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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

401.女神様に、女王がたたない理があるのか、聞いてみましょう。女王の治世がうまくいかない原因は、女神様のしもべになりきれないからですか?

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侯爵令嬢ポーリーン・タチバナが、ゆっくりと言葉を選びながら指摘してきた。

「ヒサツグの質問に答えられる方がいるとしたら、女神様ですわ。」

「女神様は、話したいことは話すけど、話したくないことは話さないんだよなー。」

「ふふふ、ふふふ。」
と女神様は、その通りと言わんばかりの笑顔。

「女神様。答えたくないなら、いつもみたいに、ふふふと笑ってくれていいから、答えたい質問には返してくれるかな?」

「ふふふ、ふふふ。」
と女神様。

予想通り。

騎士団長の甥イスペル・シャムは、俺と女神様のやりとりを見て。

「ヒサツグと女神様は仲良しなんだ。」
と誤解している。

訂正しておこう。

「仲良しのときもあれば、仲が悪いときもあるぞ。」

「ヒサツグ。俺は、分かったことがある。」
と騎士団長の甥イスペル・シャム。

「おう?何かな?」

「喧嘩ができるのは、対等な相手だけなんだ。

上下関係があったら、喧嘩にならない。」
と騎士団長の甥イスペル・シャム。

「オレと女神様は、対等だからなー。

ということは?

女神様とオレは、喧嘩するほど仲がいい、という類の友達になれる可能性があるのか。」

女神様と友達かー。

オレの感情を考えてみる。

女神様は、断りなくオレを呼びつけておきながら、マウンテン王国の国王陛下がオレを殺す計画の肝になる情報を垂れ流ししてくれたからなー。

オレの中にわだかまりがあるうちは。

友達になりたいかどうか、と言われるとなー。

オレは、この世界で一生を過ごす。

時間はまだある。

オレとしては、今すぐ友達にならなくてもいいな。

「ふふふ、ふふふ。妾と友達。ふふふ、ふふふ。」
と女神様。

女神様は、友達という単語が気に入ったのかもしれない。

この世界で、女神様と対等なのは、オレだけだからなー。

女神様の友達予備軍が、オレしかいないんだよな。

気長にやっていくか。

「女神様。
この世界の理として、女王の存在を認めていないということはあるのかな?」

「ないわ。ふふふ、ふふふ。」
と女神様。

ないのか。

うーん。

「理で禁じられていなくても、女王の治世が続いたことはないよな。

何か理由があるとしたら、人側に理由があるということになる。

人側にある理由を、女王が女神様のしもべとして排除できないから、女王の方が排除されてきたのかな?」

「ふふふ、ふふふ。」
と楽しそうな女神様。

オレの推測は、正解に近いのかな?

もう少し、考えてみる。

「女王が排除されないためには、女神様のお力を授かる必要がある。

女王が、女神様のお力を授かるためには。

女神様のしもべになる条件を備えていなければならない、ということかな?」

「ふふふ、ふふふ。」
と上機嫌な女神様。

「女王がたつには、女神様のしもべの条件を満たしていることが、必須。

女神様のしもべの条件って何かな?」

女神様のしもべの条件の解明に解決の糸口が隠されていると思う。

マウンテン王国の四人とオレは、考え込んだ。

「国王陛下と先代国王陛下に共通する特徴は、何かあるかな?

お二人にあって、先代国王陛下のお姉さんの女王陛下にはなかったもの。」

オレは、国王陛下とは会って話をしたことがあるけど、先代国王陛下と先代国王陛下のお姉さんの女王陛下とは面識がない。

オレの情報は、ミーレ長官とミーレ長官の奥様から聞いた話。

国王陛下本人には確認していない話。

その上で、共通点を探るとなると。

思い当たることはあるんだけどなー。

「国王陛下の夫婦仲はこじれている。

先代国王陛下の夫婦仲も良好じゃなかったんだよな?

先代国王陛下のお姉さんの女王陛下の夫婦仲は、どうだったのかな?」

「女王陛下のご夫君が、早くに亡くなられたが、仲睦まじいご夫婦だったと聞いたことはある。」
と王姉殿下スナメリ様。

違いは、夫婦仲なんだよなー。

女神様を世界一大事にできるか否かが、女神様のしもべになる条件かな?
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