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.第3章 高校2年、後期
47 体育祭(2)
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体育祭は予定通り、九月の第三土曜日に開かれた。一方、家族も鎌倉の祖父母宅で敬老会だ。たぶん夕飯はその残り物をご相伴に預かるのだろう。
一歩外に出れば、空は快晴。
正直、ちょっと天気がよすぎるくらいだ。1つも雲が見つからない空の下を学校へ向かった。
開会式の校歌斉唱の伴奏は、吹奏楽部の2年と決まっている。とはいえ、砂ぼこり舞うグラウンドでの演奏なので、弦楽器系は向いていない。甲子園の応援よろしく、メロディ担当の管楽器と伴奏用の打楽器が中心だ。
奏者はクラスごとの整列とは違って、保護者席にほど近い放送席の前に並ぶ。全体の指揮には、もちろんナルナルが立つことになっている。
校長の話と開会の挨拶を横目に、ナルナルが私に微笑んだ。
「礼ちゃん、今年は応援合戦出ないの?」
「出ないよー。だって演奏もあるし」
トランペットを掲げながら答える。1年生を中心とした女子の応援合戦は、校歌斉唱の後に行われる。
2年生も希望すれば出られるので、出ないかと声をかけられたけれど、伴奏があるからと理由をつけて断った。
「そうなんだ。残念、可愛かったのに」
「ぐっ……」
ナルナルの口からそういう言葉が出ると思っていなくてうろたえた。けれど、昨年のチアすら私にとっては黒歴史だ。
いかにもなひだつきスカートに、チームのTシャツを身に着け、ボンボンを手にして踊るなんて、とてもじゃないけど性に合わない。
それだけでも結構な苦行の上、昨年は健人兄の最後の行事だからと、家族が全員来ていたのだからたまらなかった。
健人兄は他チームのリーダーにも関わらず、「礼奈ー」と平気で声をかけてきた。演技が終わってすぐに着替えようと思ったのに、そうはさせじとすぐさま家族のもとへ連行されて、記念写真。
後からその写真を見たら、健人兄はチームリーダーだけが身に付ける羽織を着て誇らしげに写っていたけれど、私はほとんど死人同然の顔をしていた。
思い出しても腹が立つ。ほんと健人兄うざい。
忘れたい過去を思い出させられた私は気持ちを改めてナルナルに向き直る。少しくらいやり返してやろうと笑顔を浮かべた。
「ナルナルこそ、似合ってたよね。ナースの格好」
女子はチアの応援合戦だけど、男子のダンスは女装したミュージカル形式。
たぶん、男子校だった旧制中学の歴史で産まれた伝統なのだろうけど、ときどきこの女装が可愛くキマる人もいる。
ナルナルは、男子にしては華奢で色が白く、優しい顔立ちをしている。だから、結構似合っていたのだ。
「そ、そうかな……」
答えるナルナルの笑顔はひきつった。私はくつくつ笑ってうなずく。
これ以上お互いの古傷をえぐるのはやめようと、言外に視線で意思を交わし合った。
校歌斉唱の時間がきた。司会に呼ばれて、ナルナルが壇上に上る。
背筋が伸びるからか、いつも、指揮者として壇上に立つと、ナルナルは日頃より背が高く感じる。
「なんか、久々だね」
私の横で、ぽつりとナーガが言った。同じことを思っていた私は笑ってうなずく。
すっかり指揮者の顔になったナルナルは、私たちを見て頷く。指揮棒を持った腕を、無駄のない動きで上げた。
その振りに合わせて、マウスピースに唇を押し付ける。
トランペットの金色が、太陽の光を受けて輝いた。
***
「今日、暑いから気を付けて。適宜、水分補給したり木陰に行ってねー」
天気がよすぎるので、気がかりなのは熱中症だ。3年の先輩は折りにつけそう声をかけた。
定期的な掛け声に答えながら、それぞれ日焼け止めを塗り直したり水分をとる。
在校生には、チームごとの観覧席がある。それぞれチームカラーのTシャツを着ているから、保護者席から見ると、青、赤、黄色……と色鮮やかだ。
保護者の観覧席はグラウンドを挟んで向かい合う形になっている。
今日の私の出番は、吹奏楽部としての伴奏を除けば、借り物競争だけだ。
慶次郎と小夏はリレーと二人三脚に出る予定で、身長的にもちょうどいいからとペアを組まされている。
