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191.メグたんのハコさんとラキちゃんへの動機。メグたんとラキちゃんの戦闘。
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「私は、ハコさんの分も頑張らないと、とその思いだけでやってきたのに!」
とラキちゃんの悲痛な叫び。
ラキちゃんが、劣勢なのは、ラキちゃんが感情的になっているから、だけではない。
潜入捜査のために、刑事の身分を隠していたラキちゃんは、おーちゃんにとどめを刺すことと、潜入捜査を無事に遂行することとを、心の中の天秤にかけていたのではないだろうか。
正義が勝たないデスゲームでの生存権を得たのと引き換えに、正義が勝たないデスゲームを脱出する機会を失ったラキちゃんの潜入捜査は、失敗に終わった。
正義が勝たないデスゲームに参加すると、参加者は、外部との交流を絶たれる。
潜入捜査をしている捜査官が、潜入先の情報を持ち出せなくなった。
交代要員も準備されていない。
刑事のラキちゃんは、潜入先で、情報を持ち帰れないまま一生を終えることになる。
ハコさんとラキちゃんへの潜入捜査の指示は、大っぴらに出されていない。
ハコさんとラキちゃんに対して、警察は、潜入捜査と指示を出していたが、実態は違う。
狙われていたハコさんとラキちゃんの隔離措置。
一生ものの隔離措置。
現役の刑事として顔と名前が知られたハコさんとラキちゃんが、警察が手を出すと警察組織が危うくなるような敵に捕まらないために。
現役の女刑事二人を保護するための施設として、警察は、正義が勝たないデスゲームを利用した。
正義が勝たないデスゲームの存在を警察は、知っている。
ハコさんとラキちゃんに、正義が勝たないデスゲームの潜入捜査を指示したくらいだ。
正義が勝たないデスゲームの中で人殺しが日常的に行われ、人殺しを見世物にしていることも、警察は、把握している。
正義が勝たないデスゲームの実態を把握した上で黙認し、かつ利用した警察。
おーちゃんのとどめをさした瞬間から、ラキちゃんは、正義が勝たないデスゲームの中以外に生きていく場所を失った。
ラキちゃんは、刑事として、ハコさんがいなくなった分も、という思いがあった。
ラキちゃんの刑事としての誇り、潜入捜査を終えた後の刑事としてのキャリアをはじめとする将来設計。
メグたんの誘導に従ったラキちゃん自身が人を殺したとき。
ラキちゃんの刑事としての誇りには亀裂が入った。
正義が勝たないデスゲームからの脱出が不可能と知り、潜入捜査が報われない結果になったと理解したラキちゃん。
正義が勝たないデスゲームから脱出できないラキちゃんに、潜入捜査後の刑事としてのキャリアが、積めるはずもない。
ラキちゃんは、絶望と怒りと悲しみに突き動かされている。
「ハコは、不撓不屈の精神の持ち主だったわ。
正義が勝たないデスゲームを脱出する前までは。」
とメグたんは、ハコさんの思い出話を始めた。
「正義が勝たないデスゲームを一度脱出した後のハコは、脱出する前より、鈍くなったのよ。
私を捕まえたハコが、つまらない人に成り下がる?
想像を絶する屈辱よね。」
とメグたん。
「つまらないハコさんに、生きていてほしくない、というのが、メグがハコさんを死に追いやった動機ですか?」
とラキちゃん。
「ラキちゃんが真面目に刑事をしている。とても可愛げがあるわ。」
とメグたん。
「メグは、ハコさんと私の人生を捻じ曲げました。」
とラキちゃん。
「だから?」
とメグたん。
ラキちゃんは、言葉に詰まる。
「謝って済むなら、警察はいらないのよ、ラキちゃん。
現役の刑事がいても、警察の権威などありはしないわね。」
とメグたん。
ラキちゃんは、傷ついた顔をして黙っていた。
「私は、ラキちゃんが、これからどう生きるか、楽しみで仕方ないわ。
ラキちゃんは、今日から刑事とは正反対の生き方を始めるのね。
毎日、人殺しをして、生き延びる。
刑事になったラキちゃんが思い描いてこなかった人生。
ラキちゃんがどう生きていくのか、私はずっと見ていくわ。
ラキちゃんのことを考えると、今、一番、心が躍るのよ。
ラキちゃんが死にたくないなら、今日のところは、殺さないであげてもいいわよ?」
とメグたん。
ラキちゃんは、弾かれたように、表情を変えた。
「メグには、私の人生を変えた責任を取らせます。」
とラキちゃん。
「ラキちゃんは、警察だと名乗りたいの?」
とメグたん。
「いいえ。警察とか、刑事とか、関係ありません。
私は、佐藤ラキとして、メグに責任を取らせます。」
とラキちゃん。
「私に何をさせたいの?」
とメグたん。
「謝らせます。謝られても許せませんが、謝りもしないで、いけしゃあしゃあと過ごされている方が納得できません。」
とラキちゃん。
「私は謝らないわよ?
