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会社の同僚鈴木くんの野望
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先程から会社の給湯室で自分のマイカップに入ったコーヒーを啜っている俺の名は鈴木だ。この会社で営業担当として働いている。
今俺がなぜこんなにコソコソとしているかというと、同僚の男の様子がおかしいからだ。坂部俊という男だが営業職にもかかわらず笑顔が苦手な男だがたまに見せるはにかんだ笑顔で多くの取引先の重鎮たちを撃墜し今やこの会社のエースとなった。
俊と俺は親友だ。少なくともそう思っている……しかし……最近どうも様子がおかしい。
今まではお昼休憩になるとスマホ片手に真剣にパソコン画面を見て珍しい酒を探し出し注文していたのだが、ここ数日はしていない。
どこか魂が抜けたような様子に俺も、同じ部屋にいる女子社員もちらちらと様子を見ている。いや、あれは下心がありこのタイミングで食事に誘おうとしているのかもしれない。モテない俺は親友の為に一肌脱ぐことにした。
あくまで俊のためだ、決してモテる男の邪魔をしたいわけではない。
「よう、どうだ最近は」
俊の肩を組むとあからさまにイヤな顔をした女子社員と目が合う。
ふん、人が弱ってる時につけ込む女なんてたいしたもんじゃねぇって相場は決まってるもんだ。
「ああ、鈴木か……ぼちぼちだ」
そういう俊は悲しげで決して大丈夫そうではない。この様子はもしかして……。
「振られ、たか?」
「厳密には、まだ」
俊は好きな女がいると以前言っていた。随分長い間片思いをしていると聞いたがとうとう恋の終わりが来たようだ。ここは親友の出番だ。
「よし、じゃあ合コンに行こう! お前が来るならすぐメンバーも集まる! 強いて言うなら来い!」
やった……とうとう俊を合コンに連れて行ける。ずっと断れ続けていた。俊目当ての女がわんさかだ。じばらく忙しくなる予感がして鈴木は隠れてガッツポーズと取る。
ピピ
高いメール音が響く。
俊が携帯電話を確認すると「悪い、やっぱ無理だわ」と言いメールの返事を打ち始めた。
その表情は焦燥としていたはずなのにまるで急に生気を取り戻したようだ。この男は他の女のことなど興味がないのは分かっていたが……俺の華やかな未来のために是非とも来て欲しかった。
俺は冷めたコーヒーを啜ると自分のデスクへと戻った。またしても俺の野望は儚くも打ち砕かれることとなった。
◇
ピーンポーン
インターホンが鳴る。俊は緊張していた、五日も連絡を取っていなかった琴音から連絡があったのは今日の午後。
俊くん、今日酒持っていくね
これだけだ。
元気だった? どうして連絡来なかったの? 体大丈夫? もない。
駅で琴音を見かけて、俺は琴音断ちをしてみた。本気で琴音を友人の一人として見る練習をしてみたのだが、これが上手くいかなかった。
いつでもどこでも琴音のことを考え、琴音に似ている髪型の女性を目で追ってみたり、自分でも笑ってしまった。
これは病気じゃないのかと心配にもなった。そこに琴音のメールだ。一気に水を浴びたように目が覚めた。友人であれなんであれ、そばにいれたほうが自分は幸せなんだと思った。
深呼吸をしてドアを開ける。
「いらっしゃい」
今俺がなぜこんなにコソコソとしているかというと、同僚の男の様子がおかしいからだ。坂部俊という男だが営業職にもかかわらず笑顔が苦手な男だがたまに見せるはにかんだ笑顔で多くの取引先の重鎮たちを撃墜し今やこの会社のエースとなった。
俊と俺は親友だ。少なくともそう思っている……しかし……最近どうも様子がおかしい。
今まではお昼休憩になるとスマホ片手に真剣にパソコン画面を見て珍しい酒を探し出し注文していたのだが、ここ数日はしていない。
どこか魂が抜けたような様子に俺も、同じ部屋にいる女子社員もちらちらと様子を見ている。いや、あれは下心がありこのタイミングで食事に誘おうとしているのかもしれない。モテない俺は親友の為に一肌脱ぐことにした。
あくまで俊のためだ、決してモテる男の邪魔をしたいわけではない。
「よう、どうだ最近は」
俊の肩を組むとあからさまにイヤな顔をした女子社員と目が合う。
ふん、人が弱ってる時につけ込む女なんてたいしたもんじゃねぇって相場は決まってるもんだ。
「ああ、鈴木か……ぼちぼちだ」
そういう俊は悲しげで決して大丈夫そうではない。この様子はもしかして……。
「振られ、たか?」
「厳密には、まだ」
俊は好きな女がいると以前言っていた。随分長い間片思いをしていると聞いたがとうとう恋の終わりが来たようだ。ここは親友の出番だ。
「よし、じゃあ合コンに行こう! お前が来るならすぐメンバーも集まる! 強いて言うなら来い!」
やった……とうとう俊を合コンに連れて行ける。ずっと断れ続けていた。俊目当ての女がわんさかだ。じばらく忙しくなる予感がして鈴木は隠れてガッツポーズと取る。
ピピ
高いメール音が響く。
俊が携帯電話を確認すると「悪い、やっぱ無理だわ」と言いメールの返事を打ち始めた。
その表情は焦燥としていたはずなのにまるで急に生気を取り戻したようだ。この男は他の女のことなど興味がないのは分かっていたが……俺の華やかな未来のために是非とも来て欲しかった。
俺は冷めたコーヒーを啜ると自分のデスクへと戻った。またしても俺の野望は儚くも打ち砕かれることとなった。
◇
ピーンポーン
インターホンが鳴る。俊は緊張していた、五日も連絡を取っていなかった琴音から連絡があったのは今日の午後。
俊くん、今日酒持っていくね
これだけだ。
元気だった? どうして連絡来なかったの? 体大丈夫? もない。
駅で琴音を見かけて、俺は琴音断ちをしてみた。本気で琴音を友人の一人として見る練習をしてみたのだが、これが上手くいかなかった。
いつでもどこでも琴音のことを考え、琴音に似ている髪型の女性を目で追ってみたり、自分でも笑ってしまった。
これは病気じゃないのかと心配にもなった。そこに琴音のメールだ。一気に水を浴びたように目が覚めた。友人であれなんであれ、そばにいれたほうが自分は幸せなんだと思った。
深呼吸をしてドアを開ける。
「いらっしゃい」
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