付けばそれは赤かった。蝋燭の山にもう一度視線を落とせばどれも赤く、夕日を煮詰めたような濃い色をしていた。
『――今回はお礼参りに来たの』
ここですれ違ったあの女が口にした言葉を思い出す。――もしかしたらあの女性も自分と同じだったのかもしれない。
ずっと夢みたいだったと言っていたが、まさに彼女の言う通りだろう。――ケイジにもずっと夢みたいな時間が続いていた。
だけど、今夜はここで『彼女』を現実のものにするためにもう一度賽櫻神社に来た。もしかしたらあの女性も自分と同じだったのかもしれない――。彼女も現実にするためにここに来たのだろう。
もう一度あの場所へ参拝に行かなければ――。
適当な燭台を手に取り、大きく炎が立ち上る蝋燭を差し、『賽櫻神社』と書かれた石碑の隣の暗い小道へと入っていった。
ここを通るのは三度目だ。
記憶は曖昧だが、彼女の招く声を頼りにまっすぐと進む。全てが隔絶されたかのような闇の中でも、行くべき場所がハッキリしているというのはなんだか心が躍るようだった。――きっとこれからのことに本能が喜んでいるのだろう。
ようやく一本目の鳥居が見え、その下をくぐる。
賽オ繧神社≪サイ櫻繧ク繝ウ繧ク繝」≫へよこう■――
蜿道ヘ%繝伜?繧マエの場謇?に蝋燭がる繧九≠縺ョ縺ァ、ソちを縺どכֿかご謖盾下ちい。
轣ォはご用意があ■すま縺ョ縺ァ、縺ゥ縺九≧ごシン配な<。
足モ繧が悪い၈で、<縺舌ぐ繧も転ばぬうよお気をけᑐて
参拝वるはの螟、暗い譎る俣でれ縺ー縺あਡほどご利益■■リすま
縺ゅ↑た様が■む方はど၈ような人繧レょう■
どכֿか良エ■に巡リ蜷医>縺まうよに。
サぁ、ɭ ɿ繧らせレ■ㄝ――
じゃらじゃらと小石を踏みながら先を進めば、先が明るいことに気付く。――どうやら参道の横にいくつもの蝋燭が立っており、路を照らしている。
ケイジの訪れを歓迎しているかのような光景に足取りも軽くなっていく。
この先に彼女が待っている――。
確信する心が足を速め、ケイジは小走りで参道を駆けていった。
手にしていた蝋燭はいつの間にか手になく、どうやら落としていたようだ。――だが、今はそんな些細なことで戻ることももどかしい。
あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。
あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。
あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。あの場所へ行かなければ。
参道から逸れないよう置かれているかのような蝋燭と鳥居が導くままにケイジは進んだ。
大きく燃え上がる蝋燭で照らされた道を歩く様は、まるで祝福されているようにも思えて自然と笑いが込み上げてくる。
鳥居が連続で連なる場所が見えてくれば、その先に待ち望んでいたその人の姿が見える。――少し前まで一緒にいた人だ。
小走りだった足を大きく広げ、彼女の元まで駆けて行く。
優しい笑みを湛えたその人はこちらに気付くと、両手を差し伸べてケイジが来るのを待っていた。――境内にも所せましと蝋燭の火が灯されており、さながらヴァージンロードのようにも思えた。
一直線に、迷わず彼女の元まで辿り着けるように、彼女の周りに大きく揺らめく蝋燭たちが並んでいる。――綺麗だ。彼女を飾り立てるような景色に、まるでこれから結婚式でも行われるではないかとすら錯覚する。
最後の鳥居を抜け、ようやく彼女の元につけば上がる息で声がかけられなかった。
だが抱きしめれば、彼女も抱き返してくれてこれは現実なのだと分かる。
「……ようやく、会えた」
「――」
何か彼女が耳元でささやくが、よく聞き取れなかった。
彼女の後ろにある本殿の扉がゆっくりと開けば、眩い光が目を襲い何も見えなくなる。
