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雨の中に潜むそれは
第五話
しおりを挟む可愛らしい狐達と約束を重ねたあと、私は自分の教室へと向かった。
狐達は用があると言って今は別行動中だが、まあ心配は無いだろう。
寧ろ何故か私が心配された…
そんな頼りないか…?
私は悶々と考えていたため、前方不注意で何かにぶつかってしまった。
「うわっ!」
「うお。」
はね返って尻もちを着いてしまった。
いたた…
ふと前に目を向けると私と同じように尻もちを着いた男子が居た。
「ご、ごめんなさい!私が前を見ていなかったから!怪我はない?大丈夫?」
必死で私が言うと目の前の彼はじーっと私を見て一言、大丈夫だと言った。
見たところ、彼は私とほぼ身長が変わらず、というか私より少し小さいようだ。
自分より背の高い人にぶつかって、ましてやはね返っているのだ。
「ほ、本当に大丈夫…?」
無事で済むものなのかと思いながら私はもう一度声をかけた。
「ああ、大丈夫だ。済まなかった、俺も余所見をしていたんだ。お互い様だ。もう謝るのは無しにしよう。」
淡々とした口調で彼は言った。
「そう…ならいいのだけれど」
「それではまた。」
そう言って彼はこの場を去った。
ん…?またって何だ
不思議に思ったが時間も時間なので私はそのまま真っ直ぐ進み、突き当たりの教室に入った。
扉を開けると思い思いに話をしていたこれからクラスメイトになるであろう生徒達が一斉にこちらを見た。
何か気になる事でも有るのだろうか…?
周りをキョロキョロと見回してみるが目につくものは何一つとしてない。
皆何を見てるんだろ…?
気になったが自分には分からなかったため、私は座席を確認して自分の席に向かう。
そこで気付いた。
え、もしかして、見られてるのって…私…?
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