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第九章 七夕を待たずとも(ヒメ視点)
02 充足感
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お風呂から上がると、私は翌日に着るつもりだった服を着て部屋へ戻った。阿久津さんは眉を寄せる。
「お前、それで寝るつもりか?」
「だって、ホテルで浴衣借りるつもりだったし……」
結婚式で着るワンピースや靴、アクセサリーだけでも、それなりの荷物だったのだ。コンパクトにと思ったら、自然、現地で借りられるものは借りることになる。
阿久津さんはため息をついて、クローゼットへと歩いて行き、首を傾げながら服を引き出した。
「嫌じゃなければこれ着ろ。それ、明日着るんだろ」
「え、あ、はい」
運動用らしい短パンのジャージと長袖のTシャツを渡されて、私は頷いた。
思わずにやつく顔を見て、阿久津さんが半眼になる。
「何喜んでんだ」
「え? いや、だって……阿久津さんに包まれて眠れる」
「っまえ、馬鹿すぎ」
阿久津さんは言って、私にドライヤーを渡し、風呂場へ向かった。
私はそれを見送って、髪を乾かし、阿久津さんに借りた服に着替える。
身長差があるから当然だけど、短パンは膝下丈だし、袖なんてほとんど手を隠してしまう。指先が少し出るかどうかというくらいだ。
「……へへ」
でもそれが嬉しくて、私は自分の手をぽんぽんと合わせた。布の挟まった柏手からは、乾いた音が鳴る。
迷った後、ソファに座り、膝をかかえて阿久津さんを待つ。
髪を乾かすのに時間がかかったから、阿久津さんが出てきたのはすぐに感じた。腰にタオルを巻いただけの状態で出てきた阿久津さんを目にして、思わず赤面する。
「や、やだ阿久津さんたら」
阿久津さんはまたいつものあきれ顔をした。
「着替え持って入んの忘れたんだよ。さんざ人を挑発しといて、何だそのウブな反応は」
言いながら、寝室らしい隣の部屋に入る。しばらくすると着替えて出てきた。
残念なような、ほっとしたような。
「……デカかったな、やっぱり」
言われて、私は自分の身に纏った服を見る。立ち上がるとよく見えるようにして見せた。
「こんなに違うもんなんですね、大きさ」
「……そうだな」
阿久津さんは気まずげに目を反らして、台所へ向かう。
「水でもよければ、飲むか?」
「ありがとうございます」
阿久津さんが水を入れたコップを手渡してくれる。私は長い袖をまくってそれを受けとった。
同時に、阿久津さんも水を飲む。ぐびぐびと動く喉仏に見惚れていると、あっという間に飲み終えた阿久津さんが私を見た。
「何ぼんやりしてんだ」
「え、あ……」
私は照れ臭くてやんわりと微笑む。
「見惚れてました」
「はぁ?」
心底あきれたように言って、阿久津さんは自分のコップを流しに置くと、私が机に置いておいたドライヤーを手にした。
その背中を見て、うずうずする。
コップをそっと机に置くと、後ろから抱き着いた。
「お、おい」
「気にしないでください」
べったりくっついたまま言うと、阿久津さんはち、と舌打ちした。
私が笑っている間にも、阿久津さんは髪を乾かしはじめる。
ドライヤーの風に紛れて、阿久津さんの匂いがした。
背中に頬を擦り寄せ、目を閉じる。
心が満たされていく感覚に思う存分浸っていると、ドライヤーの音はすぐ止んだ。
「離れろ。片すから」
「はぁい」
残念に思いながら離れると、阿久津さんはほっとしたようにドライヤーをしまいに行った。
と同時に、歯ブラシを手にしている。
「お前、ベッド使えよ。俺はソファで寝るから」
「え、一緒にベッドじゃないんですか?」
「何でだよ。いいだろ、ソファあるんだから。それ、ベッドにもなるタイプだし」
私はむむ、と唇を尖らせる。
「さっきと話が違うじゃないですか。ベッド一つしかないって言ったのに」
「それはソファベッドだから嘘じゃないだろ」
言いながら阿久津さんは歯を磨きはじめる。私も自分のキャリーバッグから歯ブラシを取り出して磨きはじめた。
二人で並んで歯を磨いていると、なんだか不思議な感じがした。
恋人みたいな、家族みたいな。
日常みたいな非日常に、テンションが上がる。
「何で歯磨いてそんなご機嫌かな……」
分からないとでも言うように、阿久津さんがぼやく。
「阿久津さんが一緒だからです」
当然のように言うと、また半眼が返ってきた。私は笑う。
歯磨きを終えると、阿久津さんは本気で私だけ寝室に押し込もうとした。
「やです! なんで阿久津さんと一緒なのに一緒にいられないんですかー!」
「黙れ! とにかくそっちで寝てろ!」
「やーだー」
「じゃあお前がこっちで寝ろ、俺がベッド使うから」
「だーめー」
「ああ、もう!」
阿久津さんは呆れ返って、私を見下ろした。
「お前な。こないだは押し倒されて泣いてたくせに、聞き分けの悪いこと言うな!」
私はまばたきをして、阿久津さんの顔を見上げる。
泣いたーー
ああ、ホテルに行ったとき?
思い出して笑って、ゆるゆる首を振った。
「だってあのときは、最初で最後だって言われたから」
阿久津さんの片手を、両手で包み込む。
「でも、今は違うから」
阿久津さんは目をさまよわせた。
「何がーー違うっていうんだよ」
私は笑って、阿久津さんの手を前へ持ってくる。私の手でぎゅっと包んで、頬をすり寄せる。
「だって阿久津さん、もう会わないって言っても、結局何度も会ってくれる」
阿久津さんが言葉を失った。私はまた笑いながら、一歩近づく。
脇からするりと手を差し入れて、背中に回し、抱きしめた。
目を閉じて温もりに浸る。
「私、阿久津さんが好きだから、一緒にいられると嬉しい」
阿久津さんは顔を反らした。私はその顔を覗き込む。
「でも、本当に嫌なら、今日はあきらめます。その代わり」
阿久津さんは戸惑ったような目を私に向けた。私は笑う。
「キスしてください。ーーさっきより濃厚なやつ」
言いながら、阿久津さんの頬に手を添えた。阿久津さんは渋面になって、あきらめたようにため息をついて、そして私の頬に、その表情には不釣り合いなほど、優しく手を添えた。
深く交わされたキスは、確かに満足だったけどーー
思いの外満足しすぎて、結局夜じゅう、高ぶった熱を持て余すはめになった。
「お前、それで寝るつもりか?」
「だって、ホテルで浴衣借りるつもりだったし……」
結婚式で着るワンピースや靴、アクセサリーだけでも、それなりの荷物だったのだ。コンパクトにと思ったら、自然、現地で借りられるものは借りることになる。
阿久津さんはため息をついて、クローゼットへと歩いて行き、首を傾げながら服を引き出した。
「嫌じゃなければこれ着ろ。それ、明日着るんだろ」
「え、あ、はい」
運動用らしい短パンのジャージと長袖のTシャツを渡されて、私は頷いた。
思わずにやつく顔を見て、阿久津さんが半眼になる。
「何喜んでんだ」
「え? いや、だって……阿久津さんに包まれて眠れる」
「っまえ、馬鹿すぎ」
阿久津さんは言って、私にドライヤーを渡し、風呂場へ向かった。
私はそれを見送って、髪を乾かし、阿久津さんに借りた服に着替える。
身長差があるから当然だけど、短パンは膝下丈だし、袖なんてほとんど手を隠してしまう。指先が少し出るかどうかというくらいだ。
「……へへ」
でもそれが嬉しくて、私は自分の手をぽんぽんと合わせた。布の挟まった柏手からは、乾いた音が鳴る。
迷った後、ソファに座り、膝をかかえて阿久津さんを待つ。
髪を乾かすのに時間がかかったから、阿久津さんが出てきたのはすぐに感じた。腰にタオルを巻いただけの状態で出てきた阿久津さんを目にして、思わず赤面する。
「や、やだ阿久津さんたら」
阿久津さんはまたいつものあきれ顔をした。
「着替え持って入んの忘れたんだよ。さんざ人を挑発しといて、何だそのウブな反応は」
言いながら、寝室らしい隣の部屋に入る。しばらくすると着替えて出てきた。
残念なような、ほっとしたような。
「……デカかったな、やっぱり」
言われて、私は自分の身に纏った服を見る。立ち上がるとよく見えるようにして見せた。
「こんなに違うもんなんですね、大きさ」
「……そうだな」
阿久津さんは気まずげに目を反らして、台所へ向かう。
「水でもよければ、飲むか?」
「ありがとうございます」
阿久津さんが水を入れたコップを手渡してくれる。私は長い袖をまくってそれを受けとった。
同時に、阿久津さんも水を飲む。ぐびぐびと動く喉仏に見惚れていると、あっという間に飲み終えた阿久津さんが私を見た。
「何ぼんやりしてんだ」
「え、あ……」
