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女の悔恨はその地へと
第四十七話
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如月先輩が刀印を結び、言い放つ。
「この声は神の声、この息は神の息、この手は神の御手。降ましますは高天原の風、神々の息吹よ。現世と隠世を隔て光の籬と成せ!」
呪いが完成すると見えない壁が築かれていく。
如月先輩に半拍遅れて碧君も印を結び、真言を唱える。
「オンアボキャホジャマニハンドマ、バジレイビロキティ、サンマンダ、ウン!」
空気が変わった私達を見て螢子は眉を顰める。
『…何をする気だ。諦めろ、お主らが妾に叶う訳が…』
そこで気付いたかの様に目を瞠る。
碧がもう遅いとでも言わんばかりの笑みを浮かべ、呪文を唱える。
「雷神招来──!」
高らかな声に呼応するように黒雲からばちばちという音がし、真っ白な閃光が螢子の居る場所へと突き刺さる。
反応が遅くとも、長い長い髪と右腕右脚を犠牲にしてほうほうの体で逃げた螢子の目指す先には真黒な影があった。
まだ鳴る怒槌に照らされてその顔が顕になる。
『ひぃっ!!』
思わず引きつった悲鳴を出す螢子ににやりと笑ってその手に再び鬼火を顕現させる。
その焔は先程のものとは全く違うものであった。
赤い赤い焔は全てを焼き尽くす真白な焔へと変わっていた。
真人先輩は容赦なくそれを螢子に叩きつけようとし、軌道を変えて彼女の左腕を焼いた。
『ああああぁぁぁあああぁっ!!』
声にならない悲鳴を上げて地面に落ちのたうち回る彼女の顔を碧君が覗き込む。
彼女の全てが焼けてしまう前に。
「なあ、提案があるんだけど」
『なあぁっ──』
何だと言おうとするが痛みで言葉が紡げない彼女の様子を見て懐から符を出して螢子の左腕に翳す。
痛みが和らいだのか先程よりは顔の筋肉を緩める。
「止痛の符だ。しっかりとした処置はしていないから数分後にはまた痛みが来るだろう」
碧君の言葉に安堵していた表情がまた歪む。
「俺からの提案の返答次第では、助けてやらんことも無いが、どうする?」
自分達がやったという事は棚に上げて条件を出そうとする碧である。
螢子は必死に首を縦に振った。
取り敢えずは聞くという心積りの表しのようだ。
そんな彼女の様子を見て意地の悪い笑みを浮かべて提案を出す。
「俺の式にならない?」
「この声は神の声、この息は神の息、この手は神の御手。降ましますは高天原の風、神々の息吹よ。現世と隠世を隔て光の籬と成せ!」
呪いが完成すると見えない壁が築かれていく。
如月先輩に半拍遅れて碧君も印を結び、真言を唱える。
「オンアボキャホジャマニハンドマ、バジレイビロキティ、サンマンダ、ウン!」
空気が変わった私達を見て螢子は眉を顰める。
『…何をする気だ。諦めろ、お主らが妾に叶う訳が…』
そこで気付いたかの様に目を瞠る。
碧がもう遅いとでも言わんばかりの笑みを浮かべ、呪文を唱える。
「雷神招来──!」
高らかな声に呼応するように黒雲からばちばちという音がし、真っ白な閃光が螢子の居る場所へと突き刺さる。
反応が遅くとも、長い長い髪と右腕右脚を犠牲にしてほうほうの体で逃げた螢子の目指す先には真黒な影があった。
まだ鳴る怒槌に照らされてその顔が顕になる。
『ひぃっ!!』
思わず引きつった悲鳴を出す螢子ににやりと笑ってその手に再び鬼火を顕現させる。
その焔は先程のものとは全く違うものであった。
赤い赤い焔は全てを焼き尽くす真白な焔へと変わっていた。
真人先輩は容赦なくそれを螢子に叩きつけようとし、軌道を変えて彼女の左腕を焼いた。
『ああああぁぁぁあああぁっ!!』
声にならない悲鳴を上げて地面に落ちのたうち回る彼女の顔を碧君が覗き込む。
彼女の全てが焼けてしまう前に。
「なあ、提案があるんだけど」
『なあぁっ──』
何だと言おうとするが痛みで言葉が紡げない彼女の様子を見て懐から符を出して螢子の左腕に翳す。
痛みが和らいだのか先程よりは顔の筋肉を緩める。
「止痛の符だ。しっかりとした処置はしていないから数分後にはまた痛みが来るだろう」
碧君の言葉に安堵していた表情がまた歪む。
「俺からの提案の返答次第では、助けてやらんことも無いが、どうする?」
自分達がやったという事は棚に上げて条件を出そうとする碧である。
螢子は必死に首を縦に振った。
取り敢えずは聞くという心積りの表しのようだ。
そんな彼女の様子を見て意地の悪い笑みを浮かべて提案を出す。
「俺の式にならない?」
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