フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

1122.アランの派閥は、アランと同じ派閥内だが、アランに顔と名前が知られていない人物を、貴族学校での男性担当者として大抜擢してきた。

フィリス、サブリー、ユージュアルは、アランとバージニがユージュアルの邪魔にならない位置に移動した、くらいにしか認識していない。

リッチェルは、アランとバージニの意図を正確に理解した。

学生と男性担当者は、アランとバージニが、学生の味方にならないこと、派閥の意向に従わないことを認識した。

「よろしいのですか。」
と男性担当者は、アランとバージニに確認している。

男性担当者は、貴族学校の職員ではなく、この行事のために、アランとバージニの派閥から送り込まれた監視員か？

とアランとバージニ、リッチェルは考えた。

男性担当者の扱いには、慎重になった方がいい。

アラン、バージニ、リッチェルの意見は一致した。

この場で、なんと反応するのが正しいのだろうか。

男性担当者から、阿るような雰囲気は消えている。

男性担当者について把握している情報が多くないため、アランとバージニは、返答に窮している。

男性担当者は、今まで、アランとバージニの前に出てきたことがない人物だった。

隠し玉？

大抜擢？

男性担当者が、どこの誰に繋がっているのか、が分からない。

男性担当者の役割が分からない以上、アランとバージニは慎重に対応しなければならない。

近衛別働隊と派閥が反目する事態を避けるために、アランとバージニは覚悟を決めたのだから。

フィリスは、男性担当者の態度が急にふてぶてしくなったと思った。

男性担当者は、フィリスの好まない雰囲気を醸し出している。

アランとバージニに対して何らかの良からぬ意図を持って、男性担当者は質問した、とフィリスは感じた。

アランとバージニ。
リッチェル。
この場にはいないワイズ。

近衛別働隊の幹部とその副官として、フィリスと共にある4人。

フィリスの大切なもの。

フィリスの守るべきもの。

フィリスは、フィリスの目の前で、フィリスの守るべき対象が不愉快になるような何かをされるの黙って見ていようとは思わない。

すなわち、フィリスの出番。

フィリスは、アランとバージニに手を上げて、話すな、と合図を送った。

フィリスは、男性担当者に話しかける。

「キミは、随分と、自由にしているの。
ボク、キミに自由にしていい、なんて、一言でも漏らしたかしら。」
とフィリス。

男性担当者は、フィリスに話しかけられても、フィリスを見ない。

「ボクに、キミの自由さは通用しないの。

ボクは、今から、キミが逃げることを許さないの。

キミは、今から、ボクとサブリーとユージュアルとお話をするの。」
とフィリス。

「女性は？」
とユージュアル。

「リッチェルとアランとバージニ、戻ってきたら、ワイズも含めて、4人は、女性担当者を逃さないようにするの。」

フィリスの指示を聞き、アランとバージニは、速やかにリッチェルの側へ移動。

リッチェルは、サブリーの手を離す。

ユージュアルは、男性担当者の元へ。

サブリーは、ユージュアルとフィリスの中間へ。

「学生に、解散を命じるの。
この部屋は、今からボク達近衛別働隊と男女の担当者が使用するの。

学生は、速やかに退室すること。」
とフィリス。