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11.うらめしやぁ
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「貴弘め、忌々しい……この恨みはらさでおくべきか──」
風香は帰宅途中の電車に揺られながら一人呟いた。隣で吊り輪を握っていた定年前のサラリーマンが風香を一瞥し素知らぬ振りをした。日常生活でこんなセリフを吐く女の顔を見てみたくなったらしい。風香は春子の言葉を思い出していた。
『手を出さないのは風香が恋愛対象外なのね……そうじゃなきゃ一緒に住めないもの』
『恋愛対象外……』
『良かったじゃない、防犯にもなるし。家賃は安いしね』
春子は風香の背中を叩くと屋上のドアを開けた。風香はその刹那に貴弘の一挙一動に動揺していた自分を恥じた。
くそぅ、あんなやつに動揺してしまった……。そうよ、女と思ってないからあんな風にキスでもなんでも平気なのね……。私だって貴弘の事なんかなんとも思ってないわよ、あーもう……。きっと私の反応見て笑ってたに違いない。仕返ししてやらないと気が済まないわ。
苦手なもの、苦手なもの──貴弘の苦手なもの……。
「あっ」
電車に乗っていることを忘れて思わず声が出た。周りの視線を感じると風香はポケットから携帯電話を取り出してごまかした。自分の閃きにニヤつくのを抑えるのが大変だった。
帰宅すると風香は手早くおかずを二品作った。貴弘の食事の好みは幼い頃のままで助かる。何が食べたいのかと考えなくてもいい。動物性タンパク質さえ入っていれば納得している。その辺りの思考回路は風香と似ている。いつものように皿を片付けると貴弘はテレビの前に座りテレビを見始めた。風香は一旦部屋に戻るとある物を手にリビングへと戻った。さりげなく貴弘の横に座るとあるものを貴弘の顔の前に出した。貴弘はその表紙を見て風香を睨む。
「……何これ」
「……ホラー映画借りて来たのよ、ほれほれ、怖そうでしょ」
固まった貴弘の反応に風香は嬉しくて仕方がない。貴弘の眉間にはしわが寄り明らかに不機嫌そうだ。
「借りてきたの、一緒に見よう?」
「今から見たい番組が──」
「怖いんでしょ? 分かってる。子供の時か 苦手だったもんね。テレビで放送してたら私の手を握ってさぁ、瞳をウルウルさせて風香ちゃん一緒にトイレに来て欲──」
「……見ればいいんだろ、見れば」
貴弘は風香の手からディスクを取ると黙ってブルーレイレコーダーにセットした。風香は雰囲気を盛り上げる為に照明の電気を消して貴弘の横に座った。
映画が始まるとひたすら食い入るように見つめた。いや、身動きが取れなくなった──めちゃくちゃ怖すぎる。
いやいや、全米が震撼とか良く作品紹介で書いてるけどさ、そんな怖いストーリーだと思わなかったし……うわ、うわ! ダメだって! 逃げなさいよ主人公! バカっ!
ムード作りの為に自分で照明を消したので恐怖倍増だ。貴弘を怖がらせるつもりだったのに自分が怖がっている。風香はちらりと隣に座る貴弘の横顔を見た。意外にも貴弘は平気らしく時折瞬きをしながら見ている。時折「なるほどな」と声を出しているが、風香には映画の中になるほどポイントなど一切無い。悲鳴が出ないように必死で口元を押さえていた。映画のエンドロールが流れ始めると風香は一目散に照明をつけた。
「まぁまぁだったな。犯人が予想通りだったな」
「そう、ね。ま、いい映画ね」
貴弘は背伸びをしながらレコーダーからディスクを取り出してケースに戻した。風香は震える手を抑えつつ笑って恐怖をごまかした。
カチ カチ カチ カチ──。
ベッドサイドの目覚まし時計の秒針の音が気になり風香は被っていた掛け布団で時計を包み込むと背中で押しつけた。こんな小さな音ですら気になる。照明を煌々と付けているせいか全く眠くない。頭も冴え渡っている。その時強い風が窓に当たり大きな音を立てた。
「ひぃ──」
思わず布団に潜り込むが今にも幽霊が出てきそうで動悸が止まらない。このままじゃ明日の仕事に差しつかえてしまう。風香は今更ながら後悔していた。ミイラ取りがミイラになるとはこの事だ。まさか自分の方がこんな事になるとは思わなかった。完全に作戦失敗だ。
貴弘はどうしているのだろうか……怖がらずに寝れているのだろうか……。
風香は枕を抱きしめて貴弘の部屋へと向かった。引き戸の隙間からは朧げな橙色の光が見える。風香は控えめにノックをした。すぐに貴弘はドアを開けた。その目は大きく開かれていた。
「風香、な……にしてんの? 寝ないのか?」
「寝てたよ、もちろん寝てた。いや、大丈夫かなって思って見に来ただけ、それだけ」
貴弘は風香の震える手を見て思わず笑った。きっと映画のせいで寝れなくなってしまったのだろう。貴弘は腕を組むと風香を見下ろした。
「まさか風香……怖いの?」
「ま、まさか! 貴弘が怖がってないかと思って心配で──寝れないならその……一緒に寝てあげてもいいけど?」
風香は貴弘の返事も待たずに貴弘の横を通り過ぎるとベッドの端にマイ枕を置いた。貴弘は困ったように頭を掻く。シングルベッドは狭い……それにあの頃と体格も違う、男と女だ。その二人が同じベッドで寝る──冷静な頭の貴弘はどうすべきか悩んでいた。この状況はまさに苦行以外何物でもない。
いやいや、女がのこのこと枕持って男と同じベッドで寝ちゃダメだろう。風香のことなんか何とも思ってないけどさすがにこれはまずい。
「風香、俺床で寝るから──」
「……いや、私寝相悪くないから……」
貴弘の言葉を遮るように言うと風香は貴弘の腕を取り布団の中に引き込んだ。木にしがみつくコアラのように貴弘の体に巻きつく。風香の柔らかな体や香り……まとわりつく体温に頭が殴られたような衝撃が来た。
