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最終章 真相解明編
85話 第二回、大舞踏会の知らせ
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衝撃の結末となった賢人会議を終えてから三日ほどが経った。
「……平和だ」
私は薄暗い第三蔵書室の中でひっそりと本を読みながら、呟いた。
賢人会議までの怒涛の数日間はまるで嵐のように過ぎ去り、ようやく私のもとに平穏が訪れていた。
あの後、国王陛下のいなくなった会議室では当然大論争が繰り広げられ、我々尚書官は更に予定外の議事録を続けなくてはならなくなり、特にナザリー先輩は疲弊しきっていた。
私はというと、特に誰からもお咎めなどはなく、むしろ会議後にリアンナ長官やナザリー先輩らを涙目にさせてしまうほど心配されていたくらいだ。
そういえばナーベル法官からは、
「あなた、法官にならないかしら?」
と、異様にキラキラした瞳で肩を掴まれながら要求されたが丁重にお断りさせてもらった。
リアンナ長官からは、
「デレアさんの度胸と迫力とんでもないわ。でもね……」
と、私の口調に関しては少々言われた。
怒られはしなかったものの、それについてだけは些か注意された。
けれど、もうよくわかった。私の口癖はおそらく治らん。もうこういう性分なのだから仕方がないくらいに自分でも諦めている。
グラン様やその他一部の宮廷官たちは会議後、再び陛下のもとへ行くと言っていたので今後の話を煮詰めるのだろう。
今回の件を含め、リフェイラ邸にも一度戻りドリゼラやカタリナお母様に色々話を聞かなくてはならないと考え、リアンナ長官に再び休暇の申請を出している。
のだが、先日の賢人会議のごたごたのせいでリアンナ長官は日々忙しそうにあちこちの部署を飛び回っていて、中々休暇の許可をもらえそうにない。
何よりも今一番気になっているのは、やはりシエル殿下の真相だ。
殿下は死んだ、と陛下は言っていた。
それは魔力変異症による衰弱死なのか、それとも……。
そんな風に考えていると、蔵書室の扉がバンッと勢いよく開かれた。
「デレア! やっぱここにいたか!」
「……あのなあリヒャイン。お前は何度言ったら気が済むんだ。扉は静かに開けろ。本たちがだな――」
「ああ、わかったよ。本さん、驚かせてすみませんでした!」
リヒャインは素早く本に向かって頭を下げていた。
「これでいいだろ。んな事より、今すぐ来てくれ」
「なんだよ? 私をどこに連れていくつもりだ?」
「医務室だ。グランがお前を呼んでるんだよ」
●○●○●
リヒャインに連れられて、私は王宮医務室に訪れていた。
その場にいたのはカイン先生とグラン様の二人であった。
「やあ、デレア。この前は賢人会議ご苦労様」
グラン様はいつもの笑顔で私にそう声を掛けてくれた。
賢人会議があったあの日。陛下の退室直後、私はグラン様にシエル殿下の事をお尋ねしてみたが彼は「すまない、今は考えないようにしているんだ」とだけしか答えてくれず、それ以来彼にはシエル殿下の事を聞けずにいる。
その後、どうしても気になった私は一人でカイン先生にシエル殿下の事を尋ねてみたのだが、カイン先生も「グラン様が自ら語るまでは私からは何も言えない」としか教えてもらえなかった。
シエル殿下は本当に衰弱死してしまったのか、それともあの禁術を施行したのか。それだけは今もわからない。
「リヒャイン、呼んできてくれてありがとう。今、私があちこち王宮内を歩き回るのはあまりうまくなくてね」
「別にそりゃ構わねえけど、それより俺様も含めた話ってなんなんだよ?」
リヒャインを小間使いのようにして私を呼びつけたという事は、リヒャインにも何か関係のある事なんだろうか。
「うん、それはだね」
グラン様がそこまで言うとカイン先生がこほん、と軽く咳払いをし、
「キミたちには来月に王宮の大ホールで再び開催されるヴィンセント家主催の第二回目となる大舞踏会に参加してもらいたい」
……は?
