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33.すれ違い
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貴弘はマンションを出て街を一人歩いていた。クリスマス前ということもあってか普段にも増して人が溢れかえっていた。親子連れや恋人、それに気の合う友人同士たちが楽しそうに休日を楽しんでいた。そんな中自分が異質な気がして居心地が悪かった。近くにあったカフェに入ると貴弘はただ時が過ぎるのを待っていた。風香のことを思い出しては嫉妬と後悔のループに囚われていた。
風香から離れて少し冷静になった貴弘は早くも自己嫌悪中だ。その時ポケットの中の携帯電話が震え出した。少しドキリとしたが画面を見て貴弘は面倒臭そうに電話に出た。電話の相手は母親の良子だった。今し方上等のお歳暮が届いたらしく取りに来るように言われた。断る理由もないので貴弘は実家へと向かった。家に着くと良子がお裾分けのカニの脚を一本一本丁寧に包んでいた。
「あら、早いわね。ふうちゃんは一緒じゃないの?」
「いや、知らない」
貴弘の素っ気ない様子に良子はクスッと笑った。「仲良くしなさいね」と言いカニの脚を冷凍庫へ押し込んでいく。その背中を見つめていた貴弘はダイニングテーブルの椅子に腰掛けた。手を組み指の関節を鳴らすと貴弘は口を開いた。
「あの、さ……言っておきたいんだけど……風香が引っ越す。孫の夢をぶち壊すようで悪いんだけど」
「あら、そう。いいわよ」
良子は驚きもしない。まるでこうなる事が分かっていたかのようだった。同棲生活が終わる事など全く痛くも痒くもないと言わんばかりにハミングまで出ている。貴弘はその反応に思わず苦笑いを浮かべた。
「……いいのかよ」
「いいのよ。ダメ元だったしねー。こんな無愛想で無口な男なんかダメよね。ふうちゃんもそういう所が嫌なのかもね」
我が母親ながら言いたい放題だ。自覚はあるが今は聞きたくない。ただでさえ落ち込んでいるのだから。貴弘の表情を見ると良子は吹き出した。冷蔵庫からペットボトルの水を取り出すと貴弘に放り投げた。貴弘はキャッチすると蓋を開けて一口飲んだ。良子は貴弘の正面に座ると頬杖をつき我が愚息の顔を見つめた。視線が痛くて貴弘は体ごと横を向いて視線を避ける。全て見透かされそうで嫌になる。
「なんだよ……気持ち悪い」
「ふうちゃん、早苗に連絡してきたわよ。もしかしたらあの部屋を出るかもしれないからって、ごめんねって言ってた」
風香はずっと母親たちに半分家賃を払ってもらっている事を気にかけていた。もちろん貴弘もそうだ。貴弘は風香には黙って風香の分の家賃も、母親たちから送られてくる家賃も手を付けずに置いてあった。それを知らない風香は律儀に二人暮らしのスポンサーにきちんと連絡をしていたようだ。良子は残念そうに溜息をついた……本気で風香に嫁にきて欲しいと思っていた。
「てっきりアンタも一緒に引っ越すと思ったけど……残念ね。遊びに行ってシュート練習でもさせてもらえば?」
「何が?」
「バスケよ、バスケのシュートするやつあるでしょ。あれ家に付いてるって聞いたわよ」
突然玄関から物音がした。インターホンも鳴らさずに早苗が入ってきた。確かに鍵を掛けたはずだった。まるで自分の家に帰ってきたような様子に貴弘は驚いた。どうやら自分たちが家を出た事で二つの家は実質的に統合されているらしい。
早苗も良子からの連絡でカニを頂戴しに来た。早苗はリビングを覗くと貴弘の姿を見つけて嬉しそうに声を掛けた。どれ程おこぼれを頂こうと思っていたのだろうか……その手にはかなり大きな盆があった。
「こんにちは、あら、あの物件見に行った? すごいわよねぇ……大家さんが破格で一軒家貸してくれるって風香興奮してたのよ、あの子ったら……おばあちゃんキラーね」
貴弘は何と声をかければ分からずとりあえず相槌を打った。早苗は良子の隣の椅子に腰かけると話の続きを話し始めた。貴弘は普段から物静かな方なので気にもかけていないようだ。
「風香ったら備え付けのバスケットのゴール見て、ここだ! って思ったらしいわよぉ、貴弘くんが喜ぶって風香も喜んで──」
貴弘は早苗の話を呆然と聞き入っていた。まるで貴弘と一緒に住む物件のような話の内容だ。
バスケットゴール……風香は確か庭に何かがあるって言おうとしていた。俺のことを考えてくれたのか? なんで? 何かがおかしい……なんで森と住むはずの家なのに俺のことを考えて選んでいるんだ? もしかして……止めて欲しいのか?
