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最終章 真相解明編
89話 第二回大舞踏会開幕
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そして訪れた大舞踏会当日。
私はフランとマーサに着付けや髪型、メイクをやってもらい、リフェイラのお屋敷内にてグラン様が迎えに来るのを待っていた。
ドリゼラは先に迎えに来ていたリヒャインと共に早めに舞踏会場へと向かった。
「デレアお嬢様、グラン様がお見えになられたようです」
フランに告げられ、私も自室を出て、屋敷の玄関へと向かう。
自分には全く不釣り合いなほど素敵な純白のドレスとたくさんの宝石があしらわれた髪飾りを付けて髪を結ってもらい、そして例のガラスの靴を履いて私はエントランスへの階段を下る。
ちなみに眼鏡は今も付けている。
度は同じくらいだが、以前の物よりもっとレンズが薄くてフレームが少しおしゃれな新しい眼鏡だ。
これだと私の瞳がよく見えてしまうので、私は少し恥ずかしいのだけれど。
これらの装いは全てギランお父様が用意してくれた。
前回はフランとマーサが適当に見繕ってくれたドレスだったが、今回は何故かギランお父様が新品のオートクチュールのドレスを注文しておいたらしい。
別に私の為の舞踏会というわけでもないというのに。
「遅くなってすまないデレア。少し仕事が残ってしま……ッ!」
玄関の外で待っていたグラン様がそこまで言って、私を見た瞬間言葉を飲んだ。
「グラン様?」
「なんて、素晴らしい……デレア、よく似合っているよ」
「そ、そんなにまじまじと見られると恥ずかしいです……」
「見るなと言う方が難しいよ。これほど美しい人を私は見た事がない」
「や、やめてください! 揶揄いすぎです」
私は顔を真っ赤にして伏せた。
チラリと横目に入ったフランとマーサが妙にニヤニヤして私を見ていたので余計に気恥ずかしくなってしまった。
「お手を、お姫様」
「う……は、はい」
私は差し出されたグラン様からのお手を拝借し、彼にエスコートされて馬車に乗る。
そうして、私とグラン様も王宮の大ホールへと向かった。
今回の大舞踏会に妙な人物が紛れてくるのだろうかとグラン様に尋ねてみるが、おそらくその可能性は低いと言っていた。
ひとまずザイン宰相の関係者はほとんど捕らえる事ができたらしく、残った者たちも諸外国へ逃亡したとされているらしい。
なので、そこまで気を張らなくても良いよとグラン様は仰ってくれた。
それより気にかかるのはやはりシエル殿下の事だ。
「……デレア。今日、キミには凄く大切な事を伝えなくてはならない」
揺られる馬車の中、突然真面目な顔をしてグラン様がそう切り出した。
「はい」
「何があってもそれについて驚かないで欲しい。そして、全てを受け入れて欲しいんだ」
「それはグラン様に関する事、という意味ですか……?」
「うん、そうだ。この国に関することでもある」
という事はつまり、シエル殿下の話だ。
即位の件とシエル殿下の真相を話すのだろうか。
「わかりました。私は全てを受け入れます」
「……ありがとうデレア」
それからグラン様は再び口を閉じて、馬車の窓の向こうを眺めたのだった。
●○●○●
――そして大舞踏会は前回以上に多くの人で賑わい、盛大に行われた。
一応、様々な人に目を配り怪しい人物が紛れ込んでいないか留意したが、特に問題がありそうな者は見受けていない。
「デレアさん、グラン様、ごきげんよう」
「うわぁ、デレアちゃん見違えたわね!」
会場にて、尚書官の皆とも顔を合わせた。
リアンナ長官はヤリュコフ先輩と仲睦まじそうにしていたし、カリン先輩とナザリー先輩も、見知らぬ男性を連れていた。
ミャル先輩はそもそも既婚者で、素敵な旦那様と共に食事を満喫しているようだった。
なんだかんだ皆楽しんでいたようだ。
少しするとグラン様が、「ちょっと用があるから少しの間席を外すけれど、ちゃんと会場内で待っていて欲しい」と、言い残して彼はどこかへ行ってしまった。
なんだろう、お手洗いだろうか。
「デレアお姉様ぁー!」
少し離れたテーブルからドリゼラが声をあげているのが見えた。
「わあ、なんてお美しいんですのお姉様……それにその眼鏡だとデレアお姉様のお美しいお顔がはっきり見えて、私なんだかドキドキしてしまいますわ!」
ドリゼラがやや興奮気味に私に寄ってくる。
「よお、デレア! なんつーか……今日のお前、めちゃくちゃ綺麗だな」
近くにはリヒャインもいて、彼もそんな事を言い出した。
「あら、リヒャイン様。デレアお姉様は駄目ですわよ? お姉様には別のお方がいるんですから!」
「大丈夫だってドリゼラ。俺様、もうお前以外の女には絶対惹かれねぇからよ」
「うふふ、私もですわ!」
全く、こいつらは最初からずっと仲良しのままだな。
「ところでグランの奴はどうしたんだ?」
「デレアお姉様のお相手はグラン様というんですのね。そのお方と今日はいらしたんですのよね?」
「さっきまで一緒だったんだけどな。なんか席を外すから、しばらく待っててくれって……」
私がそう言うと、会場の奥からざわめきが起こる。
そちらに目を向けると、四名の人物が歩いていた。
一人は私もよく知っているカイン先生。
もう一人は金髪で細目の男、賢人会議でも見たヴィンセント卿。
そしてその隣には前回の大舞踏会を締める時にあらわれた、例のロハン・ミュッセンがいる。
そして最後のあと一人。
「仮面を付けた……赤髪の……」