また舞踏会……だと……。
「その大舞踏会には前回よりも多くの著名な各諸侯や貴族を呼び寄せる予定だ。そしてその場でマグナクルス国王陛下の退位と即位する予定の新王について発表をし、周知してもらおうと思ってな」
「それは良いとして、何故私たちがその舞踏会に出席しなければならないのですか?」
「キミたちには密かに王宮の監視官として出席してもらいたいのだ。今回の件でザイン宰相の関係者たちを今、次々と芋づる式に捕らえている。その関連で不埒な者が大舞踏会に乗じて何かしらの犯罪行為を行なう可能性を危惧しているのだ」
どうやら先日の賢人会議の内容についてリヒャインにもすでに話はしてあるようだ。
グラン様直属の部下だし、グラン様が個人的に話していても不思議ではないか。
「はーん? よくわっかんねぇけど、適当に参加して妙なテロ行為を起こしそうな奴がいたらとっちめちまえば良いって事か?」
「まあそんな感じだ。怪しい者がいれば衛兵に通報してくれても構わない。ただ、デレアくんとリヒャインくんには普通の参加者としてしっかり衣装を着込んでおいて欲しい。怪しい者を探すのにもその方が都合が良いだろう」
つまり私はまたリフェイラ家の娘として舞踏会に出ろ、と。
「ちょ、ちょい待ってくれ。俺様、別に舞踏会に出んのはいいけどよ、出るならドリゼラと一緒がいいんだが、それは構わねえか?」
「もちろん構わない。むしろそういうパートナーがいる方が不信感を持たれにくいだろう」
この流れだと私にもそういう相手が必要となるのだが、まさか……。
「うん、察しの良いデレアならわかっていると思うが、キミのパートナーは無論、私だよ」
や、やっぱり私はグラン様となんだ。
彼の笑顔を見て、私は少しだけ頬が熱くなるのを感じたがすぐに平静さを装った。
「宮廷官として怪しい者がいないか目を光らせつつ、二人には舞踏会を楽しんで欲しい。グラン様もどうかよろしくお願いします」
カイン先生からそう告げられ、私とリヒャイン、そしてグラン様は再び王宮で開かれる大舞踏会に参加する事となってしまうのだった。
「……平和だ」
私は薄暗い第三蔵書室の中でひっそりと本を読みながら、呟いた。
賢人会議までの怒涛の数日間はまるで嵐のように過ぎ去り、ようやく私のもとに平穏が訪れていた。
あの後、国王陛下のいなくなった会議室では当然大論争が繰り広げられ、我々尚書官は更に予定外の議事録を続けなくてはならなくなり、特にナザリー先輩は疲弊しきっていた。
私はというと、特に誰からもお咎めなどはなく、むしろ会議後にリアンナ長官やナザリー先輩らを涙目にさせてしまうほど心配されていたくらいだ。
そういえばナーベル法官からは、
「あなた、法官にならないかしら?」
と、異様にキラキラした瞳で肩を掴まれながら要求されたが丁重にお断りさせてもらった。
リアンナ長官からは、
「デレアさんの度胸と迫力とんでもないわ。でもね……」
と、私の口調に関しては少々言われた。
怒られはしなかったものの、それについてだけは些か注意された。
けれど、もうよくわかった。私の口癖はおそらく治らん。もうこういう性分なのだから仕方がないくらいに自分でも諦めている。
グラン様やその他一部の宮廷官たちは会議後、再び陛下のもとへ行くと言っていたので今後の話を煮詰めるのだろう。
今回の件を含め、リフェイラ邸にも一度戻りドリゼラやカタリナお母様に色々話を聞かなくてはならないと考え、リアンナ長官に再び休暇の申請を出している。
のだが、先日の賢人会議のごたごたのせいでリアンナ長官は日々忙しそうにあちこちの部署を飛び回っていて、中々休暇の許可をもらえそうにない。
何よりも今一番気になっているのは、やはりシエル殿下の真相だ。
殿下は死んだ、と陛下は言っていた。
それは魔力変異症による衰弱死なのか、それとも……。
そんな風に考えていると、蔵書室の扉がバンッと勢いよく開かれた。
「デレア! やっぱここにいたか!」