私に謝らせたいなら、私に勝つことだわ。」
とメグたん。
「勝ちます。絶対に。」
とラキちゃん。
「そう。勝負を挑まれたなら、手加減はなしね。」
とメグたん。
ラキちゃんは、メグたんに体当たりをしかけにいく。
メグたんは、余裕でかわす。
人工の木は、密集ではなく、点在している。
ラキちゃんは、直線距離でメグたんにぶつかっていくことはできない。
ラキちゃんは、何度も体当たりを試みた。
俺は、ラキちゃんが、体当たりに失敗すると気づくとすぐ、メグたんから距離をとることに気づいた。
取っ組み合いだと、メグたんが勝つことしか想像できないから、だろうか。
何度目かの体当たりに失敗したラキちゃんが、引き返そうとしたとき。
メグたんが、動いた。
メグたんは、引き返すラキちゃんの横からラキちゃんの横っ腹を殴った。
ラキちゃんは、横っ腹に衝撃を受けて、メグたんに殴られたのと反対側に足を滑らせる。
人工の土は、音を吸収する。
踏みしめる分には、自然にある土と遜色ない。
足を滑ると、氷の上で体勢を崩したときのようにズルッと滑る。
ラキちゃんの滑った足は、ラキちゃんが体勢の立て直しをはかる間を与えなかった。
ラキちゃんは、メグたんに横っ腹を殴られた勢いで、メグたんの反対側にある一番近くの木にぶつかっていく。
木にぶつかることが避けられそうもないラキちゃんは、木にぶつかる場所を変えようと、体をひねった。
体をひねったときのラキちゃんは、木にぶつかることしか考えていなかった。
ラキちゃんは、木に対して以外、無防備になっていた。
ラキちゃんが戦っている相手は、誰か?
木ではない。
メグたんだ。
ラキちゃんは、メグたんの次の動きについていけなかった。
体勢を崩したラキちゃんが体をひねっているとき、メグたんのかかとが、ラキちゃんの胸部に勢いよく落ちた。
ラキちゃんは、足を滑らせ状態のまま、メグたんに蹴られた胸部をおさえ、体勢を変えることもままならずに、木にぶつかる。
あっという間の出来事だった。
ラキちゃんが危ない。
メグたんとラキちゃんには、経験値の差がありすぎる。
俺は、木にぶつかったラキちゃんの元へ急いだ。
とラキちゃんの悲痛な叫び。
ラキちゃんが、劣勢なのは、ラキちゃんが感情的になっているから、だけではない。
潜入捜査のために、刑事の身分を隠していたラキちゃんは、おーちゃんにとどめを刺すことと、潜入捜査を無事に遂行することとを、心の中の天秤にかけていたのではないだろうか。
正義が勝たないデスゲームでの生存権を得たのと引き換えに、正義が勝たないデスゲームを脱出する機会を失ったラキちゃんの潜入捜査は、失敗に終わった。
正義が勝たないデスゲームに参加すると、参加者は、外部との交流を絶たれる。
潜入捜査をしている捜査官が、潜入先の情報を持ち出せなくなった。
交代要員も準備されていない。
刑事のラキちゃんは、潜入先で、情報を持ち帰れないまま一生を終えることになる。
ハコさんとラキちゃんへの潜入捜査の指示は、大っぴらに出されていない。
ハコさんとラキちゃんに対して、警察は、潜入捜査と指示を出していたが、実態は違う。
狙われていたハコさんとラキちゃんの隔離措置。
一生ものの隔離措置。
現役の刑事として顔と名前が知られたハコさんとラキちゃんが、警察が手を出すと警察組織が危うくなるような敵に捕まらないために。
現役の女刑事二人を保護するための施設として、警察は、正義が勝たないデスゲームを利用した。
正義が勝たないデスゲームの存在を警察は、知っている。
ハコさんとラキちゃんに、正義が勝たないデスゲームの潜入捜査を指示したくらいだ。
正義が勝たないデスゲームの中で人殺しが日常的に行われ、人殺しを見世物にしていることも、警察は、把握している。
正義が勝たないデスゲームの実態を把握した上で黙認し、かつ利用した警察。
おーちゃんのとどめをさした瞬間から、ラキちゃんは、正義が勝たないデスゲームの中以外に生きていく場所を失った。
ラキちゃんは、刑事として、ハコさんがいなくなった分も、という思いがあった。
ラキちゃんの刑事としての誇り、潜入捜査を終えた後の刑事としてのキャリアをはじめとする将来設計。
メグたんの誘導に従ったラキちゃん自身が人を殺したとき。
ラキちゃんの刑事としての誇りには亀裂が入った。
正義が勝たないデスゲームからの脱出が不可能と知り、潜入捜査が報われない結果になったと理解したラキちゃん。
正義が勝たないデスゲームから脱出できないラキちゃんに、潜入捜査後の刑事としてのキャリアが、積めるはずもない。
ラキちゃんは、絶望と怒りと悲しみに突き動かされている。
「ハコは、不撓不屈の精神の持ち主だったわ。
正義が勝たないデスゲームを脱出する前までは。」
とメグたんは、ハコさんの思い出話を始めた。
「正義が勝たないデスゲームを一度脱出した後のハコは、脱出する前より、鈍くなったのよ。
私を捕まえたハコが、つまらない人に成り下がる?
