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女の悔恨はその地へと

第九話

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「随分と遠回りしたけど本題に戻りましょ?」

「ああ、すまん、そうだったな」

『で、はなしって』

『なーにー?』

私の代わりに狐達が聞く。

「さっき、お前七森と話してたろ?」

「ああ、うん。生徒会執行部の話で…」

「その話なんだが執行部に入るなんて言ってないよな?」

え?

「言ってないけど…」

私が答えると微妙な表情の変化だが少しホッとしたような顔をした。

「そうか、なら良いんだ」

「でも、どうして?」

気になって彼に問う。

彼は考える素振りを見せ話を始める。

「お前も知ってるんだろ?この学校、いや、執行部の噂」

えっと、結に教えて貰ったあの不思議な力を持つ人を集めてるっていう…

「あの噂、まだ本当かどうかも分かっていないだろう?」

うん、と私が頷く。

限りなく本当の事だと私は思うけど…いやまあただの勘なんだけどね…?

「俺が思うにあの噂、80%本当だ」



「どうして!?」

どうしてそんなハッキリと言いきれるの!?

「実は俺もあの噂は気になってな、探りを入れる為に式をやったんだ」

『え!?』

『なんでそんなあぶないこと!』

狐達が碧君を非難する。

「式をやって探る事の何が危ないの…?」

私が聞くと彼は嫌な顔一つせずに説明してくれた。

「式にもまあ三つあって、思業式神しぎょうしきがみ悪業罰示式神あくぎょうばっししきがみ、最後に擬人式神ぎじんしきがみというものがある。今回俺が使ったのは擬人式神で、その中でも下位式神だ。上位と下位での違いは意思があるかどうかだな。下位には意思がない。だから捕まった時余計な情報を示す事も無い。ここまでは理解出来たか?」

出来た、と私が頷く。

「まあその下位式神を送り込んだは良いんだがもしかしたら送った先にかなりの力を持つ者が居るかもしれない。そうなると式に込められた霊力から主が誰か定められてしまうこともある」

「成程、だから危ないんだね」

今の話を聞くと確かに危険な橋を渡ったとも言えるかも。

「でも噂が限りなく本当だって事が分かったって事はその式が上手く働いてくれたんでしょ?なら心配要らないんじゃない?」

私が言うと碧君は少し罰の悪そうな顔をした。

え…まさか…
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