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番外編 暑気払いの効能(多田野の話)
(3)
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寝具に身を横たえると、栗原の求めで電気を消した。
寄り添いながら、栗原の頬を撫で、浴衣越しに肩に手を添える。
そっと肩を撫でながら口づけようと顔を寄せると、栗原があごを引いて目をさまよわせた。
「……多田野くん、待って」
「……嫌? やめとく?」
「ち、違うの」
栗原は暗闇でもわかるほど真っ赤な顔で多田野を見上げた。
「あああの、久々だし、その、私あんまり……胸とかないし、ええと」
とりあえずいっぱいいっぱいらしい栗原の弁明じみた言葉を聞きながら、多田野は微笑んだ。
癖のあるその髪を指先で撫でる。
「俺も久々だよ。……別に、しなくちゃいけないとも思ってないし、そのうちでも……」
「や、やだ」
「は?」
慌てて多田野の手を取る栗原の目はわずかに潤んでいる。栗原は少女じみた顔で必死に多田野を見つめた。
「やだ。だ、だ……だ……いて……」
語尾がだんだん小さくフェードアウトしていく。
多田野は一瞬の間の後噴き出した。
「な、なんで……、笑わないでよぅ」
困惑しきった顔で、栗原が多田野を見つめる。その顔は赤く、目も潤んだままだ。
「いや、ごめん……可愛くて」
可愛い、という言葉に、栗原が戸惑う。
「も、もう、多田野くんってば」
慌てて顔を隠すので、多田野はまた笑った。
そっとその手を引きはがし、鼻と鼻でキスをする。
「……いいの?」
栗原はこくりと頷いた。
多田野はゆっくりと、その唇に唇を押し当てた。
「ん……はぁ……」
唇が離れる一瞬に漏れる満足げな吐息を聞きながら、多田野は手を栗原の頬から首もと、肩へと走らせる。
脇から脇腹に下ろしていくと、栗原がぴくりと震えた。
ちゅ、くちゅ……
深くなるキスの水音が、和室に響く。栗原はしっかりと目を閉じていた。その懸命な様子が、また多田野の心をくすぐる。
「栗ちゃん……」
唇を離して囁くと、栗原が多田野を見上げた。視界におさまらないほどの近距離にある互いの顔を見て、照れ臭そうに微笑んだ。
「は、恥ずかしい」
「何で?」
「だ、だって……多田野くんなんだもん」
多田野は笑った。何だそれ、と思いはしたが、そういう言い方も栗原らしい。
「うん、俺だよ」
栗原の手を取り、てのひらにキスをする。
「……栗ちゃん」
栗原は困ったように目をさまよわせた。
多田野は浴衣の衿から手を中へと滑り込ませる。
「ぁ……」
華奢な身体に沿って手を這わせると、控えめな膨らみがあった。
「……さわっても、いい?」
静かに尋ねると、栗原はこくこくと頷く。
多田野はその唇にまたキスをしながら、ブラジャーのカップの中に手を滑らせた。
やんわりとその膨らみを包み込むと、栗原がおずおずと多田野を見上げる。
「ち、小さいでしょ」
「そうかな」
多田野は微笑んだ。
「よくわかんない。……久しぶりだから」
控えめとは言っても、男にはない柔らかさだ。やわやわとその弾力を楽しみながら、多田野は栗原の首筋に舌を這わせ、耳たぶを舐める。
「栗ちゃん……」
「はぅ……」
栗原は慌てて顔を口を覆った。
「どうしたの?」
「だ、駄目。変な声出ちゃう」
多田野はくつくつ笑いながら、その耳を攻めた。
耳の外側をくるりと舐めとり、内側へ。ぴちゃくちゅと音をたてながら表面を舐め、甘がみして息を吹き掛ける。
「ぁ、ふっ……」
栗原が自分の手の甲を口に当てた。
多田野は片手で胸を愛撫しながら帯を解く。