想像を絶する屈辱よね。」
とメグたん。
「つまらないハコさんに、生きていてほしくない、というのが、メグがハコさんを死に追いやった動機ですか?」
とラキちゃん。
「ラキちゃんが真面目に刑事をしている。とても可愛げがあるわ。」
とメグたん。
「メグは、ハコさんと私の人生を捻じ曲げました。」
とラキちゃん。
「だから?」
とメグたん。
ラキちゃんは、言葉に詰まる。
「謝って済むなら、警察はいらないのよ、ラキちゃん。
現役の刑事がいても、警察の権威などありはしないわね。」
とメグたん。
ラキちゃんは、傷ついた顔をして黙っていた。
「私は、ラキちゃんが、これからどう生きるか、楽しみで仕方ないわ。
ラキちゃんは、今日から刑事とは正反対の生き方を始めるのね。
毎日、人殺しをして、生き延びる。
刑事になったラキちゃんが思い描いてこなかった人生。
ラキちゃんがどう生きていくのか、私はずっと見ていくわ。
ラキちゃんのことを考えると、今、一番、心が躍るのよ。
ラキちゃんが死にたくないなら、今日のところは、殺さないであげてもいいわよ?」
とメグたん。
ラキちゃんは、弾かれたように、表情を変えた。
「メグには、私の人生を変えた責任を取らせます。」
とラキちゃん。
「ラキちゃんは、警察だと名乗りたいの?」
とメグたん。
「いいえ。警察とか、刑事とか、関係ありません。
私は、佐藤ラキとして、メグに責任を取らせます。」
とラキちゃん。
「私に何をさせたいの?」
とメグたん。
「謝らせます。謝られても許せませんが、謝りもしないで、いけしゃあしゃあと過ごされている方が納得できません。」
とラキちゃん。
「私は謝らないわよ?
私に謝らせたいなら、私に勝つことだわ。」
とメグたん。
「勝ちます。絶対に。」
とラキちゃん。
「そう。勝負を挑まれたなら、手加減はなしね。」
とメグたん。
ラキちゃんは、メグたんに体当たりをしかけにいく。
メグたんは、余裕でかわす。
人工の木は、密集ではなく、点在している。
ラキちゃんは、直線距離でメグたんにぶつかっていくことはできない。
ラキちゃんは、何度も体当たりを試みた。
俺は、ラキちゃんが、体当たりに失敗すると気づくとすぐ、メグたんから距離をとることに気づいた。
取っ組み合いだと、メグたんが勝つことしか想像できないから、だろうか。
何度目かの体当たりに失敗したラキちゃんが、引き返そうとしたとき。
メグたんが、動いた。
メグたんは、引き返すラキちゃんの横からラキちゃんの横っ腹を殴った。
ラキちゃんは、横っ腹に衝撃を受けて、メグたんに殴られたのと反対側に足を滑らせる。
人工の土は、音を吸収する。
踏みしめる分には、自然にある土と遜色ない。
足を滑ると、氷の上で体勢を崩したときのようにズルッと滑る。
ラキちゃんの滑った足は、ラキちゃんが体勢の立て直しをはかる間を与えなかった。
ラキちゃんは、メグたんに横っ腹を殴られた勢いで、メグたんの反対側にある一番近くの木にぶつかっていく。
木にぶつかることが避けられそうもないラキちゃんは、木にぶつかる場所を変えようと、体をひねった。
体をひねったときのラキちゃんは、木にぶつかることしか考えていなかった。
ラキちゃんは、木に対して以外、無防備になっていた。
ラキちゃんが戦っている相手は、誰か?
木ではない。
メグたんだ。
ラキちゃんは、メグたんの次の動きについていけなかった。
体勢を崩したラキちゃんが体をひねっているとき、メグたんのかかとが、ラキちゃんの胸部に勢いよく落ちた。
ラキちゃんは、足を滑らせ状態のまま、メグたんに蹴られた胸部をおさえ、体勢を変えることもままならずに、木にぶつかる。
あっという間の出来事だった。
ラキちゃんが危ない。
メグたんとラキちゃんには、経験値の差がありすぎる。
俺は、木にぶつかったラキちゃんの元へ急いだ。
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