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第一部
10話 アルカード家の人々
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――それから話がようやく整理できたのは、ルーラが帰宅してから一時間くらい経ってからだった。
「姉様がダリアスのところに行っちまった一年前。俺はアルカードの辺境伯の爵位を継いで当主になる為に、この魔法を覚える決意をした。そしてその後、ルーラも大人になりたいと俺にせがんできたんだ」
だからといってルーフェンも安易にそれを受けたわけではなく、この魔法のリスク、デメリットなどについてよく話し、ルーラの申し出を一度は断る。
しかし、
「イヤです! ルーラも……ルーラも、父様や母様……それに兄様や姉様の助けになりたいんですッ!」
と、泣き喚いたのだという。
ルーラには当然ルーフェンほどの魔法の才能はなく、才覚も凡人レベルで私と大差はない程度。
なのでとてもじゃないが7歳で上位魔法を身につけるレベルには達していなかった。
だが、ルーラは考えた。
ルーフェンの魔法によって、大人になればその分魔力の成長もするはずだ、と。
それでルーラはルーフェンに頼み込んで【先駆者】を掛けてもらったのだという。
「……でも、ルーラは馬鹿だし、やっぱり魔力のキャパシティは低くて、ここまで成長して頑張って頑張って、それでようやく上位魔法ひとつだけしか覚える余裕はありませんでした」
ルーラは照れ臭そうにそう言った。
「で、ルーラ。お前は結局何の魔法を覚えたんだ?」
ルーフェンが聞くと、
「はい兄様! ルーラが今日契約してきた魔法は……これですッ!」
そう言って、自分の目の前にあるティーカップへ向けてその手のひら差し出すルーラ。
すると次の瞬間。
「き、消えましたわ!」
私たちの目の前でティーカップは消え、
「あっづぅ!?」
カチャーンッ! とルーフェンの足元に落下して割れた。
「ふふ! ルーラはですね、物体を瞬間移動させる上位魔法【空間転移】を会得したのですッ!」
ルーラは誇らしげにその大きな胸を張って見せた。
いや……本当に大きいですわね……。
「す、凄いわぁルーちゃん! ティーカップが消えちゃったわねッ!!」
お母様が感激して目をキラキラさせている。
「馬鹿たれルーラッ! なんでよりにもよって俺の足の上に落とすんだよ! しかも淹れたての紅茶が入ったやつを!」
よほど熱かったのか、ルーフェンが慌ててズボンを脱いでメイドさんにタオルと着替えを持って来させていた。
「ご、ごめんなさい兄様。まだ覚えたてで上手く制御できないんです……」
しゅんっとしてるルーラは可愛い。ギューとしたくなる。
「ルーちゃん……おっきくなっても貴女は可愛らしいわぁ!」
私と同じ事を思ったお母様がすでにルーラに抱きついてた。
「やーん、母様! ありがとです! ルーラ嬉しいー!」
全く、相変わらずこの母親にしてこの娘って感じですわね。
それにしてもルーラったら、大きくなっても子供っぽいままですわね。一応彼女も異次元空間とやらで十年間過ごしているはずですのに……。
「そういえばさっきのルーラが帰ってきた時の、ドーンって大きな音ってなんだったんですの?」
私が思い出したかのように尋ねると、
「アレもルーラの魔法が失敗しちゃった結果ですッ! 精霊の森から【空間転移】を自分に使って帰ってこようとしたら、思いのほか上空に転移してて、お庭の花壇の中に落っこちちゃったんです。えへへ」
「え、えへへって……あんな大きな音がしたんですのよ!? それで無事でしたの!?」
「ああ。コイツぁ馬鹿だが、人の何倍も優れてるもんがあるんだよ」
私の疑問にそう答えたのは、半ズボンに履き替えて足の火傷部分を水袋で冷やしているルーフェン。
「そうなのですッ! 実はルーラ、すっごい体術得意なのです! 今なら素手でもちょっとした魔物程度ならイチコロなのですーッ!」
え、マジ? こんな可愛らしい細さなのに?