浴衣の合わせをくつろげ、脇腹から腰へと手を這わせた。
「……栗ちゃん……」
そうしている間にも、自身がむくむくと起き上がるのを感じる。控えめな肉付きの足回りをさすっていると、多田野自身が一瞬、栗原の足に触れた。
ぴくん、と栗原の足が反応する。
「……ごめん」
多田野が恐縮すると、栗原はぶんぶんと首を横に振った。
「ち、違うの。違うの……嫌なんじゃなくて……」
栗原は言って、意を決したような顔をした。
栗原は手を伸ばし、そっと多田野の胸から脇へ、そして下腹部へと這わせる。
「……さわってもいい?」
「どうぞ」
栗原の緊張が伝わってきて、多田野も少し緊張した。栗原の手はそっと多田野の屹立にふれたが、それがぴくんと反応するや、すぐに離れる。
「……それだけ?」
ちょっとだけ意地悪に聞いてみると、栗原は赤い顔を反らした。
「わ、私でこんなになるなんて、変な人。多田野くん」
「何、それ」
多田野は笑った。笑いながら、下腹部の熱を栗原の足へ押し付けてみる。栗原は小さく声をあげた。
「だって、仕方ないじゃない。……好きな女性と、こんな風にしていたら」
多田野は微笑みながら、栗原の身体に手を這わせる。栗原の口から甘い吐息が漏れた。
「多田野くん……」
「うん」
多田野の手が、栗原のショーツ越しに割れ目を辿る。
「ぁ、は、んっ」
その手が蕾をこするたび、ぴくんぴくんと栗原の腰が跳ねた。
「可愛い。ーー栗ちゃん、綺麗だよ」
はだけた浴衣の上に手をついて、栗原の鎖骨へ、胸元へと舌を這わせる。
背中に手を差し入れてブラジャーのホックを外すと、下着を上にずらし、頂きを吸い上げた。
すでに硬くなっていたそこを甘がみすると、栗原の口からまた嬌声が漏れる。
背中と腰をさすりながら、もう片方の手で股を撫で、胸に舌を走らせる。栗原は甘い声を漏らすたび、慌てて口を押さえた。
「ぁあ、ん、多田野く、やだぁ……」
その声の甘さに、多田野自身の熱が燻る。
「栗ちゃん……可愛い……」
互いの息が荒くなり、栗原が手を伸ばして多田野の浴衣の衿元から自分の袖を差し入れた。
「ああ、やだ」
「何?」
「直接がいい」
栗原は言って、浴衣の袖から自分の腕を引き抜く。多田野も笑って自身の浴衣の帯を解き、それに倣った。
うっすらと汗ばんだ互いの肌を重ね、栗原はまた多田野の屹立にそっと手を伸ばす。
下着を押し上げるその熱の先端を撫でると、照れ臭そうに多田野を見上げた。
「……うれしい」
多田野が説明を求めるような目をすると、
「私のこと……ちゃんと女だって思ってくれてるんだ」
多田野は苦笑した。
「何言ってるの」
小柄な頬に口づけ、耳もとで囁く。
「栗ちゃんは、女の人だよ。……素敵な女性だよ」
言って、息を深く吐き出した。
「……ごめん、栗ちゃん。そろそろ、いい?」
栗原が潤んだ目でこくりと頷く。
多田野は栗原のショーツを引き下げ、自分の下着も取り払った。
解放感にほっと息をつく。
自身に避妊具をつけると、栗原のそこに直接触れる。
少し指先で辿ると、中はトロリと溶けて熱かった。
久しぶりのその感覚に、多田野の気持ちも高まる。
「ぁ、はぁ……多田野、くんっ……」
少し指先を出し入れし、中を解す。
栗原の中からたつ水音と、荒い息遣いに、多田野は我慢の限界を感じた。
「……挿れるよ」
「ん、ぅんっ……」
こくこくと頷く栗原の目は潤み、頬は上気している。
(可愛い)
多田野は込み上げる想いの照れ臭さに微笑みながら、熱を持つそれを蜜壺の入口に添えた。
「んっ……ぅ……」
「栗ちゃん……力、抜いて……きつ……」
「は、ぅ、だっ……て、……はぁ……ぁん、多田野、くんっ」
