Heroic〜龍の力を宿す者〜

Ruto

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2章

57:碧と赫

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ガルガロッソ先輩との模擬戦を終えた俺は軽く汗を拭き、既に夕食の時間だったので部屋に戻る前に食堂で食事を摂ってから部屋に戻った

相変わらずの視線と避けられっぷりだったが、この事については理由が今は分かっている。

教えてくれたのはガルガロッソ先輩の話と同じく、イヴとナキアさんの噂や色恋大好き女子のお2人である。

そんな2人曰く、俺は女子からしたら近寄り難いオーラが出ており話しかけづらいのだそう。それと女子は女子で牽制のし合いで動けない。

そして男子なのだが、俺の評判は良い方らしい。

この良い方とはソウマと比べてだ。

俺の場合、試験官を倒したという噂と初回の剣術の授業のこと、バル先生との模擬戦、ガルガロッソ先輩との模擬戦などで下手な付き合い方は出来ないと思っているらしい。それと俺がSクラスというのも大きな要因のようだ。つまり、先輩方のおかげでSクラスにいいイメージが無いのだ

そして、さらにそこにソウマという存在が関係してくる。

ソウマの場合、入学試験で貴族の勘違い試験官を1撃で倒し、槍術の授業でも担当教師をあしらうなどで実力を示した。

そして!ここからが1番問題なのだが。ソウマはイケメンで話も上手い。更に、女子が好きなのでウェルカムだ。ここから導き出される答えは

女子の入れ食い状態=他の男子を女子が見ない状態が作り出され男子の妬み、僻み、嫉みが荒ぶっているのだ

そうするとだ、俺にもその妬みなどが来るかと言われれば、それが無い。

逆に好意的な視線が殆どだ。まあ、一部は違う

理由はソウマと同じかそれ以上の容姿。これについては俺には判断できないが周りのみんながそう言うので一応は納得した

それなのにも関わらずソウマとは違って女子との話が殆どないということからだ。

ここで1つ問題がある。時折物凄い寒気を感じる視線が浴びせられるのだ。たまらずその視線の先を追えばイヴと同じ目をした女子。というか大体イヴもいる

つまり腐った視線だ。

あれはマジで怖い。というか気持ち悪い

とまあ、避けられている理由はそんな感じだった訳だ。

友達作りの為に学園に来たようなものだったが中々上手くはいかないものだ。

そんな風に考えながらも短い距離を移動して部屋のドアを開けて中に入る。もう時間は20時なのでソウマは食事を終えて浴場に行っていなければ部屋に入るはずだとおもい中に入ると

ソウマが椅子に座り頭を背もたれの後ろに投げ出し天井を見て、手足はダランと投げ出された状態。何というか燃え尽きていた

ちょっとだけ心配になりながらも近づくと何かを言っていた

「書類書類書類書類書類書類書類」

うん。相当事務仕事が辛いようだ

実際この時期の生徒会の忙しさは凄いらしいと殿下にお聞きした。

事務仕事が好きでも得意でもないソウマにはさぞキツイ事だろう。こういう時はストレス発散をした方が良いだろう。

「おーい」

反応無し

「ソウマー」

「うー、また追加かよ~」

こりゃ重症だ

うーん

「模擬戦やろう~」

と言うとシャキーンとダランとしていた顔や体に力が入り、目が光ったかの様に見えるほどに活力を漲らせた。単純すぎる

俺もこんな感じなのだろうか、だとしたらなんか嫌だな~

「おい、クウガ。模擬戦やるんだろ?早くやろうぜ」

いつの間にかクローゼットを開けて中にあるルームへの扉を開けて待機しているソウマが声を掛けてきた。切り替えれば早い奴だ

ルームへの扉から中に入る。中に入ってまず、ラキア達を出してから既に軽く準備運動しているソウマの方に向かう。

俺が近くに来るとソウマは一旦動きをやめて

「でもよ、ここだと演習場みたいに怪我を気にせず思いっきりやれねぇじゃん」

と少しテンションを下げながらも言ってきた

しかし!俺はそこも考えてあるのだ

「ふっふっふっ、心配は無用だよソウマくん!実はリンガからある物が送られてきていたんだよ」

俺はアイテムボックスからそれを取り出した

「そ、それってまさか!?」

歓喜と驚きに満ちた表情で驚愕の声を出すソウマ

「そのまさかだよ!前に頼んでいた演習場と同じ結界を出す、持ち運び可能型だよ!」

「リンガが神か!」

そんな事を両膝をつき手を広げて上を仰ぎ見ながら言うソウマは置いておき結界を発動するマジックアイテムを起動した。

このマジックアイテムは魔力を流すタイプだが、必要魔力がかなり多い。まあ、魔力に関しては有り余るほどなので俺の場合は特に問題にはならない。緊急用の魔力回復薬もあるからね

