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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
481.オレは、王妃陛下に協力を希望します。生きている者は、死者を悼むことの他に、死者の名誉の回復ができます。
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話してくれそうかな、と期待したけれど、そうは問屋がおろさなかった。
「隠し事を隠し通す代わりに、代替わりを要求されていらっしゃいますが、我が国が隠し事をしているなどと。
どうして、言い切れますか、ずべし?」
とサーバル王国の王妃陛下。
手強いよなー。
「隠し事をしているのは、国かな?」
「隠し事をしているのは、我が国ではないとおっしゃいますか、ずべし?
大公妃殿下は、主張が混乱されていらっしゃるようですね、ずべし。
休養されてはいかがですか、ずべし?」
と王妃陛下。
「オレは、王妃陛下の隠し事を聞きにきたからなー。
聞くこと聞いて帰るぞ?」
「私は、サーバル王国の王妃でありますから、大公妃殿下に話さない秘密を持っていてもおかしくございません、ずべし。」
と王妃陛下。
その通りだけどなー。
はい、そうですか、と引き下がるわけには、いかないからな、オレも。
「死人に口なし。
死んでからは、説明も弁明もできないよな?」
「死者を悼むことしか、遺された者にできることはありません、ずべし。」
と王妃陛下。
「それがさ、あるんだよなー。」
「口さがない話をする者はございます、ずべし。」
と王妃陛下。
「死者を冒涜し、遺族を苦しめる者には、手を焼くよな。
口さがない話をする者。
真実を隠す者。
真相を捻じ曲げる者。
事実とは異なることを捏造して、まことしやかに語る者。
王妃陛下は、マウンテン王国の女王陛下の死について、どれに該当するのかな。」
「大公妃殿下は、私を愚弄していらっしゃるご自覚がないようですから、今回に限り水に流します、ずべし。」
と王妃陛下。
いやいや、水に流してくれなくていいんだぞ?
挑発してものってくれないのは、人生経験と、統治者としての経験の差なんだろうなー。
オレの未熟さをあしらってあげてるのよ感が漂ってくる。
ここは、正々堂々と正面突破を目指そうかな。
「遺された者と生きている者は、死者のため、または遺族のためにできることがある。
弔うことは、勿論だけど、一番は、さ。」
オレは、王妃陛下の目をまっすぐ見つめた。
「死者の名誉を回復すること。」
王妃陛下の表情は変わらない。
身じろぎもない。
動揺しているかどうか、ぱっと見ても、分からない。
でも、それがなんだ!
オレは、愚直にいく!
「マウンテン王国の女王陛下について分かっている事実だけを並べるぞ。
マウンテン王国の女王陛下は、サーバル王国を訪問。
サーバル王国の国王陛下、王妃陛下と顔を合わせた後。
サーバル王国の女性が、決して単独では立ち入らない場所で、護衛やお供がいない状態で非業の死を遂げた。
これだけは、どれだけ時間が経とうが、変わらないとオレは考えた。
つまり、これらを事実として、オレは認識している。
事実についての認識について、王妃陛下に確認したい。
事実かどうかの認識ついて、齟齬はあるかな?」
「どこにも、ございません、ずべし。」
と王妃陛下。
王妃陛下が、この時点で肯定してくれてよかった。
肯定できないような内容を話してはいない。
肯定しにくい聞き方もしていない。
気を遣いながら話をした甲斐がある。
今のを否定されると、やりづらくなっていたからなー。
話が進めやすくなってよかった。
「事実以外の詳細で、人の口を介して語られている部分は、語る人の意見や思惑、目撃者の恣意が練り込まれていることがある。」
「大公妃殿下は、博識でいらっしゃいますね、ずべし。」
と王妃陛下。
王妃陛下の声のトーンから察するに、博識だ、という単語は、言葉通りに受け取るとダメなお言葉だよな。
今から切り込むオレは、それほどでも、という謙遜はしないぞ。
「サーバル王国の国王陛下と王妃陛下が、マウンテン王国の女王陛下について、ミーレ長官とクロードとオレに話してくれたときは、さ。
その内容を聞いて驚いて終わったんだけどなー。」
とオレは、軽い調子で話す。
「後から考えてみて、不自然な部分があることに気づいたんだよな。」
オレは、いったん、言葉を区切る。
「マウンテン王国の女王陛下が、視察に行く前に会って話している人物は、遺族であるミーレ長官に、女王陛下の最期について話を聞かせていた中で、自身と女王陛下との関わりについては、一切合切、匂わせなかった。」
オレは、王妃陛下から目をそらさない。
「女王陛下との関わりがゼロではない人物が、女王陛下の最期を語るという段で、女王陛下についての私見を述べないのは、さ。」
王妃陛下もオレから目をそらさない。
「伏せすぎだ。」
オレと王妃陛下の視線がぶつかり合う。
「何かあったことを隠している、と言っているようなものだからな。」
オレは、王妃陛下に笑いかける。
「オレは、シガラキノ様とは、これから仲良くやっていきたいと考えている。
オレは、オレ達が仲良くやっていけなくなる原因が、シガラキノ様にないところにあると分かっていて、何の手も打たずに諦めるよう人間じゃないからな。
王妃陛下とは、非公式な話し合いを通じて、双方が良い結果を得られるような協力関係を築くことを、オレは希望している。」
「隠し事を隠し通す代わりに、代替わりを要求されていらっしゃいますが、我が国が隠し事をしているなどと。
どうして、言い切れますか、ずべし?」
とサーバル王国の王妃陛下。
手強いよなー。
「隠し事をしているのは、国かな?」
「隠し事をしているのは、我が国ではないとおっしゃいますか、ずべし?
