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集合写真

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『まじか』
『こわーい』
 いつもふざけてばかりの男子たちが唇を青くしていた。女子たちからは悲鳴があがっている。廊下に春の遠足写真が張り出されていて、生徒たちはそれを見て騒いでいたのだ。私は同じクラスの女子生徒を見つけると、騒ぎの理由を尋ねた。

「美菜、あれ、見てよ。うちらのクラス単語やばいから」

 クラスメイトに言われるまま、私は群がる生徒たちの頭越しに写真を見た。一見するとなんの変哲もない集合写真。だが、よくよく見ると、木立の間からよく知った顔が覗ているではないか。私は思わず“あっ”と叫んでしまった。あの淋しげな女の顔がこちらを見つめていた。それも、あり得ないくらい高い位置で、宙に浮いていたのだ。
 
 帰りのホームルームの時間、担任の先生はこう言った。
『本日、君たちが騒いでいた写真についてカメラマンの方に確認しました。いいですか皆さん、これは、心霊写真なんかではありません。光の反射の加減で近くにいた女性の影が映り込んだだけです』
 
“そんなのぜったいにウソだ”
 先生の話に生徒たちは半信半疑。写真の女は幽霊だと信じている。私はというと、迷った挙句に問題の写真を購入することに決めた。

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