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243.ドッジボールの女リーダーが、タケハヤプロジェクトを離脱した学生の離脱後について詳しく、若手官僚の過労死以外の情報を把握している理由。

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「タケハヤプロジェクトを離脱した学生の事情に詳しいことを俺に明かしたのは、わざとか?」

ドッジボールの女リーダーは、まるで見てきたかのように、タケハヤプロジェクトを離脱した学生の離脱後の様子を語った。

語られた内容が、ドッジボールの女リーダーの妄想でないなら。

ドッジボールの女リーダーは、どうやってタケハヤプロジェクトを離脱した学生の離脱後の出来事を知り得たのか?

一官僚の身で?

タケハヤプロジェクトを立ち上げた若手官僚の秘密の恋人という立ち場で、知り得る情報量ではない。

タケハヤプロジェクトを離脱した学生だけでなく、タケハヤプロジェクトの学生を裏切った学生についての情報も聞きかじった話をまとめているようには聞こえなかった。

タケハヤプロジェクトを立ち上げた若手官僚の死についての情報だけ、詳細を語れないのは、若手官僚の死に限定して、ドッジボールの女リーダーが知らないからではないか。

ドッジボールの女リーダーと若手官僚は、交際を秘密にしていた。

交際を秘密にすることは、若手官僚にも、ドッジボールの女リーダーにも有益だったのではないか。

若手官僚は、四股のために。

ドッジボールの女リーダーは、女リーダー自身のために。

交際を公言しなければ、誰にも気づかれないという期待は。

タケハヤプロジェクト関連に限定すると、裏切られる。

佐竹ハヤトとモエカは、交際していなかった。

佐竹ハヤトもモエカも、互いへの好意を隠していた。

それでも、互いを好き合っている事実は、周りに隠せていなかった。

タケハヤプロジェクトの建物内に閉じ込められ、モエカを人質にとられそうになった佐竹ハヤトは、モエカが人質にとられる前に、正義が勝たないデスゲームを開始することを決めて、自死を選んでいる。

交際していなくても気づかれたのなら。

交際していて、隠し通すのは不可能ではないか。

目撃者がいれば、人の口に戸はたてられない。

ドッジボールの女リーダーと若手官僚が交際し、交際を隠していた事実。

若手官僚を過労死に持ち込んだやつらは、この事実を把握していたのではないか。

若手官僚が過労死と認定されるに至った経緯について、ドッジボールの女リーダーが知らない理由は、一つだけ。

若手官僚の取り扱いに関して、ドッジボールの女リーダーは知ることができないようにされていたからではないか。

そもそも。

ドッジボールの女リーダーが、若手官僚と秘密の交際をしていた理由だが。

「官僚の中には、裏切り者が複数いたか?

裏切り者とは、支援団体の息がかかっている官僚のことだが。」

ドッジボールの女リーダーは、笑みを深めた。

「若手官僚と交際していたのは、タケハヤプロジェクトの情報を若手官僚から得るためか?」

ドッジボールの女リーダーは、無言で深い笑みを浮かべたままだ。

「若手官僚が四股の一人に同僚を選んだのは、その女官僚には支援団体の息がかかっていると確信したからか?」

ドッジボールの女リーダーは、これから俺がなんと続けるのかと、表情を変えずに待っている。

俺は、タケハヤプロジェクトを立ち上げた若手官僚の不可解な四股を解き明かす。

「タケハヤプロジェクトが原因の過労死とされた若手官僚が四股に選んだ相手に、何のウラもない女は一人もいないのではないか。

一人は、支援団体の息がかかっている同僚の女官僚。

残りの三人も、只者ではないのではないか。

炎上したタケハヤプロジェクトの学生の情報をまとめの解説に載せていく女と、対等に渡り合える女。

正確な情報を集めることに定評がある女だったのではないか?」

若手官僚は、タケハヤプロジェクトを進めるにあたり、自身が危ない橋を渡っているという自覚があってもおかしくない。

若手官僚は、自身の安全とタケハヤプロジェクトの成功のために、四股したのではないか?

四股の相手から、支援団体の情報を集めると同時に、タケハヤプロジェクトに関する正確な情報を女に握らせる。

俺の推測は、若手官僚の真実からかけ離れてはいないだろう。

「私達は、互いに秘密にすることを誓って付き合ったわ。

私の秘密は守り通せた。

恋人の死と引き換えに。」
とドッジボールの女リーダー。

ドッジボールの女リーダーに、朗らかさはない。

「若手官僚が秘密を守って亡くなったこと。

これは、望まない結末だったか?」

「共寝していた恋人に突然会えなくなって。

連絡もとれなくなり。

それでも。

会える日を心待ちにしていたら。

あり得ないのに、過労死だと周知されていた。

恋人と死に別れる結末になると、誰が想像する?」
とドッジボールの女リーダー。

「恋人との死別を、交際しているときに想像することは、難しい。」

死別に限らず、交際経験がない俺には、他になんとも言いようがない。

「秘密にしていたけれど。
秘密にしなければ、間に合った?」
とドッジボールの女リーダーは、息を吐き出す。

若手官僚が過労死として殺される前に、ドッジボールの女リーダーは助け出したかった、ということか。

「若手官僚との交際を秘密にしようとしていまいと。

若手官僚は、過労死へ導かれたのではないか?」

ドッジボールの女リーダーの分を含めて、過労死になる死体が二体に増えることになっていたのではないか。

支援団体が、若手官僚を殺すと決めていたのだとしたら。

ドッジボールの女リーダー一人で立ち向かって阻止するのは、不可能ではないか。

「わざと話したかどうかを尋ねるくらい、あんたは、私の話を理解した。

今、話した甲斐があったわ。

金剛ショウタ。
私は、賭けているから。」
とドッジボールの女リーダー。
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