フィリス・ガランの近衛生活

第6章 コーハ王家の第4王子と高位貴族子弟の近衛は、同じ近衛である地味平凡の子爵子息の魅了で逆ハーレムを作っている、との情報が！

975.近衛なので。お仕事のときは、男女問わずに守ります。お仕事じゃないときは、カッコよく女性を守るの！あれ？ひょっとして、ボクよりお強い？

「ジーンだけじゃなく、ラウルに、乱暴者の王子様に、そこの彼。全部タイプが違うわよね？誰が本命なのよ？」
とマルビル殿。

「ボクは、ボクの男を全員愛しているから、全員本命なの。」

「はん？綺麗事が好きなのはヒロイン属性だから？」
とマルビル殿。

「今日は、ヒロインしていないの。」

ボクは、被害者として話をしにきたの。

「男の腕の中に、すっぽりおさまっておきながら？」
とマルビル殿。

「慣れているんでしょう？地味で平凡で、可愛くもないけれど華奢な男。
男の腕の中で、守ってもらえるのは、そういう男なのよ。

私は、体を鍛えたくなんてなかったのに、鍛えさせられたわ。

貴方、近衛なんですってね？
弱すぎて戦えない近衛って何？
何のためにいるの？
戦い免除な上に、護衛がつく？

はあ？
私と大違いよね。
大きくてがっしりと男らしい肉体に強そうな顔。

どうせ男に生まれるなら、貴方みたいになりたかったわ。

守ってもらえるのが当たり前だと、周りに思われているひ弱な男に。」

マルビル殿がボクを見る顔は、憎悪に染まっていたの。

机の下、足元から、ゾワゾワしたのが、這い上ってくるの！

マルビル殿の足元から流れてくる！

ボクは、椅子を蹴倒して、隣に座る女性担当者を抱えて飛び退いた。

男性の医務官の護衛は、ボクの動きに合わせて、医務官を抱えて飛び退いている。

マルビル殿は、アンドリューとアンドリューの妹に取り押さえられていた。

ボク、カッコいい男性だから、女性を守ることもできるの。

ふふん！

「下ろしてください。」
と言われたので、女性担当者を下ろす。

「ありがとうございます。危なかったですね。」
とお礼も言われたの。

ボク、カッコいいもの。

女性担当者は、ツカツカと取り押さえられたマルビル殿に近づく。

そんなに近づいたら、危ないの。

ボク、応援に行くの！

ボクが、駆け寄る前に、ガゴンと音がしたの。

多分。

ボクが、女性担当者の応援にかけつけると、顎が外れたマルビル殿がいたの。

「顎をはめてほしかったら、代わりに鼻を曲げる？」
と、優しく聞いている女性担当者。

マルビル殿は、閉まらない口で、痛いという音を発したの。

「いつまでも、調子に乗ってられると思うなよ、タコが！」
と女性担当者。

直後。
女性担当者から右ストレートが繰り出されて、マルビル殿の頬にのめり込んだの。
マルビル殿の顔から雫が。

あの、ひょっとしたら、ボクの助けは、いらなかったのかしら？