上 下
150 / 630
第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。

150.オレは、クロードに、日本に帰りたい気持ちを正直に打ち明けました。正直に打ち明けない方が良かったのでしょうか?

しおりを挟む
オレは、閃きを秘めたまま話を続けた。

確信がないことは、まだ話す時期じゃない。

「誘拐事件の後。
再び来た公爵領。
オレは、日本に帰る予兆が何もないので、女神様にもう一度、神託を願った。
すると。
女神様が、オレの寝室に顕現された。」

「女神様が、私のヒサツグに会いに。」
とクロード。

「英雄クロードと結婚して真実の愛を捧げられたオレに、加護を授けにきた、と女神様は言った。

オレは、結婚して、こちらの住人になったから、日本には、帰れない、と女神様に知らされて、ショックを受けて寝込んだ。」

「ヒサツグは、帰らない。」
クロードは、喜んでいる。

クロード、そういうところ!

申し訳無さ皆無なのは、どうなんだ?と言っても、せんないから、言わないけれど。

オレの無念を汲み取るところは、なかったか?

オイ。

オレは、ショックを受けた、と言ったんだぞ?

「神子様とクロードが仲良くするのが、嫌だと、神子様に張り合っていたら、クロードを好きだと、オレは自覚した。」

クロードは、オレに好きだと言われて、さらに嬉しそうにしている。

「ただ、一度は、日本に帰りたい。
行き来ができれば、ベストだけどな。
ダメなら、一回だけでも。」

「ダメだ。ヒサツグ、私は、ヒサツグの故郷に行くことができない。
私の行けない場所には、ヒサツグを行かせない。」
とクロード。

クロードの言葉も表情も、明確に、オレの帰国拒否、を表していた。

でも、オレは、日本の土を踏める可能性があるなら、諦めたくない。

クロードと逃げないで、向き合うと決めたからな。

「クロード。クロードと生きていく覚悟はできている。でも、一度でいいから、帰りたい。
長い人生なんだ。
ずっと日本にいるわけじゃない。
ほんの少し。」

「ダメだ。帰ったら、ヒサツグは、戻りたくなくなる。ヒサツグは、故郷が好きなのだろう?
こちらよりも。
ヒサツグは、出ていったら、帰ってこなくなる。」
とクロード。

クロードは、頑なだった。

「クロード。どうして。」

「絶対、何があっても、ヒサツグは帰さない。
ヒサツグ、私の手の届かないところに行くことを考えるな。」
とクロード。

「クロード。オレは、クロードから逃げていない。
その証拠に、クロードに話をしているだろう?」

クロードは、素早く立ち上がりながら、オレをお姫様抱っこした。

「クロード、どこに?」

「ヒサツグは、今日から、私と同じ部屋で寝起きする。」
とクロード。

ま、まずい。

このまま、クロードがオレの寝室を出たら、クロードの一言で、決定してしまう。

監視つき、監禁、持ち歩きの危機。

どうする?
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

僕が愛しているのは義弟

朝陽七彩
BL
誰にも内緒の秘密の愛 *** 成瀬隼翔(なるせ はやと) *** *** 成瀬 葵(なるせ あおい) ***

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!

棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

処理中です...