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2章
74:でっかい敵です
しおりを挟むフレッドの心配をしなくて良くなったことで俺達のダンジョン攻略のスピードは速くなった。道中に出て来る魔物は片っ端から1つの動作で屠って進んだ
正直、俺とソウマは自分達のレベルが高いので道中に出て来るような魔物は片手間で殺すことが可能だ。今まではフレッドに気を配っていたがエクストラスキルの性能が凄まじく、道中の魔物程度では問題が全く無いほどだ。それに、フレッドを中心に魔物を相手取ってきたが当初のエクストラスキルを手に入れる事を達成したのでここからは攻略を優先し、フレッドのレベルはついでとなった
まあ、つまりだ。15層の宝石竜を倒した次の日、俺達はお昼を少しばかり過ぎた頃に20層へと到着した
いつも通りに寮の食堂で働くアンザさんに作ってもらった弁当を、20層への階段から転移陣で戻り広場で食べてからボスの待つ20層へと向かったのだが……
「「「うわ~」」」
全員の声が重なる
理由は目の前の光景だ
大きさは1mくらいだろうか。そのくらいの大きさの表面に傷も模様も何もないピカピカで完璧な球体が、ボス部屋に所狭しと敷き詰められているのだ。しかも3段くらい
「え、なにこれ。これ全部魔物?」
フレッドがそう疑問を口にしたので、俺は【龍の眼】で球体の1つを観察してみた
魔力の動きは無いがゴーレムに共通する核が存在している。核が1つのタイプだ
「ゴーレムだね」
「ゴーレムか。それにしても……多いね」
うん、確かに多い。しかも1体1体はそう大して強くはない
「グダグダしててもしょうがねえからとっとと行くぞ!」
まあ、ソウマの言う通りだ。ここストーンパレスのボスは入ってから一定の距離に近付くまで攻撃してこない代わりにこちらからの攻撃や干渉はダンジョンの機能によって防がれてしまうので、近付くしかないのだ
先行したソウマに続く
そして、少し進んだところで動きが起きた
俺は球体が変形するのかゴロゴロ転がりだすのかなどと予想していたのだが、大量にあった球体は突如浮かび上がり、空中にてくっ付いていったのだ
流石にこんなことは予想しておらず、面食らってそのまま見上げていれば、あっという間に大量にあった球体は1つの大きな表面がデコボコした球体へと合体した
ソウマとフレッドもその光景に唖然としており、3人揃って見上げていた
すると、突然巨大な球体に合体した球体ゴーレムの魔力が高まった
何かが来る事を察知して即座に意識を切り替える。師匠が居たら絶対に怒られていたが今は居ないので良しとしようか
魔力が高まり大気が歪んで見える程となった時、その破壊は降り注いだ
ドドドドドドドドッ
1分、いや2分だろうか。体感時間的にはそんな感じだった。攻撃が開始された直後に魔力障壁を強度を上げて10枚張ったので何ともない
攻撃の正体は合体した筈の1m大の球体だった。球体はとんでもない速さで射出され、俺が張った障壁にぶつかると爆発していった
「フレッドはスキルの準備しといて!ソウマは好きに動いて!」
「分かった!」
「おう!」
フレッドとソウマに指示を飛ばす。ソウマの方は指示と呼べるものではないがあれでいい
ソウマは俺の指示を聞いて障壁の外、球体が落下爆発している中飛び出して行く。フレッドは俺のすぐ近くに待機だ。この相手にフレッドでは厳しい
攻撃が一旦止んだので、敵を確認してみれば球体がくっ付いていたことでデコボコだった表面は球体を打ち出した事でツルツルな表面に成っていた。そして、そのツルツルな表面からズブズブと球体が生成され、デコボコな表面へと戻って行く
