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.第11章 祖父母と孫
280 想いの奔流
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泣き腫らした目のまま、コンビニでデザートを買った。
私は繋いだ手を片時も離したくなくて、会計のときも、ずっと栄太兄のどこかにつかまっていた。
栄太兄はちょっと困ったような顔をしていたけれど、何も文句を言わなかった。
祖父母の家に戻って来ると、コーヒーを淹れて、一緒にデザートをつつく準備をして、食卓に隣り合って座った。
甘いものと苦いものを交互に口に運んでいたら、粟立っていた気持ちは少し落ち着いてきた。栄太兄は私を穏やかな目で見つめていて、「落ち着いたか?」と問われてこくりと頷いた。でも、まだ甘え足りなくて、なんだか人恋しくて、栄太兄の背中に手を伸ばす。抱き着くと、また黙って受け止めてくれた。
「……どうしたもんやろか、この甘えん坊は」
「……自分でもどうしようもないんだもん……」
くすくすと笑う栄太兄の声が優しくて、苦しい。私はじっと栄太兄の胸に収まって、その鼓動に耳を澄ませる。
前には速まっていた鼓動は、今はゆっくりとしたリズムを刻んでいた。
「……今日は、あんまりドキドキしてない」
「ん?」
「栄太兄」
栄太兄はぎくっとして、私を見下ろす。私も、腕の中から栄太兄を見上げる。
「……何でバレてんねん」
「だって、前はもっと速かった」
言って、また耳を胸に押し付ける。目を閉じる。息を吸う。栄太兄の匂いに、安心する。
そして、また目を開く。
「……? なんか、ドキドキしてきた?」
「い、いいから。もう実況報告せんでええって」
だって、何だか急に鼓動が速くなってきたみたいだから。不思議に思って見上げたけど、栄太兄は気まずげに目を逸らすだけだ。
よく分かんない、栄太兄。
分かんないけど、分かるのは、この腕は絶対、私を離したりしないということだ。私が望めば、ちゃんと私を受け止めてくれるということだ。
栄太兄は私の傍にいてくれる。
私は、ずっと栄太兄の傍にいたい。
それでも――永遠という言葉を信じられるくらいに確信しているその気持ちも、私よりも経験豊富な「大人」には、ただの世間知らずとして扱われるだけなのだ。
悩ましげな気分に吐息が漏れる。
「……栄太兄」
「何や」
「好きだよ」
ぐっ、と、栄太兄が喉を鳴らす。何だろうと思っていたら、「今日もあれ、するつもりやの?」と恨めしい目で見下ろされた。
あれ?
――ああ。
「……私、2回言ったね」
「……そうやな」
「じゃあ、栄太兄、3回ね」
「……」
はぁ、とため息をついた栄太兄は、「ほんまそれ、やめへん?」と気弱な声を出す。私がくつくつ笑いながら、「何で?」と訊くと、栄太兄はしみじみと言った。
「……言う度に、自分がコントロールできなくなりそうであかんねん。これでも結構、いろいろ考えてんねんで」
コントロール?
そんなの、私なんか、とっくにできてない。
「……考えなくていいのに」
私の言葉に、栄太兄は困ったような顔をした。
考えなくていいのに。もっと、好きなようにしていいのに。
きっと、栄太兄がしたいことは、私のしたいことなのに。
思って、いたずら心がわいた。
「じゃあ、いっぱい『好き』って言ったら、考えなくなる?」
「……いや、待てよ。礼奈。何怖いこと言うてんねん」
栄太兄の顔が引きつる。それが嬉しくて、私はまたくつくつ笑う。
「だって、栄太兄、考えて身動き取れなくなるタイプでしょ。じゃ、考えない方がいいじゃん。――好きだよ。だーい好き」
「やめろって」
「これで4回ね。栄太兄は5回」
さあどうぞ、と満足して見上げれば、栄太兄はやっぱり恨めしげな顔をしている。
私の髪を撫であげてため息をつくと、頬に手を添えて額をこつんと合わせた。
栄太兄の目が目の前にある。
私の目が、そこに映っている。
大好きな目。――その中に、吸い込まれてしまえればいいのに。
「……愛してる」
じっ、と、目を見つめて、囁くように言われた言葉が、ぎゅっと胸に迫ってくる。
ぞわぞわっと、身体中を喜びが駆け抜けていく。
栄太兄の目の奥に、はっきりと見えたから。
私が感じているのと同じ、切なさが見えたから。
栄太兄の背中に回していた手を、頬を包む手に添える。
また涙が浮かんで、笑ったけど、下手くそになった。
「……私も」
愛してる、なんて言葉、私が使うにはまだ早すぎるだろうか。
そんなこと、ない。きっと、そんなことない。
だって、私は知らない。――これ以上の感情を知らない。
叶うなら、融けてしまいたい。栄太兄と1つに融け合って、一瞬たりとも離れなくて済むようになってしまいたい。栄太兄は私で、私は栄太兄だ。この世に生を受けたそのときから、きっと私は。
感情が言葉にならず、しがみつくように栄太兄にすり寄る。栄太兄も私を抱きしめて、ゆっくり頭を撫でてくれる。呼吸困難になりそうなくらい、満たされていた。溺れてしまう。溺れていたい。――この人の中で死ねたなら、きっと幸せだろう。
気づいたらまた、涙が頬を伝い落ちていた。大切な人。愛しい人。どうして別々に産まれてしまったんだろう。1つで産まれていればよかったのに。そうしたら、ずっと一緒だったのに。
鼻をすすり上げる。栄太兄は私の額に唇を押し当てる。幸せだ。こんなに幸せで、なのにとてつもなく切なくて、息苦しいことが、この世にあるだなんて知らなかった。
――知らなかった。
「栄太兄」
「なんや?」
「ずっと一緒にいて。一生、一緒にいて」
死んでも、一緒にいて。もし来世があるなら、その先も一緒にいて。
栄太兄は笑う。ええで、と、全く悩むことなくそう答える。そして言った。
「年末、奈良に帰るとき」
「うん」
「お前も一緒に行くか?」
私は一瞬、呼吸を止める。
栄太兄の鼓動が、強く、私の身体に響いてくる。
緊張しているのが、腕の硬さで分かった。
私はゆっくりと頷く。
「……うん。行きたい」
笑うと、栄太兄もほっとしたように笑った。それから、私の頬の涙を乱暴に拭うと「ほら、食べよ」と身体を離す。私も頷いて、机に向き直った。
甘いものに顔をほころばせる私を、栄太兄はずっと見ていた。
「見られてると食べにくいよ」と文句を言ったら、「俺のもどうぞ」と差し出される。喜んだけど「太っちゃう」とまた文句を言うと、「少しくらい太ってええで」と栄太兄が笑った。
ふと、栄太兄を見つめる。
「……栄太兄も、肉付きがいい方が好き?」
「は?」
「こう……胸は無理でも……どうにか」
難しい顔で自分を見下ろした私に、栄太兄はぶはっと噴き出した。
「どっちでも」
「え?」
「俺が好きなんは礼奈やからな。太ろうが痩せようが、胸が小さかろうが大きかろうが、どうでもええわ」
私は思わずぽかんとする。栄太兄が不思議そうに首を傾げた。
「……? 何や?」
「いや、だって栄太兄……今……」
口元がにやけてしまって、隠すように手で覆う。
「……さらっと言ったね、好きって……」
「えっ!? あ!?」
栄太兄はうろたえて顔を赤くすると、口を押さえて顔を逸らす。
「……あかん、すっかり浸食されてる……」
「なんで? いいことじゃん。私は大歓迎」
私がにへらっと笑うと、栄太兄は照れ隠しに睨みつけてきた。
「ほんま、こいつ……」
「え? あ、ちょっと!」
栄太兄は私の脇をこちょこちょとくすぐってくる。私は身じろぎした。
「ちょ、ちょっと! まだ食べてるのに!」
「やっぱり俺が食う!」
フォークに刺さっていた最後のひと口を、栄太兄がぱくりと口にした。
「あー!」
叫んだとき、ぱたん、とドアが開く音がする。
祖母が昼寝から起きてきたらしかった。
「……あんたたち、何やってるの。騒がしいわねぇ」
「だ、だって。栄太兄が私のケーキ」
「元々は俺のやろ!」
「私にくれるって言ったの、栄太兄じゃん!」
わやわやと騒ぐ私たちに、祖母は「賑やかだこと」と笑った。
私は繋いだ手を片時も離したくなくて、会計のときも、ずっと栄太兄のどこかにつかまっていた。
栄太兄はちょっと困ったような顔をしていたけれど、何も文句を言わなかった。
祖父母の家に戻って来ると、コーヒーを淹れて、一緒にデザートをつつく準備をして、食卓に隣り合って座った。
甘いものと苦いものを交互に口に運んでいたら、粟立っていた気持ちは少し落ち着いてきた。栄太兄は私を穏やかな目で見つめていて、「落ち着いたか?」と問われてこくりと頷いた。でも、まだ甘え足りなくて、なんだか人恋しくて、栄太兄の背中に手を伸ばす。抱き着くと、また黙って受け止めてくれた。
「……どうしたもんやろか、この甘えん坊は」
「……自分でもどうしようもないんだもん……」
くすくすと笑う栄太兄の声が優しくて、苦しい。私はじっと栄太兄の胸に収まって、その鼓動に耳を澄ませる。
前には速まっていた鼓動は、今はゆっくりとしたリズムを刻んでいた。
「……今日は、あんまりドキドキしてない」
「ん?」
「栄太兄」
栄太兄はぎくっとして、私を見下ろす。私も、腕の中から栄太兄を見上げる。
「……何でバレてんねん」
「だって、前はもっと速かった」
言って、また耳を胸に押し付ける。目を閉じる。息を吸う。栄太兄の匂いに、安心する。
そして、また目を開く。
「……? なんか、ドキドキしてきた?」
「い、いいから。もう実況報告せんでええって」
だって、何だか急に鼓動が速くなってきたみたいだから。不思議に思って見上げたけど、栄太兄は気まずげに目を逸らすだけだ。
よく分かんない、栄太兄。
分かんないけど、分かるのは、この腕は絶対、私を離したりしないということだ。私が望めば、ちゃんと私を受け止めてくれるということだ。
栄太兄は私の傍にいてくれる。
私は、ずっと栄太兄の傍にいたい。
それでも――永遠という言葉を信じられるくらいに確信しているその気持ちも、私よりも経験豊富な「大人」には、ただの世間知らずとして扱われるだけなのだ。
悩ましげな気分に吐息が漏れる。
「……栄太兄」
「何や」
「好きだよ」
ぐっ、と、栄太兄が喉を鳴らす。何だろうと思っていたら、「今日もあれ、するつもりやの?」と恨めしい目で見下ろされた。
あれ?
――ああ。
「……私、2回言ったね」
「……そうやな」
「じゃあ、栄太兄、3回ね」
「……」
はぁ、とため息をついた栄太兄は、「ほんまそれ、やめへん?」と気弱な声を出す。私がくつくつ笑いながら、「何で?」と訊くと、栄太兄はしみじみと言った。
「……言う度に、自分がコントロールできなくなりそうであかんねん。これでも結構、いろいろ考えてんねんで」
コントロール?
そんなの、私なんか、とっくにできてない。
「……考えなくていいのに」
私の言葉に、栄太兄は困ったような顔をした。
考えなくていいのに。もっと、好きなようにしていいのに。
きっと、栄太兄がしたいことは、私のしたいことなのに。
思って、いたずら心がわいた。
「じゃあ、いっぱい『好き』って言ったら、考えなくなる?」
「……いや、待てよ。礼奈。何怖いこと言うてんねん」
栄太兄の顔が引きつる。それが嬉しくて、私はまたくつくつ笑う。
「だって、栄太兄、考えて身動き取れなくなるタイプでしょ。じゃ、考えない方がいいじゃん。――好きだよ。だーい好き」
「やめろって」
「これで4回ね。栄太兄は5回」
さあどうぞ、と満足して見上げれば、栄太兄はやっぱり恨めしげな顔をしている。
私の髪を撫であげてため息をつくと、頬に手を添えて額をこつんと合わせた。
栄太兄の目が目の前にある。
私の目が、そこに映っている。
大好きな目。――その中に、吸い込まれてしまえればいいのに。
「……愛してる」
じっ、と、目を見つめて、囁くように言われた言葉が、ぎゅっと胸に迫ってくる。
ぞわぞわっと、身体中を喜びが駆け抜けていく。
栄太兄の目の奥に、はっきりと見えたから。
私が感じているのと同じ、切なさが見えたから。
栄太兄の背中に回していた手を、頬を包む手に添える。
また涙が浮かんで、笑ったけど、下手くそになった。
「……私も」
愛してる、なんて言葉、私が使うにはまだ早すぎるだろうか。
そんなこと、ない。きっと、そんなことない。
だって、私は知らない。――これ以上の感情を知らない。
叶うなら、融けてしまいたい。栄太兄と1つに融け合って、一瞬たりとも離れなくて済むようになってしまいたい。栄太兄は私で、私は栄太兄だ。この世に生を受けたそのときから、きっと私は。
感情が言葉にならず、しがみつくように栄太兄にすり寄る。栄太兄も私を抱きしめて、ゆっくり頭を撫でてくれる。呼吸困難になりそうなくらい、満たされていた。溺れてしまう。溺れていたい。――この人の中で死ねたなら、きっと幸せだろう。
気づいたらまた、涙が頬を伝い落ちていた。大切な人。愛しい人。どうして別々に産まれてしまったんだろう。1つで産まれていればよかったのに。そうしたら、ずっと一緒だったのに。
鼻をすすり上げる。栄太兄は私の額に唇を押し当てる。幸せだ。こんなに幸せで、なのにとてつもなく切なくて、息苦しいことが、この世にあるだなんて知らなかった。
――知らなかった。
「栄太兄」
「なんや?」
「ずっと一緒にいて。一生、一緒にいて」
死んでも、一緒にいて。もし来世があるなら、その先も一緒にいて。
栄太兄は笑う。ええで、と、全く悩むことなくそう答える。そして言った。
「年末、奈良に帰るとき」
「うん」
「お前も一緒に行くか?」
私は一瞬、呼吸を止める。
栄太兄の鼓動が、強く、私の身体に響いてくる。
緊張しているのが、腕の硬さで分かった。
私はゆっくりと頷く。
「……うん。行きたい」
笑うと、栄太兄もほっとしたように笑った。それから、私の頬の涙を乱暴に拭うと「ほら、食べよ」と身体を離す。私も頷いて、机に向き直った。
甘いものに顔をほころばせる私を、栄太兄はずっと見ていた。
「見られてると食べにくいよ」と文句を言ったら、「俺のもどうぞ」と差し出される。喜んだけど「太っちゃう」とまた文句を言うと、「少しくらい太ってええで」と栄太兄が笑った。
ふと、栄太兄を見つめる。
「……栄太兄も、肉付きがいい方が好き?」
「は?」
「こう……胸は無理でも……どうにか」
難しい顔で自分を見下ろした私に、栄太兄はぶはっと噴き出した。
「どっちでも」
「え?」
「俺が好きなんは礼奈やからな。太ろうが痩せようが、胸が小さかろうが大きかろうが、どうでもええわ」
私は思わずぽかんとする。栄太兄が不思議そうに首を傾げた。
「……? 何や?」
「いや、だって栄太兄……今……」
口元がにやけてしまって、隠すように手で覆う。
「……さらっと言ったね、好きって……」
「えっ!? あ!?」
栄太兄はうろたえて顔を赤くすると、口を押さえて顔を逸らす。
「……あかん、すっかり浸食されてる……」
「なんで? いいことじゃん。私は大歓迎」
私がにへらっと笑うと、栄太兄は照れ隠しに睨みつけてきた。
「ほんま、こいつ……」
「え? あ、ちょっと!」
栄太兄は私の脇をこちょこちょとくすぐってくる。私は身じろぎした。
「ちょ、ちょっと! まだ食べてるのに!」
「やっぱり俺が食う!」
フォークに刺さっていた最後のひと口を、栄太兄がぱくりと口にした。
「あー!」
叫んだとき、ぱたん、とドアが開く音がする。
祖母が昼寝から起きてきたらしかった。
「……あんたたち、何やってるの。騒がしいわねぇ」
「だ、だって。栄太兄が私のケーキ」
「元々は俺のやろ!」
「私にくれるって言ったの、栄太兄じゃん!」
わやわやと騒ぐ私たちに、祖母は「賑やかだこと」と笑った。
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