73 / 294
73.ふーくんは、歯を食いしばったまま、腕を上げ下ろしし始めた。痛みを訴える人。時間差で倒れていく人。ふーくんは、標的を探している。
しおりを挟む
ふーくんは、後ろから拳銃を突きつけられて、ホールドアップさせられている人のように、両手を上げたまま、部屋の中をゆっくりと進む。
ドッジボールの後に、連戦させているのか?
ふーくんは、精神と肉体の両方にダメージを受けている。
ふーくんは、ゆっくりと周りを見た。
泣きはらした目が、誰かを探し当てる。
ふーくんは、部屋に入ってくる前からあげていた腕を振り下ろした。
何度も何度も、体の向きを変えながら、腕を上げては振り下ろす、を繰り返すふーくん。
何をしているのか、最初は、誰にも分からなかった。
ふーくんが、腕を振り下ろす都度、ふーくんの袖口から何かが飛び出していく。
勢いよく飛び出した何かは、シュッと音を立てて、一直線に進む。
飛び出した何かは、ふーくんが腕を振り下ろした先にいる人物に刺さっていた。
吹き矢?
吹いていないから、吹き矢とは呼ばないか。
腕を下ろすことで、細い棒のようなものが、袖口から射出されている。
ふーくんは、袖の中に何かを仕込んでいる。
最初に刺さったのは、苦情を言うようにと加地さんに勧めた男。
「い、今、何を。痛い。
話し合いに来たのではないのか?
我々は、話し合うために集まっている。
これまでの対応について、我々は、貴社に抗議する準備がある。」
苦情を言うようにと加地さんに勧めた男が話す間に、ふーくんの袖口から射出される細い棒は、二人目、三人目に刺さっていく。
「何するんだ!」
「いきなり、痛いじゃないか。」
「会社側は、話し合いをする気がない。俺達を攻撃するやつを寄越してきた!」
ふーくんが集中して狙っているのは、加地さんのジャケットを脱がせた男達。
ふーくんが、意図して狙っているのでなければ。
デスゲーム運営は、まだ続くデスゲームに不要だと判断した?
ふーくんは、加地さんを素通りしている。
加地さんは、まだ出番があるということか。
ふーくんの近くにいると、危険と判断した人から、ふーくんから離れていく。
その中で、ふーくんに近づいていく人が二人いた。
加地さんを裏切った二人の男。
二人の男は、ふーくんとの距離を一気に詰めると、ふーくんの腹に二発入れた。
腹を殴られた衝撃で、ふーくんは、吹っ飛びながら腕をおろす。
ふーくんの袖口から射出された細い棒は、二人の男が避けるより前に、男達に到達した。
ふーくんは、ふっとばされて、床にしたたかに背中をぶつけた。
ふーくんは、歯を食いしばったまま、喉の奥で悲鳴を押し殺している。
悲鳴をあげるな、とでも指示されたか?
ふーくんは床に転がり、左右にゆらゆら揺れながら、腕を上下させるのを続けた。
ふーくんの腕の上下にともない、細い棒は射出され続けている。
「わ、どうしました?」
「急に、めまいでも?」
ふーくんが部屋に入って、袖口から細い棒の射出を始めてから、体感で五分は経った。
バタン、ドタン。
苦情を言うようにと加地さんに勧めた男が、横倒しになった陶器人形のように、突然、倒れた。
倒れる予兆はなかった。
続いて、二人目、三人目、と、細い棒が刺さった順に倒れていく。
猛獣用の、麻酔を仕込んでいるのか?
加地さんと向き合っていた加地さんを裏切らなかった男は、部屋の中で人が次々に倒れていくのを見て、加地さんを背中に隠すように前に立った。
ふーくんは、よろよろと床に手をついて、立ち上がる。
ふーくんが腕を上下しても、袖口から細い棒は射出されなくなっている。
ふーくんは、立ち上がると、歯を食いしばったまま、首を動かす。
ふーくんは、誰か、次の標的を探している?
ふーくんの一挙手一投足から、部屋の中にいる人は、目が離せない。
ふーくんは、殴られた腹と背中が痛むのだろう。
歯を食いしばったまま、びっこをひきひき、歩き出した。
加地さんと、加地さんを裏切らなかった男の方へ。
ドッジボールの後に、連戦させているのか?
ふーくんは、精神と肉体の両方にダメージを受けている。
ふーくんは、ゆっくりと周りを見た。
泣きはらした目が、誰かを探し当てる。
ふーくんは、部屋に入ってくる前からあげていた腕を振り下ろした。
何度も何度も、体の向きを変えながら、腕を上げては振り下ろす、を繰り返すふーくん。
何をしているのか、最初は、誰にも分からなかった。
ふーくんが、腕を振り下ろす都度、ふーくんの袖口から何かが飛び出していく。
勢いよく飛び出した何かは、シュッと音を立てて、一直線に進む。
飛び出した何かは、ふーくんが腕を振り下ろした先にいる人物に刺さっていた。
吹き矢?
吹いていないから、吹き矢とは呼ばないか。
腕を下ろすことで、細い棒のようなものが、袖口から射出されている。
ふーくんは、袖の中に何かを仕込んでいる。
最初に刺さったのは、苦情を言うようにと加地さんに勧めた男。
「い、今、何を。痛い。
話し合いに来たのではないのか?
