33 / 101
33.物置
しおりを挟む
「ちょっと……くっつきすぎじゃない?」
「ふざけんな。こっちだってもうキツキツだ」
暗闇の中、悪友の智也と物置に隠れている。実は今……大学生にもなって全力でかくれんぼをしている。
今は夏休みだ、夜中にサークル仲間と集まったのはいいが懐かしい遊びをしたいと誰かが言い出しこうして大学内でかくれんぼをする事になった。
誰も来ないと思っていたこの倉庫に隠れてしばらくすると誰かがやってきて慌てて物置のドアを開けた。
ガラッ
「……は?」
「……あ?──やべ、詰めろ!」
「ちょっと! 無理だって!」
智也は私と目が合うと一瞬驚いたようだが鬼の足音が聞こえたのかあわてて物置に入りドアを閉める。
元々割と荷物が入っていたので一人でもキツキツだったのに今は智也が入り身動き取れないほどだ。慌てて飛び込んだので向かい合わせで抱き合うような形になってしまった。胸同士がくっつき智也の首筋に私の顔が当たる。
首筋から智也のシトラスの香りがする。
「あれ? なんか物音しなかった?」
「いや? ここはいないでしょ。蒸し暑いし……」
鬼の二人が痴話話をしながら立ち去っていく。
ドッドッドッ──。
どっちの心臓の音?
こんなに早く脈打つなんて……まるで、まるで──。
「なぁ……お前俺のこと好きなの? 脈早すぎじゃない?」
智也の声に声が上ずりそうになりながら舌打ちをする。
「ば、ばっかじゃない? あんたの心臓の音よ!」
「……そうか?」
智也は物置のドアを開け放つと私の腕を引き外へと連れ出す。私の顔を見て智也が息を飲む。
「お、お前……その顔……」
「え?」
頰に触れると真っ赤になっているのだろう驚くほど熱い。そういう智也の顔は私の顔を見てからみるみる染まっていく。まるで赤色が色移りしたようだ。
智也は私に近づくとそのまま顔を傾けキスをする。そのまま何度も角度を変え押し付ける。私は智也の胸元のシャツを握りしめそれに応える。
智也は私の頭を抱えると舌を出し激しく口付けをする。歯列を割り侵入して深く絡めていく。歯止めが効かない。暗闇の中窓から入る月明かりだけが私たちを照らしていた。
ゆっくりと智也が離れていく。名残惜しい……。
「そんな顔するなって……止まんなくなるだろが……煽り上手ですかこの野郎」
いつもの調子で智也が話しかける。
私はその頰に触れてやるとビクっと智也が反応した。
「また隠れなきゃね、智也……」
「次の回……またこの物置にかくれるぞ……」
そう言って智也は笑った。
「ふざけんな。こっちだってもうキツキツだ」
暗闇の中、悪友の智也と物置に隠れている。実は今……大学生にもなって全力でかくれんぼをしている。
今は夏休みだ、夜中にサークル仲間と集まったのはいいが懐かしい遊びをしたいと誰かが言い出しこうして大学内でかくれんぼをする事になった。
誰も来ないと思っていたこの倉庫に隠れてしばらくすると誰かがやってきて慌てて物置のドアを開けた。
ガラッ
「……は?」
「……あ?──やべ、詰めろ!」
「ちょっと! 無理だって!」
智也は私と目が合うと一瞬驚いたようだが鬼の足音が聞こえたのかあわてて物置に入りドアを閉める。
元々割と荷物が入っていたので一人でもキツキツだったのに今は智也が入り身動き取れないほどだ。慌てて飛び込んだので向かい合わせで抱き合うような形になってしまった。胸同士がくっつき智也の首筋に私の顔が当たる。
首筋から智也のシトラスの香りがする。
「あれ? なんか物音しなかった?」
「いや? ここはいないでしょ。蒸し暑いし……」
鬼の二人が痴話話をしながら立ち去っていく。
ドッドッドッ──。
どっちの心臓の音?
こんなに早く脈打つなんて……まるで、まるで──。
「なぁ……お前俺のこと好きなの? 脈早すぎじゃない?」
智也の声に声が上ずりそうになりながら舌打ちをする。
「ば、ばっかじゃない? あんたの心臓の音よ!」
「……そうか?」
智也は物置のドアを開け放つと私の腕を引き外へと連れ出す。私の顔を見て智也が息を飲む。
「お、お前……その顔……」
「え?」
頰に触れると真っ赤になっているのだろう驚くほど熱い。そういう智也の顔は私の顔を見てからみるみる染まっていく。まるで赤色が色移りしたようだ。
智也は私に近づくとそのまま顔を傾けキスをする。そのまま何度も角度を変え押し付ける。私は智也の胸元のシャツを握りしめそれに応える。
智也は私の頭を抱えると舌を出し激しく口付けをする。歯列を割り侵入して深く絡めていく。歯止めが効かない。暗闇の中窓から入る月明かりだけが私たちを照らしていた。
ゆっくりと智也が離れていく。名残惜しい……。
「そんな顔するなって……止まんなくなるだろが……煽り上手ですかこの野郎」
いつもの調子で智也が話しかける。
私はその頰に触れてやるとビクっと智也が反応した。
「また隠れなきゃね、智也……」
「次の回……またこの物置にかくれるぞ……」
そう言って智也は笑った。
1
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?
ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。
しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。
しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる