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第一部
組長暴れる
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「ご苦労だった──いや、警察には知らせるな。俺が片付ける」
組長が電話を切ると同時に足元に転がっていた舎弟の一人の頭を踏みつける。
「おい、〇〇病院って廃墟だろ。本当にそこにいるんだろうな……」
「ふ、しらねぇよ」
「あ、やっちゃった」
町田がつい声が出る。次の瞬間舎弟の恐怖に満ちた悲鳴が聞こえてきた。
ほら、だから言わんこっちゃない……
町田はどんどんと変化する男の頭蓋骨を頷きながら見届けた。
組長は黒嶺会の事務所にいた。組長が一人乗り込んで行き暴れ倒し、いま事務所は文字通り血の海だ。おそらく一人で二十人は半殺しにした。
そのうちの一人はさっき地球外生命体にまでなった。
「間違いないな、急ぐぞ町田」
「急いだ方がいいぞ、あそこは裏ビデオの撮影所だからな、くくく」
舎弟の嘲笑うような声に組長が振り返る。だが既に町田の頭突きが炸裂し舎弟は口から泡を吹いている。その瞳は怒りで揺れていた。
「町田……」
「さ、行きましょう!」
車に乗り込むとさっき聞いた病院の廃墟へと向かう。組長は車の中なのに走り出したい気持ちでいっぱいだった。
早くしないと、先生が……
先生が傷つけられる……犯される。
俺のせいで先生が……
「……組長、大丈夫です。先生はお強い方です」
「万が一……俺が我を忘れて誰かを殺そうとしたら止めてくれ」
組長はもし、先生が犯されている現場に鉢合わせたら相手の男を全て殺してしまいそうだった。
いや、間違いない。
「約束は……できません。俺も殺しそうです……組長が俺を止めてくだされば、大丈夫です」
組長は深呼吸をした。
町田の言葉に組長は少し落ち着いた。
待ってろよ、先生。
廃墟に着くと待っていたようにぞろぞろと黒ずくめの舎弟たちが現れた。武器をもち皆余裕そうな表情を浮かべている。十五人はいるだろうか。
間違いなく、先生がここにいる……
組長は指を鳴らすと満面の笑みで笑いかけた。とてもさっき二十人を半殺しにしたとは思えない。
「止めれるか、やってみろガキ」
男たちが一斉に二人に殴りかかった。一人ずつ殴りつけていると木の棒を持った男が背後から組長の頭を殴った。
「組長!」
町田が男の腹を蹴り上げて駆け寄ろうとするが、よそ見した町田に別の男が容赦なく殴りつける。
頭から血を流した組長はその場に崩れていた。
「へへ、やってやったぜ」
舎弟の男は戦いの終焉をとばかりに棒を捨てる。組長が何事もなかったように立ち上がると、その捨てられた棒を掴むとそれをくるりと一回転させた。その顔は殴られたとは思えないほど妖艶な笑みを浮かべている。
「木の棒ってあんまり痛くないな、お前やられたことある?」
「……あ」
舎弟の男が固まっていると組長が笑顔で振り下ろす。男が一撃で動かなくなると次々と男たちを無茶苦茶に殴る。
こういうゲームがあったよね。斬って斬って斬りまくる的なね。
町田はその様子を見て安心したかのように目の前の男を蹴り上げて組長を補佐する。
周りの男たちが動けなくなったのを確認し組長は廃墟へと入る。
ドアが開くと通路にいた男たちが慌てて止めに来る。
男の腹を蹴り上げそのまま頭を掴むと壁に押し付けてながら前へと進む。壁には鼻血だろうか引きずった跡が残った。町田も後ろから羽交い締めされそうになり体を翻すと一本背負いで床に沈める。
男達が見張っていたドアを開けると大きな部屋の中央にポツンと白いベットが置かれていた。
半裸の男数人がそのベッドの周りを取り囲んで座っている。そのベッドの中央には胸元が無残に引き裂かれ袖まで無くなった幸がいた。胸元の下着が見えている。服には所々血痕があり幸の頰は血を拭った跡が残っていた。
ベッドには赤い血痕がポタポタと落ちた跡があった。
俺と目が合うと先生はふにゃっと笑いながら泣いたように見えた。
その姿を見て俺は理性を失った。
「先生っ!!──この野郎っ」
