20 / 59
第弐章 安田丈の振る舞い
02 抱かれる男
しおりを挟む
ジョーはホテルの部屋に入るや、わたしを後ろから抱きしめた。
同じ動作であっても、その腕の力強さは門倉と違う。
(27と47やもんな)
違うわけだと納得もする。
「……見えるところに、跡つけんといて」
服を脱がせるより先に、首もとに口づけようとする男を、わたしは小さく牽制した。
それがオスを益々煽ると知りながら、そう言わざるを得ない。
ジョーは興奮で荒げた息を整えようともせず、自分のジャケットを脱ぎ去り、口づけを求めてわたしの腰を引き寄せると、わたしのコートを引きはがそうとした。
わたしはその眼前に人差し指を立てる。
ジョーはそれを目にして動きを止めた。
その目の奥で、期待と焦燥が入り混じり、燃えているのを見て取る。
(ええ子やね)
わたしは微笑み、そっとジョーの唇に人差し指を添えた。
「自分で脱ぐさかい。離して」
ジョーはおずおずとわたしの身体を離す。
わたしはできるだけゆっくりと、服を脱ぎはじめた。
ボタンを一つ一つ焦らすように開け、ソファの背もたれにコートとスーツジャケットをふわりと乗せる。
乳白色のシルクのトップスは、ホテルの暖色ライトを浴びて艶やかに光を反射していた。隠しボタンを一つ一つ、またゆっくりと外していく。
ジョーの丸い目は一瞬も休むことなく、わたしの一挙一動を見つめ続けている。
(そんなに、欲しいんか)
不意に、女とホテル街を歩いていた彼の姿を思い出す。
(どれだけ女を抱いても、餓えが満たされんのやな)
わたしは下着が見えるかどうかのところで、ふと手を止めた。ジョーが困惑したように、開いたボタンとわたしの顔を交互に見る。
微笑んで、一歩ジョーに近寄った。
そっとその衿元に手を添え、つつ、と胸元へ走らせる。
細く見えて、その身体は筋肉質だと分かった。
(代わりにするには、ちょうどええかも知れんなぁ)
残念ながらマーシーほどの逞しさや安心感はないが、40男と比べば遥かにマシだろう。
期待に揺らぐジョーの目を覗き込み、微笑んだ。
「うちが脱がせたるわ」
囁くように言って、わたしはその細めのネクタイに手をかける。
一瞬、そのまま首を締めてやろうかと思った。が、少なくとも今日はやめておこう、と結び目に指先をねじこむ。
あえて乱暴にそれを解くと、シャツのボタンを一つ一つ外しはじめた。
ジョーは興奮のあまり、胸で息をしている。じっとしていることが辛そうに、わたしを潤んだ目で見つめていた。
「ジョー。気持ちようしてやるな」
囁くように、わたしは続ける。
顔には自然と笑顔が浮かんだ。
「でも、一つだけ守って」
前のボタンをすべて外し、スラックスから裾を引き出す。
インナーシャツ越しの脇腹に手を這わせると、ふ、とジョーの口から吐息が漏れた。
ジョーの目はますます欲情を帯びて潤む。
「今日はあんたはうちの言うことを聞くんや。ーー勝手に動いたら、あんたを置いて帰るで」
ジョーは一層紅潮させた頬で、こくこくと大袈裟なほどに頷いた。
その滑稽さを嗤うと、わたしはそのネクタイを引き抜いて自分の肩にかけた。
「なあ、ジョー。このネクタイはお気に入り?」
その端を手にしてわたしが問うと、ジョーはわたしの意図を問うような目をする。
「ダメになってもええか?」
わたしは言いながら、肩に掛けたネクタイの端に唇を寄せた。ジョーの目尻が赤らみ、うわずった声で答える。
「はい……はい、す、好きにしてくださいっ」
まるで童貞のようなその表情に、わたしの胸中にふつふつと何かが沸き起こる。
(相当に、女を食ってはる癖して)
いまさら善良な少年のように振る舞おうとなど、片腹痛い。
うなじ辺りの髪が逆立つような感覚を覚えたが、表面上はあくまでいつも通りの笑顔を崩さない。
「さよか。……なら」
ネクタイを口に咥えると、ジョーを流し見た。
「早う横になり。楽しませたるさかい」
ジョーは潤んだ目で、こくこくと頷いた。
* * *
ベッドの上で散々喘ぎ、唏いたジョーは、三度目の吐精の後すやすやと眠りについた。
元々童顔な彼は、眠ると更に幼く見える。
わたしは身体に彼の名残がないことを確認して身支度を整えると、財布から札を一枚取り出して枕元に置いた。
「ほな」
短い髪を撫でて出て行こうとしたとき、その手首をベッドに結わえ付けていたままであることに気づく。
これでは起きても帰れず慌てることだろう。その様子を想像して笑うと、手首を結わえていたネクタイを解いた。
解いたそこは、うっすらと赤くなっていたが、わたしの肌につくような痛々しさない。
わたしはそれを確認して、なんとなくおもしろくない気分がした。鞄を手に立ち上がる。
今後また彼とベッドを共にする気はない。次を期待する雄犬の顔を見るのは御免だ。
わたしは足早に部屋を後にした。
時計を見ると、文字盤は既に深夜帯を示していた。わたしは迷わずタクシーを呼び止め、乗り込む。
簡単に自宅付近の場所を告げると、タクシーは静かに走り出した。
会社からわたしの家へは数駅間の距離だが、今の部署に来てからは、終電を逃すことも増え、すっかりタクシーに乗り慣れてしまった。
ドライバーが女性である場合を除き、家の前まで乗るのは避けている。そのときの気分で一本手前の道や、少し行きすぎたところで停めてもらうことにしていた。
「お客さん、家は近く?」
財布からお金を出すわたしに、ドライバーが言った。わたしはその意図を探るように目を上げる。
「いえね、最近この辺りで変質者が出るらしいから。お客さんみたいに美人さんだと、狙われそうだなと思って。お気をつけて」
言われて、わたしは微笑んだ。
「ご心配どうも」
メーター通りの料金を支払い、レシートの受け取りは断って車を降りる。
タクシーが走り去るのを見届けて、わたしは自宅へ向かった。
滑稽さに笑いが込み上げた。
今までわたしを侵してきたのは、顔を知らない「変質者」ではない。顔も名前も所属も肩書も、知っている男ばかりだ。
(名前も知らないドライバーさんが、ご丁寧に心配してくれはってもな)
わたしは込み上げる笑いを堪えながら、家に入った。
シャワーを浴びながら、身体をさすっていく。
ジョーの手は最初からずっとベッドに縛ったままだったので、彼の手はほとんどわたしに触れていない。
普段男と寝た後には執拗に擦る肌も、あまり汚れたような気がしなかった。
ゆっくりと身体を洗い流し、息をつく。
腰を洗いながら、思い出した。
(若かったなぁ)
思わず笑いが込み上げる。
頬を紅潮させ、目を潤ませて、喘ぎながらわたしに救いを求めるジョーの恥態。
シャワーの音と共に、くつくつと笑い声が響く。
ジョーはわたしの手で一度果て、足で一度果てて、最後にようやく中へと招き入れた。
焦らしに焦らすわたしに耐えかねて、下から突き上げようとした気配を感じたわたしは、微笑んで制したのだった。
「動いたら帰るで。約束したやろ?」
ジョーは恨めしげに、しかし興奮を隠せない表情で、わたしを見返した。
(腐るほど女を抱いてても、女に抱かれたのは初めてなんやろな)
思いながら、わたしはシャワーを止めた。
そして身体を拭き終わる頃には、もうジョーのことは忘れていた。
同じ動作であっても、その腕の力強さは門倉と違う。
(27と47やもんな)
違うわけだと納得もする。
「……見えるところに、跡つけんといて」
服を脱がせるより先に、首もとに口づけようとする男を、わたしは小さく牽制した。
それがオスを益々煽ると知りながら、そう言わざるを得ない。
ジョーは興奮で荒げた息を整えようともせず、自分のジャケットを脱ぎ去り、口づけを求めてわたしの腰を引き寄せると、わたしのコートを引きはがそうとした。
わたしはその眼前に人差し指を立てる。
ジョーはそれを目にして動きを止めた。
その目の奥で、期待と焦燥が入り混じり、燃えているのを見て取る。
(ええ子やね)
わたしは微笑み、そっとジョーの唇に人差し指を添えた。
「自分で脱ぐさかい。離して」
ジョーはおずおずとわたしの身体を離す。
わたしはできるだけゆっくりと、服を脱ぎはじめた。
ボタンを一つ一つ焦らすように開け、ソファの背もたれにコートとスーツジャケットをふわりと乗せる。
乳白色のシルクのトップスは、ホテルの暖色ライトを浴びて艶やかに光を反射していた。隠しボタンを一つ一つ、またゆっくりと外していく。
ジョーの丸い目は一瞬も休むことなく、わたしの一挙一動を見つめ続けている。
