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女の悔恨はその地へと
第十九話
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「まあ神話の事も含めて説明しちゃえばいいじゃん?」
佐々木会長が笑顔で言う。(というかあった時からずっと胡散臭い笑顔を浮かべてる。)
その提案に如月先輩も頷く。
「そうだね、いきなり私達の存在意義について話してもついていけないだろうし、丁度いいから説明しちゃおっか」
そう前置きをして彼女は説明を始めた。
正直言ってここで説明を入れてくれるのはとても助かる。
こうなるように提案を提示した張本人をちらと見る。
相も変わらず胡散臭い笑みを浮かべる彼だったが、初め会った時のように恐怖は感じなかった。まあまだ薄ら寒さは感じるが…
もしかしたら私が思ってるより彼は、佐々木会長はいい人なのかもしれない、と思った。
視線を如月先輩に戻すと私が考えを終わらせるまで待ってくれていたみたいだ。
人を、よく見てる人だと思った。
すると彼女は碧君を見た。
私も視線を追いかけて彼を見ると彼も私と同様、何かを考えていた。
思考を止めて私達の視線に気づいた彼は待たせてすみません、と一言謝って説明を促した。
そこでやっと如月先輩の説明が始まる。
「まず、天岩戸の神話の話から話すね。
──昔昔、はるか昔の話、アマテラスは横暴を続けるスサノオを庇っていたが、とうとう我慢が出来なくなり、岩戸に隠れてしまうという出来事があった。地上の太陽は隠れ、神事は滞り、八百万の神々は困り果てた。だが、出てくるのを待つ訳にも行かず、彼らは少々強引な手段を取った。アマテラスが隠れた岩戸の前で宴会を始めたのだ。芸能の神のウズメが妖艶な踊りを始め、神々は偽りの祝福をした。岩戸の向こうから聞こえる宴の音を不思議に思い、そっと岩戸を動かし、目の前のウズメに聞いた。すると彼女は『貴方様より尊き神がお生まれになられたので皆で宴を催し、祝福をしているのです』と答えた。アマテラスがそれは真かと問うと、岩戸の間から顔を出すアマテラスの前に鏡をサッと出した。それを見たアマテラスは本当によく似ていると思い、もっと良く見ようと岩戸をまた少し動かした。そこで力自慢のタヂカラオがその岩戸をこじ開けたのだ。隠れていた太陽は顔を出し、世界に平和が戻ったのだ。──
これが天岩戸の話。この話には裏話があるんだ。」
そう言って彼女はその裏話とやらを語りだしたのだ。
佐々木会長が笑顔で言う。(というかあった時からずっと胡散臭い笑顔を浮かべてる。)
その提案に如月先輩も頷く。
「そうだね、いきなり私達の存在意義について話してもついていけないだろうし、丁度いいから説明しちゃおっか」
そう前置きをして彼女は説明を始めた。
正直言ってここで説明を入れてくれるのはとても助かる。
こうなるように提案を提示した張本人をちらと見る。
相も変わらず胡散臭い笑みを浮かべる彼だったが、初め会った時のように恐怖は感じなかった。まあまだ薄ら寒さは感じるが…
もしかしたら私が思ってるより彼は、佐々木会長はいい人なのかもしれない、と思った。
視線を如月先輩に戻すと私が考えを終わらせるまで待ってくれていたみたいだ。
人を、よく見てる人だと思った。
すると彼女は碧君を見た。
私も視線を追いかけて彼を見ると彼も私と同様、何かを考えていた。
思考を止めて私達の視線に気づいた彼は待たせてすみません、と一言謝って説明を促した。
そこでやっと如月先輩の説明が始まる。
「まず、天岩戸の神話の話から話すね。
──昔昔、はるか昔の話、アマテラスは横暴を続けるスサノオを庇っていたが、とうとう我慢が出来なくなり、岩戸に隠れてしまうという出来事があった。地上の太陽は隠れ、神事は滞り、八百万の神々は困り果てた。だが、出てくるのを待つ訳にも行かず、彼らは少々強引な手段を取った。アマテラスが隠れた岩戸の前で宴会を始めたのだ。芸能の神のウズメが妖艶な踊りを始め、神々は偽りの祝福をした。岩戸の向こうから聞こえる宴の音を不思議に思い、そっと岩戸を動かし、目の前のウズメに聞いた。すると彼女は『貴方様より尊き神がお生まれになられたので皆で宴を催し、祝福をしているのです』と答えた。アマテラスがそれは真かと問うと、岩戸の間から顔を出すアマテラスの前に鏡をサッと出した。それを見たアマテラスは本当によく似ていると思い、もっと良く見ようと岩戸をまた少し動かした。そこで力自慢のタヂカラオがその岩戸をこじ開けたのだ。隠れていた太陽は顔を出し、世界に平和が戻ったのだ。──
これが天岩戸の話。この話には裏話があるんだ。」
そう言って彼女はその裏話とやらを語りだしたのだ。
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