結界が展開されると一瞬の違和感を感じるも直ぐにその違和感も消失した

これで思う存分。より実戦に近く模擬戦ができる

「じゃあ、やるか」

「ああ」

少しの距離を開けて構えを取る。ソウマとの模擬戦は必ず最初は無手だ

そして、最早お決まりとなった【感雷】ではなくて、それが変化したスキルをそれぞれ使う

俺は碧色の雷。ソウマは赤色の雷

雷を纏った両者が激突した

お互いがお互いへと向けて跳躍し、右拳を突き出した。拳と拳の衝突は辺りに破壊が撒き散らされる

衝突の影響でお互いにほんの一瞬空中に静止するも直ぐさま次の行動を起こす

ソウマの足刀が左から迫る。それに対して体を少し傾ける事で避け、お返しの手刀をお見舞いする

ソウマは手刀に対して側面から左拳を当てる事で逸らし、反撃の正拳突きが俺の鳩尾目掛けて放たれた

迫り来る拳を後方宙返りをしながら右膝蹴りで上へと弾き、左足で顎目掛けて攻撃した

突きを弾かれ少し体勢が悪くなった所にされた追撃をソウマは弾かれる勢いそのままに仰け反って回避
 し。俺が着地するよりも一瞬だけ早く体勢を整えて足払いをかけてきた

着地と同時に避けるのと合わせて跳び蹴りをくらわさてやろうと思っていたのだが、ソウマの攻撃が既に迫っていた。

回避は間に合わないので攻撃から防御へと切り替えてソウマの攻撃を受けて少し飛ばされる

飛ばされる中見たソウマの体勢でどの様に攻撃したのかを理解した

ソウマは足払いを左でかけてきたが、そのまま回転して右足で後ろ回し蹴りを放ってきたようだ。読まれたのは悔しいがあいつはそこら辺考えてではなく直感でやるからどうしようもない

飛ばされた一瞬でその事を考えて無事に着地する。飛ばされていた間に既にソウマは距離を詰めている。右拳によるフックが繰り出された

ダッキングでそれを躱し、肩からタックルをかます

どうやらタックルが来るとは思っていなかったようで見事に決まり、ソウマが吹き飛ぶ

そんな飛ばされるソウマに追いつき、下から蹴り上げて上空へと飛ばす。【空歩】が使えるので空中でも特に問題にはならないだろうが体勢を整える暇なんて与えてやらない。足を開きながら右脚を気持ち少し後ろにさげ、左手を地面につく。その体勢を取り、右脚の碧色の雷の威力を上げていく

空中でこちらの動きを確認したソウマは慌てて俺と同じように右足の赤色の雷の威力を上げ攻撃体勢を作った

そんなソウマを視界に入れながら俺は技を発動する

両足をスライドさせる様に動かし、左は前、右は後ろにし、足元を踏みしめる。

そして、蹴りを放つ瞬間。右足に龍が宿る

ガアァァァァァァ!

そんな咆哮とともに蹴りに合わせて龍はソウマへと向けて放たれた

碧色の雷という本質は変わらないがその姿は正に龍。正確に言えばジアラの様な蛇に似た姿。そんな龍が顎門を広げて今正にソウマへと襲いかかった

だが、ソウマも無抵抗な訳がなく、威力を上げたけりで迎え撃つ

ソウマの赤い雷を纏った蹴りと碧色の龍がぶつかり合った

一瞬の拮抗

けれどもその拮抗はほんの一瞬で終わりソウマが龍に呑まれた

碧色の龍が消えてソウマが落ちてくる。途中でソウマはフッと消えた。恐らくダメージが規定以上になり外に転送されたのだろう

無手での勝負はここで終わりみたいだな

やっぱり戦いというのは楽しいな

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