(そんなに、欲しいんか)
不意に、女とホテル街を歩いていた彼の姿を思い出す。
(どれだけ女を抱いても、餓えが満たされんのやな)
わたしは下着が見えるかどうかのところで、ふと手を止めた。ジョーが困惑したように、開いたボタンとわたしの顔を交互に見る。
微笑んで、一歩ジョーに近寄った。
そっとその衿元に手を添え、つつ、と胸元へ走らせる。
細く見えて、その身体は筋肉質だと分かった。
(代わりにするには、ちょうどええかも知れんなぁ)
残念ながらマーシーほどの逞しさや安心感はないが、40男と比べば遥かにマシだろう。
期待に揺らぐジョーの目を覗き込み、微笑んだ。
「うちが脱がせたるわ」
囁くように言って、わたしはその細めのネクタイに手をかける。
一瞬、そのまま首を締めてやろうかと思った。が、少なくとも今日はやめておこう、と結び目に指先をねじこむ。
あえて乱暴にそれを解くと、シャツのボタンを一つ一つ外しはじめた。
ジョーは興奮のあまり、胸で息をしている。じっとしていることが辛そうに、わたしを潤んだ目で見つめていた。
「ジョー。気持ちようしてやるな」
囁くように、わたしは続ける。
顔には自然と笑顔が浮かんだ。
「でも、一つだけ守って」
前のボタンをすべて外し、スラックスから裾を引き出す。
インナーシャツ越しの脇腹に手を這わせると、ふ、とジョーの口から吐息が漏れた。
ジョーの目はますます欲情を帯びて潤む。
「今日はあんたはうちの言うことを聞くんや。ーー勝手に動いたら、あんたを置いて帰るで」
ジョーは一層紅潮させた頬で、こくこくと大袈裟なほどに頷いた。
その滑稽さを嗤うと、わたしはそのネクタイを引き抜いて自分の肩にかけた。
「なあ、ジョー。このネクタイはお気に入り?」
その端を手にしてわたしが問うと、ジョーはわたしの意図を問うような目をする。
「ダメになってもええか?」
わたしは言いながら、肩に掛けたネクタイの端に唇を寄せた。ジョーの目尻が赤らみ、うわずった声で答える。
「はい……はい、す、好きにしてくださいっ」
まるで童貞のようなその表情に、わたしの胸中にふつふつと何かが沸き起こる。
(相当に、女を食ってはる癖して)
いまさら善良な少年のように振る舞おうとなど、片腹痛い。
うなじ辺りの髪が逆立つような感覚を覚えたが、表面上はあくまでいつも通りの笑顔を崩さない。
「さよか。……なら」
ネクタイを口に咥えると、ジョーを流し見た。
「早う横になり。楽しませたるさかい」
ジョーは潤んだ目で、こくこくと頷いた。
* * *
ベッドの上で散々喘ぎ、唏いたジョーは、三度目の吐精の後すやすやと眠りについた。
元々童顔な彼は、眠ると更に幼く見える。
わたしは身体に彼の名残がないことを確認して身支度を整えると、財布から札を一枚取り出して枕元に置いた。
「ほな」
短い髪を撫でて出て行こうとしたとき、その手首をベッドに結わえ付けていたままであることに気づく。
これでは起きても帰れず慌てることだろう。その様子を想像して笑うと、手首を結わえていたネクタイを解いた。
解いたそこは、うっすらと赤くなっていたが、わたしの肌につくような痛々しさない。
わたしはそれを確認して、なんとなくおもしろくない気分がした。鞄を手に立ち上がる。
今後また彼とベッドを共にする気はない。次を期待する雄犬の顔を見るのは御免だ。
わたしは足早に部屋を後にした。
時計を見ると、文字盤は既に深夜帯を示していた。わたしは迷わずタクシーを呼び止め、乗り込む。
簡単に自宅付近の場所を告げると、タクシーは静かに走り出した。
会社からわたしの家へは数駅間の距離だが、今の部署に来てからは、終電を逃すことも増え、すっかりタクシーに乗り慣れてしまった。
ドライバーが女性である場合を除き、家の前まで乗るのは避けている。そのときの気分で一本手前の道や、少し行きすぎたところで停めてもらうことにしていた。
「お客さん、家は近く?」
財布からお金を出すわたしに、ドライバーが言った。わたしはその意図を探るように目を上げる。
「いえね、最近この辺りで変質者が出るらしいから。お客さんみたいに美人さんだと、狙われそうだなと思って。お気をつけて」
言われて、わたしは微笑んだ。