大公妃殿下は、主張が混乱されていらっしゃるようですね、ずべし。
休養されてはいかがですか、ずべし?」
と王妃陛下。
「オレは、王妃陛下の隠し事を聞きにきたからなー。
聞くこと聞いて帰るぞ?」
「私は、サーバル王国の王妃でありますから、大公妃殿下に話さない秘密を持っていてもおかしくございません、ずべし。」
と王妃陛下。
その通りだけどなー。
はい、そうですか、と引き下がるわけには、いかないからな、オレも。
「死人に口なし。
死んでからは、説明も弁明もできないよな?」
「死者を悼むことしか、遺された者にできることはありません、ずべし。」
と王妃陛下。
「それがさ、あるんだよなー。」
「口さがない話をする者はございます、ずべし。」
と王妃陛下。
「死者を冒涜し、遺族を苦しめる者には、手を焼くよな。
口さがない話をする者。
真実を隠す者。
真相を捻じ曲げる者。
事実とは異なることを捏造して、まことしやかに語る者。
王妃陛下は、マウンテン王国の女王陛下の死について、どれに該当するのかな。」
「大公妃殿下は、私を愚弄していらっしゃるご自覚がないようですから、今回に限り水に流します、ずべし。」
と王妃陛下。
いやいや、水に流してくれなくていいんだぞ?
挑発してものってくれないのは、人生経験と、統治者としての経験の差なんだろうなー。
オレの未熟さをあしらってあげてるのよ感が漂ってくる。
ここは、正々堂々と正面突破を目指そうかな。
「遺された者と生きている者は、死者のため、または遺族のためにできることがある。
弔うことは、勿論だけど、一番は、さ。」
オレは、王妃陛下の目をまっすぐ見つめた。
「死者の名誉を回復すること。」
王妃陛下の表情は変わらない。
身じろぎもない。
動揺しているかどうか、ぱっと見ても、分からない。
でも、それがなんだ!
オレは、愚直にいく!
「マウンテン王国の女王陛下について分かっている事実だけを並べるぞ。
マウンテン王国の女王陛下は、サーバル王国を訪問。
サーバル王国の国王陛下、王妃陛下と顔を合わせた後。
サーバル王国の女性が、決して単独では立ち入らない場所で、護衛やお供がいない状態で非業の死を遂げた。
これだけは、どれだけ時間が経とうが、変わらないとオレは考えた。
つまり、これらを事実として、オレは認識している。
事実についての認識について、王妃陛下に確認したい。
事実かどうかの認識ついて、齟齬はあるかな?」
「どこにも、ございません、ずべし。」
と王妃陛下。
王妃陛下が、この時点で肯定してくれてよかった。
肯定できないような内容を話してはいない。
肯定しにくい聞き方もしていない。
気を遣いながら話をした甲斐がある。
今のを否定されると、やりづらくなっていたからなー。
話が進めやすくなってよかった。
「事実以外の詳細で、人の口を介して語られている部分は、語る人の意見や思惑、目撃者の恣意が練り込まれていることがある。」
「大公妃殿下は、博識でいらっしゃいますね、ずべし。」
と王妃陛下。
王妃陛下の声のトーンから察するに、博識だ、という単語は、言葉通りに受け取るとダメなお言葉だよな。
今から切り込むオレは、それほどでも、という謙遜はしないぞ。
「サーバル王国の国王陛下と王妃陛下が、マウンテン王国の女王陛下について、ミーレ長官とクロードとオレに話してくれたときは、さ。
その内容を聞いて驚いて終わったんだけどなー。」
とオレは、軽い調子で話す。
「後から考えてみて、不自然な部分があることに気づいたんだよな。」
オレは、いったん、言葉を区切る。
「マウンテン王国の女王陛下が、視察に行く前に会って話している人物は、遺族であるミーレ長官に、女王陛下の最期について話を聞かせていた中で、自身と女王陛下との関わりについては、一切合切、匂わせなかった。」
オレは、王妃陛下から目をそらさない。
「女王陛下との関わりがゼロではない人物が、女王陛下の最期を語るという段で、女王陛下についての私見を述べないのは、さ。」
王妃陛下もオレから目をそらさない。
「伏せすぎだ。」
オレと王妃陛下の視線がぶつかり合う。
「何かあったことを隠している、と言っているようなものだからな。」
オレは、王妃陛下に笑いかける。
「オレは、シガラキノ様とは、これから仲良くやっていきたいと考えている。
オレは、オレ達が仲良くやっていけなくなる原因が、シガラキノ様にないところにあると分かっていて、何の手も打たずに諦めるよう人間じゃないからな。
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