練習でも息が合っていていたので、最初は周囲に茶化されていたらしいけど、2人が本気で嫌がる顔を見てそれもなくなったそうだ。
お似合いなのにどうしてそこまで嫌がるんだろう。小夏なんて、私に慶次郎を勧めてくるくせに。
そんなことを思いはしたけど、2人の前で言ったら殺意を含んだまなざしに射貫かれそうだから、口にせず胸に留めている。
「借り物競争に出る人、召集かかってるから入場口に行ってー」
「はーい」
私が立ち上がると、小夏が手を振ってくれた。
「がんば、礼奈。とりあえずクジ引いたらこっち戻っといで」
「了解」
入場口に向かう途中、違うチームの観覧席にあーちゃんを見つけた。
「あ、礼奈先輩」
手を振られて振り返す。白い肌はいかにも日差しに弱そうだ。老婆心ながら心配になった。
「あーちゃん、倒れないように気をつけてね」
「あはは、大丈夫ですよ。礼奈先輩、借り物競争に出るんですか? がんばってくださいね」
胸の前で拳を握る後輩に、にこりと笑顔で頷き返した。
借り物競争はリレー形式だ。各チーム、各学年から男女1名ずつが出るから、計6人が走る。トラックを4分の1走って借り物の書かれた紙を取り、指示に従ったものを持って一度そこに戻り、審査員に確認してもらってから次の4分の1を走ってバトンタッチ。
私が引いたのは、「運動部、身長170cm以上」という指示だった。
170なら小夏も越えてるんじゃなかったっけ。
そう思って、自分のチームの観覧席へ走っていく。「小夏ーぅ!」と声をかけると、「指示は!?」と返事があった。
「運動部、身長170cm以上!」
聞くや、小夏はきらりと目を輝かせた。意思は伝わったらしいーーとほっとした瞬間、ぐい、と隣にいた男が押し出される。
「よーし! 行ってこい、慶次郎!!」
「なんでだよ! お前が行け!」
「私は体力を温存しておくのだ! さあ行くがよい!!」
慶次郎は小夏の強引さに、「ったく……!」と呆れつつ、仕方なさげに立ち上がった。
「行くぞ、チビばな!」
「あっこら! 借り物が人の場合は手ぇ繋ぎなさいって指示でしょうが!」
「っるせーな高木、黙ってろ!」
ぎゃーぎゃー言いながら、慶次郎が私の手首を乱暴につかむ。
その手の大きさと力強さに思わず怯んだ。
「ボケッとしてんじゃねぇ、行くぞ!」
「え、あ、うん……」
久々の体育会系のノリに一瞬ついて行けず、うろたえたけれど、どうにかうなずいて走り出す。
私の手首を慶次郎がつかみ、ぐいぐい引っ張られて走っていく。一見するとどっちが走者でどっちが借り物なのか分からないだろう。
「オッケーです!」
審査員が両手で頭の上に輪を作ったのを見届けて、トラックの4分の1を走りきり、バトンを渡した。
そのちょうど正面に、チームごとの観覧席がある。退場を待つ列に並ぼうとトラックの内側に入る慶次郎に、そちらから声が聞こえてきた。
「ひゅーひゅー」
「慶ちゃん役得ーぅ」
「っるせーな! 黙れ!」
中に男の子の声を聞き取り、小夏じゃないなと首を傾げる。バスケ部の仲間だろうか。私が声の主を確認しようと首を伸ばすと、「おい、邪魔になるだろ」と慶次郎に引っ張られてトラックの内側へ誘導された。
私は慶次郎と2人、並んで腰を下ろす。
茶化してきた声はもう落ち着いていたけれど、さきほどの声の主らしい子を見つけて納得する。文化祭のときに食堂で会ったバスケ部の男子だ。
「あの子、文化祭で会ったよね。仲いいんだね」
「あ? ああ……勝巳のことか」
ふぅん。勝巳くん、というのか。
「まあ仲いいっつぅか……腐れ縁」
私が慶次郎を横目で見やると、「幼稚園が一緒」と答えが帰ってきた。思わず噴き出す。
「よく覚えてるね、幼稚園とか」
「あー、まあすげぇ仲良かったし。家も近かったし。向こう、引っ越してそのままだったけど」
「で、高校で再会したんだ。世間って狭いね」
「まあな」
地面にしゃがんで話していたら、慶次郎が空を見上げた。私もその視線の先を追う。
その先には、雲一つない晴天が広がり、グラウンドをくまなく照らし出している。
「はー。今日、あっつ」
「ほんと暑いね」
慶次郎がTシャツの襟元に手を添え、空気を送るようにぱたぱたと動かした。首筋に流れる汗を袖で拭う。
「まあとりあえず、ありがと」
「あ? ああ……」