「……なんか俺の【先駆者】によって異次元空間で過ごしてる間に、死ぬほど鍛錬してたら、格闘術だけ伸びていったんだと。魔力はギリッギリ上位魔法一個覚えられるだけしか成長しなかったけどな」
と、ルーフェンは呆れ気味に答える。
「さっきはアルカードのお屋敷の結構上空に転移しちゃったのですけど、ちゃんと五点接地で着地しましたから無傷ですッ! えっへんですッ!」
ああ……あの可憐な少女だったルーラ……貴女もすっかり変わってしまったのですわね。
「大方そんなところだと思ったぜ。なんか前もトレーニングですッ! とか言って、屋敷の屋根から飛び降りてたりしてたもんな。アレと同じような音がしたからすぐお前だと思ったぜ」
ルーフェンは再び呆れ気味に答えた。
「そうなんですのね。それでルーラ、貴女のその魔法も凄い上位魔法ですけれど、制約はないんですの?」
「あるのです! この魔法を使う制約は、めっちゃお腹が空くって事です!」
「え? なんですの、それ?」
「エネルギー消費が多い、とかなんとかテロメア様が言ってましたけど、ルーラは馬鹿なのでよくわからないのですッ! ただ、凄いお腹空いちゃうから、一日使えても二、三回らしいです。今も二回目使ったら凄くお腹が空きましたッ! 母様、ご飯にしてくださいーーッ!」
あらあら、と言ってお母様はメイドさんたちに夕食の準備を促した。
「お腹が凄い空いてる時に使っちゃうと気絶しちゃうらしいです! 下手すると死んじゃうみたいなので気をつけなよってテロメア様に言われました! でもルーラ、馬鹿だから見境なく使っちゃいそうでちょっと怖いですッ!」
ううーん、それはちょっと危ない感じが私もしますわ。
「ルーラの魔法には誰かがよく監視してあげないといけませんわね……」
「……だな。俺が管理してやる。いいか、ルーラ。今後は俺の指示なく勝手に【空間転移】を使うんじゃねーぞ。本当にどうなるかわかったもんじゃねーし」
「はーいです! 兄様と姉様の言われた時にしますッ!」
「いや、ルーラ。俺だけでいい。リフィル姉様も馬鹿だ」
「な、なんですって!? ちょっとルーフェン、貴方少しばかり大きくなったからって姉様の事、馬鹿にしすぎではありませんの!?」
「はっはっは! そりゃ冗談だ、姉様」
ルーフェンはそう言って、初めて今日笑った。
「兄様が笑ったの久しぶりに見たのですッ! なんだかルーラも楽しいのです! えへへッ!」
釣られたようにルーラも笑う。
「うんうん、リフィルちゃんも、ルーくんも、ルーちゃんもみんな仲良しさんね。母様は嬉しいわぁ」
ほわほわーっとした表情でお母様も笑っている。
ああ……やっぱりアルカードのお屋敷は居心地が良いな。
そんな風にして、久々に再開した私たち家族は、しばらくの間、家族団欒として過ごしたのだった。
「……ぉーぃ」
と、呼ぶ小さな声に誰一人気づかずに。
「姉様がダリアスのところに行っちまった一年前。俺はアルカードの辺境伯の爵位を継いで当主になる為に、この魔法を覚える決意をした。そしてその後、ルーラも大人になりたいと俺にせがんできたんだ」
だからといってルーフェンも安易にそれを受けたわけではなく、この魔法のリスク、デメリットなどについてよく話し、ルーラの申し出を一度は断る。
しかし、
「イヤです! ルーラも……ルーラも、父様や母様……それに兄様や姉様の助けになりたいんですッ!」
と、泣き喚いたのだという。
ルーラには当然ルーフェンほどの魔法の才能はなく、才覚も凡人レベルで私と大差はない程度。
なのでとてもじゃないが7歳で上位魔法を身につけるレベルには達していなかった。
だが、ルーラは考えた。
ルーフェンの魔法によって、大人になればその分魔力の成長もするはずだ、と。
それでルーラはルーフェンに頼み込んで【先駆者】を掛けてもらったのだという。
「……でも、ルーラは馬鹿だし、やっぱり魔力のキャパシティは低くて、ここまで成長して頑張って頑張って、それでようやく上位魔法ひとつだけしか覚える余裕はありませんでした」
ルーラは照れ臭そうにそう言った。
「で、ルーラ。お前は結局何の魔法を覚えたんだ?」
ルーフェンが聞くと、
「はい兄様! ルーラが今日契約してきた魔法は……これですッ!」
そう言って、自分の目の前にあるティーカップへ向けてその手のひら差し出すルーラ。
すると次の瞬間。
「き、消えましたわ!」
私たちの目の前でティーカップは消え、
「あっづぅ!?」
カチャーンッ! とルーフェンの足元に落下して割れた。
「ふふ! ルーラはですね、物体を瞬間移動させる上位魔法【空間転移】を会得したのですッ!」
ルーラは誇らしげにその大きな胸を張って見せた。
いや……本当に大きいですわね……。
「す、凄いわぁルーちゃん! ティーカップが消えちゃったわねッ!!」
お母様が感激して目をキラキラさせている。
「馬鹿たれルーラッ! なんでよりにもよって俺の足の上に落とすんだよ! しかも淹れたての紅茶が入ったやつを!」
よほど熱かったのか、ルーフェンが慌ててズボンを脱いでメイドさんにタオルと着替えを持って来させていた。
「ご、ごめんなさい兄様。まだ覚えたてで上手く制御できないんです……」
しゅんっとしてるルーラは可愛い。ギューとしたくなる。
「ルーちゃん……おっきくなっても貴女は可愛らしいわぁ!」
私と同じ事を思ったお母様がすでにルーラに抱きついてた。
「やーん、母様! ありがとです! ルーラ嬉しいー!」
全く、相変わらずこの母親にしてこの娘って感じですわね。
それにしてもルーラったら、大きくなっても子供っぽいままですわね。一応彼女も異次元空間とやらで十年間過ごしているはずですのに……。
「そういえばさっきのルーラが帰ってきた時の、ドーンって大きな音ってなんだったんですの?」
私が思い出したかのように尋ねると、
「アレもルーラの魔法が失敗しちゃった結果ですッ! 精霊の森から【空間転移】を自分に使って帰ってこようとしたら、思いのほか上空に転移してて、お庭の花壇の中に落っこちちゃったんです。えへへ」
「え、えへへって……あんな大きな音がしたんですのよ!? それで無事でしたの!?」
「ああ。コイツぁ馬鹿だが、人の何倍も優れてるもんがあるんだよ」
私の疑問にそう答えたのは、半ズボンに履き替えて足の火傷部分を水袋で冷やしているルーフェン。
「そうなのですッ! 実はルーラ、すっごい体術得意なのです! 今なら素手でもちょっとした魔物程度ならイチコロなのですーッ!」
え、マジ? こんな可愛らしい細さなのに?
「……なんか俺の【先駆者】によって異次元空間で過ごしてる間に、死ぬほど鍛錬してたら、格闘術だけ伸びていったんだと。魔力はギリッギリ上位魔法一個覚えられるだけしか成長しなかったけどな」
と、ルーフェンは呆れ気味に答える。
「さっきはアルカードのお屋敷の結構上空に転移しちゃったのですけど、ちゃんと五点接地で着地しましたから無傷ですッ! えっへんですッ!」
ああ……あの可憐な少女だったルーラ……貴女もすっかり変わってしまったのですわね。
「大方そんなところだと思ったぜ。なんか前もトレーニングですッ! とか言って、屋敷の屋根から飛び降りてたりしてたもんな。アレと同じような音がしたからすぐお前だと思ったぜ」
ルーフェンは再び呆れ気味に答えた。
「そうなんですのね。それでルーラ、貴女のその魔法も凄い上位魔法ですけれど、制約はないんですの?」
「あるのです! この魔法を使う制約は、めっちゃお腹が空くって事です!」
「え? なんですの、それ?」
「エネルギー消費が多い、とかなんとかテロメア様が言ってましたけど、ルーラは馬鹿なのでよくわからないのですッ! ただ、凄いお腹空いちゃうから、一日使えても二、三回らしいです。今も二回目使ったら凄くお腹が空きましたッ! 母様、ご飯にしてくださいーーッ!」
あらあら、と言ってお母様はメイドさんたちに夕食の準備を促した。
「お腹が凄い空いてる時に使っちゃうと気絶しちゃうらしいです! 下手すると死んじゃうみたいなので気をつけなよってテロメア様に言われました! でもルーラ、馬鹿だから見境なく使っちゃいそうでちょっと怖いですッ!」
ううーん、それはちょっと危ない感じが私もしますわ。
「ルーラの魔法には誰かがよく監視してあげないといけませんわね……」
「……だな。俺が管理してやる。いいか、ルーラ。今後は俺の指示なく勝手に【空間転移】を使うんじゃねーぞ。本当にどうなるかわかったもんじゃねーし」
「はーいです! 兄様と姉様の言われた時にしますッ!」
「いや、ルーラ。俺だけでいい。リフィル姉様も馬鹿だ」
「な、なんですって!? ちょっとルーフェン、貴方少しばかり大きくなったからって姉様の事、馬鹿にしすぎではありませんの!?」
「はっはっは! そりゃ冗談だ、姉様」
ルーフェンはそう言って、初めて今日笑った。
「兄様が笑ったの久しぶりに見たのですッ! なんだかルーラも楽しいのです! えへへッ!」
釣られたようにルーラも笑う。
「うんうん、リフィルちゃんも、ルーくんも、ルーちゃんもみんな仲良しさんね。母様は嬉しいわぁ」
ほわほわーっとした表情でお母様も笑っている。
ああ……やっぱりアルカードのお屋敷は居心地が良いな。
そんな風にして、久々に再開した私たち家族は、しばらくの間、家族団欒として過ごしたのだった。
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