弾数は有限か無限か。恐らくだが、魔力の有る限りと見た方が良いかな。あの生成は魔術か魔法によるものだ、魔力の動き的にそう判断できる。それと、大元の核は天辺にあるな
そこまで確認したところでソウマが攻撃を開始したみたいだ。巨大球体型ゴーレムの下の方で炎やら風やらが炸裂している
ソウマの攻撃は抉ったり破壊したりとそれなりに効いていそうだが、相手はゴーレム。つけた傷は瞬く間に無くなってしまう。ゴーレムやキメラのような魔物の厄介なところだ。正確に言えばゴーレムは魔物ではないが面倒なので魔物でいい
巨大球体型ゴーレムはソウマのつけた傷を修復しながら小さい球体を生成し続ける。時々ソウマに反撃がいくが、嫌がらせくらいの規模だ
『ソウマ、核は天辺だ』
『りょーかい!』
ソウマに【念話】にて核の場所を伝える。【念話】は少しくらいなら離れていても使えるのでかなり便利なスキルだ。覚えるのが大変だったがそれ以上の価値がある
俺からの【念話】にて核の場所を知ったソウマが【空歩】を用いて宙を駆け上がって巨大球体型ゴーレムの天辺を目指す
これには流石に危機を感じたのか反撃が、天辺に近付くにつれて強くなっていく
ソウマに向けて生成された小さい球体が次々と発射される。フレッドを置いていって万が一なんてものがあって欲しくないのでここから援護するだけだな
障壁を消して、この場から魔法を行使する
使うのは風。魔力を練り上げ、イメージを構築して発動
風がソウマの周囲に吹き、球体をその身に乗せて動く。勢いそのままに進路を変更。違う球体へとぶつけて消していく。ソウマの正面から来るのは本人に任せる
ソウマは俺の魔法によってできた風のトンネルを駆けて天辺へ向かう。ソウマの周りから来るものはこちらが担当したが、正面のものはそのままだ。なので次々とソウマに球体が飛んでいく
ソウマはそれを全て槍のひと突きで破壊していく。爆発する前に通り抜ける事で爆発がソウマの広報で起き、ソウマにダメージなどない
そして、ソウマが天辺に到達したようだ。球体型ゴーレムが巨大過ぎて素の状態の視力では見えなかったので身体強化の応用で視力を強化する
大元となる核は天辺に3分の1ほど突き出していたので、近くにいた人型ゴーレムをソウマは無視して、核に槍を突き立てた
ソウマはそれなりの力を込めて槍を繰り出したようだったが弾かれ、核を一撃で破壊することは出来ず、人型ゴーレムとの戦闘に入った
じゃあ、核は俺が破壊しておきますかね
核の直ぐ上に大地魔法を使って縦に伸びた杭を生成、そして高速で回転させて雷を螺旋で弾丸の周囲に展開
杭自体の回転に加えてその回転の向きと同じ向きに雷を螺旋状に展開したことによる更なる加速。空気との摩擦で青白い火花が散る
そうして回転が最高潮に達したところで発射した
放たれた弾丸は雷を纏いつつ核に直撃。そして核を貫通し、その巨体をも貫通して地面にぶつかり砕け散った
核を壊された事で巨大球体型ゴーレムは崩壊を始めた
そんな崩壊中の球体上ではソウマと人型ゴーレムによる立体的な次元での戦闘が繰り広げられた
人型ゴーレムの性能はかなりのモノのようでソウマはかなり楽しめているみたいだ
崩れ、落ちゆく瓦礫を飛び回ってソウマと人型ゴーレムが交錯する度に甲高い破壊の音が鳴る。接触の度にソウマが人型ゴーレムにダメージを与えているのだ
そして、ソウマと人型ゴーレムの8回目の接触
ソウマの槍での突きが人型ゴーレムの左脇腹へと命中し、貫通。そこにあった核を破壊して戦闘が終了した
やっぱりゴーレムは面倒だなと思いながら、もう諦めたよとでも言いたげな表情のフレッドと共にソウマの元へと向かった
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