少しずつ栗原の中に沈み込んでいく自身を感じつつ、多田野は栗原を抱きしめた。
「はぁ……痛くない?」
栗原は首を横に振る。
「よかった……ぅっ」
ぴくん、と締め付けた栗原を、多田野は恨めしげに見やった。
「や、やめてよ。久々なんだから」
「だ、だから私だって、久々でーーぁん!」
栗原が話している途中で、多田野は小さく奥へつきあげた。
「や、やだ、もう。ひどい」
「ごめん。可愛いからつい」
「も、そればっか……ぁあっ」
「だって、可愛いもん」
キスを落とし、ゆっくりと動き始めると、栗原は言葉を発するのを諦めた。
「ぁっ、は、あ、ぅん、多田野くん、んっ」
だんだんと駆け足になるリズムに揺られながら、栗原が首をふるふると左右に振る。
「はぁ、は、っ、ふ……栗ちゃん」
乱れる髪をかきあげ、額に口づけると、栗原が涙で潤んだ目を多田野に向けた。
「多田野くぅ、んっ、ぁあっ…」
甘い声で呼ばれて、多田野は栗原を抱きしめた。
華奢で小柄な彼女を押し潰さないようにと思っていたのだが、自分に余裕がなくなっていることに気づく。
「栗、ちゃんっ」
びりびりと腰に響く甘い疼きに、多田野は大きく息をつくと、栗原の腰に手を添えた。
「ごめん、ちょっとだけ、我慢して」
栗原はふにゃりと微笑んで、小さく首を振った。
「だいじょぶ、だよ、壊れたり、しない、から」
揺れるリズムに合わせて言って、栗原は多田野の頭をかき抱いた。
「多田野くん、気持ちよくなってくれるの、嬉しい」
(うわ)
栗原の声は女そのものだ。ぞわぞわと、腰に痺れが走った。
(ああ、もうっーー)
多田野は栗原の腰を押さえ、それまでよりも乱暴に奥をついた。
「あ、ぁあ、あっ、多田野くんっ、ただ、のくんっ」
「くっ、ぅ、は、栗ちゃ、んっ、ぁあっ、はっ……!」
互いの乱れた息と、自分の鼓動ばかりが鼓膜を満たしたとき、栗原が多田野を締め上げ、多田野もその収縮にのまれた。
寄り添いながら、栗原の頬を撫で、浴衣越しに肩に手を添える。
そっと肩を撫でながら口づけようと顔を寄せると、栗原があごを引いて目をさまよわせた。
「……多田野くん、待って」
「……嫌? やめとく?」
「ち、違うの」
栗原は暗闇でもわかるほど真っ赤な顔で多田野を見上げた。
「あああの、久々だし、その、私あんまり……胸とかないし、ええと」
とりあえずいっぱいいっぱいらしい栗原の弁明じみた言葉を聞きながら、多田野は微笑んだ。
癖のあるその髪を指先で撫でる。
「俺も久々だよ。……別に、しなくちゃいけないとも思ってないし、そのうちでも……」
「や、やだ」
「は?」
慌てて多田野の手を取る栗原の目はわずかに潤んでいる。栗原は少女じみた顔で必死に多田野を見つめた。
「やだ。だ、だ……だ……いて……」
語尾がだんだん小さくフェードアウトしていく。
多田野は一瞬の間の後噴き出した。
「な、なんで……、笑わないでよぅ」
困惑しきった顔で、栗原が多田野を見つめる。その顔は赤く、目も潤んだままだ。
「いや、ごめん……可愛くて」
可愛い、という言葉に、栗原が戸惑う。
「も、もう、多田野くんってば」
慌てて顔を隠すので、多田野はまた笑った。
そっとその手を引きはがし、鼻と鼻でキスをする。
「……いいの?」
栗原はこくりと頷いた。
多田野はゆっくりと、その唇に唇を押し当てた。
「ん……はぁ……」
唇が離れる一瞬に漏れる満足げな吐息を聞きながら、多田野は手を栗原の頬から首もと、肩へと走らせる。
脇から脇腹に下ろしていくと、栗原がぴくりと震えた。
ちゅ、くちゅ……
深くなるキスの水音が、和室に響く。栗原はしっかりと目を閉じていた。その懸命な様子が、また多田野の心をくすぐる。