我々は、話し合うために集まっている。
これまでの対応について、我々は、貴社に抗議する準備がある。」
苦情を言うようにと加地さんに勧めた男が話す間に、ふーくんの袖口から射出される細い棒は、二人目、三人目に刺さっていく。
「何するんだ!」
「いきなり、痛いじゃないか。」
「会社側は、話し合いをする気がない。俺達を攻撃するやつを寄越してきた!」
ふーくんが集中して狙っているのは、加地さんのジャケットを脱がせた男達。
ふーくんが、意図して狙っているのでなければ。
デスゲーム運営は、まだ続くデスゲームに不要だと判断した?
ふーくんは、加地さんを素通りしている。
加地さんは、まだ出番があるということか。
ふーくんの近くにいると、危険と判断した人から、ふーくんから離れていく。
その中で、ふーくんに近づいていく人が二人いた。
加地さんを裏切った二人の男。
二人の男は、ふーくんとの距離を一気に詰めると、ふーくんの腹に二発入れた。
腹を殴られた衝撃で、ふーくんは、吹っ飛びながら腕をおろす。
ふーくんの袖口から射出された細い棒は、二人の男が避けるより前に、男達に到達した。
ふーくんは、ふっとばされて、床にしたたかに背中をぶつけた。
ふーくんは、歯を食いしばったまま、喉の奥で悲鳴を押し殺している。
悲鳴をあげるな、とでも指示されたか?
ふーくんは床に転がり、左右にゆらゆら揺れながら、腕を上下させるのを続けた。
ふーくんの腕の上下にともない、細い棒は射出され続けている。
「わ、どうしました?」
「急に、めまいでも?」
ふーくんが部屋に入って、袖口から細い棒の射出を始めてから、体感で五分は経った。
バタン、ドタン。
苦情を言うようにと加地さんに勧めた男が、横倒しになった陶器人形のように、突然、倒れた。
倒れる予兆はなかった。
続いて、二人目、三人目、と、細い棒が刺さった順に倒れていく。
猛獣用の、麻酔を仕込んでいるのか?
加地さんと向き合っていた加地さんを裏切らなかった男は、部屋の中で人が次々に倒れていくのを見て、加地さんを背中に隠すように前に立った。
ふーくんは、よろよろと床に手をついて、立ち上がる。
ふーくんが腕を上下しても、袖口から細い棒は射出されなくなっている。
ふーくんは、立ち上がると、歯を食いしばったまま、首を動かす。
ふーくんは、誰か、次の標的を探している?
ふーくんの一挙手一投足から、部屋の中にいる人は、目が離せない。
ふーくんは、殴られた腹と背中が痛むのだろう。
歯を食いしばったまま、びっこをひきひき、歩き出した。
加地さんと、加地さんを裏切らなかった男の方へ。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
偽りの結婚生活 ~私と彼の6年間の軌跡
結城芙由奈
恋愛
偽りの結婚をした男性は決して好きになってはいけない私の初恋の人でした―
大手企業に中途採用された「私」。だけどその実態は仮の結婚相手になる為の口実・・。
これは、初恋の相手を好きになってはいけない「私」と「彼」・・そして2人を取り巻く複雑な人間関係が繰り広げられる6年間の結婚生活の軌跡の物語—。
<全3部作:3部作目で完結です:終章に入りました:本編完結、番外編完結しました>
※カクヨム・小説家になろうにも投稿しています
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました
下菊みこと
恋愛
突然通り魔に殺されたと思ったら望んでもないのに記憶を持ったまま転生してしまう主人公。転生したは良いが見目が怪しいと実親に捨てられて、代わりにその怪しい見た目から宗教の教徒を名乗る人たちに拾ってもらう。
そこには自分と同い年で、神の子と崇められる兄がいた。
自分ははっきりと神の子なんかじゃないと拒否したので助かったが、兄は大人たちの期待に応えようと頑張っている。
そんな兄に気を遣っていたら、いつのまにやらかなり溺愛、執着されていたお話。
小説家になろう様でも投稿しています。
勝手ながら、タイトルとあらすじなんか違うなと思ってちょっと変えました。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
みんなのサスペンス~ちょっぴり残酷な物語
はらぺこおねこ。
ミステリー
ニートとは、英語でNot in Education, Employment。
就学、就労、職業訓練のいずれも行っていないことを意味する。
日本では、15~34歳までの働かず、通学や家事を行っていない若い無職の人のことを言う。
ニートが増えることを危惧した政府はニート撲滅委員会を結束し。
ニートに適材適所な仕事を与えることにした。
久留里 大輔もそのひとりだった。
大輔のもとに委員会から一通の書類が届く。
その書類は、大輔がひらかた警察の特殊課へと配属されることが決まったことを伝えるものだった。
大輔に拒否権はない。
大輔は、静かにうなずき。
それに従った。
※以前書いた作品のリメイクです。
亀更新になりますが楽しみます。
【完結】純白のウェディングドレスは二度赤く染まる
春野オカリナ
恋愛
初夏の日差しが強くなる頃、王都の書店では、ある一冊の本がずらりと並んでいた。
それは、半年前の雪の降る寒い季節に死刑となった一人の囚人の手記を本にまとめたものだった。
囚人の名は『イエニー・フラウ』
彼女は稀代の悪女として知らぬ者のいない程、有名になっていた。
その彼女の手記とあって、本は飛ぶように売れたのだ。
しかし、その内容はとても悪女のものではなかった。
人々は彼女に同情し、彼女が鉄槌を下した夫とその愛人こそが裁きを受けるべきだったと憤りを感じていた。
その手記の内容とは…
18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした
田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。
しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。
そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。
そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。
なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。
あらすじを読んでいただきありがとうございます。
併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。
より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる