上 下
353 / 630
第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

353.パレオは、十八禁の世界から、オレを救い出してくれるはずです。

しおりを挟む
クロードは、オレを抱きしめて、オレのつむじに鼻を寄せている。
「家族のタペストリーを作ることは、外せない。」
とクロード。

「家族なら、営み中じゃなくても、だなー。」

「タペストリーは、私とヒサツグの愛が真実だと証明するために必要なもの。」
とクロード。

クロードが、オレのつむじをくんかくんかしているということは。

クロードは、不安なのかなー。

夫婦の営みのタペストリーは、不安に押し潰されそうなクロードの考えた案なんだろうけど、実現させないようにするには、どうしたものかなー。

クロード個人に仕えて忠誠を捧げてきた、クロードの秘書。

クロードがケレメイン公爵としてマウンテン王国の王都に滞在している期間、マウンテン王国の王都邸に勤務していた人。

王都邸にいなくても、ケレメイン公爵になってからクロードの疲弊を知っている人。

こういう人は、クロードとオレの仲について、否定的なことは、一言も言わない。

それぞれ思うところがあったとしても、クロードにも、オレにも、漏らさない、悟らせない。

プロ中のプロ。

クロードのご両親が消失してから、クロードが一人で奮闘してきた姿を側で歯がゆい思いをしながら見て、支えてきたような人は、クロードとオレを引き離しては、クロードのためにならないことを経験している。

クロードとオレが、二人で寄り添うようにしながら支えあって、互いを頼りに前に進んできた時間があるから、今、ケレメイン大公国があり、ケレメイン大公クロードが存在するということを正確に認識している。

クロードの中でのオレの比重を知っているから、オレとの仲をさくことは、クロードを追い詰め、ケレメイン大公国を傾かせる、どんな愚策にも負けず劣らずの悪手だと理解している。

だから、クロードとオレが別れるのがいい、という内容のことは決して言わない。

だけど、悲しいことに。

クロードの内面に踏み込んで理解している人は、ケレメイン大公家では、少数派なんだよなー。

いないわけじゃないけれど少数派。

多くの人は、クロードに、オレと別れて、本物の幸せを手に入れるべきだ、と進言している。

サーバル王国の王女様をクロードのお嫁さんにしよう運動が、クロードとオレを置いてきぼりにして、盛り上がって、広がった背景。

ケレメイン公爵家が慕われて、クロードを大事に思う人の数も少なくなかったのに、クロードの外側の幸せを追求して、クロードの内面の幸せを見ようとしなかった人の数が多すぎた。

クロードは、別れろ、と言われすぎて、思い詰めた結果、営みのタペストリーを作ろうという考えにたどり着いたに違いない、きっと。

クロードの幸せを形にして見せるから、理解して、もう別れろなんて、言わないで、というクロードの心の叫びなんじゃないかな。

そういうことをおもんぱかっても、営みをタペストリーにするのはなー。

オレには、抵抗がある。

せめて、日本市場に出回るくらいの濃度に薄めたい。

アイドルのポスターや、カレンダーくらいの濃度に。

水着、水着は?

全裸じゃなくて水着。

「クロード、タペストリーに、水着を着る二人、というのはどうかなー?」

「着衣プレイの一つとしてヒサツグの提案を取り入れる。ヒサツグが積極的で嬉しい。」
とクロード。

いや?
いやいやいや。

着衣プレイで、水着って、卑わいさ、マシマシならないかなー。

隠しているの、ポロリはあるの?みたいな、期待を煽るタペストリーは、いらないぞ。

「オレは、オレのモノを人目にさらすのは、ちょっと遠慮したいなー。恥ずかしいからさ。」

「私の手で隠す。」
とクロード。

営むのは、確定なのかな?

営まない案は通らないのかな?

オレのモノ手で隠すっていうのはさ。

モノを握るじゃないよなー。

まさかなー。

手で覆うということかな?

モザイクや白抜きの代わりに、クロードの手。

見ちゃダメ感が加速していくのは、気の所為かな?

十八禁の世界から遠ざかりたいぞ、オレは。

水着を着て、十八禁を薄めるには、どうしたいいかなー。

オレは、閃いた。
「パレオ!パレオを巻こう!パレオで解決!」
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

僕が愛しているのは義弟

朝陽七彩
BL
誰にも内緒の秘密の愛 *** 成瀬隼翔(なるせ はやと) *** *** 成瀬 葵(なるせ あおい) ***

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!

棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

処理中です...