慶次郎が頷くのを見て微笑み、再び空を仰ぐ。
「それにしたって、雲ひとつくらいあってもいいのにね」
「ほんとそれな」
二人で言い合うと、苦笑した。
一歩外に出れば、空は快晴。
正直、ちょっと天気がよすぎるくらいだ。1つも雲が見つからない空の下を学校へ向かった。
開会式の校歌斉唱の伴奏は、吹奏楽部の2年と決まっている。とはいえ、砂ぼこり舞うグラウンドでの演奏なので、弦楽器系は向いていない。甲子園の応援よろしく、メロディ担当の管楽器と伴奏用の打楽器が中心だ。
奏者はクラスごとの整列とは違って、保護者席にほど近い放送席の前に並ぶ。全体の指揮には、もちろんナルナルが立つことになっている。
校長の話と開会の挨拶を横目に、ナルナルが私に微笑んだ。
「礼ちゃん、今年は応援合戦出ないの?」
「出ないよー。だって演奏もあるし」
トランペットを掲げながら答える。1年生を中心とした女子の応援合戦は、校歌斉唱の後に行われる。
2年生も希望すれば出られるので、出ないかと声をかけられたけれど、伴奏があるからと理由をつけて断った。
「そうなんだ。残念、可愛かったのに」
「ぐっ……」
ナルナルの口からそういう言葉が出ると思っていなくてうろたえた。けれど、昨年のチアすら私にとっては黒歴史だ。
いかにもなひだつきスカートに、チームのTシャツを身に着け、ボンボンを手にして踊るなんて、とてもじゃないけど性に合わない。
それだけでも結構な苦行の上、昨年は健人兄の最後の行事だからと、家族が全員来ていたのだからたまらなかった。
健人兄は他チームのリーダーにも関わらず、「礼奈ー」と平気で声をかけてきた。演技が終わってすぐに着替えようと思ったのに、そうはさせじとすぐさま家族のもとへ連行されて、記念写真。
後からその写真を見たら、健人兄はチームリーダーだけが身に付ける羽織を着て誇らしげに写っていたけれど、私はほとんど死人同然の顔をしていた。
思い出しても腹が立つ。ほんと健人兄うざい。
忘れたい過去を思い出させられた私は気持ちを改めてナルナルに向き直る。少しくらいやり返してやろうと笑顔を浮かべた。
「ナルナルこそ、似合ってたよね。ナースの格好」
女子はチアの応援合戦だけど、男子のダンスは女装したミュージカル形式。
たぶん、男子校だった旧制中学の歴史で産まれた伝統なのだろうけど、ときどきこの女装が可愛くキマる人もいる。
ナルナルは、男子にしては華奢で色が白く、優しい顔立ちをしている。だから、結構似合っていたのだ。
「そ、そうかな……」
答えるナルナルの笑顔はひきつった。私はくつくつ笑ってうなずく。
これ以上お互いの古傷をえぐるのはやめようと、言外に視線で意思を交わし合った。
校歌斉唱の時間がきた。司会に呼ばれて、ナルナルが壇上に上る。
背筋が伸びるからか、いつも、指揮者として壇上に立つと、ナルナルは日頃より背が高く感じる。
「なんか、久々だね」
私の横で、ぽつりとナーガが言った。同じことを思っていた私は笑ってうなずく。
すっかり指揮者の顔になったナルナルは、私たちを見て頷く。指揮棒を持った腕を、無駄のない動きで上げた。
その振りに合わせて、マウスピースに唇を押し付ける。
トランペットの金色が、太陽の光を受けて輝いた。
***
「今日、暑いから気を付けて。適宜、水分補給したり木陰に行ってねー」
天気がよすぎるので、気がかりなのは熱中症だ。3年の先輩は折りにつけそう声をかけた。
定期的な掛け声に答えながら、それぞれ日焼け止めを塗り直したり水分をとる。
在校生には、チームごとの観覧席がある。それぞれチームカラーのTシャツを着ているから、保護者席から見ると、青、赤、黄色……と色鮮やかだ。
保護者の観覧席はグラウンドを挟んで向かい合う形になっている。
今日の私の出番は、吹奏楽部としての伴奏を除けば、借り物競争だけだ。
慶次郎と小夏はリレーと二人三脚に出る予定で、身長的にもちょうどいいからとペアを組まされている。
練習でも息が合っていていたので、最初は周囲に茶化されていたらしいけど、2人が本気で嫌がる顔を見てそれもなくなったそうだ。
お似合いなのにどうしてそこまで嫌がるんだろう。小夏なんて、私に慶次郎を勧めてくるくせに。
