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48.デスゲーム内で初めて話しかけてきた美形枠との会話は、一筋縄ではいかない。用意された邂逅なのか?

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デスゲームに参加する前に、他の参加者と馴れ合わないと決めていた俺は、ウェルカム精神を見せてくる美形枠にどう対応するかを迷っている。

デスゲームに、ウェルカムされても、全く嬉しいことはない。

だからといって。

デスゲーム参加者になった俺にとって、デスゲームは職場になる。

職場の先輩が話しかけてきたら、無視はしない方がいいか。

「はじめまして?食事に来たので、入ります。」

俺は、軽く頭を下げてから、部屋の中の四つのテーブルのうち、美形枠が座っているテーブルと対角線上にあるテーブルに座った。

「挨拶ができるんだ。偉いね。」
と美形枠。

偉いと言葉では褒めながら、偉いとは思っていないことが、表情で分かる。

入りたての職場で、面倒な先輩とは絡みたくない。

俺がデスゲームを脱出するためになる情報をくれるなら、いいけど。

「新人くんは、特技や好きなことはある?」
と美形枠が聞いてくる。

美形枠は、人がいたら、とりあえず話しかけるタイプなのか?

コミュニケーション強者が話題をふるなら、返事くらいするか。

「特技は、特にないです。動画を見るのは好きでした。動画は見る専門でした。」

「新人くんは、見ているうちに、自分でも作りたくなったりはしなかった?」
と美形枠。

「見たい動画を探せば、次々出てきましたから。」

「新人くんは、観覧者タイプか。」
と美形枠。

観覧者?

「観覧者と視聴者は、違うんですか?」

「視聴者タイプは、好悪で対象にのめり込む。
観覧者は、全体の良し悪しを判断する。
二つは、似て非なるものなんだよね。」
と美形枠。

美形枠は、批評家なのか?

デスゲーム内に、批評家?

「先輩は。先輩とお呼びしていいですか?
初対面ですが。
先輩は、何タイプですか?」

「俺は、言うなれば、辻にたつ占い師タイプ?」
と美形枠。

「先輩は、人生に迷っている人の背中を押すタイプなんですか?

俺は、どんな風に先輩から背中を押してもらえますかね。」

ご無事を、みたいなお祈りも、頑張れ、のような励ましも、いらない。

俺は、実際に役に立つ情報がほしい。

「新人くんは、面白みがなさそうに見せかけて、肝がすわっているね。」
と美形枠。

今の美形枠は、口に出した言葉通りの表情になっている。

実際に偉いとは思ってもいないのにもかかわらず、俺に偉いという言葉を使っていたとき。

美形枠は、俺の価値を今よりも低く見積もっていたと思う。

職場の先輩に、あちこちに顔が利くだろう先輩に、見下されたままでいるのは、俺の今後に差し障りがある。

あいつなら、簡単に殺れるから、殺っとけば?
と他の参加者を誘導されたら、困る。

美形枠の下につく気はないから、俺から美形枠におもねったりはしない。

俺のことは、馬鹿にしたら、危ないやつくらいの認識を美形枠に植え付けたい。

俺は、言葉を選んで話すことにした。

「食事どきに、辻にたつ占い師タイプの先輩に会えるとは思っていませんでした。

先輩が何を話してくれるのか、今から楽しみで仕方ないです。」

美形枠の前にも、俺の前にも、まだ食事が運ばれてこない。

食事を食べ終わったら、退席という話の切り上げは使えない。

美形枠と話すために、俺はこの部屋に案内されたのか?

「新人くんは、何気に、ハードルをあげてくるね。

今までの展開が、新人くんのお気に召すものじゃなかった、という認識で間違っていないかな?」
と確信に満ちた様子で聞いてくる美形枠。

「質問の意図をお聞きしてもいいですか?」

「五秒以内に、今の質問に答えないと食事抜きになるよ。」
と笑う美形枠。

五秒?

部屋を退室するタイミングも五秒以内の条件だった。

俺が会話している美形枠は、運営が投入した人なのか。

美人枠、メグたんや、テニス経験者っぽい男、ツカサの同類か?
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