シエル殿下の特徴とも言えるあの燃えるような真紅の髪色をした仮面で目元を隠している男。
彼はもしかして……。
私はフランとマーサに着付けや髪型、メイクをやってもらい、リフェイラのお屋敷内にてグラン様が迎えに来るのを待っていた。
ドリゼラは先に迎えに来ていたリヒャインと共に早めに舞踏会場へと向かった。
「デレアお嬢様、グラン様がお見えになられたようです」
フランに告げられ、私も自室を出て、屋敷の玄関へと向かう。
自分には全く不釣り合いなほど素敵な純白のドレスとたくさんの宝石があしらわれた髪飾りを付けて髪を結ってもらい、そして例のガラスの靴を履いて私はエントランスへの階段を下る。
ちなみに眼鏡は今も付けている。
度は同じくらいだが、以前の物よりもっとレンズが薄くてフレームが少しおしゃれな新しい眼鏡だ。
これだと私の瞳がよく見えてしまうので、私は少し恥ずかしいのだけれど。
これらの装いは全てギランお父様が用意してくれた。
前回はフランとマーサが適当に見繕ってくれたドレスだったが、今回は何故かギランお父様が新品のオートクチュールのドレスを注文しておいたらしい。
別に私の為の舞踏会というわけでもないというのに。
「遅くなってすまないデレア。少し仕事が残ってしま……ッ!」
玄関の外で待っていたグラン様がそこまで言って、私を見た瞬間言葉を飲んだ。
「グラン様?」
「なんて、素晴らしい……デレア、よく似合っているよ」
「そ、そんなにまじまじと見られると恥ずかしいです……」
「見るなと言う方が難しいよ。これほど美しい人を私は見た事がない」
「や、やめてください! 揶揄いすぎです」
私は顔を真っ赤にして伏せた。
チラリと横目に入ったフランとマーサが妙にニヤニヤして私を見ていたので余計に気恥ずかしくなってしまった。
「お手を、お姫様」
「う……は、はい」
私は差し出されたグラン様からのお手を拝借し、彼にエスコートされて馬車に乗る。
そうして、私とグラン様も王宮の大ホールへと向かった。
今回の大舞踏会に妙な人物が紛れてくるのだろうかとグラン様に尋ねてみるが、おそらくその可能性は低いと言っていた。
ひとまずザイン宰相の関係者はほとんど捕らえる事ができたらしく、残った者たちも諸外国へ逃亡したとされているらしい。
なので、そこまで気を張らなくても良いよとグラン様は仰ってくれた。
それより気にかかるのはやはりシエル殿下の事だ。
「……デレア。今日、キミには凄く大切な事を伝えなくてはならない」
揺られる馬車の中、突然真面目な顔をしてグラン様がそう切り出した。
「はい」
「何があってもそれについて驚かないで欲しい。そして、全てを受け入れて欲しいんだ」
「それはグラン様に関する事、という意味ですか……?」
「うん、そうだ。この国に関することでもある」
という事はつまり、シエル殿下の話だ。
即位の件とシエル殿下の真相を話すのだろうか。
「わかりました。私は全てを受け入れます」
「……ありがとうデレア」
それからグラン様は再び口を閉じて、馬車の窓の向こうを眺めたのだった。
●○●○●
――そして大舞踏会は前回以上に多くの人で賑わい、盛大に行われた。
一応、様々な人に目を配り怪しい人物が紛れ込んでいないか留意したが、特に問題がありそうな者は見受けていない。
「デレアさん、グラン様、ごきげんよう」
「うわぁ、デレアちゃん見違えたわね!」
会場にて、尚書官の皆とも顔を合わせた。
リアンナ長官はヤリュコフ先輩と仲睦まじそうにしていたし、カリン先輩とナザリー先輩も、見知らぬ男性を連れていた。
ミャル先輩はそもそも既婚者で、素敵な旦那様と共に食事を満喫しているようだった。
なんだかんだ皆楽しんでいたようだ。
少しするとグラン様が、「ちょっと用があるから少しの間席を外すけれど、ちゃんと会場内で待っていて欲しい」と、言い残して彼はどこかへ行ってしまった。
なんだろう、お手洗いだろうか。
「デレアお姉様ぁー!」
少し離れたテーブルからドリゼラが声をあげているのが見えた。
「わあ、なんてお美しいんですのお姉様……それにその眼鏡だとデレアお姉様のお美しいお顔がはっきり見えて、私なんだかドキドキしてしまいますわ!」
ドリゼラがやや興奮気味に私に寄ってくる。
「よお、デレア! なんつーか……今日のお前、めちゃくちゃ綺麗だな」
近くにはリヒャインもいて、彼もそんな事を言い出した。
「あら、リヒャイン様。デレアお姉様は駄目ですわよ? お姉様には別のお方がいるんですから!」
「大丈夫だってドリゼラ。俺様、もうお前以外の女には絶対惹かれねぇからよ」
「うふふ、私もですわ!」
全く、こいつらは最初からずっと仲良しのままだな。
「ところでグランの奴はどうしたんだ?」
「デレアお姉様のお相手はグラン様というんですのね。そのお方と今日はいらしたんですのよね?」
「さっきまで一緒だったんだけどな。なんか席を外すから、しばらく待っててくれって……」
私がそう言うと、会場の奥からざわめきが起こる。
そちらに目を向けると、四名の人物が歩いていた。
一人は私もよく知っているカイン先生。
もう一人は金髪で細目の男、賢人会議でも見たヴィンセント卿。
そしてその隣には前回の大舞踏会を締める時にあらわれた、例のロハン・ミュッセンがいる。
そして最後のあと一人。
「仮面を付けた……赤髪の……」
シエル殿下の特徴とも言えるあの燃えるような真紅の髪色をした仮面で目元を隠している男。
彼はもしかして……。
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