組長がその辺の男たちを殴り倒すと慌てて幸がその手を止める。
「やめてあげて! もう……」
よく見ると男達は項垂れ抵抗もしない。
その中に黒嶺会組長の竜樹の姿もあった。
その顔は真っ青で組長が来たことも分からないようだった。
組長が電話を切ると同時に足元に転がっていた舎弟の一人の頭を踏みつける。
「おい、〇〇病院って廃墟だろ。本当にそこにいるんだろうな……」
「ふ、しらねぇよ」
「あ、やっちゃった」
町田がつい声が出る。次の瞬間舎弟の恐怖に満ちた悲鳴が聞こえてきた。
ほら、だから言わんこっちゃない……
町田はどんどんと変化する男の頭蓋骨を頷きながら見届けた。
組長は黒嶺会の事務所にいた。組長が一人乗り込んで行き暴れ倒し、いま事務所は文字通り血の海だ。おそらく一人で二十人は半殺しにした。
そのうちの一人はさっき地球外生命体にまでなった。
「間違いないな、急ぐぞ町田」
「急いだ方がいいぞ、あそこは裏ビデオの撮影所だからな、くくく」
舎弟の嘲笑うような声に組長が振り返る。だが既に町田の頭突きが炸裂し舎弟は口から泡を吹いている。その瞳は怒りで揺れていた。
「町田……」
「さ、行きましょう!」
車に乗り込むとさっき聞いた病院の廃墟へと向かう。組長は車の中なのに走り出したい気持ちでいっぱいだった。
早くしないと、先生が……
先生が傷つけられる……犯される。
俺のせいで先生が……
「……組長、大丈夫です。先生はお強い方です」
「万が一……俺が我を忘れて誰かを殺そうとしたら止めてくれ」
組長はもし、先生が犯されている現場に鉢合わせたら相手の男を全て殺してしまいそうだった。
いや、間違いない。
「約束は……できません。俺も殺しそうです……組長が俺を止めてくだされば、大丈夫です」
組長は深呼吸をした。
町田の言葉に組長は少し落ち着いた。
待ってろよ、先生。
廃墟に着くと待っていたようにぞろぞろと黒ずくめの舎弟たちが現れた。武器をもち皆余裕そうな表情を浮かべている。十五人はいるだろうか。
間違いなく、先生がここにいる……
組長は指を鳴らすと満面の笑みで笑いかけた。とてもさっき二十人を半殺しにしたとは思えない。
「止めれるか、やってみろガキ」
男たちが一斉に二人に殴りかかった。一人ずつ殴りつけていると木の棒を持った男が背後から組長の頭を殴った。
「組長!」
町田が男の腹を蹴り上げて駆け寄ろうとするが、よそ見した町田に別の男が容赦なく殴りつける。
頭から血を流した組長はその場に崩れていた。
「へへ、やってやったぜ」
舎弟の男は戦いの終焉をとばかりに棒を捨てる。組長が何事もなかったように立ち上がると、その捨てられた棒を掴むとそれをくるりと一回転させた。その顔は殴られたとは思えないほど妖艶な笑みを浮かべている。
「木の棒ってあんまり痛くないな、お前やられたことある?」
「……あ」
舎弟の男が固まっていると組長が笑顔で振り下ろす。男が一撃で動かなくなると次々と男たちを無茶苦茶に殴る。
こういうゲームがあったよね。斬って斬って斬りまくる的なね。
町田はその様子を見て安心したかのように目の前の男を蹴り上げて組長を補佐する。
周りの男たちが動けなくなったのを確認し組長は廃墟へと入る。
ドアが開くと通路にいた男たちが慌てて止めに来る。
男の腹を蹴り上げそのまま頭を掴むと壁に押し付けてながら前へと進む。壁には鼻血だろうか引きずった跡が残った。町田も後ろから羽交い締めされそうになり体を翻すと一本背負いで床に沈める。
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ベッドには赤い血痕がポタポタと落ちた跡があった。
俺と目が合うと先生はふにゃっと笑いながら泣いたように見えた。
その姿を見て俺は理性を失った。
「先生っ!!──この野郎っ」
組長がその辺の男たちを殴り倒すと慌てて幸がその手を止める。
「やめてあげて! もう……」
よく見ると男達は項垂れ抵抗もしない。
その中に黒嶺会組長の竜樹の姿もあった。
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