そんなことを思いはしたけど、2人の前で言ったら殺意を含んだまなざしに射貫かれそうだから、口にせず胸に留めている。
「借り物競争に出る人、召集かかってるから入場口に行ってー」
「はーい」
私が立ち上がると、小夏が手を振ってくれた。
「がんば、礼奈。とりあえずクジ引いたらこっち戻っといで」
「了解」
入場口に向かう途中、違うチームの観覧席にあーちゃんを見つけた。
「あ、礼奈先輩」
手を振られて振り返す。白い肌はいかにも日差しに弱そうだ。老婆心ながら心配になった。
「あーちゃん、倒れないように気をつけてね」
「あはは、大丈夫ですよ。礼奈先輩、借り物競争に出るんですか? がんばってくださいね」
胸の前で拳を握る後輩に、にこりと笑顔で頷き返した。
借り物競争はリレー形式だ。各チーム、各学年から男女1名ずつが出るから、計6人が走る。トラックを4分の1走って借り物の書かれた紙を取り、指示に従ったものを持って一度そこに戻り、審査員に確認してもらってから次の4分の1を走ってバトンタッチ。
私が引いたのは、「運動部、身長170cm以上」という指示だった。
170なら小夏も越えてるんじゃなかったっけ。
そう思って、自分のチームの観覧席へ走っていく。「小夏ーぅ!」と声をかけると、「指示は!?」と返事があった。
「運動部、身長170cm以上!」
聞くや、小夏はきらりと目を輝かせた。意思は伝わったらしいーーとほっとした瞬間、ぐい、と隣にいた男が押し出される。
「よーし! 行ってこい、慶次郎!!」
「なんでだよ! お前が行け!」
「私は体力を温存しておくのだ! さあ行くがよい!!」
慶次郎は小夏の強引さに、「ったく……!」と呆れつつ、仕方なさげに立ち上がった。
「行くぞ、チビばな!」
「あっこら! 借り物が人の場合は手ぇ繋ぎなさいって指示でしょうが!」
「っるせーな高木、黙ってろ!」
ぎゃーぎゃー言いながら、慶次郎が私の手首を乱暴につかむ。
その手の大きさと力強さに思わず怯んだ。
「ボケッとしてんじゃねぇ、行くぞ!」
「え、あ、うん……」
久々の体育会系のノリに一瞬ついて行けず、うろたえたけれど、どうにかうなずいて走り出す。
私の手首を慶次郎がつかみ、ぐいぐい引っ張られて走っていく。一見するとどっちが走者でどっちが借り物なのか分からないだろう。
「オッケーです!」
審査員が両手で頭の上に輪を作ったのを見届けて、トラックの4分の1を走りきり、バトンを渡した。
そのちょうど正面に、チームごとの観覧席がある。退場を待つ列に並ぼうとトラックの内側に入る慶次郎に、そちらから声が聞こえてきた。
「ひゅーひゅー」
「慶ちゃん役得ーぅ」
「っるせーな! 黙れ!」
中に男の子の声を聞き取り、小夏じゃないなと首を傾げる。バスケ部の仲間だろうか。私が声の主を確認しようと首を伸ばすと、「おい、邪魔になるだろ」と慶次郎に引っ張られてトラックの内側へ誘導された。
私は慶次郎と2人、並んで腰を下ろす。
茶化してきた声はもう落ち着いていたけれど、さきほどの声の主らしい子を見つけて納得する。文化祭のときに食堂で会ったバスケ部の男子だ。
「あの子、文化祭で会ったよね。仲いいんだね」
「あ? ああ……勝巳のことか」
ふぅん。勝巳くん、というのか。
「まあ仲いいっつぅか……腐れ縁」
私が慶次郎を横目で見やると、「幼稚園が一緒」と答えが帰ってきた。思わず噴き出す。
「よく覚えてるね、幼稚園とか」
「あー、まあすげぇ仲良かったし。家も近かったし。向こう、引っ越してそのままだったけど」
「で、高校で再会したんだ。世間って狭いね」
「まあな」
地面にしゃがんで話していたら、慶次郎が空を見上げた。私もその視線の先を追う。
その先には、雲一つない晴天が広がり、グラウンドをくまなく照らし出している。
「はー。今日、あっつ」
「ほんと暑いね」
慶次郎がTシャツの襟元に手を添え、空気を送るようにぱたぱたと動かした。首筋に流れる汗を袖で拭う。
「まあとりあえず、ありがと」
「あ? ああ……」
慶次郎が頷くのを見て微笑み、再び空を仰ぐ。
「それにしたって、雲ひとつくらいあってもいいのにね」
「ほんとそれな」
二人で言い合うと、苦笑した。
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