私は照れ臭くてやんわりと微笑む。
「見惚れてました」
「はぁ?」
心底あきれたように言って、阿久津さんは自分のコップを流しに置くと、私が机に置いておいたドライヤーを手にした。
その背中を見て、うずうずする。
コップをそっと机に置くと、後ろから抱き着いた。
「お、おい」
「気にしないでください」
べったりくっついたまま言うと、阿久津さんはち、と舌打ちした。
私が笑っている間にも、阿久津さんは髪を乾かしはじめる。
ドライヤーの風に紛れて、阿久津さんの匂いがした。
背中に頬を擦り寄せ、目を閉じる。
心が満たされていく感覚に思う存分浸っていると、ドライヤーの音はすぐ止んだ。
「離れろ。片すから」
「はぁい」
残念に思いながら離れると、阿久津さんはほっとしたようにドライヤーをしまいに行った。
と同時に、歯ブラシを手にしている。
「お前、ベッド使えよ。俺はソファで寝るから」
「え、一緒にベッドじゃないんですか?」
「何でだよ。いいだろ、ソファあるんだから。それ、ベッドにもなるタイプだし」
私はむむ、と唇を尖らせる。
「さっきと話が違うじゃないですか。ベッド一つしかないって言ったのに」
「それはソファベッドだから嘘じゃないだろ」
言いながら阿久津さんは歯を磨きはじめる。私も自分のキャリーバッグから歯ブラシを取り出して磨きはじめた。
二人で並んで歯を磨いていると、なんだか不思議な感じがした。
恋人みたいな、家族みたいな。
日常みたいな非日常に、テンションが上がる。
「何で歯磨いてそんなご機嫌かな……」
分からないとでも言うように、阿久津さんがぼやく。
「阿久津さんが一緒だからです」
当然のように言うと、また半眼が返ってきた。私は笑う。
歯磨きを終えると、阿久津さんは本気で私だけ寝室に押し込もうとした。
「やです! なんで阿久津さんと一緒なのに一緒にいられないんですかー!」
「黙れ! とにかくそっちで寝てろ!」
「やーだー」
「じゃあお前がこっちで寝ろ、俺がベッド使うから」
「だーめー」
「ああ、もう!」
阿久津さんは呆れ返って、私を見下ろした。
「お前な。こないだは押し倒されて泣いてたくせに、聞き分けの悪いこと言うな!」
私はまばたきをして、阿久津さんの顔を見上げる。
泣いたーー
ああ、ホテルに行ったとき?
思い出して笑って、ゆるゆる首を振った。
「だってあのときは、最初で最後だって言われたから」
阿久津さんの片手を、両手で包み込む。
「でも、今は違うから」
阿久津さんは目をさまよわせた。
「何がーー違うっていうんだよ」
私は笑って、阿久津さんの手を前へ持ってくる。私の手でぎゅっと包んで、頬をすり寄せる。
「だって阿久津さん、もう会わないって言っても、結局何度も会ってくれる」
阿久津さんが言葉を失った。私はまた笑いながら、一歩近づく。
脇からするりと手を差し入れて、背中に回し、抱きしめた。
目を閉じて温もりに浸る。
「私、阿久津さんが好きだから、一緒にいられると嬉しい」
阿久津さんは顔を反らした。私はその顔を覗き込む。
「でも、本当に嫌なら、今日はあきらめます。その代わり」
阿久津さんは戸惑ったような目を私に向けた。私は笑う。
「キスしてください。ーーさっきより濃厚なやつ」
言いながら、阿久津さんの頬に手を添えた。阿久津さんは渋面になって、あきらめたようにため息をついて、そして私の頬に、その表情には不釣り合いなほど、優しく手を添えた。
深く交わされたキスは、確かに満足だったけどーー
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