正義が勝たないデスゲームから脱出しよう。【R15】

164.サバイバルゲーム開始前後の参加者の動向。正義が勝たないデスゲームの参加者の類型は、三つ。

ウロウロしたが、見つけた武器は、手榴弾一つだけ。

まさか、素手でサバイバルゲーム？

俺が気づかない場所に隠されているとか、か？

俺は、開始前に、使えそうな武器を見つけられなかった。

「説明の時間です。」
と機械音声。

参加者が全員揃ったか。

出入り口が閉まる。

まだ、隠れている参加者はいない。

俺は、参加者の顔ぶれを確認していく。

俺のように１人でいるのは、北白川サナ、ラキちゃん、他、数名。

メグたんとツカサは、それぞれの人の輪の中心にいる。

人の輪と言っても、メグたんとツカサの人の輪は、広がりは違う。

ツカサを中心に広がる人の輪は、ツカサといると楽しい、ツカサといたい、というワイワイ勢を真ん中にして放射線状に広がっている。

放射線状の端にいる参加者は、ツカサの側に一応入っているくらいで、ツカサと話し込むことはないが、ツカサから一言、二言、声をかけられて、短い会話が成立している。

放射線状の外側にいる参加者が、会話を引き延ばそうとしても、ツカサのワイワイ勢がツカサを会話に引き戻していく。

メグたんを中心とする人の輪は、メグたんの美女ぶりに近づいてきた男女でできている。

メグたんと仲良くなりたいと、一人、または、集団で近づいていく。

メグたんは、相手を見て、あしらったり、軽く会話したり、を柔軟に決めているのか、メグたんの周りの人は、入れ替わりが激しい。

メグたんの人の輪は、流動的だ。

メグたんに積極的に近づく参加者は、美人なメグたんに何を期待して、近づくのか？

ドッジボールで見た顔ぶれは、全員、ツカサではなく、メグたんに近づいていく。

メグたんは、人が寄ってくる人だったのか、と俺は驚いている。

モエカといたときは、そんな風に見えなかった。

モエカが、メグたんの横にいたからか。

昨日までメグたんの横にいたモエカが、今日はいない。

だから、参加者は、積極的にメグたんに近寄るのか？

見ている範囲では、メグたんに、特定の誰かと親しくなっていく様子はない。

それにしても。

入室時、ゲーム開始前は、参加者同士が親しくならないように、と注意があったが。

親しく交流している参加者が多数派という現状を鑑みるに、今の時間からは、セーフと考えている参加者が多いのか。

説明の時間です、という機械音声を聞いて、ツカサとメグたんのところに集まった参加者は、経験者か。

デスゲームの参加者で、経験者ということは、生きてはいるが、デスゲームを脱出していない実例。

デスゲームを脱出する考えさえもないかもしれない。

俺は、群れないでおくか。

考えたことがある。

正義が勝たないデスゲームから、脱出するしたいなら、周りを見て、周りに合わせないことがキモだ。

正義が勝たないデスゲームの参加者のうち、経験者になってはならない。

正義が勝たないデスゲームの経験者は、正義が勝たないデスゲームに参加してきて、生き延びてはきたが、脱出する機会は巡ってこなかったから、経験者となり、正義が勝たないデスゲームに参加し続けている。

安心を求めて、多数派に、のまれたら、正義が勝たないデスゲームから脱出する機会を自分自身で潰すことになる。

北白川サナは、俺と同じように、ツカサとメグたんに群れる人を見ている。

北白川サナに、人は寄り付かない。

ツカサとメグたん、北白川サナには、どんな違いがあるのか？

ツカサとメグたん、北白川サナは、デスゲーム運営が送り込んでいる。

ツカサとメグたんは、タケハヤプロジェクトの参加者。

北白川サナの分類は何か？

北白川サナは、タケハヤプロジェクトの参加者ではない。

タケハヤプロジェクトの参加者は、タケハヤプロジェクトの会場となる建物を出たり入ったりすることは、できない。

北白川サナは、加地さんと野村レオと一緒に、外から案内するかのように、正義が勝たないデスゲームの会場になっている建物に入っている。

となると。

デスゲーム運営は、タケハヤプロジェクトとは別に、デスゲーム内に送り込める人材を用意していることになる。

正義が勝たないデスゲームの参加者は、三つに分類できる。

一つ。
正義が勝たないデスゲームの参加者。
俺、その他。

二つ。
正義が勝たないデスゲームに参加しているタケハヤプロジェクトの参加者。
メグたんやツカサ。

三つ。
正義が勝たないデスゲームの運営が、デスゲーム内に送り込んでいる、どちらにも分類できない参加者。

正義が勝たないデスゲームの運営は、どんな目的で、三つ目の参加者を増やしたのか。