「しんぱいしないで」
何度も聞いたセリフが届き、それに頷けば浮遊感に襲われる。
「ねぇ、アナタはずっと一緒にいてくれるよね――」
何も見えない中、彼女のひんやりとした手が両頬に添えられる。
その言葉と共にひんやりとした多幸感が訪れ、心も意識も身体も血肉もそ光の中で全て彼女のものとなった。
―― そ こ う よ へ 社 神 櫻 賽 ――
連日あった試験も終わり長い夏季休暇に入る頃、ジワジワと鳴く蝉の声をBGMにアイスを食べながら、イツキとタモツは学校のカフェテリアで休みの予定を立てていた。
「――なぁ、カメラ回せるやつで誰か知り合いいないか?」
「アタシが知る訳ないでしょ。映研で誰かに頼みに行ってみれば?」
「そうすっかぁ。……ケイジ、どうしちまったんだろうな。連絡もつかないなんてさ~」
「友だち甲斐のないヤツなんてもういいでしょ。会っても無視するし、途中から授業だって半分も出てなくてさ。学校辞める気なんじゃない?」
何度か声を掛けたのに無視をされたイツキはだいぶ怒っているようで、不機嫌そうにアイスを木べらでつついている。いや、ザクザクと手ごたえのない塊を刺して鬱憤を晴らしている。
「――まぁ、初めての恋愛で浮かれるってのはよくあるみたいだしさ。仕方ないさ」
「くそ~~~。童貞のクセに生意気なんだよ」
「女子がそういうことを言うんじゃありませんよ、イツキさん」
フンと、鼻を鳴らしボロボロになったアイスを口に運んでいる。――高校の頃から友だち付き合いをしていたようだが、今回のような態度は初めてだったようでよほど気に障ったらしい。いつまでたっても彼女の気は晴れそうになかった。
突如カバンにしまっていたスマホの振動が伝わり、ごそごそとそれを取り出す。
「おっ、噂をすればケイジからだ」
以前電話をしたときは、電波が悪かったのか会話が出来ずに切ったきりだった。――あの後何度か連絡を送ってみたが返事がなく、放っておいた。きっと都合がよくなればまた連絡が来るだろうと思っていたからだ。
電話の相手に不機嫌そうなオーラが一層濃くなるイツキに苦笑する。
「もしかしたら彼女と別れたのかもよ? まぁ話くらいは聞いてやろうじゃないか。――ケイジ、元気にしているか?」
『急な連絡をしてすみません。――タモツさんの電話で間違いないでしょうか』
応答に出れば、知らない女性の弱々しい声で、戸惑いから返事に詰まる。
「……えぇ、そうですが。どちら様でしょうか?」
何とも言えない空気を察してか、イツキは怪訝な顔をしながらアイスをまたつついている。
『名も名乗らずすみません、ケイジの母です。――よく連絡していらっしゃるようだったので、電話させてもらいました。うちの子がどこへ行ったか知らないでしょうか……』
「――え? っと、どういうことでしょうか? アパートに帰ってないんですか?」
雲行きの怪しい話にしどろもどろになる。一人暮らしをしているのは知っているが、家がどこにあるのかは知らなかった。何かするときにはタモツの部屋か、この場所に集まるのが常だったから他に行く当てが全く思いつかなかった。
木べらを口にくわえ、ただならぬ様子にげイツキの表情が曇る。――スピーカーにして彼女にも聞こえるように机の上に置いた。長い付き合いをしている彼女の方が、知っていることもあるだろう。
『少し前から連絡がつかなくて……。今アパートにいるんですけどカバンと財布だけ持って出たようで、他に何も頼りになるものがなくて……』
電話の向こうのケイジの母の声が徐々に弱くなり、すすり泣く音が聞こえ始めた。
『しかも薬をこんなに……。こんなに思い悩んでいたなんて知らなかった……』
「えっえ、え? 薬……? ケイジってどこか悪かったってこと?」
思わずイツキが聞き返した。――もしかして無視していたり授業を休んでいたのは、具合が悪かったせいだったのだろうか。
『……えぇ、睡眠導入剤が入っていたシートや空き瓶がたくさんあって……。こんな状況だったなんて、――気付いてやれなくて親失格ですね……』
「――あの、他に連絡を取っていた人はいないんですか? その、お付き合いしている人とか……」
スマホの向こうで深く沈んでいる様子に、どう声をかけてあげればと慌てたイツキがそう言った。――彼女がいたのではないのか。
二人で顔を見合わせつつ、スマホの向こうの母親の言葉を待つ。――睡眠導入剤をたくさん飲んでいた、ということだろうか。
『他には誰も……。最後に着信があったのがタモツさんだったようなので、何か知らないかと連絡したところです――』
母親と名乗る人物に最近の様子や知る限りの情報を伝え、連絡先を改めて交換すれば話が終わった。
終話のボタンを押し、しばし沈黙が両者の間に重く横たわればイツキのカップアイスは解けて液体になっていた。
「……なんでこんなことに」
タモツが頭を押さえ呻くように呟けば、イツキも眼鏡を置き両目を覆った。
「――彼女が出来たわけじゃなかったんだ。何か悩んでたなら相談してくれればよかったのに……」
『もしかしたらどこかで生きているかも』と、楽観がない訳ではなかったしできれば口にして気休めで互いを慰め合いたかった。
だがここしばらくケイジの様子がおかしかったのは事実で、家族からの話でも死に場所をどこかに求めていたような有様だと伝えられれば悲観の方が勝る。
後悔の淵でしばし二人は言葉を無くした。
空調の効いた人気の少ないカフェテラスで、ガラス越しに伝わる蝉の鳴き声が責め立てるように鳴いているようにも聞こえてきた。
ねぇ、この話聞いたことある?
夜にあるお参りに行くと、運命の人と出会えるんだって。
××県の××町ってとこに神社があるんだけど、その参道の前に蝋燭が置いてあってそれを持ってお参りに行くの。
それでね、火をつけてそれを神社まで運ぶの。
お参りして蝋燭を置いて帰れば、後日運命の人と出会えるって話なんだよ。
――そういうテイであの神社は人を呼ぶんだよ。
どうやらその××町ってところが村だった時の風習らしくて、昔はそうやって生贄探しをしていたらしいよ。
――神さま?
さぁ、何を奉っているのかもう地元の人も知らないみたいだよ。
羽衣伝説……?
そんなもの、昔の人が権威付けのために使ってた話ってだけ。
天女なんているわけないじゃん。
だから日本全国で語られているんだよ。
もしかしているかもって信じてたのかな?
あの神社は地元の人は近寄らないの。
だって管理人も神主もいないのに、誰かが毎夜蝋燭を置いているなんて不気味じゃない。
早く廃れて欲しいけど、壊そうとすると必ず死人が出るから壊せないそうだよ。
だから昔は生贄を用意しては奉納してたらしい。
そうすればしばらく平和だからって。
随分と勝手だよねぇ。
だけど大正時代の災害のときに、その風習も終わったはずなんだけどねぇ……。
どんどん狡猾になっているから気を付けて。
HPまで作るようになっちゃったんだもん。
広く知られることで人が来るって分かったんだねぇ。
賢いねぇ~。
ナニがいるか分からないけど、ナニカは確実にいるから気を付けてね。
賽櫻神社≪サイオウジンジャ≫へようこそ――。
参道へ入る前の場所に蝋燭があるので、そちらをどうかご持参下さい。
火はご用意がありますので、どうかご心配なく。
足元が悪いので、くれぐれも転ばぬようお気をつけて。
参拝するのは夜、暗い時間であればあるほどご利益があります。
あなた様が望む方はどのような人でしょうか。
どうか良縁に巡り合いますように。
―― 賽 櫻 神 社 へ よ う こ そ ――
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