「……あのなあリヒャイン。お前は何度言ったら気が済むんだ。扉は静かに開けろ。本たちがだな――」
「ああ、わかったよ。本さん、驚かせてすみませんでした!」
リヒャインは素早く本に向かって頭を下げていた。
「これでいいだろ。んな事より、今すぐ来てくれ」
「なんだよ? 私をどこに連れていくつもりだ?」
「医務室だ。グランがお前を呼んでるんだよ」
●○●○●
リヒャインに連れられて、私は王宮医務室に訪れていた。
その場にいたのはカイン先生とグラン様の二人であった。
「やあ、デレア。この前は賢人会議ご苦労様」
グラン様はいつもの笑顔で私にそう声を掛けてくれた。
賢人会議があったあの日。陛下の退室直後、私はグラン様にシエル殿下の事をお尋ねしてみたが彼は「すまない、今は考えないようにしているんだ」とだけしか答えてくれず、それ以来彼にはシエル殿下の事を聞けずにいる。
その後、どうしても気になった私は一人でカイン先生にシエル殿下の事を尋ねてみたのだが、カイン先生も「グラン様が自ら語るまでは私からは何も言えない」としか教えてもらえなかった。
シエル殿下は本当に衰弱死してしまったのか、それともあの禁術を施行したのか。それだけは今もわからない。
「リヒャイン、呼んできてくれてありがとう。今、私があちこち王宮内を歩き回るのはあまりうまくなくてね」
「別にそりゃ構わねえけど、それより俺様も含めた話ってなんなんだよ?」
リヒャインを小間使いのようにして私を呼びつけたという事は、リヒャインにも何か関係のある事なんだろうか。
「うん、それはだね」
グラン様がそこまで言うとカイン先生がこほん、と軽く咳払いをし、
「キミたちには来月に王宮の大ホールで再び開催されるヴィンセント家主催の第二回目となる大舞踏会に参加してもらいたい」
……は?
また舞踏会……だと……。
「その大舞踏会には前回よりも多くの著名な各諸侯や貴族を呼び寄せる予定だ。そしてその場でマグナクルス国王陛下の退位と即位する予定の新王について発表をし、周知してもらおうと思ってな」
「それは良いとして、何故私たちがその舞踏会に出席しなければならないのですか?」
「キミたちには密かに王宮の監視官として出席してもらいたいのだ。今回の件でザイン宰相の関係者たちを今、次々と芋づる式に捕らえている。その関連で不埒な者が大舞踏会に乗じて何かしらの犯罪行為を行なう可能性を危惧しているのだ」
どうやら先日の賢人会議の内容についてリヒャインにもすでに話はしてあるようだ。
グラン様直属の部下だし、グラン様が個人的に話していても不思議ではないか。
「はーん? よくわっかんねぇけど、適当に参加して妙なテロ行為を起こしそうな奴がいたらとっちめちまえば良いって事か?」
「まあそんな感じだ。怪しい者がいれば衛兵に通報してくれても構わない。ただ、デレアくんとリヒャインくんには普通の参加者としてしっかり衣装を着込んでおいて欲しい。怪しい者を探すのにもその方が都合が良いだろう」
つまり私はまたリフェイラ家の娘として舞踏会に出ろ、と。
「ちょ、ちょい待ってくれ。俺様、別に舞踏会に出んのはいいけどよ、出るならドリゼラと一緒がいいんだが、それは構わねえか?」
「もちろん構わない。むしろそういうパートナーがいる方が不信感を持たれにくいだろう」
この流れだと私にもそういう相手が必要となるのだが、まさか……。
「うん、察しの良いデレアならわかっていると思うが、キミのパートナーは無論、私だよ」
や、やっぱり私はグラン様となんだ。
彼の笑顔を見て、私は少しだけ頬が熱くなるのを感じたがすぐに平静さを装った。
「宮廷官として怪しい者がいないか目を光らせつつ、二人には舞踏会を楽しんで欲しい。グラン様もどうかよろしくお願いします」
カイン先生からそう告げられ、私とリヒャイン、そしてグラン様は再び王宮で開かれる大舞踏会に参加する事となってしまうのだった。
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