これは苦行なんてもんじゃない、地獄だ。
「ふ、風香──ちょっと離れろ。暑い」
「貴弘震えてるの? 我慢しちゃって、怖かったんじゃん……昔も震えてこうして抱き合ってたよね。懐かしい……」
今は別の意味で震えているのだが、風香にはそれが分からない。必死で緊張を堪える貴弘はバレないように息を吐き心を落ち着かせる。風香は恍惚とした表情で貴弘の腕枕に頬をすり寄せる。
「気持ち……いいね──」
貴弘は風香の顔から視線を逸らすと別の事を考えた。そうでなければ下半身が反応してしまう。幸いな事に風香の足は貴弘の腹の上にあり下半身の存在が増している事に気付かれていない。
貴弘は付き合っている彼女もいない。そして年頃の大人の男だ……。当然性欲は平均的にある。風香は貴弘が大人になった事を分かっている。だが、理解はしていないようだ。風香にとって今貴弘は保育園の頃のままだ。暫くすると落ち着いたのか寝息が聞こえてきた。貴弘は風香の寝顔を見て昔を思い出した。
「バカ風香」
幼い頃最初に見たホラー映画は本当に怖かった。それは本当だ。二回目からは免疫が付いたのか冷静に観れていた。だけれど冷静な貴弘に対して風香は貴弘がホラー映画が苦手だとすっかり刷り込まれていた。
『貴弘くん、大丈夫。風香がね、ついててあげるから、手を握ってあげる』
風香が優しく俺に触れた。その温もりが欲しくて俺は怖がるフリを続けていた。風香に抱きしめてもらう為に。
今考えると随分とマセた保育園児だ。あの頃は本当に風香の事が好きだった。幼い風香は自分も怖いのに震える手で必死で俺を励まそうとしてくれた。その健気さが愛おしかった。
『一緒に寝よう。ほら、くっ付いていればお化けもやってこないから』
風香はいつもそう言って毛布に包まった。そして貴弘よりも先に眠ってしまっていた。眠った風香の寝顔を見て幼い貴弘はいつも頰にこそっとキスをしていた。貴弘は昔の自分を思い出して苦笑いした。
「素直な子供だったな、俺も」
貴弘は風香を起こさぬように指先で頰に掛かった髪の束を横へと流してやる。白い肌が橙色の照明に反射して赤らめているように見える。貴弘は吸い寄せられるようにその頰にキスをした。貴弘は急に眠気に襲われて瞼を閉じた。
貴弘は明くる朝に災難に見舞われることを知らない……。
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「あっ」
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帰宅すると風香は手早くおかずを二品作った。貴弘の食事の好みは幼い頃のままで助かる。何が食べたいのかと考えなくてもいい。動物性タンパク質さえ入っていれば納得している。その辺りの思考回路は風香と似ている。いつものように皿を片付けると貴弘はテレビの前に座りテレビを見始めた。風香は一旦部屋に戻るとある物を手にリビングへと戻った。さりげなく貴弘の横に座るとあるものを貴弘の顔の前に出した。貴弘はその表紙を見て風香を睨む。
「……何これ」
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固まった貴弘の反応に風香は嬉しくて仕方がない。貴弘の眉間にはしわが寄り明らかに不機嫌そうだ。
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貴弘は風香の手からディスクを取ると黙ってブルーレイレコーダーにセットした。風香は雰囲気を盛り上げる為に照明の電気を消して貴弘の横に座った。
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いやいや、全米が震撼とか良く作品紹介で書いてるけどさ、そんな怖いストーリーだと思わなかったし……うわ、うわ! ダメだって! 逃げなさいよ主人公! バカっ!
ムード作りの為に自分で照明を消したので恐怖倍増だ。貴弘を怖がらせるつもりだったのに自分が怖がっている。風香はちらりと隣に座る貴弘の横顔を見た。意外にも貴弘は平気らしく時折瞬きをしながら見ている。時折「なるほどな」と声を出しているが、風香には映画の中になるほどポイントなど一切無い。悲鳴が出ないように必死で口元を押さえていた。映画のエンドロールが流れ始めると風香は一目散に照明をつけた。
「まぁまぁだったな。犯人が予想通りだったな」
「そう、ね。ま、いい映画ね」
貴弘は背伸びをしながらレコーダーからディスクを取り出してケースに戻した。風香は震える手を抑えつつ笑って恐怖をごまかした。
カチ カチ カチ カチ──。
ベッドサイドの目覚まし時計の秒針の音が気になり風香は被っていた掛け布団で時計を包み込むと背中で押しつけた。こんな小さな音ですら気になる。照明を煌々と付けているせいか全く眠くない。頭も冴え渡っている。その時強い風が窓に当たり大きな音を立てた。
「ひぃ──」
思わず布団に潜り込むが今にも幽霊が出てきそうで動悸が止まらない。このままじゃ明日の仕事に差しつかえてしまう。風香は今更ながら後悔していた。ミイラ取りがミイラになるとはこの事だ。まさか自分の方がこんな事になるとは思わなかった。完全に作戦失敗だ。
貴弘はどうしているのだろうか……怖がらずに寝れているのだろうか……。
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風香が優しく俺に触れた。その温もりが欲しくて俺は怖がるフリを続けていた。風香に抱きしめてもらう為に。
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