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85.北白川サナの二人目。狙いを定める野村レオと、野村レオに人殺しをしてほしくない加地さんの攻防。
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北白川サナが、来た途端。
野村レオと加地さんが作っていた二人の世界の壁は消えた。
壁を消したのは、加地さんではない。
「早いな。」
と野村レオ。
「私は並です。むしろ遅いです。」
と北白川サナ。
野村レオは、加地さんの手を振りほどいた。
加地さんは、野村レオに手を振りほどかれても狼狽えない。
「レオ。行ってはいけない。レオはまだ間に合う。レオは手遅れになっていない。」
と加地さん。
加地さんは、毅然とした態度で振りほどかれた手をおろす。
加地さんは、北白川サナを見ない。
北白川サナは、加地さんに無視されていても、無反応。
「残りは、二人でできます?」
北白川サナは、野村レオに聞いた。
二人?
この場合の、二人は、加地さんと野村レオか。
「残りか。」
野村レオは、残りの人数を確認する。
「レオ、見なくていい。レオは何もしなくていい。
行かせない。」
加地さんは、野村レオの前で、両手を横に広げて通せんぼした。
「全部、は、無理だ。手伝ってくれ。」
野村レオは、加地さんを無視して、北白川サナに返事をする。
加地さんの顔が強張っていく。
「レオ。止めて。レオは行かなくていい。レオは。」
と加地さん。
野村レオは、加地さんの方を見ても、視線は合わせていない。
「手伝う代わりに、あなたの命はもらいます。」
と北白川サナが、野村レオに言う。
「俺の命か。まあ、そうなるだろうな。」
と呟く野村レオ。
「レオ、しっかりして。諦めないで。人殺しを正当化してはいけない。
レオはここに私といる。
私といればいい。
レオが人を殺す必要はない。
レオが殺される理由もない!」
加地さんは、野村レオの真正面から抱きついた。
北白川サナは、野村レオに抱きついた加地さんの背中を白けた顔で見ている。
「行きます?」
と北白川サナ。
「行く。」
と野村レオ。
加地さんは、野村レオに抱きつくのをやめ、振り返って、北白川サナを見た。
今まで、いない者のように扱っていた北白川サナを、ここで会ったが百年目のカタキに会ったかのような形相で見る加地さん。
「一人で行けばいい。レオを巻き込まずに。一人で人殺しになれば。」
と加地さん。
北白川サナは、白けた表情で加地さんが、凄むのを見ている。
「加地さんは、野村レオに、全員に話をして、鎌を持つのを止めてもらうと話して、野村レオを止めていました。
加地さんの言う、全員は誰のことです?」
と北白川サナ。
加地さんは言葉につまり、何も返せない。
北白川サナは、加地さんが返事できなかろうが、気にならないのだろう。
何のリアクションもしないで、淡々と話す北白川サナ。
「私が殺すのは、私の分です。
加地さんは、加地さんのペナルティー分のノルマを達成しないのです?」
驚愕してから、怒り出す加地さん。
「私?私の分?私に人を殺せと?私に人殺しになれと。」
と加地さん。
「最低一人。加地さんのノルマです。
加地さんは、野村レオに肩代わりさせます?」
「レオに肩代わりなどさせない。
私がいるからには、レオに人を殺せない。」
と加地さん。
「野村レオは、加地さんの肩代わりはしなくてよいそうです。
野村レオのノルマにプラスして一人を残しておきます。」
と踵を返す北白川サナ。
野村レオは、加地さんと北白川サナが話し終わるやいなや、動いた。
「レオ、止めて。早まらないで。」
と野村レオを追いかけて走る加地さん。
北白川サナは、ふーくんに一番最初に倒された、苦情を言うようにと加地さんに訴えていた男のワイシャツの襟首の後ろから、ネクタイを引っ張る。
苦情を言うようにと加地さんに訴えていた男の頭と首が持ち上がった。
北白川サナに持ち上げられた男の頭は、くの字に前傾している。
北白川サナは、男の喉に鎌の刃を当てる。
北白川サナは、男の喉に当てた鎌を引きかけたが、中断。
勢いよく鎌を手前にひくと、鎌の刃で、ネクタイを引っ張る自身の腕を切りつけるかもしれない。
北白川サナは、ネクタイを掴んでいた手を離し、男の頭髪を鷲掴みにした。
その流れのまま、男の喉に刃を当てた鎌を、草を刈るかのように、勢いよく手前にひく北白川サナ。
男の喉は、鎌の刃に裂かれ、空気をヒューヒュー漏らし、血をコポコポとこぼしている。
「私のノルマは終了です。」
と北白川サナは、男の喉から鎌を外し、握っていた男の頭髪から勢いよく手を離した。
男が喉から血を流すのを尻目に、鎌を振って鎌の刃についている血を落とす北白川サナ。
野村レオに追いついた加地さんは、野村レオが再び、加地さんの相手をしなくなったことに焦っている。
「レオ、レオ、レオ。止めて。人
殺しをするのは良くない。レオも、人殺しになりたくないと本当は思っている。
流されなくていい。」
加地さんは、野村レオの後ろから呼びかけながら、野村レオのシャツの裾を掴んでいる。
野村レオから反応が返ってこないことに痺れを切らした加地さんは。
野村レオが狙いを定めた男の上に覆いかぶさった。
「レオ、こんなことは、良くない。止めて。」
と加地さん。
野村レオと加地さんが作っていた二人の世界の壁は消えた。
壁を消したのは、加地さんではない。
「早いな。」
と野村レオ。
「私は並です。むしろ遅いです。」
と北白川サナ。
野村レオは、加地さんの手を振りほどいた。
加地さんは、野村レオに手を振りほどかれても狼狽えない。
「レオ。行ってはいけない。レオはまだ間に合う。レオは手遅れになっていない。」
と加地さん。
加地さんは、毅然とした態度で振りほどかれた手をおろす。
加地さんは、北白川サナを見ない。
北白川サナは、加地さんに無視されていても、無反応。
「残りは、二人でできます?」
北白川サナは、野村レオに聞いた。
二人?