貴弘は立ち上がると慌てて携帯電話を持ち風香に電話をかけた。コール音が鳴るが電話に出ない……。貴弘は家に戻ろうと玄関に向かう。早苗は思い出したように声を上げた。
「あ、風香なら会社に行って森くんの写真を撮るって言ってたわよ。その足で契約かしらね? 森くんのいい写メが無くって……」
「あー、クソ。ごめん、また来る」
貴弘は話を最後まで聞くことなく弾丸のように玄関を飛び出していった。あまりに突然で早苗と良子は笑い出した。良子は慌てて飛び出した貴弘の背中を見て何かを思い出したかのように笑った。
「ねぇ、貴弘が保育園の頃、風香ちゃんと仲良くしてた男の子と喧嘩した事覚えてる?」
「あ、風香を引き離した話? 懐かしいわね。僕は風香と結婚するって……可愛かったわね貴弘くん」
今の貴弘はまるでその時の貴弘のように勇ましかった。良子は湯を沸かすといつものようにコーヒーを入れた。二人は頬杖をつきどちらかともなく笑い出した。
「素直じゃ無いわよね、あの子壁の向こうの風香ちゃんの気配や音を気にしていたわ。部屋が遅くまで明るいと自分も勉強してみたりね。話しかけないくせに訳分かんないわね男の子って……」
「あらあら、風香もテスト前とか夜中まで勉強しているときに貴弘くんの部屋から音がするともっと頑張らなきゃって思ってたみたいよ。負けず嫌いだからね、あの子たち」
「困った子たちね……もう壁はないのに、いつまで壁越しなのかしら」
素直じゃない似たもの同士ほど面倒くさいものはない。早苗と良子は二人の良い変化を感じていた。
風香から離れて少し冷静になった貴弘は早くも自己嫌悪中だ。その時ポケットの中の携帯電話が震え出した。少しドキリとしたが画面を見て貴弘は面倒臭そうに電話に出た。電話の相手は母親の良子だった。今し方上等のお歳暮が届いたらしく取りに来るように言われた。断る理由もないので貴弘は実家へと向かった。家に着くと良子がお裾分けのカニの脚を一本一本丁寧に包んでいた。
「あら、早いわね。ふうちゃんは一緒じゃないの?」
「いや、知らない」
貴弘の素っ気ない様子に良子はクスッと笑った。「仲良くしなさいね」と言いカニの脚を冷凍庫へ押し込んでいく。その背中を見つめていた貴弘はダイニングテーブルの椅子に腰掛けた。手を組み指の関節を鳴らすと貴弘は口を開いた。
「あの、さ……言っておきたいんだけど……風香が引っ越す。孫の夢をぶち壊すようで悪いんだけど」
「あら、そう。いいわよ」
良子は驚きもしない。まるでこうなる事が分かっていたかのようだった。同棲生活が終わる事など全く痛くも痒くもないと言わんばかりにハミングまで出ている。貴弘はその反応に思わず苦笑いを浮かべた。
「……いいのかよ」
「いいのよ。ダメ元だったしねー。こんな無愛想で無口な男なんかダメよね。ふうちゃんもそういう所が嫌なのかもね」
我が母親ながら言いたい放題だ。自覚はあるが今は聞きたくない。ただでさえ落ち込んでいるのだから。貴弘の表情を見ると良子は吹き出した。冷蔵庫からペットボトルの水を取り出すと貴弘に放り投げた。貴弘はキャッチすると蓋を開けて一口飲んだ。良子は貴弘の正面に座ると頬杖をつき我が愚息の顔を見つめた。視線が痛くて貴弘は体ごと横を向いて視線を避ける。全て見透かされそうで嫌になる。
「なんだよ……気持ち悪い」
「ふうちゃん、早苗に連絡してきたわよ。もしかしたらあの部屋を出るかもしれないからって、ごめんねって言ってた」
