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第4章 夫が真実の愛を捧げる相手はどこにいるのでしょうか?名乗り出てください。

39.公爵が、屋敷に帰ってこない期間、最終決定権を持っている責任者がいない。オレが、公爵の伴侶として、問題を解決してもいいですよね?

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今日のオレは、工房見学デー。

お忍び視察。

公爵の伴侶に対して、作法を修得している職人がいないため、偉い人とバレないように工房見学。

魔王の爪痕を確認した上で、対策を練らなくちゃならんから、下調べしまくってからきたよ。

ベテランと中堅がいない。

若手の感性はいいけれど、技術が追いつかない。

どうしましょう?

どうしようか?

という話。

経営が厳しいから、といって、お金で援助するだけじゃ、職人を育てることにならないよなー。

若手だったら、尚更、仕事の経験も積ませたい。

名案が思い浮かばないかなあ?

頑張れ、オレの頭脳。

閃け、オレの第六感。


切羽詰まるまで、公爵家を頼らなかった理由を聞いてみた。

公爵が、屋敷にいないから、だとさ。

決定権持って、決裁してくれる人がいなけりゃ、相談する時間が勿体ない。

返す言葉がなかったよ、オレ。

気づくのが遅くなって、と申し訳ない気分になった。

公爵が、どこで何をされていらっしゃるか?
は承知しています。
と微笑まれた日には、もう。

公爵の両親だけではなく、国の要人が何人も、魔王により消失。

公爵は、国の仕事や、公爵の仕事やで、公爵家の屋敷に帰ってこない。

公爵領から、公爵へと、連絡を取りたくても、思うように取れない。

なんとか耐えてきたけど、限界が見えてきたから、と公爵の伴侶を頼ったそうだ。


話を聞いて。

オレは、この人達にとって、公爵と同じ統治者なんだ、と初めて思った。

異世界にいると気づいてから、オレは、公爵や、公爵の周辺に腹を立てることが多かった。


オレとの婚姻届を書いた日から二ヶ月半経っても、公爵は、一度も家に帰っていない。

新婚で、二ヶ月半。
説明もせずに、伴侶を放置する公爵の精神が、オレにはさっぱり分からない。

結婚相手がオレじゃなかったら、実家に帰られているんじゃないか?

オレは、公爵家の屋敷に住んでいるけれど、他に住むところがないからで。

公爵への愛など微塵もないから、新婚だろうと、会わなくても平気。

うん?
オレって、公爵の伴侶の適任者だったんでは?

いやいや。

オレは、日本に帰るために、公爵の屋敷にいるんだ。

未だに、公爵の愛人探しに着手出来ていないのは、想定外。


想定外ついでに。

公爵家に持ち込まれてくる問題は、解決してから、日本に帰ってやる。

公爵がいない中で、苦労しながら、苦労を表に出さずに、あれやこれやと切り盛りしている人達がいる。

それなら。

公爵がいない間に、さくっと、オレが片付けようじゃないか。

公爵が、オレの頭脳を望もうが、望まなかろうが。

オレによくしてくれている公爵家の人達、公爵を除く、が、オレの目の前で、苦労している。

オレが日本に帰る前に、手助けして、楽にしてあげるのは、自然だよな。


公爵の愛人探しは、後回しにしよう。

「一つ目の工房です。」
お、着いた。
さあ、お忍びにいくぞー!
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