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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

294.女神様の裁定が下された中で、お一人だけ、無事な方がいました。なんと、その方は、裁定がキャンセルされたのです。

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俺は、信楽焼の狸を思い出していた。

信楽焼の狸って、愛嬌あったよなー、としみじみする。

食べ物屋の入り口に、信楽焼の狸を見つけたとき。
『お、狸いるじゃん?』と盛り上がったなー。

女神様の裁定その二は、ケレメイン大公国に来た外交団全員に下った。

全員、引き立て役というより、悪役に見える。

女神様基準だから?

英雄クロードのカッコよさを引き立てるために、いかにも悪そうな三流悪役仕立てになったのかな?

王女様が、語尾に、『ずべし』をつけながら、国王陛下に、何とかして、と訴えているけれど、きっと、なんともならない。

国王陛下は、一言も話していない。

どうした?

あれれ?

国王陛下だけ、デベソになっていないぞ?

「国王陛下、王女様が助けを求めているけれど、王女様を無視したままでいいのかな?」

「ああ。」
と国王陛下。

国王陛下の返事には、語尾に『ずべし』がなかった。

「国王陛下は、語尾が、裁定前と変化していないな。

国王陛下の腹は?
へそも、デベソになっていない。」

俺が、国王陛下の腹に注目すると。
裁定の下った人は、自分と国王陛下の腹を見比べ、国王陛下の腹を凝視。

「国王陛下がご無事なのは、なぜなのでしょう、ずべし。」
と王妃陛下。

誰もが疑問に思いながらも、王妃陛下以外は、聞けない質問だなー。

国王陛下だけ、無事だったら、なんで、お前だけ!と腹の中が、煮えくり返っていても不思議じゃない。

「国王陛下には、女神様の裁定が下らなかった、ように見えるよな。

女神様のしもべは、他の人と違って、女神様と直接会って話をする。

女神様は、女神様のしもべを女神様が見たくない姿にしたくなかったのかな、と推測してしまうよな。」

俺は、王妃陛下に答えながら、青姦ルームにいる裁定の下った人を一通り見ていく。

「女神様。国王陛下は女神様のしもべだから、国王陛下だけは、裁定は下っても、キャンセルされているのかな?」

確信がないので、女神様に確認してみる。

「ふふふ。妾のしもべよ。」
と女神様は、肯定の返事。

「国王陛下の裁定は、キャンセルされた、が正解。

国王陛下が無事なら、他の人が無事じゃなくても、国としては、やっていける。

女神様は、国を滅ぼすおつもりはないようだ。」

ほっとしているのは、国王陛下も含めて、一人もいない。

外交団の人員構成は、若手から中年の、実務経験がある男女で、見た目が良い。

外交団の人員は、ケレメイン大公国を支配下におくときの主戦力で構成されているんだろうな。

遠隔地でも仕事を任せられる人を、ケレメイン大公国に連れてきた。

人格的にも問題がなく、仕事ができる人材。

女神様の裁定が下ったことで、本人の能力は変わらなくても、周りからの評価は一変するんだろうな。

優秀がゆえに、裁定を下された当人にも、将来の苦難が見えているんだろうな。

国王陛下は、王女様を使ってケレメイン大公国の支配権を得て、優秀な部下に統治を任せることを見込んでいたかな?

女神様の裁定の気になる点を、女神様に直接確認しておこう。
「英雄クロードの引き立て役ということは、英雄クロードがいない場所では、元に戻るのかな?」

「ふふふ、ふふふ。」
と女神様。

答えない、ということは。

「結果は、見てのお楽しみに、ということだから、実際に試してみるしかないなー。

各国の王家を集めて、交流会を企画したら、女神様の裁定の効果が、一目瞭然だな。」

オレの台詞に、王女殿下は、金切り声をあげてから、オレを睨んできた。

「こんな姿を見せるなんて、ずべし!
絶対に開催させるものですか、ずべし。」
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