この場合の、二人は、加地さんと野村レオか。
「残りか。」
野村レオは、残りの人数を確認する。
「レオ、見なくていい。レオは何もしなくていい。
行かせない。」
加地さんは、野村レオの前で、両手を横に広げて通せんぼした。
「全部、は、無理だ。手伝ってくれ。」
野村レオは、加地さんを無視して、北白川サナに返事をする。
加地さんの顔が強張っていく。
「レオ。止めて。レオは行かなくていい。レオは。」
と加地さん。
野村レオは、加地さんの方を見ても、視線は合わせていない。
「手伝う代わりに、あなたの命はもらいます。」
と北白川サナが、野村レオに言う。
「俺の命か。まあ、そうなるだろうな。」
と呟く野村レオ。
「レオ、しっかりして。諦めないで。人殺しを正当化してはいけない。
レオはここに私といる。
私といればいい。
レオが人を殺す必要はない。
レオが殺される理由もない!」
加地さんは、野村レオの真正面から抱きついた。
北白川サナは、野村レオに抱きついた加地さんの背中を白けた顔で見ている。
「行きます?」
と北白川サナ。
「行く。」
と野村レオ。
加地さんは、野村レオに抱きつくのをやめ、振り返って、北白川サナを見た。
今まで、いない者のように扱っていた北白川サナを、ここで会ったが百年目のカタキに会ったかのような形相で見る加地さん。
「一人で行けばいい。レオを巻き込まずに。一人で人殺しになれば。」
と加地さん。
北白川サナは、白けた表情で加地さんが、凄むのを見ている。
「加地さんは、野村レオに、全員に話をして、鎌を持つのを止めてもらうと話して、野村レオを止めていました。
加地さんの言う、全員は誰のことです?」
と北白川サナ。
加地さんは言葉につまり、何も返せない。
北白川サナは、加地さんが返事できなかろうが、気にならないのだろう。
何のリアクションもしないで、淡々と話す北白川サナ。
「私が殺すのは、私の分です。
加地さんは、加地さんのペナルティー分のノルマを達成しないのです?」
驚愕してから、怒り出す加地さん。
「私?私の分?私に人を殺せと?私に人殺しになれと。」
と加地さん。
「最低一人。加地さんのノルマです。
加地さんは、野村レオに肩代わりさせます?」
「レオに肩代わりなどさせない。
私がいるからには、レオに人を殺せない。」
と加地さん。
「野村レオは、加地さんの肩代わりはしなくてよいそうです。
野村レオのノルマにプラスして一人を残しておきます。」
と踵を返す北白川サナ。
野村レオは、加地さんと北白川サナが話し終わるやいなや、動いた。
「レオ、止めて。早まらないで。」
と野村レオを追いかけて走る加地さん。
北白川サナは、ふーくんに一番最初に倒された、苦情を言うようにと加地さんに訴えていた男のワイシャツの襟首の後ろから、ネクタイを引っ張る。
苦情を言うようにと加地さんに訴えていた男の頭と首が持ち上がった。
北白川サナに持ち上げられた男の頭は、くの字に前傾している。
北白川サナは、男の喉に鎌の刃を当てる。
北白川サナは、男の喉に当てた鎌を引きかけたが、中断。
勢いよく鎌を手前にひくと、鎌の刃で、ネクタイを引っ張る自身の腕を切りつけるかもしれない。
北白川サナは、ネクタイを掴んでいた手を離し、男の頭髪を鷲掴みにした。
その流れのまま、男の喉に刃を当てた鎌を、草を刈るかのように、勢いよく手前にひく北白川サナ。
男の喉は、鎌の刃に裂かれ、空気をヒューヒュー漏らし、血をコポコポとこぼしている。
「私のノルマは終了です。」
と北白川サナは、男の喉から鎌を外し、握っていた男の頭髪から勢いよく手を離した。
男が喉から血を流すのを尻目に、鎌を振って鎌の刃についている血を落とす北白川サナ。
野村レオに追いついた加地さんは、野村レオが再び、加地さんの相手をしなくなったことに焦っている。
「レオ、レオ、レオ。止めて。人
殺しをするのは良くない。レオも、人殺しになりたくないと本当は思っている。
流されなくていい。」
加地さんは、野村レオの後ろから呼びかけながら、野村レオのシャツの裾を掴んでいる。
野村レオから反応が返ってこないことに痺れを切らした加地さんは。
野村レオが狙いを定めた男の上に覆いかぶさった。
「レオ、こんなことは、良くない。止めて。」
と加地さん。
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