「ご心配どうも」
メーター通りの料金を支払い、レシートの受け取りは断って車を降りる。
タクシーが走り去るのを見届けて、わたしは自宅へ向かった。
滑稽さに笑いが込み上げた。
今までわたしを侵してきたのは、顔を知らない「変質者」ではない。顔も名前も所属も肩書も、知っている男ばかりだ。
(名前も知らないドライバーさんが、ご丁寧に心配してくれはってもな)
わたしは込み上げる笑いを堪えながら、家に入った。
シャワーを浴びながら、身体をさすっていく。
ジョーの手は最初からずっとベッドに縛ったままだったので、彼の手はほとんどわたしに触れていない。
普段男と寝た後には執拗に擦る肌も、あまり汚れたような気がしなかった。
ゆっくりと身体を洗い流し、息をつく。
腰を洗いながら、思い出した。
(若かったなぁ)
思わず笑いが込み上げる。
頬を紅潮させ、目を潤ませて、喘ぎながらわたしに救いを求めるジョーの恥態。
シャワーの音と共に、くつくつと笑い声が響く。
ジョーはわたしの手で一度果て、足で一度果てて、最後にようやく中へと招き入れた。
焦らしに焦らすわたしに耐えかねて、下から突き上げようとした気配を感じたわたしは、微笑んで制したのだった。
「動いたら帰るで。約束したやろ?」
ジョーは恨めしげに、しかし興奮を隠せない表情で、わたしを見返した。
(腐るほど女を抱いてても、女に抱かれたのは初めてなんやろな)
思いながら、わたしはシャワーを止めた。
そして身体を拭き終わる頃には、もうジョーのことは忘れていた。
0
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説
【R18】溺愛される公爵令嬢は鈍すぎて王子の腹黒に気づかない
かぐや
恋愛
公爵令嬢シャルロットは、まだデビューしていないにも関わらず社交界で噂になる程美しいと評判の娘であった。それは子供の頃からで、本人にはその自覚は全く無いうえ、純真過ぎて幾度も簡単に拐われかけていた。幼少期からの婚約者である幼なじみのマリウス王子を始め、周りの者が
シャルロットを護る為いろいろと奮闘する。そんなお話になる予定です。溺愛系えろラブコメです。
女性が少なく子を増やす為、性に寛容で一妻多夫など婚姻の形は多様。女性大事の世界で、体も中身もかなり早熟の為13歳でも16.7歳くらいの感じで、主人公以外の女子がイケイケです。全くもってえっちでけしからん世界です。
設定ゆるいです。
出来るだけ深く考えず気軽〜に読んで頂けたら助かります。コメディなんです。
ちょいR18には※を付けます。
本番R18には☆つけます。
※直接的な表現や、ちょこっとお下品な時もあります。あとガッツリ近親相姦や、複数プレイがあります。この世界では家族でも親以外は結婚も何でもありなのです。ツッコミ禁止でお願いします。
苦手な方はお戻りください。
基本、溺愛えろコメディなので主人公が辛い事はしません。
美少年は異世界でヤンデレに囲われます
mmm
BL
高校一年生の佐藤真生(さとうまお)は昔から、誘拐されかけたり、ストーカーに付きまとわれるチビな美少年。しかし、本人はまったくの無自覚で無防備。そんな真生が突然異世界に転移してしまい、周りから愛される話です。
悪意か、善意か、破滅か
野村にれ
恋愛
婚約者が別の令嬢に恋をして、婚約を破棄されたエルム・フォンターナ伯爵令嬢。
婚約者とその想い人が自殺を図ったことで、美談とされて、
悪意に晒されたエルムと、家族も一緒に爵位を返上してアジェル王国を去った。
その後、アジェル王国では、徐々に異変が起こり始める。
【R18】ひとりで異世界は寂しかったのでペット(男)を飼い始めました
桜 ちひろ
恋愛
最近流行りの異世界転生。まさか自分がそうなるなんて…
小説やアニメで見ていた転生後はある小説の世界に飛び込んで主人公を凌駕するほどのチート級の力があったり、特殊能力が!と思っていたが、小説やアニメでもみたことがない世界。そして仮に覚えていないだけでそういう世界だったとしても「モブ中のモブ」で間違いないだろう。
この世界ではさほど珍しくない「治癒魔法」が使えるだけで、特別な魔法や魔力はなかった。