風香はずっと母親たちに半分家賃を払ってもらっている事を気にかけていた。もちろん貴弘もそうだ。貴弘は風香には黙って風香の分の家賃も、母親たちから送られてくる家賃も手を付けずに置いてあった。それを知らない風香は律儀に二人暮らしのスポンサーにきちんと連絡をしていたようだ。良子は残念そうに溜息をついた……本気で風香に嫁にきて欲しいと思っていた。
「てっきりアンタも一緒に引っ越すと思ったけど……残念ね。遊びに行ってシュート練習でもさせてもらえば?」
「何が?」
「バスケよ、バスケのシュートするやつあるでしょ。あれ家に付いてるって聞いたわよ」
突然玄関から物音がした。インターホンも鳴らさずに早苗が入ってきた。確かに鍵を掛けたはずだった。まるで自分の家に帰ってきたような様子に貴弘は驚いた。どうやら自分たちが家を出た事で二つの家は実質的に統合されているらしい。
早苗も良子からの連絡でカニを頂戴しに来た。早苗はリビングを覗くと貴弘の姿を見つけて嬉しそうに声を掛けた。どれ程おこぼれを頂こうと思っていたのだろうか……その手にはかなり大きな盆があった。
「こんにちは、あら、あの物件見に行った? すごいわよねぇ……大家さんが破格で一軒家貸してくれるって風香興奮してたのよ、あの子ったら……おばあちゃんキラーね」
貴弘は何と声をかければ分からずとりあえず相槌を打った。早苗は良子の隣の椅子に腰かけると話の続きを話し始めた。貴弘は普段から物静かな方なので気にもかけていないようだ。
「風香ったら備え付けのバスケットのゴール見て、ここだ! って思ったらしいわよぉ、貴弘くんが喜ぶって風香も喜んで──」
貴弘は早苗の話を呆然と聞き入っていた。まるで貴弘と一緒に住む物件のような話の内容だ。
バスケットゴール……風香は確か庭に何かがあるって言おうとしていた。俺のことを考えてくれたのか? なんで? 何かがおかしい……なんで森と住むはずの家なのに俺のことを考えて選んでいるんだ? もしかして……止めて欲しいのか?
貴弘は立ち上がると慌てて携帯電話を持ち風香に電話をかけた。コール音が鳴るが電話に出ない……。貴弘は家に戻ろうと玄関に向かう。早苗は思い出したように声を上げた。
「あ、風香なら会社に行って森くんの写真を撮るって言ってたわよ。その足で契約かしらね? 森くんのいい写メが無くって……」
「あー、クソ。ごめん、また来る」
貴弘は話を最後まで聞くことなく弾丸のように玄関を飛び出していった。あまりに突然で早苗と良子は笑い出した。良子は慌てて飛び出した貴弘の背中を見て何かを思い出したかのように笑った。
「ねぇ、貴弘が保育園の頃、風香ちゃんと仲良くしてた男の子と喧嘩した事覚えてる?」
「あ、風香を引き離した話? 懐かしいわね。僕は風香と結婚するって……可愛かったわね貴弘くん」
今の貴弘はまるでその時の貴弘のように勇ましかった。良子は湯を沸かすといつものようにコーヒーを入れた。二人は頬杖をつきどちらかともなく笑い出した。
「素直じゃ無いわよね、あの子壁の向こうの風香ちゃんの気配や音を気にしていたわ。部屋が遅くまで明るいと自分も勉強してみたりね。話しかけないくせに訳分かんないわね男の子って……」
「あらあら、風香もテスト前とか夜中まで勉強しているときに貴弘くんの部屋から音がするともっと頑張らなきゃって思ってたみたいよ。負けず嫌いだからね、あの子たち」
「困った子たちね……もう壁はないのに、いつまで壁越しなのかしら」
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