「栗ちゃん……」
唇を離して囁くと、栗原が多田野を見上げた。視界におさまらないほどの近距離にある互いの顔を見て、照れ臭そうに微笑んだ。
「は、恥ずかしい」
「何で?」
「だ、だって……多田野くんなんだもん」
多田野は笑った。何だそれ、と思いはしたが、そういう言い方も栗原らしい。
「うん、俺だよ」
栗原の手を取り、てのひらにキスをする。
「……栗ちゃん」
栗原は困ったように目をさまよわせた。
多田野は浴衣の衿から手を中へと滑り込ませる。
「ぁ……」
華奢な身体に沿って手を這わせると、控えめな膨らみがあった。
「……さわっても、いい?」
静かに尋ねると、栗原はこくこくと頷く。
多田野はその唇にまたキスをしながら、ブラジャーのカップの中に手を滑らせた。
やんわりとその膨らみを包み込むと、栗原がおずおずと多田野を見上げる。
「ち、小さいでしょ」
「そうかな」
多田野は微笑んだ。
「よくわかんない。……久しぶりだから」
控えめとは言っても、男にはない柔らかさだ。やわやわとその弾力を楽しみながら、多田野は栗原の首筋に舌を這わせ、耳たぶを舐める。
「栗ちゃん……」
「はぅ……」
栗原は慌てて顔を口を覆った。
「どうしたの?」
「だ、駄目。変な声出ちゃう」
多田野はくつくつ笑いながら、その耳を攻めた。
耳の外側をくるりと舐めとり、内側へ。ぴちゃくちゅと音をたてながら表面を舐め、甘がみして息を吹き掛ける。
「ぁ、ふっ……」
栗原が自分の手の甲を口に当てた。
多田野は片手で胸を愛撫しながら帯を解く。
浴衣の合わせをくつろげ、脇腹から腰へと手を這わせた。
「……栗ちゃん……」
そうしている間にも、自身がむくむくと起き上がるのを感じる。控えめな肉付きの足回りをさすっていると、多田野自身が一瞬、栗原の足に触れた。
ぴくん、と栗原の足が反応する。
「……ごめん」
多田野が恐縮すると、栗原はぶんぶんと首を横に振った。
「ち、違うの。違うの……嫌なんじゃなくて……」
栗原は言って、意を決したような顔をした。
栗原は手を伸ばし、そっと多田野の胸から脇へ、そして下腹部へと這わせる。
「……さわってもいい?」
「どうぞ」
栗原の緊張が伝わってきて、多田野も少し緊張した。栗原の手はそっと多田野の屹立にふれたが、それがぴくんと反応するや、すぐに離れる。
「……それだけ?」
ちょっとだけ意地悪に聞いてみると、栗原は赤い顔を反らした。
「わ、私でこんなになるなんて、変な人。多田野くん」
「何、それ」
多田野は笑った。笑いながら、下腹部の熱を栗原の足へ押し付けてみる。栗原は小さく声をあげた。
「だって、仕方ないじゃない。……好きな女性と、こんな風にしていたら」
多田野は微笑みながら、栗原の身体に手を這わせる。栗原の口から甘い吐息が漏れた。
「多田野くん……」
「うん」
多田野の手が、栗原のショーツ越しに割れ目を辿る。
「ぁ、は、んっ」
その手が蕾をこするたび、ぴくんぴくんと栗原の腰が跳ねた。
「可愛い。ーー栗ちゃん、綺麗だよ」
はだけた浴衣の上に手をついて、栗原の鎖骨へ、胸元へと舌を這わせる。
背中に手を差し入れてブラジャーのホックを外すと、下着を上にずらし、頂きを吸い上げた。
すでに硬くなっていたそこを甘がみすると、栗原の口からまた嬌声が漏れる。
背中と腰をさすりながら、もう片方の手で股を撫で、胸に舌を走らせる。栗原は甘い声を漏らすたび、慌てて口を押さえた。
「ぁあ、ん、多田野く、やだぁ……」
その声の甘さに、多田野自身の熱が燻る。
「栗ちゃん……可愛い……」
互いの息が荒くなり、栗原が手を伸ばして多田野の浴衣の衿元から自分の袖を差し入れた。
「ああ、やだ」
「何?」
「直接がいい」
栗原は言って、浴衣の袖から自分の腕を引き抜く。多田野も笑って自身の浴衣の帯を解き、それに倣った。
うっすらと汗ばんだ互いの肌を重ね、栗原はまた多田野の屹立にそっと手を伸ばす。
下着を押し上げるその熱の先端を撫でると、照れ臭そうに多田野を見上げた。
「……うれしい」
多田野が説明を求めるような目をすると、
「私のこと……ちゃんと女だって思ってくれてるんだ」
多田野は苦笑した。
「何言ってるの」
小柄な頬に口づけ、耳もとで囁く。
「栗ちゃんは、女の人だよ。……素敵な女性だよ」
言って、息を深く吐き出した。
「……ごめん、栗ちゃん。そろそろ、いい?」
栗原が潤んだ目でこくりと頷く。
多田野は栗原のショーツを引き下げ、自分の下着も取り払った。
解放感にほっと息をつく。
自身に避妊具をつけると、栗原のそこに直接触れる。
少し指先で辿ると、中はトロリと溶けて熱かった。
久しぶりのその感覚に、多田野の気持ちも高まる。
「ぁ、はぁ……多田野、くんっ……」
少し指先を出し入れし、中を解す。
栗原の中からたつ水音と、荒い息遣いに、多田野は我慢の限界を感じた。
「……挿れるよ」
「ん、ぅんっ……」
こくこくと頷く栗原の目は潤み、頬は上気している。
(可愛い)
多田野は込み上げる想いの照れ臭さに微笑みながら、熱を持つそれを蜜壺の入口に添えた。
「んっ……ぅ……」
「栗ちゃん……力、抜いて……きつ……」
「は、ぅ、だっ……て、……はぁ……ぁん、多田野、くんっ」
少しずつ栗原の中に沈み込んでいく自身を感じつつ、多田野は栗原を抱きしめた。
「はぁ……痛くない?」
栗原は首を横に振る。
「よかった……ぅっ」
ぴくん、と締め付けた栗原を、多田野は恨めしげに見やった。
「や、やめてよ。久々なんだから」
「だ、だから私だって、久々でーーぁん!」
栗原が話している途中で、多田野は小さく奥へつきあげた。
「や、やだ、もう。ひどい」
「ごめん。可愛いからつい」
「も、そればっか……ぁあっ」
「だって、可愛いもん」
キスを落とし、ゆっくりと動き始めると、栗原は言葉を発するのを諦めた。
「ぁっ、は、あ、ぅん、多田野くん、んっ」
だんだんと駆け足になるリズムに揺られながら、栗原が首をふるふると左右に振る。
「はぁ、は、っ、ふ……栗ちゃん」
乱れる髪をかきあげ、額に口づけると、栗原が涙で潤んだ目を多田野に向けた。
「多田野くぅ、んっ、ぁあっ…」
甘い声で呼ばれて、多田野は栗原を抱きしめた。
華奢で小柄な彼女を押し潰さないようにと思っていたのだが、自分に余裕がなくなっていることに気づく。
「栗、ちゃんっ」
びりびりと腰に響く甘い疼きに、多田野は大きく息をつくと、栗原の腰に手を添えた。
「ごめん、ちょっとだけ、我慢して」
栗原はふにゃりと微笑んで、小さく首を振った。
「だいじょぶ、だよ、壊れたり、しない、から」
揺れるリズムに合わせて言って、栗原は多田野の頭をかき抱いた。
「多田野くん、気持ちよくなってくれるの、嬉しい」
(うわ)
栗原の声は女そのものだ。ぞわぞわと、腰に痺れが走った。
(ああ、もうっーー)
多田野は栗原の腰を押さえ、それまでよりも乱暴に奥をついた。
「あ、ぁあ、あっ、多田野くんっ、ただ、のくんっ」
「くっ、ぅ、は、栗ちゃ、んっ、ぁあっ、はっ……!」
互いの乱れた息と、自分の鼓動ばかりが鼓膜を満たしたとき、栗原が多田野を締め上げ、多田野もその収縮にのまれた。
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