そして小さな治療院で働く普通の女性だ。
ただ普通ではなかったのは「性欲」
前世もなかなか強すぎる性欲のせいで苦労したのに転生してまで同じことに悩まされることになるとは…
その強すぎる性欲のせいでこちらの世界でも25歳という年齢にもかかわらず独身。彼氏なし。
こちらの世界では16歳〜20歳で結婚するのが普通なので婚活はかなり難航している。
もう諦めてペットに癒されながら独身でいることを決意した私はペットショップで小動物を飼うはずが、自分より大きな動物…「人間のオス」を飼うことになってしまった。
特に躾はせずに番犬代わりになればいいと思っていたが、この「人間のオス」が私の全てを満たしてくれる最高のペットだったのだ。
【完結】君こそが僕の花 ーー ある騎士の恋
冬馬亮
恋愛
こちらの話は、『あなたの愛など要りません』の外伝となります。
メインキャラクターの一人、ランスロットの恋のお話です。
「女性は、花に似ていると思うんだ。水をやる様に愛情を注ぎ、大切に守り慈しむ。すると更に女性は美しく咲き誇るんだ」
そうランスロットに話したのは、ずっと側で自分と母を守ってくれていた叔父だった。
12歳という若さで、武の名門バームガウラス公爵家当主の座に着いたランスロット。
愛人宅に入り浸りの実父と訣別し、愛する母を守る道を選んだあの日から6年。
18歳になったランスロットに、ある令嬢との出会いが訪れる。
自分は、母を無視し続けた実父の様になるのではないか。
それとも、ずっと母を支え続けた叔父の様になれるのだろうか。
自分だけの花を見つける日が来る事を思いながら、それでもランスロットの心は不安に揺れた。
だが、そんな迷いや不安は一瞬で消える。
ヴィオレッタという少女の不遇を目の当たりにした時に ーーー
守りたい、助けたい、彼女にずっと笑っていてほしい。
ヴィオレッタの為に奔走するランスロットは、自分の内にあるこの感情が恋だとまだ気づかない。
※ なろうさんでも連載しています
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
家族と移住した先で隠しキャラ拾いました
狭山ひびき@バカふり160万部突破
恋愛
「はい、ちゅーもーっく! 本日わたしは、とうとう王太子殿下から婚約破棄をされました! これがその証拠です!」
ヴィルヘルミーネ・フェルゼンシュタインは、そう言って家族に王太子から届いた手紙を見せた。
「「「やっぱりかー」」」
すぐさま合いの手を入れる家族は、前世から家族である。
日本で死んで、この世界――前世でヴィルヘルミーネがはまっていた乙女ゲームの世界に転生したのだ。
しかも、ヴィルヘルミーネは悪役令嬢、そして家族は当然悪役令嬢の家族として。
ゆえに、王太子から婚約破棄を突きつけられることもわかっていた。
前世の記憶を取り戻した一年前から準備に準備を重ね、婚約破棄後の身の振り方を決めていたヴィルヘルミーネたちは慌てず、こう宣言した。
「船に乗ってシュティリエ国へ逃亡するぞー!」「「「おー!」」」
前世も今も、実に能天気な家族たちは、こうして断罪される前にそそくさと海を挟んだ隣国シュティリエ国へ逃亡したのである。
そして、シュティリエ国へ逃亡し、新しい生活をはじめた矢先、ヴィルヘルミーネは庭先で真っ黒い兎を見つけて保護をする。
まさかこの兎が、乙女ゲームのラスボスであるとは気づかづに――
【完結】追放住職の山暮らし~あやかしに愛され過ぎる生臭坊主は隠居して山でスローライフを送る
負け犬の心得(眠い犬)
キャラ文芸
あやかしに愛され、あやかしが寄って来る体質の住職、後藤永海は六十五歳を定年として息子に寺を任せ山へ隠居しようと考えていたが、定年を前にして寺を追い出されてしまう。追い出された理由はまあ、自業自得としか言いようがないのだが。永海には幼い頃からあやかしを遠ざけ、彼を守ってきた化け狐の相棒がいて、、、
これは人生の最後はあやかしと共に過ごしたいと願った生臭坊主が、不思議なあやかし達に囲まれて幸せに暮らす日々を描いたほのぼのスローライフな物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる